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しんちゃんと風間くんの友情。 [感動]

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風間「よ、ようしんのすけ…」

しんのすけ「風間くん…久しぶりだね…」

風間「うん…」

しんのすけ「なんか…変わったね…はは…」

風間「お前こそ…」

しんのすけ「風間くんには負けるゾ…」

あい「しん様ー早くいきましょう」

風間「え…?」

しんのすけ「あ…え、えっと…」

あい「あら?こちらの方は?」

風間「…………」

しんのすけ「え、知ってるだろ?風間くんだよ」

あい「風間…?」

風間「あ、えっと、久しぶり…」

あい「え?はい…しん様、また部活の方?」

しんのすけ「ま、まだ気づかないのか?幼稚園のとき一緒だった風間くんだよ」

あい「……あーっ!そうですわ!お久しぶりですわね!」

風間「はは…」

あい「髪が伸びましたわね。イメチェンですか?」

風間「……」

しんのすけ「おい…」

あい「少しお太りになられたようですし…全然気づきませんでしたわ」

しんのすけ「あい、ちょっと風間くんと二人で話したいから…」

風間(呼び捨てかよ…)

あい「はーい。はやく終わらせてくださいねしん様」

しんのすけ「なんか、うるさくてごめんね」

風間「あ、いや別に…」

しんのすけ「…えっと、元気?」

風間「…まぁ…」

しんのすけ「この辺よく来るの?」

風間「たまに…」

しんのすけ「久しぶりに風間くんの顔が見れて嬉しいよ」

風間(こっちは嬉しくねーよ…)

しんのすけ「そっちの学校のほうはどう?やっぱ勉強ばかり?」

風間「まぁ…」

しんのすけ「そっかぁ。すごいな風間くんは。名門中学なんだろ?」

風間「まぁな…」

しんのすけ「オラは全然…」

あい「……」クイクイ

しんのすけ「なに?」

あい「早くしないと映画の時間が…」コソコソ

風間(聞こえてんだよ馬鹿)

しんのすけ「あー…ごめんね。今ちょっと出かける途中なんだ。今度また話そうよ」

風間「あ、うん…」

あい「しん様ー!」

しんのすけ「わかったって!じゃあね風間くん!」

風間「あ、じゃあな…」

風間(…くそっ…肩組んでんじゃねぇよ…)



風間「…ただいま」ボソッ

風間ママ「あ…お帰りなさいトオルちゃん」

風間「…………」スタスタ

風間ママ「…………」

風間「…………」ガチャ

バタン

風間くんの部屋

風間(…くそ…くそ…)

風間(たまに外に出てみればこれだ…会いたくもない奴に会っちまった…)

風間(なんでしんのすけなんかとあいちゃんが一緒に出掛けてんだよ…あいつら付き合ってんのかよ…)

風間(おねいさんおねいさん言っときながらあの野郎が…昔は僕の方が勉強出来て女の子にモテてたんだぞ…)

風間(…昔は…)

風間(…………)

風間「…………」カタカタカタ

風間「……うわっ…ブラクラかよ…死ねカス」カタカタカタ

風間「…………」カタカタカタ

コンコン

風間「…………」

風間ママ「…トオルちゃん…明日は学校いかない?」

風間「…………」

風間ママ「ママ待ってるからね…ずっと……ご飯置いとくわね…」

風間「…………」

風間「…………」カタカタカタ



数日後

風間「ハァハァ…もえP…!」

風間「……ふぅ…」

風間「…………」

風間(……くそ…しんのすけはあいちゃんと色々やってんのかな…)

風間(なんであいつが…僕の方が優秀だったはずなのに…)

prrrrr

風間(…で、電話…?母さんか…?)

風間(……え、しんのすけ!?)

風間(どうしよう…出たほうがいいのかな…なんで僕の携帯の番号知ってるんだよ…?)

