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ひろしの大切な仲間たち。 [感動]

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双葉商事

ひろし「どういうことですか!こんなに会社に尽くしてきたのに・・・」

課長「私もなんといっていいか・上からの指示なんだ・・・最後まで抵抗はしたんだが」

ひろし「・・・そんな。俺にはまだ家族がいるのに・・・どうすりゃあ・・」

課長「・・・本当に今はどこも苦しいんだ。わかってくれ。野原君。」

<帰りの電車内・夕方>

ひろし(・・・なんで俺が・・・しかも川口まで辞めさせられていたとは・・・単なる帰省じゃなかったのかよ)

ひろし(みさえやしんのすけになんて言おうか・・・)

ひろし(・・・クソッ!)

ひろし(・・・とりあえずみさえにだけは話そう・・しんのすけには・・・)

ひろし(幼稚園で変な目で見られるのもかわいそうだ)

ひろし(子供には関係のないことだもんな・・・)

ひろし(とにかく・・・どうにかしないとな)

<野原家・玄関前>

ひろし(・・クソッ!自分の家なのに入りづれぇ・・・ローンだって残ってるってのに)

ガチャ

ひろし「ただいま・・・」

しんのすけ「おお!とおちゃんおかえり~」

ひまわり「たいたい!」

みさえ「あら、あなた今日は早かったわねぇ!」

ひろし「お、おう!今日は久しぶりに残業なしだってよ!!」

みさえ「あらそう。とにかくお風呂湧いてるから先入っちゃいなさいよ」

しんのすけ「お~とうちゃんと一緒に入る~」

みさえ「そうね、あなた、しんのすけも・・・」

ひろし「いや・・・今日は一人で入らせてくれ・・ちょっと考えたいことがある

みさえ「なんだか元気ないわね。仕事早く終わったのに」

ひろし「・・・そ、そんなことねぇぞ。ちょっと疲れてるだけだ」

みさえ「そう、じゃあしんちゃんはアクション仮面でも見てなさい」

しんのすけ「んもぉ、とうちゃん水虫臭いぞ」

ひろし「それを言うなら水臭いだろ。・・・じゃあ入ってくるわ」

<風呂>

チャポン

ひろし(くっ・・・家族のあんな姿見たらクビになったなんて言えねぇよ・・・!)

ひろし(しんのすけやみさえはいつも通りの日常を変わらずに生きている・・・)

ひろし(ここで俺がクビになったなんて言ったら・・)

ひろし(今日は・・言えそうもないな)

ひろし(秋田のおやじに相談・・・いや、みんなにも黙っておこう)

ひろし(クソッ、涙が出てきやがる!)

ひろし(しかし・・・内緒にしておこうにも明日から行くあてはないわけだし)

ひろし(家にずっといるのも怪しまれる)

ひろし(とりあえず明日は有給取ったふりしてネットで職探しか・・・)

<風呂から出る>

ガチャ

ひろし(はぁ・・・なんだか風呂入ったのに疲れがとれんな)

ひろし「おーい、出たぞー」

みさえ「はい、バスタオル。あら、あなたなんだか目が赤いわよ?」

ひろし「あ、ああ、なんか目がかゆくてな(笑)、結膜炎にでもなったかな」

みさえ「かいちゃダメよ。さあ、しんちゃん、ご飯にするわよー!」

しんのすけ「ほーい!」

ひろし(・・・家族の優しさがこんなにつらく感じたのははじめてだ」

<食卓>

カチャカチャ・・・

ひろし「・・・なぁ、みさえ」

みさえ「なあ~に?急にかしこまっちゃって」

ひろし「万が一、万が一だぞ、俺が会社クビになって無職になったらどうする?」

しんのすけ「おおっ!父ちゃんついにリストラか!?・・・その足のにおいじゃ無理もないぞ。」

ひろし「バカ、万が一だよ」

みさえ「・・・そうねぇ、とりあえず離婚かしら」

ひろし(!?)

