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ドラえもん「のび太の心の強さ」 [感動]

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未来を変える為に来てくれた猫型ロボット

金持ちの道楽息子

音痴と暴力の申し子

美肌風呂の女の子

天才のできすぎた子

そして

なんにもない、ただの僕。

いつも夢見ていた

急に魔法が使える世界
急に頭がよくなる薬
強盗が来て好きな子を守って退治

そんな都合のいい夢物語

中学の頃に、僕はスネ夫とジャイアンとテストで勝負した

誰のものでもないけど
静香ちゃんを賭けて

僕達は、小学校の頃からの暗黙の了解を破った

「総合点数の高い人が、静香ちゃんに告白できる権利を得る」

そんなどうしようもない
その時の僕には絶望なんてものじゃなかった


どうやったら毎回0点をとれるのか?
先生にそう聞かれたことがあったっけ

そんな僕が、テストの点数で勝負するなんて
あー、やっちゃったなぁ

ドラえもんに頼もうかな、、、。


のび太「ドラえもーん!!」

ドラえもん「どうしたののび太君?」

のび太「実はね、、、」

僕はその時思った

これでいいのか?って


いつも甘え
いつも頼り
いつもそれに乗じて

それで結果を得る
僕は、それで静香ちゃんに、告白して

それで、結婚できるのか?

どうする?
どうすればいい?


ドラえもん「のび太君?」

のび太「あ、、、ど、ドラえもん、、」

僕は、何もとりえのない、ただの僕だ

ドラえもん「、、、、、。」

僕は、また、ここで甘えるのか?

のび太「僕は、、」

ドラえもん「、、、、、。」

まるで、全てを知っているかのように、ドラえもんは僕の手に触れた

ドラえもん「のび太君ならできるよ」

そう、僕に言った



そうか、ドラえもんは待っていたんだ

この時を、この瞬間を

未来を知っているからじゃない
未来から来たからじゃない

僕を、ずっと

信じてくれてたんだ



僕が自分で気づき

ドラえもんを頼らずに

ただ一歩
小さな、ほんとに小さなただの一歩を

ずっと、待っていてくれたんだ。


のび太「ドラえもん、ごめんね」

ドラえもん「ううん、のび太君は自分で気づいてくれた」

泣いていた、まだ何もやっていていない
まだ、進んでもいない

これからのはずなのに
もう、一つのゴールを切ったかのように

僕を応援してくれる「一人のロボット」は
僕の為に泣いてくれた


ドラえもん「君は、ひねくれ者だ」

ドラえもん「でも真っ直ぐに育ってくれた」

のび太「ドラえもん、、、」

ドラえもん「僕の一番大切な友達だよ」

兄弟のように育ち、住食を共にして
僕を支え、守ってくれた


「今度は、僕の番だね」


僕は勉強した
まだ、まだ間に合う

小学1年生からでも
2、3、4年生でもいい

どこからでも初めてやる
もう、悲しませないように

「またか、」そんな風に思わせないように



1時間で切れた
そりゃそうだ、勉強なんて一度も
ただの一度もしたことなんてない

集中なんて、そう簡単なモノじゃない

悔しかった、でもペンは進まない
全身が嫌がっている

「やりたくない」と
僕は、また怠けるのか?