風間(……あいつは僕が学校行ってないこと知らないし…電話に出ないと不自然だよな…)ピッ

風間「…もしもし?」

しんのすけ『お、風間くん?』

風間「お前…なんで番号…」

しんのすけ『風間くんちに電話したら風間くんのお母さんが教えてくれたんだ』

風間(ババア…!)

風間「で…なにか用か?」

しんのすけ『この前風間くんに会ったら懐かしくなっちゃってさ。良かったらまた5人で集まって遊びにいかない?』

風間「え…5人って…」

しんのすけ『もちろんオラと風間くんとまさおくんとネネちゃんとボーちゃんだよ』

風間「で、でも…みんなバラバラの中学校だし…」

しんのすけ『大丈夫大丈夫。まさおくんとネネちゃんの学校は隣だしボーちゃんにはオラが連絡するから』

風間「…………」

しんのすけ『どうかな?』

風間「…………」

風間(…みんなと会うのか……)

風間(みんなしんのすけみたいになってたらどうしよう…)

風間(僕だけこんなだったら…馬鹿にされんのかな…気持ち悪がられたり…)

風間(い、いや…まさおくんとかはどうせまたいじめられて僕みたいになってるに違いないさ…)

風間(ボーちゃんなんか同級生と意志疎通すら出来なさそうだし…)

風間(ぼ、僕が最底辺なわけがない…みんな僕より頭悪かったし…)

しんのすけ『……風間くん?』

風間「あ……い、いく…」

しんのすけ『そっか!じゃあ次の日曜なんかどうかな!?』

風間「あ、ああ」

風間(あれ…今日は何曜日だったっけ…)

しんのすけ『場所は~~でいい?』

風間「わかった」

しんのすけ『じゃあまた日曜にね!』

プツッ

風間「……」

風間「髪…切らなきゃな…」

風間「…母さん」

風間ママ「…え?トオルちゃん?」

風間「あの…髪切るから…金…」

風間ママ「あ、はいはい!今あげるからね!」

風間(別に髪切るからって学校にいく訳じゃねぇのに…)

風間ママ「はい!どうぞ!」

風間「うん…」

風間ママ「どこか出掛けるの?送ってあげましょうか!?」

風間(ほっとけよババア…)

美容師「いらっしゃいませー」

風間「……あ……」ペコ

美容師「今日はどのように致しましょうか?」

風間(今日も糞もねぇよ…初めてなんだから…)

風間「あ…えっと…髪を…」

美容師「カラーリングですか?」

風間「あ、いや…長くなって…か、髪が…」

美容師「カットでしょうか?」

風間「あ、はい…」

美容師「かしこまりました」

美容師「今日はどのくらいカットしますか?」

風間「あ…な、長いので…」

美容師「長めに残しますか?」

風間「あ、いえ…長いので…短く…」

美容師「短めですね?わかりました」

風間「あ…短くというか…その、ふ、普通で…お願いします…」

美容師「普通ですね?ではどのような髪型がよろしいでしょうか?」

風間「あ…えっと…」

風間(くそ…わかれよ…)

美容師「よければこの雑誌からお選びになりますか?」バサッ

風間(うわ…こんなにたくさん本持ってこられても困るだろうが!)

風間「え、えっと…」

美容師「ごゆっくりお選びください」

風間(そう言われても…)

風間「…………」ペラッペラッ

美容師「…………」

風間「…………」ペラッペラッ

美容師「…………」

風間「……そ、その…人気の髪型とか…ありますか…?」

美容師「はい。中高生の方に人気なのはこれとこれですね」

風間「あ、じゃあこっちで…」

美容師「かしこまりました」



美容師「今おいくつですか?」チョキチョキ

風間「あ、15歳です…」

美容師「若いですね。でしたら中学生ですよね」チョキチョキ

風間「…はい…」

美容師「中学校楽しいでしょ?僕も一番楽しかったのが中学校だったなぁ」チョキチョキ

風間「…………」

美容師「でも勉強とかは嫌なんですよねぇ。今はやっておけば良かったって後悔するんですけど」チョキチョキ

風間「…………」

風間「はぁ…ただいま…」

風間ママ「あらトオルちゃんおかえり!綺麗になったわねぇ!」

風間(疲れた…もう外に出たくない…)