みさえ「ばかねぇ!冗談よ。とにかく、あなたの職が見つかるまで私がパートで稼ぐわ」

ひろし「そ、そうか。普通はそうなるよな・・・」

ひろし「し、しんのすけはどうする?もし父ちゃんのお仕事がなくなったら」

しんのすけ「オラ、お仕事して父ちゃんよりももっと稼いでくるゾ」

ひろし「はっはっはっ、頼もしいな」

ひろし(・・・やはり、まだ言うべきじゃないな)

みさえ「さあ、そんなことよりあなた早く食べちゃって。食器片付けなきゃ」

ひろし「お、おう。ところで、明日は有給取ったからさ」

しんのすけ「お~、父ちゃんズル休み~」

ひろし(ズル休みならどれだけいいか・・・)

みさえ「あら、それなら明日はひまわり連れてオケイとお茶でもしてくるわ」

ひろし「おう、留守番ならまかしとけ」

ひろし(よかった、これで気兼ねなく職探しができる)

<翌朝7:30>

ひろし「さ~て、仕事行かなきゃ・・・」

みさえ「あら、あなた今日有給取ったんでしょ?」

ひろし(あ、そうだ・・・俺は昨日から無職になったんだ。もう早く起きる必要も、満員電車でおしくらまんじゅうもする必要ないんだな)

みさえ「寝ぼけてるんじゃないわよ。ほら、しんのすけ!早く起きなさい!あんたは幼稚園よ」

しんのすけ「ん~、あと90分」

みさえ「なに言っとるか!ほら、早く起きないとママのお仕置き行くわよ」

しんのすけ「おおっ・・・オラもう眠くないゾ。」

ひろし(変わらない日常だな・・・スマンみんな)

<午前9:00>

ひろし(とりあえず、俺も目が覚めちまったし起きるか)

みさえ「じゃあ、あたしたちもう行くわよ。帰りは夕方ごろになるかしら。お昼は昨日の残りとレトルトカレーがあるわ。温めて食べてね」

ひろし「お、おう。気を付けてな」

ひろし(よし、とりあえずネットで手始めに職探しと行くか)

<2階・ひろしの部屋>

ひろし「30歳代、求人と・・・」カチカチッ

ひろし「どれどれ・・・」カキカキ

ひろし「とりあえずノートにとってみたぞ」

・清掃
・工事現場(年齢20~40歳)
・コンビニ

ひろし「はぁ・・・やはりこんなものか・・・」

ひろし「しっかり大学卒業してりゃあよかったな」

ひろし「俺ぐらいの年齢じゃ家族を養うだけの金を稼ぐのは夜勤でもやらない限り無理なんだな」

ひろし「しかし、夜勤なんかしてたら確実にみさえにバレる・・・」

ひろし「生活も今と真逆になるわけだしバレないわけがない」

ひろし「他にないものか」

ひろし「朝から夕方までの求人は・・・これしかないか」

<清掃業>

ひろし「とりあえず電話してみよう。年齢はおそらく大丈夫なはずだ」

ピポパ・・・prrrrrrrrrrrrガチャ

「はい、こちら●●清掃事業です」

ひろし「あ、もしもし。初めまして、ちょっとお伺いしたいんですが・・・・」

・・・・・ガチャ

ひろし「やはり、35歳じゃあダメか。年齢不問って書いてあるくせに・・・」

ひろし「まいったなぁ」

コンビニ「はぁ・・申し訳ないんですが、その年齢ですと・・・・」

・・・・ガチャ

ひろし「6社全部ダメ・・・か。はぁ、俺、この先どうなるんだろうな」

ひろし「それに、いつまでだましだまし生活していけるのだろうか」

ひろし「職も見つかりそうもないし、みさえにバレるのも時間の問題か」

<13:00>

ひろし「・・・もう、こんな時間かよ。しんのすけもじき帰ってくるな」

ひろし「とりあえず飯食うか」

ひろし「はあ、自分が今までどれだけ恵まれていたか身に染みるな・・・」

ひろし「川口のやつはなにやってるんだろうか。」

ひろし「携帯もつながらないし、帰省したと聞いたが実家もわからねぇ。」

ひろし(テレビでも見るか)