風間(ババアうっさいからさっさと部屋いこ…)


風間「はぁ…もう2度とあんなとこ行くか…くそが…」ブツブツ

風間「…髪はいいけど…着ていく服はどうしようかな…部屋着しか持ってないし…」

風間「…もえPティーシャツくらいしか綺麗なのないや…」

風間「……制服でいいか…一応名門中学の制服だし馬鹿にはされないだろ…」



日曜日

風間(……よし…どこもおかしくないよな…)

風間(歯もみがいたし…風呂にも入ったし…)

風間(……う…なんか制服がキツくなったな…)

風間(ま、ずっと部屋にこもってパソコンばっかやってちゃ太りもするか…)

「……あのー?」

風間(……僕?…いや、間違いだったら恥ずかしいし気付かないふりしてよう…)

「…あの、風間くん?」

風間「あ、え?」

まさお「やっぱり風間くんだ!」

ネネ「ねー?やっぱりそうだったでしょー?」

風間「まさおくん…ネネちゃん…」

まさお「なんだか昔と雰囲気違ったからびっくりしたよ」

風間「あ…ま、まさおくんこそ…髪のびたね…」

ネネ「ねっ?泣き虫おにぎりのくせに生意気よねぇー?」

まさお「なんだよぉ。昔のあだ名はよしてくれよ」

ネネ「まさおったら昔はあーんなに泣きまくってたくせに最近妙にかっこつけてんのよね」

まさお「ネネだってここのところお洒落ばっかしてるじゃないか。しかも僕のお金で」

ネネ「あーら。男だったら女の子1人養える甲斐性持ちなさいよ」

まさお「いつもこれだよ。風間くん、なんとか言ってくれよ」

風間「……はは………」

風間「えっと…ま、まさおくんとネネちゃんは…付き合ってたりするの…?」

ネネ「えー…」

まさお「む、なんだよその反応は」

ネネ「なんか付き合ってるとか言われてみるとしっくりこないのよね」

まさお「いつも僕をあちこちつれ回してるくせによく言うよ…」

ネネ「だってまさおとあたしじゃどうも釣り合わないでしょ?」

まさお「また偉そうに…ネネから告白してきたんじゃないか」

ネネ「んなっ…ちょっ!こらおにぎり!余計なこと言うんじゃないわよ!」

まさお「うわぁ!ネネがうさぎ出したぁ!」

風間「ま、まぁまぁネネちゃん…」

風間(のろけかよこいつら…くそ…ふざけんな…)

風間「そ、それにしてもボーちゃんとしんのすけ遅いね…」

まさお「しんちゃんはともかくボーちゃんは来られるかどうかわかんないんだよねぇ…」

風間「え…?ど、どういうこと…?」

ネネ「知らないの風間くん?ボーちゃん、今は学者さんなのよ?」

風間「…………は?」

まさお「考古学…だっけ?難しいことはよくわかんないんだけど、本とかも出してるみたいだよ」

ネネ「すごいわよねボーちゃん。中学生で学者さんだなんて…玉の輿候補じゃない!」

まさお「ネネ…ちょっとまってよ」

風間(ボーちゃんが……学者……?)

「みんな、おまたせ」

まさお「あ、ボーちゃん!」

ボー「まさおくん。ネネちゃん。風間くん」

ネネ「きてくれたのねボーちゃん!」

風間「あ…ひ、久しぶりだねボーちゃん…」

風間(は?これがあのボーちゃん…?普通に好青年って感じじゃないか…背は高いし…鼻水はどこに仕舞ったんだよ…)

まさお「突然大丈夫だった?お仕事は?」

ボー「大丈夫。普段は僕もまだ学生だから」

ネネ「学校に通いながら研究とかもしてるのね」

ボー「うん。僕もまだまだ勉強しないと立派な一人前にはなれないから」

風間(……なんだよ…勝ち組じゃないか…ボーちゃん…)



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10分後

しんのすけ「やぁやぁ皆さん。集まってますかな」

まさお「あ、しんちゃん!」

ネネ「遅いわよしんちゃん!遅刻癖は治ってないのね!」

しんのすけ「アイムソーリーヒゲソーリー」

風間(あ、なんか懐かしいな…この感じ…)

しんのすけ「んもう。風間くん、ちゃんとツッコミ入れてくれなきゃ」

風間「え、あ…」

しんのすけ「しかし…見ないうちにみんな大きくなったねぇ…」

ボー「しんちゃんこそ。たくましくなった」

あい「しん様はサッカークラブのキャプテンですものね!」

風間(うわ…)

まさお「あ、あいちゃん!?」

しんのすけ「ご、ごめんね…絶対付いていくって言うからさ…」

まさお「うわぁ…綺麗になったねあいちゃん…」

あい「あら…あなた、まさお?」

まさお「う、うん!」

あい「…なんだか、髪があるとまさおじゃないみたいで気持ち悪いですわ」

まさお「え…」

ネネ「おいおにぎり…なーに見とれてやがんだ?あ?」

まさお「す、すいません…」

しんのすけ「ボーちゃん!お久しぶりぶり!」

ボー「しんちゃん。久しぶり」

しんのすけ「よっ!ほっ!はいっ!」パン!パン!パーン!

ボー「おっ!おっ!おーっ!」パン!パン!パーン!

しんのすけ「決まった!さすがボーちゃん!」

ボー「これも久しぶりだね」

風間(…みんな…本当は昔とあんまり変わってないんだな…)

風間(変わったのは僕だけだ…)

しんのすけ「みんなとまたこうして会えたことだし、どこかでゆっくりしようか?」

ネネ「そうねぇ…まずはお洒落な喫茶店とかで昔話に花を咲かせましょうよ!」

まさお「いいね!あいちゃんの話も聞きたいことだし!」

ネネ「もちろんまさおの奢りね」

まさお「!!」

ボー「僕、いい店知ってる」

しんのすけ「やっぱりボーちゃんは頼りになるゾ」

あい「では行きましょ!しん様!」

しんのすけ「み、みんなの前であんまりくっつかないでよ」

あい「えー…」

風間(こいつらと居たら…僕も昔に戻れるかな…)



喫茶店

まさお「……じゃあしんちゃんはスポーツ推薦を狙ってるんだ?」

風間(なんか学校の話題になってるし…)

しんのすけ「うん。勉強したくないしね」

あい「あら。しん様は普段勉強しないだけで本当は学年10位以内には入れますのよ?」

ネネ「えー!?しんちゃんすごいじゃなーい!」

しんのすけ「そんなことないゾ。この前のテストだって四十点くらいだし」

あい「居眠りしてましたもの」

ボー「しんちゃん、なんでもできる」

しんのすけ「いやぁ…さすがにボーちゃんや風間くんには勉強では勝てないよ」

風間(う…僕に話題を移すな…)

まさお「そういえば風間くんは名門中学に入学したんだもんね」

ネネ「やっぱり勉強は難しい?それとも風間くんにとっては楽勝かしら」

風間「あ…ま、まぁそれなりさ…」

風間(…勉強なんてここ数ヶ月してないよ)

ボー「このまま卒業すれば超エリート街道まっしぐら」

しんのすけ「オラ風間くんに養ってもらおうかなぁ」

あい「でしたらしん様!このあいがしん様をなに不自由なく養って差し上げますわ!」

風間「ははは…」

風間(エリートどころか部屋でパソコンばっかやってる引きこもりさ…お前らの方がよっぽど立派だよ…)


風間(僕がエリートと呼ばれる立場だったのは最初だけ…)

風間(幼稚園を卒園してからは僕だけがみんなと別れ、違う小学校に通った)