ひろし「昼間はワイドショーばかりだな。ハハハ」

『ここでニュース速報です。』

ひろし「ん?なんだよ。近場で何かあったのか」

『え~、さきほど午後1時頃●●駅の●●ビルの屋上から男性が飛び降りたとのことです』

ひろし「なんだ、自殺のニュースかよ。こんなん速報にするんじゃねぇよ」

『調べによりますと、●●ビルの下にいた人たちに落下した男性に直撃し、現場は騒然となっております。』

ひろし「まったく、死ぬんなら他人に迷惑かけるようじゃダメだよな」

『え~現場では4人が負傷した模様です。落下した男性は深緑のスーツ、やや小太り、靴は身に着けておりませんでした』

『間もなく病院に搬送されましたが全身を強く打っておりまもなく・・ブチッ

ひろし「ハハッ・・・川口とおんなじ服装だぜ。」

ひろし「・・・・・クソッ・・・帰省したんじゃなかったのかよ・・・」

ひろし「・・・俺だって死にてぇよ・・・」

ひろし「川口・・・川口・・・どうしてっ!」

ひろし「・・・・どうすりゃああいいんだあああ!」

シロ「クーン・・・」

ひろし「うっ・・うっうっ・・・今まで一緒に頑張ってきたじゃねえか」

ひろし「死んじまったのか・・」

1時間後

ひろし「・・・仕方ないよな。俺でさえこんなにつらい」

ひろし「若い川口ならなおさら・・・」

ひろし「・・・・新聞・・・双葉商事!?」

『双葉商事ついに倒産か!?不況のあおりを受け重役失踪!』

ひろし「おい・・・おい・・・ウソだろ・・・じゃあ昨日の時点で社長は」

ひろし「課長・・・会社が倒産する前に俺をやめさせたのか・・・・」

ひろし「どこもかしくも腐ってるな」

<15:00>

しんのすけ「ほっほーい!おかえりー!おつやーおつやー」

ひろし(やっ、やばい!新聞は処分しよう。こんなのがあいつらに知れたら)

ひろし「お、おかえりしんのすけ・・・」

しんのすけ「おおっ、父ちゃん!おつや食べていい?」

ひろし「お、おう、ちゃんとうがいして手を洗ってからな」

しんのすけ「ほーい!」

ひろし「はぁ、こんな調子で一日すぎちまったな」

ひろし「やることないとこんなにも退屈なんだな。どうしようもないな俺は」

ひろし「明日は漫画喫茶かネカフェか・・・」

<16:00>

ガチャ・・・

みさえ「ただいまー!」

しんのすけ「おー!遅かったゾ!」

みさえ「ゴメンね~、大安売りやってたから買い込んじゃったのよ」

しんのすけ「父ちゃんはお昼寝してるぞ」

みさえ「あら、ホント、ずいぶん疲れてる感じね」

ひろし(・・・寝てるわけじゃないんだ。少しこうさせてくれ)

みさえ「さあ、ご飯の支度するわよ!しんちゃんも手伝ってね」

<翌朝>

ひろし(と、とにかく会社行くふりしねぇと・・・スーツきてネットカフェに居座るしかねぇ)

ひろし「さーて、会社行くかー!」

みさえ「あら、今日はやけに早起きね。しんのすけー!早くおきなさーい」

しんのすけ「うーん、あと120分~」

みさえ「コラッ!いい加減にせんか!グリグリ攻撃行くわよ」

しんのすけ「ほい・・・」

ひろし「さあ、じゃあ俺はもう行くぞ」

みさえ「あら、そう。今日はずいぶん早いのね」

ひろし「あ・・ああ、まあ会議やらで大変なんだ」

みさえ「いってらっしゃい」

ひろし「おうっ」ガチャ

ひろし(よし、うまく抜け出せた。とりあえず春日部の近辺じゃ知り合いにバレそうだ。越谷あたりまで行くか)

<春日部駅>

ひろし「ああ、会社に行くやつであふれかえってるな」

ひろし「俺もおとといまではこいつらの一員だったわけだが・・・」

<越谷市内のネットカフェ>

「いらっしゃいませー」

ひろし(ああこの店員、俺のこと、どう思ってるんだろうな。)