風間(母さんは僕のためにいろんな習い事をさせてくれたしお受験だって受けた)

風間(そしてエリートしか通えない名門中学にも入学させてもらった)

風間(でも…僕は一年生の後半辺りから少しずつ学校にいかなくなってしまった…)

風間(そこから僕は狂いだしたんだ…学校にいくのが怖くなったんだ…)


ネネ「ねぇ風間くん」

風間「あ、え?な、なんだい?」

ネネ「風間くんはやっぱり高校も名門に通うの?」

風間「そ…そうなる…のかな…」

ネネ「じゃあじゃあ!やっぱり将来は公務員!?弁護士!?お医者さん!?」

まさお「おいネネ…まさか狙ってるのかい…?」

ネネ「まさおに生活力がなかったらいつでも乗り替えるわよ」

まさお「くっ…!どうせ僕は平凡ですよ!」

風間(……僕がそんな立派な仕事に就けるわけ…みんなと会話するのも大変なのに…)

しんのすけ「…………」

ネネ「風間くんは将来の夢とかあるの?風間くんくらいならきっと大きい夢なんでしょうね!」

風間「あ、えっと…その…」

しんのすけ「ボーちゃんはもう夢叶えちゃってるんだよね」

ボー「うん」

ボー「僕、化石を研究してみたかったんだ。化石はその時代の環境や風習が閉じ込められた石だから」

まさお「なんだかその説明だけで頭が痛くなりそうだよ」

ボー「まだ未熟だけど、いずれは解明されてない歴史を解き明かしてみんなに伝えたい」

しんのすけ「おぉー!かっこいいー!」

ネネ「ボーちゃんも優良株ね…」

まさお「みんな凄すぎだよ…自信なくしちゃうなぁ」

風間(…ボーちゃんの話題になって助かった…)

風間(しんのすけでも役に立つんだな…)

しんのすけ「…………」

ボー「まさおくんにも、夢はあるでしょ?」

まさお「ま、まあね…」

しんのすけ「おぉ、どんな夢?」

まさお「とりあえず安定した職につくことかな…」

しんのすけ「な、なんだか拍子抜けだゾ…」

あい「夢のない夢ですわね」

ネネ「はぁ…だからあんたはまさおなのよ」

まさお「僕はとにかくお金を稼いで…ネネと二人で暮らしていけるような甲斐性を持ちたいんだ」

ネネ「……!?」

あい「……まぁ」

ボー「…プロポーズ」

まさお「へ、へへへ…僕にしては大胆だったかな?」

ネネ「……泣き虫おにぎりっ!生意気っ!」

まさお「なんだよ。泣きそうになってるのはネネのほうじゃないか」

ネネ「うっさい!馬鹿!」

しんのすけ「いやぁ…若いですなぁ…」

あい「あいの夢はもちろんしん様のお嫁さんですわ!」

風間「…………」

ボー「風間くん、恋人はいるの?」

風間「え……い、今はいないけど…」

ボー「独り身同士、頑張ろう」

風間(…お前はやろうと思えばいくらでもやれるだろ…)

しんのすけ「みんな立派な夢を持ってるんだね」

まさお「しんちゃんはなりたいものないの?」

しんのすけ「うーん…ハーレム王かなぁ…」

あい「駄目です」

しんのすけ「じゃあ石油王とか」

あい「ご希望でしたら石油を取り寄せますが?」

しんのすけ「…………冗談だゾ」

ボー「しんちゃんはスポーツ選手?」

しんのすけ「そんなのなれる気が全然しないよ」

風間「……可能性があるだけいいじゃないか…」ボソッ

風間(僕は今からいくら努力したって…)