ひろし「再就職 30代っと」カチカチッ・・・

・・・・

ひろし「収穫ゼロ・・・本当に俺の人生はどうなるんだ」

ひろし「家に帰ろうにもみさえがいる。会社にいることになってんだ」

ひろし「仕方ない。夕方までアニメでも見て時間つぶそう・・・」

ひろし「ほう、けいおん!か。なんか一時期話題になってたな」

・・・

ひろし「なかなか面白かった。こういうアニメあんま好きじゃなかったけどたまにはいいもんだな」

ひろし「澪ちゃんかわいかったし・・・」

ひろし「はぁ・・・・俺何やってんだ」

ひろし「川口のヤツは死んだ、社長は失踪、課長も時間の問題だな・・・」

<17:00>

ひろし「もう、こんな時間か。割と早く過ぎるもんだな・・・」

ひろし「家に帰るのが憂鬱だぜ・・・会社に行ってきたようにふるまわなきゃな」

<越谷駅ホーム>

『まもなく一番線に~、

ひろし(ああ、ここで飛び降りてしまえばどんなにラクになることか)

ひろし(いっそ飛び降りてしまおうか。そうすれば俺の保険金であいつらは暮らしていける)

ひろし(あとは秋田のおやじと九州とお父さんに助けてもらえば・・・あいつらは少なくとも人並みに生活が)

ひろし(俺の人生はなんだっただろうな)

ひろし(20で秋田からはるばる上京し、慣れない都会生活の下なんとかここまでやってきた)

ひろし(みさえと結婚し、しんのすけとひまわりも生まれ・・・)

ひろし(みさえからはよく怒られたし、殴られたな。でもそれでも大好きだ)

ひろし(しんのすけはナマイキなヤツだがあれでもまだまだ子供らしいところもあって甘えたい年頃だ。)

ひろし(ひまわりにはこれからの未来がある。)

『一番線、お下がりくださーい!電車入りまーす!』プァン!

ひろし(だめだ!!死ぬなんてダメだ!!あいつらはきっと俺が死んだら悲しむさ!俺があのニュースを見たときと同様に。)

ひろし(生きてやる。何としてでも生きてやらなきゃ)

<春日部駅>

ひろし(結局、死ねなかったな。どうしてもあいつらのことを考えてしまう)

ひろし(戻ってきちまった。春日部に)

ひろし(しかし・・・このままでは職業が見つかりそうもない。こればかりは・・・)

ひろし(本当にどうしようか。誰か・・・)

?「おや、野原さんですか?」

ひろし(うわっ!こんな時に知り合いは勘弁だぜっ・・・)コソコソ

?「やっぱり!野原さんじゃないですか!どうしたんですか・・・そんなくたびれた格好で」

ひろし「うわっ!ヤクザ!!!ひぃぃぃぃぃ!!!・・・て」

園長「ちょっと!私ですよ!くみ・・・じゃなくて園長です!」

ひろし「ああ・・・すみません。どうしても慣れなくて・・・ホントに」

園長「いいんです、もう慣れてますから。・・・ところでどうなされたんです?そんなやつれて・・スーツもしわしわ・・・普段の野原さんじゃないですね」

ひろし「・・・いえ、何でもないんです」

園長「野原さん、我慢しすぎは体に毒ですよ。人間逃げていい時もあるのです。人間は一人じゃないんです」

ひろし「・・・・・」

園長「もしよかったら、そこの喫茶店に行きましょう。お金は私のおごりで」

ひろし「あ、でも、そんな・・・」

園長「園児を見守ることが私の仕事なら、その園児の親だって見捨てるわけにはいきませんよ。」

ひろし「・・・すいません。じゃあそこのお店に入りましょうか・・・」

<春日部駅前喫茶店>

ひろし「・・・というわけなんです。」

園長「・・・そうでしたか・・・。新聞で小さい記事になってたんですね・・・わたくし気づきませんでした」

ひろし「・・ハハッ、小さい企業ですから・・・大した記事にもならないでしょう」

園長「もちろん、奥さんには話されたんでしょう?」

ひろし「・・・それが、なかなか切り出せなくて・・・。今まで黙ってきました」

園長「そうですか・・・、無理もないですよ。」

ひろし「職も必死に探したんですが、なんせこの年齢じゃどこも・・・・」

園長「独り身ならまだしも、家族を養わなければいけませんからね・・・」

ひろし「そんな矢先、同僚が自殺して・・・・ううっ」

園長「ええっ!?・・・それじゃあ昨日のアレは」

ひろし「ええ、そうです。名前は出てませんでしたが・・・服装、体型等々、俺の同僚で間違いないでしょう」

園長「野原さん、よくここまで頑張ってきましたね・・・」


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<そのころ野原家>

みさえ「しんのすけー、そろそろご飯にしようか?」

しんのすけ「え~、おらあんまお腹すいてない。さっきチョコビ2個食べたし・・・」

みさえ「な、なんですってえー・・・」

しんのすけ「しまった・・・」ダダッ

みさえ「コラー!まてー!」ドドドドッ

ピンポーン

しんのすけ「おおっ?誰か来たぞ」

みさえ「ええっ!?こんなときに・・・もぉ~。はいはーい!」

ガチャ

みさえ「あら、お隣の・・・」

おばさん「あら、みさえさん!ちょっと、ご主人家にいる!?」

みさえ「えっ、今日は仕事に・・・朝早くから会議だって出ていきましたけど」

おばさん「あらやだ!ちょっとこの記事見てよ」

みさえ「えっ、ダイエット食品の新商品ですかぁ~?」

おばさん「違うわよ!あなたのご主人の会社!大変なことになってるらしいじゃない!」

『双葉商事倒産寸前!重役失踪か?』

みさえ「・・・・い、いや・・何かの間違えでしょ・・・」

おばさん「私も最初はね、冗談かと思ったわよ!だけど間違いなくご主人の会社でしょ!?」

みさえ「じゃあ、あ、あの人、今どこに・・・」

おばさん「わからないわ!とにかく、まずは電話よ!一緒に探しましょう!」

みさえ「え、ええ・・・とりあえず上がってください」

prrrrrrrr

みさえ「・・・出ないわ・・・あなた・・・・お願い生きてて」

しんのすけ「母ちゃん・・・」

ひま「オギャーオギャー!」

おばさん「しんちゃん、ひまちゃん!大丈夫だよ!パパは帰ってくるよ」

みさえ「・・・あたし、バカだった。あの人、いつもと何か違うことはわかってたわ・・・」

みさえ「口数も少ないし、食欲だって減った。笑顔も少なくなって・・・」

みさえ「なのにあの人の苦しみに気づいてやれなかった・・・妻失格だわ・・ううっ」

おばさん「大丈夫だよ!あの人は家族を捨てるような人じゃないだろう!?それはみさえさんが一番わかってるはずだよ!」

みさえ「おばさん・・・」

みさえ「・・・このままではいられないわ!しんちゃん!四朗くんやミッチー・ヨシリン、ななこお姉さんにも電話して!」

しんのすけ「ほい!」

みさえ(社会のメンツなんてどうでもいいわ・・・あなたさえ生きてくれれば!探さなきゃ!)