しんのすけ「……まぁいくら話してもオラの将来なんて全然わかんないよ」

しんのすけ「それよりせっかく集まったんだから進路の話なんていいじゃない。昔話しようよ」

しんのすけ「あー…疲れたぁ…」

ボー「でも、楽しかった」

まさお「そうだね。ちょっと恥ずかしいことも言っちゃったけど…

ネネ「ちゃんと覚えてるわよ。とりあえず高校卒業してからじっくりシミュレーションしましょ」

まさお「ひ、ひぃぃ!まさかリアルおままごと再来か!?」

風間(…そっか…来年はもう受験なんだ…)

しんのすけ「…オラもなにになるか決めないとなぁ…でも面倒だなぁ…」

風間(…そうだ…面倒なんだよ…この世界を生きていくのは…)

風間(なんで僕たちは働かなきゃいけないんだろう…なんで学校に行かないことが世間では悪いことって言われるんだろう…)

風間(僕はもう一生部屋でもえPと一緒にいたいよ…)

まさお「じゃあ僕たちはこれで」

ネネ「また誘ってねー!」

ボー「今度、またみんなで遊ぼう」

しんのすけ「うん。みんなまたね」

風間「…じゃあ僕もこれで…」

しんのすけ「うん」

しんのすけ「…………」

あい「しん様。私たちも帰りましょう?」

しんのすけ「ごめん。オラちょっと用事があるから先に帰っててよ」

あい「えー…」

風間(…くそ…とんだピエロだよ…)

風間(みんな僕みたいになってるかと思ったら…やっぱり最底辺は僕だけだ)

風間(もういい。友達なんて一緒にいても苦しいだけ)

風間(常に劣等感を感じてまで他人と馴れ合う必要はないさ…)

風間(……僕はもう…落ちるとこまで落ちちゃったんだから…)

しんのすけ「風間くん!」

風間「…え…?しんのすけ…」

風間(くそ…まだ僕を苦しめるつもりなのかよこいつは…)

風間「…なんだよ」

しんのすけ「…風間くんはなりたいものある?」

風間「…そんなもの…ない…」

しんのすけ「本当にないの?」

風間「…あっても…僕なんかじゃなれっこないし…」

しんのすけ「そんなことないよ。風間くんならでき…」

風間「いい加減なこと言うなよ!!お前は頭が悪いからわからないかもしれないけどな、人には限界ってものがあるんだ!」

しんのすけ「風間くん…」

風間「いいかしんのすけ。お前みたいな底辺中学校のテストで上位に入れるからって調子に乗るなよ?僕の学校ではそのくらいの勉強なんてビリでも出来る!!」

風間(僕はもう…そのビリよりもずっと下だけどな…)

風間「天才だらけの環境に居てみろよ!自分の限界なんてすぐにわかるぞ!?いくら努力したって叶わない夢なんてごまんとあるんだ!!」

風間(僕はその努力からすら逃げ出したけどな…)

風間「お前なんかがわかったような口を聞くな!!僕の悩みなんてお前に理解できるはずないんだから!!」

しんのすけ「…………」

風間「……もう2度とついてくるなよな…」

しんのすけ「…………」

しんのすけ「叶えるのが夢だけど…叶わなくても夢は夢なんだゾ。風間くん」

風間「…………」

しんのすけ「夢は叶わないかもしれない…必死で努力したって叶わない夢もあるかもしれない」

しんのすけ「でも夢を持っている人は前へ進めるんだゾ!」

風間「…………」

しんのすけ「風間くんだって夢があるから辛いお勉強を頑張ったりいい学校にいったりしたはずなんだ」

しんのすけ「今の風間くんはそれを忘れてしまったかもしれないけど…」

しんのすけ「また夢を持てば、風間くんだって前へ進めるんだゾ!!」

風間「…………」

しんのすけ「風間くん、風間くんの夢はなに?」

風間「……政治家…政治家になりたい…」

風間「しんのすけ…僕、やっぱり夢は諦めたくないんだ…今までの僕には勉強しかなかったけど…それはなりたいものがあったからなんだ…」

しんのすけ「じゃあオラと一緒に頑張ろうよ。学校に行かなくても勉強はできるから」

風間「え…?お前…なんで知って…」

しんのすけ「だって風間くんの制服…下ろし立てのように綺麗で、ピチピチなんだもん」

風間「ぅあ…」

しんのすけ「しばらく制服着てないんでしょ?風間くん」

風間「うん…」

風間「……僕…学校でいじめられてたんだ…」

風間「きっかけは…学校に間違ってもえPストラップのついた財布を持ってきちゃって」

風間「同級生に取られて…財布の中からもえPテレカを取り出されて…」

風間「カバンの中のもえPフィギュアの存在もバレちゃって…」

風間「お腹壊した時にトイレで唱えてた『もえもえピー!』って掛け声も録音されてYouTubeに上げられたんだ…」

風間「それから僕はみんなに白い目で見られて…気持ち悪いとかキモいとか気色悪いとか生理的に無理とか言われて…」

風間「学校にいくのが怖くなったんだ…」

しんのすけ「…………」

風間「しんのすけぇ…こんな僕でも…今からやり直せるかなぁ…?」

しんのすけ「勿論だゾ!!」

風間「しんのすけぇ…」

しんのすけ「風間くんの夢…オラがお助けするゾ」

しんのすけ「それが今のオラの夢だ」


こうして風間くんとオラのお勉強は始まった
でもやっぱりやる気を出した風間くんはすごくてオラなんかあっという間に追い越した
学校だって通うようになったゾ
人の目なんか気にせずにもえPストラップだらけのカバンで登校する風間くんは「もえPの申し子・風間トオルちゃん」なんてあだ名が付くくらい
だからオラは風間くんにスポーツを教えてあげることにした
最初は太ってた風間くんだけどみるみるうちに痩せてイケメンになっちゃったゾ
オラ程じゃないけど




そして中学3年生の秋頃

風間「おぉぉー!!受かったぁぁぁぁ!!」

しんのすけ「やったね風間くん!!」

風間「うん!ありがとうしんのすけ!お前のおかげだ!!」

しんのすけ「どう炒めまして!!」

風間「それを言うならどういたしましてだろ」

しんのすけ「そうとも言う」

風間「そうとしか言わないよこの馬鹿」

しんのすけ「この天才」

しん風間「「えへへへへへ」」

風間「しんのすけ…お前はスポーツ推薦なんだろ?」

しんのすけ「とりあえずはね。まだなりたいものは見つからないし」

風間「でもやりたいことは見つかったんだろ?」

しんのすけ「うん。オラの周りの人をみーんなお助けするゾ」

しんのすけ「それがオラが憧れたヒーローの姿だから」

風間「本当に格好いいよお前は…」

しんのすけ「いやぁ照れますなぁ」

風間「じゃ…ひとまずお別れだなしんのすけ」

しんのすけ「達者で暮らすんだゾ」

風間「お前もな」


それから何十年か後
風間くんは夢を叶えて政治家になったゾ
風間くんは日本のアニメ文化を世界に広める活動をしてるゾ
そんでもってオラは総理になったゾアイムソーリーヒゲソーリー
とりあえず風間くんのアニメを広める試みは却下しといてやったゾ




終わり

風間くん.jpg


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http://bit.ly/ZQxVfs

ドラえもん「スネ夫の思い」
http://bit.ly/11mEKTw

ドラえもん「のび太と出木杉くんの関係」
http://bit.ly/164IYTb

ドラえもん「のび太の恋の行方は?」
http://bit.ly/16pK7oZ

ドラえもん「のび太、靴屋の店長になる」
http://bit.ly/1bGzOxe

ドラえもん「ジャイアンの夢」
http://bit.ly/16rf1gN

ドラえもん「スナイパーのび太~スネ夫との契約~」
http://bit.ly/166tGxi

ドラえもん「スナイパーのび太~ジャイアンとの契約~」
http://bit.ly/10lefCS
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りゅうじ

なかなかいいね。
風間くんとしんちゃんの友情の話が好きなので、面白かったです。
by りゅうじ (2015-03-19 23:46) 

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