<その頃喫茶店では>

園長「野原さん、よく話してくれましたね。とりあえず、私としても最大限の協力をします」

ひろし「・・・そ、そんな」

園長「ひとまず、仕事の話ですが私のツテをたどって何とかします!」

ひろし「・・・し、しかし・・・」

園長「あなたを放ってはおけません。」

ひろし「・・・・・・ううっ」

<その頃野原宅では>

ななこ「そんなことがあったなんて・・・みさえさん泣かないで・・・」

しのぶ「そうよ!ひろしさんは何としても見つけ出すわ!!」

ミッチー「野原さん、きっと生きてます!」

ヨシリン「野原さんはそんなことでへこたれる人じゃありませんよ!」

四朗「僕、車出しますよ!運転下手ですけど・・・」

しんのすけ「風間君たちもよんだゾ!」

風間「しんのすけのお父さんを絶対見つけ出すぞ!」

ネネ「しんちゃんのパパ、いい人だもん・・・」

マサオ「僕たちでできること何があるかな」

ボー「もう・・・夜だし・・・とりあえずしんちゃんの・・・そばにいること」

みさえ「み、みんな・・・・」

しんのすけ「よし、オラは父ちゃんの帰りをここで待つぞ!」

みさえ「じゃあ・・・行きましょう!しんちゃんたちはおばさんとななこさんとお留守番ね」

一同「よっしゃあ!」

みさえ「とりあえず、駅前に向かいましょう!」

みさえ「・・・あなた・・・生きてて」

<その頃春日部駅前では>

秋田のじいちゃん「ほぉ~久しぶりに春日部にきたのぉ~、今の時期なら九州の頑固じじいもおらんだろうしなぁ」

秋田のじいちゃん「どれ、ここはひとついきなり登場してみさえさんたちを脅かしてやらにゃあな!」

九州のじいちゃん「ああ、久しぶりたい。つい孫に会いたくなって来てしまったわ。」

九州のじいちゃん「この時期ならあのやかん頭もおらんことだし、ゆっーくり孫と羽が伸ばせるたい!」

<そして・・・>

秋田&熊本「・・・あっ・・・あんたは・・・」

秋田「なーんであんたがいるべ?」

熊本「それはこっちのセリフたい!ここでなんばしよっとか!」

秋田「そりゃあ~孫の顔を見にきたに決まってるじゃないの」

熊本「そげんこついって、またみさえのブラジャーば覗き見するつもりたい!」

秋田「だーれが、あんなおせんべお胸のブラジャーなんか・・・」

みさえ「お、お父さん!?」

九州&熊本「お、こりゃあ偶然!」

<一同車から降りる>

みさえ「・・・そういうことなの・・・ごめんなさい黙ってて。今日知ったことなのよ・・・」

秋田「・・・ひろし・・・そんなことがあったとはなぁ・・・」

熊本「ひろしくん・・・とにかくわしらも協力するたいね。ひろしくんも大事な息子たい!」

秋田「あんた・・・・さっきはすまねぇな。よし治さん・・・」

(※九州のじいさんの本名小山よし治です)

四朗「と、とにかくこの辺りをしらみつぶしに探しましょう」

ミッチー「携帯で連絡取れるようにみんな電源は入れておいてください」

しのぶ「了解!」

<喫茶店>

園長「さあ、そろそろお帰りになったほうがいいでしょう。家族のみんなも心配しているでしょうし。」

ひろし「・・・ホントすんません。」

園長「いいんですよ。でも、忘れないでください、あなたは一人じゃないんですから」

ひろし「ううっ・・・俺今日何回泣いてるんだろう・・・」

園長「さあ、涙を拭いて。お会計してきます」

ひろし(みんな、今から帰るぞ!)

ひろし(ちゃ、着信!?10件も!?みさえからだ・・・まさか)

ガチャン!!

みさえ「はあはあ・・・あなた!!!・・・・・」

ひろし「み、みさえ!!!!どうしてここに・・・」

みさえ「・・・もう!心配かけさせないで!!!」

ひろし「あの話・・・」

みさえ「お隣のおばさんから聞いたわ!新聞にも載ってたそうじゃない!」

ひろし「す、すまん・・・・どうしても・・・」

みさえ「いいのよ・・・あなたが生きていてくれただけで・・・・ううっ」

prrrrrrrrr

みさえ「・・・見つけたわ。喫茶店で・・・」

四朗「野原さん無事見つかったそうです!」

一同「おおっ!」

園長「あら、みさえさん。なぜここに・・・」

ひろし「実は・・・・・」

園長「そういうことでしたか。すみません。私が長らく拘束してしまったばかりに。みなさんに余計な心配をかけてしまった」

ひろし「いえ、俺、園長先生に会わなかったら・・。ありがとうございます。」

みさえ「園長先生、本当に主人を救ってくださってありがとうございました。何とお礼を言っていいか・・・」

園長「いいえ、ご主人の人柄もあってのことですよ。さあ、しんのすけくんたちも心配してることでしょうしそろそろ」

みさえ「そうね。」

ひろし「そうだな。」

<そして3人喫茶店を出る>

ひろし「!?」

四朗「野原さん!」

ミッチー&ヨシリン「生きててよかったぁ~うわああああん!」

しのぶ「もう、あまり心配かけすぎちゃだめですよ。」

よし治「ひろしくん・・・とにかく無事で何よりたい。」

銀之助「ひろし、あとでわしと少し話そう。とにかく無事でよかった。・・・ワシの息子がご迷惑かけました。」

ひろし「み、みんな!?・・・どうして!?」

みさえ「ごめんなさい、心配のあまりみんなにも助けてもらったの」

みさえ「お父さんたちは偶然の一致だけど・・・」

みさえ「さあ、我が家に帰るわよ!」

ひろし「おう!・・・みんな本当に申し訳ない。俺がふがいないばかりに。そしてありがとう!」

<そして無事帰宅>

ひろし「た、ただいま・・・」

しんのすけ「お~父ちゃん!!!」ダダダッ

ひま「たいたいたーい!」

シロ「キャン!」

ひろし「し、しんのすけ、ひまわり、シロ・・・・ううっ」

風間「元気出してください!」

マサオ「僕の宝物、これあげます!」

ボー「人生、いろいろ・・・」

ネネ「また、みんなで頑張りましょう!」

ななこ「野原さん、ホントに無事で何よりです」

おばさん「余計な心配かけるんじゃないよ・・・グスッ」

ひろし「うわあああああん!みんなああああぁ!すまん!本当にすまん!」

ひろし「・・・俺はこんなにもいろんな人たちに支えてもらえて本当にうれしい・・・俺がバカだった・・また原点に戻ってみんなとやり直す!」

ひろし「しんのすけ、ひまわりおいで」

しんのすけ「おおっ!」

ひま「たいっ!」

ギュッ

ひろし「ゴメンな・・・父ちゃんどんなことがあってもお前たちを手離さないからな」

みさえ「そうよ、あなたはみんなにとって必要なのよ。あなたがいなくなるだけでこんなにも大勢の人が悲しむの」

みさえ「仕事なんかなくたっていいわ、お金もなくていい、あなたがいればそれで」

銀之助「ひろし・・・ワシはお前みたいな息子を持てたことを誇りに思う。」

銀之助「仕事ねぇなら畑やっべよ?春日部でもできるぞ」

ひろし「無理言うなよ~、ここらじゃ無理だ」

ひろし「仕事は俺が何とかして見つけ出す。」

よし治「無理はするんじゃなかと。人間、時には休息も大事たい。しばらくは家族で旅行でもいって心の捻挫をいやすのがよか。」

ひろし「ええ、ぜひお言葉に甘えてそうします。家族を大事にします。」

ピンポーン!

ひろし「おっ?まだ誰か来たぞ」

みさえ「え、これで全員のはずよ?誰かおいてきちゃったかしら・・・」

しんのすけ「オラがでるー!」タタッ

ガチャ

?「おおっ!しんちゃん!久しぶりだね!パパいる?」

しんのすけ「おおっ!川口のヤツだぞ!とーおーちゃーん!」

ひろし「なんだよ大声出して。あっ・・・・・」

川口「どもっす!野原元係長!帰省してきたんで土産渡しにきたっすよ」

ひろし「ぎゃあああああああ!幽霊だ!お前、死んだんじゃなかったのかー!!」

川口「はぁ?何言ってるんですか係長?僕は帰省するって言ったじゃないですか」

川口「正直、会社の動向が怪しくなってきたんで、やめる決心してたんすよ」

ひろし「じゃあ、あ、あのニュースは・・・・人違い・・・」

川口「あのニュース?」

ひろし「実はカクカクしかじか」

川口「やだなぁ!僕がそんな簡単にくたばるわけないでしょうwwついに係長も首切られましたか」

ひろし「心配して損したな・・・」

<後日>

ひろし「いやぁ、あの時は大変だったな・・・」

みさえ「そうね。お父さんたちがみんなへのお礼ってお寿司食べさせてくれて・・・」

ひろし「あんなに大勢で飲んだのは久しぶりだったな」

prrrrrrrrrr

みさえ「あ、電話!」

みさえ「はい、野原ですー」

園長「あ、野原さん、双葉幼稚園の園長です」

みさえ「あ、園長先生!先日は本当にありがとうございました」

園長「いえいえ、そんなことより、ご主人いらっしゃいます!?」

みさえ「少々お待ちを」あなたー!!!

ひろし「どした、みさえ。あ、俺に電話か?」

ひろし「もしもーし・・・?」

園長「野原さん、喜んでください!いいお仕事が見つかりましたよ。」

ひろし「ほ、ほんとですか!?」

園長「ええ、わたくしの知り合いが幼稚園を経営してるんですが、そこの事務の人手が欲しいそうです。」

園長「知り合いの人格は私が保証します。お給料は・・まあ前の会社よりは少なくなると思いますがそれなりに出ますし・・・」

園長「野原さんは前の会社で営業や事務をこなしてきたでしょう?それを見込んでのことだそうです」

ひろし「ほ、本当ですか!?あ、ありがとうございます。」



終わり

ひろし.jpg


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