ドラえもん「休んでいいんだよ」

のび太「え?」


ドラえもん「君のやる気はすごい」

ドラえもん「いつ切れるかなんて思わない、君はそれだけ今やる気に満ちているからね」

ドラえもん「でも急にやる必要なんてない、期末テストまで1ヵ月」

ドラえもん「大丈夫、のび太君ならもう大丈夫」

いつも僕の背中を押してくれる
休んでいいって言葉でさえも

「君なら進んでいける、まだ歩けるよ」なんて
そんな風に聞こえる


授業を真面目に受けるというのは思ったより大変だった
ノート取るだけならいいんだけど
先生の言葉まで聞いてるとノートが取れない

しかも寝てしまう

これは中々難しい


遊ぶのを極端に減らした
なぜかママが先生に相談して

「のび、どうした?何かあったのか?」と優しく声をかけてくれた
嬉しかったが、少し笑ってしまった

ドラえもんは遊びは必要だといい
少しは遊んだ
ジャイアンたちとサッカーしたり
野球、プロレスもどき

日に日に思った
僕は、一人じゃない



駄目な僕のそばにいてくれて
からかい、ふざけながらも

僕を心の友と呼んでくれる

僕は、そう
安っぽくていい
何度言っても恥ずかしくて

それでも、僕らは友達なんだ


テスト前日
ドラえもんが急に変な話をしだした

ドラえもん「もしさ、のび太君の友達がイカサマで勝ったとするじゃない?」

のび太「何に?」

ドラえもん「それはなんでもいいんだけどね、それで、そのイカサマを君が知ったら」

ドラえもん「君は、どうする?」

のび太「、、、、僕は」



テスト当日
眠い

今まで類を見ない勉強をしたからだろうか
前日緊張して寝れなかったからだろうか

どちらにしろ

のび太「今日で決まるんだ」

僕は学校までの道を、軽い足取りで歩いて行った


そして順調にテストは進み
僕はまだ終わってもいないのに達成感に満ちていた

のび太「すっごい調子がいいよ!これなら負けないかもしれない!」

ジャイアン「おー?w、のび太のくせに生意気言うな!w俺なんか教科書とノートの内容大体暗記してあるぞ!」

スネ夫「ジャイアンノートなんて取ってないじゃないか」

のび太「教科書も落書きだらけだし」

ジャイアン「なんだと!それでもテストは良好だったからいいんだ!」

そんないつもの笑い話をして、スネ夫はトイレに向かった



のび太「あ、僕もトイレに行こう」

トイレで用をたす

後1科目か、がんばろう

そう意気込んでいると
個室から嗚咽が聞こえた



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のび太「どうしたの?だれかいるの?」

スネ夫「うぐ、、、のび太か、、」

のび太「スネ夫かぁ、どうしたの?」

スネ夫「なんでも、、、おえぇ、、」

トイレの隙間から流れてきた汚物



「それで、そのイカサマを君が知ったら」


スネ夫が吐いたのか、その消化途中の欠片は知っている


「君は、どうする?」


個室が開き、僕を見るスネ夫

スネ夫「なんだよ、、、、」

僕はトイレを後にして教室に戻った


、、、、暗記パン、、か


ジャイアン「スネ夫、戻ってきたか」

スネ夫「あ、いや、えっとあれは」

のび太「スネ夫こっちきてよ」

スネ夫「違う、いや、そうじゃなくて」

のび太「さっき出たこの問題がどうしても解けなくてさ、スネ夫わかる?」


いいじゃないか、ばれなければイカサマじゃない、
勉強頑張って同じ好きな人を追いかける友達しか、僕は見ていない


テストが終わり

結果が出た。

僕は2位だった

スネ夫は、静香ちゃんに告白して、振られた

今の僕の心境は
喜んでいる
友達が振られたのに

僕は、喜んでいる



2週間後
僕の番が回ってきた

気持ちの整理が完璧かと言われたら怪しいけど
迷いはない

のび太「静香ちゃん!」

まずい、いきなり裏返っちゃった、落ち着け、落ち着くんだ

静香「どうしたの?、のび太さん」

きっとわかっているだろう、校舎裏に呼び出されたんだから

のび太「あの、僕は、し、静香ちゃんがっ、、、!」

大丈夫かな?変な顔してないかな?
僕の思い伝わるかな、一生懸命告白するから

大好きだって想い、伝わってほしい

のび太「しゅきです!僕と付き合ってください!あ、待って!もう一回!」

やっちゃった!!!!
もう勘弁して!!!!

僕達は付き合うことになった
夢のような

でも、そう
こんな未来にならなくてもわかっていたこと

僕達3人の関係はきっと崩れる

どんなに繕っても

なにかぎこちない
戻れない

僕達は、一歩ずつ
嫌な未来でも、好きな未来でも
先に進んでしまう



当然静香ちゃんに振られたくなんてなかった
だから、静香ちゃんの隣にいられるように一生懸命勉強した

高校に進学したころ
周りの見る目が変わるのがわかった
やってよかったと思った



自慢かもしれないが
弓道部での全国大会に行った頃から
女の子たちに告白されるようになった

でも、僕はなぜか揺れなかった

どうしようもなく、静香ちゃんが好きだった



そんなある日出木杉君が家に来た

「なぜ君は僕の前に立つ!」

いきなりの事でなんのことかわからなかった

「え?!あれ?出木杉君?!」

「のび太君!君は自分のしたことが分かっているのか?」

正直全然わからない

「僕は君よりも遥かに物を知っている、なのに、こんな事で君に負けてしまうのか、、?」

出木杉君が僕に負けてる?!

「出木杉君の何が僕に負けてるの?」



どうしよう
僕がかっている事なんて射撃ぐらいじゃないか

なにをそんなに怒ってるんだろう

のび太「僕が出木杉君に勝てるものなんて射撃ぐらいだよw」

出木杉「うるさい!!僕は、何も欲を出さなかった!今回の一つぐらいくれてもいいじゃないか!」

のび太「、、、、。」

出木杉「静香ちゃんは、、、僕は、、、ずっと、、、」

静香ちゃん?欲?
静香ちゃんは誰にも渡さない

それに、

「、、、、、出木杉君、静香ちゃんは、モノじゃないよ?」


出木杉「!!」

のび太「くれるって、誰からもらうの?」

僕は絶対あげないよ!

出木杉「違うんだ、、、今のは、、」

のび太「僕は好きな子がいるけど、見てて思うよ、、、、」

のび太「伝えたら、触ったらきっといなくなっちゃう、でもそのぎりぎりの目の前までいかないと」

のび太「それがなんなのか、相手にはわからないよ」

だから、僕は伝えたんだ


消えちゃう前に、伝わるように


出木杉君が家に帰り、僕は横になった

僕が変わって、みんな変わって

僕達は、もうあの時みたいに遊べないのかな?

小学生の
あの事みたいに

「それでも、僕は変わることを選んだんだ」

僕は眠りについた



次の日の放課後

僕は不良に絡まれた

ジャイアンとスネ夫が助けに来てくれた

人を傷つけるのは好きじゃない
僕が殴られるだけならまだ良い


でも


のび太「僕の友達に、今何をした?」

戻れなくても、変わってしまっても

それが大切なものに変わりはないんだ


話はとても飛躍して結婚前夜

ジャイアンとの会話を思い出していた

のび太「後悔してるんでしょ?」

ジャイアン「、、、、あぁ」

のび太「でも、大ジョブだよ」

ジャイアン「え?」

のび太「まだ間に合うから」


あれはジャイアンに言った言葉なのか
それとも、、、、

自分自身に言った言葉なのか

間に合ったのかな?
僕は、変われたのかな?

ドラえもん

僕は、

僕には、なにがある?



ドラえもん「今、だよ」

のび太「ど、ドラえもん!?」



ドラえもん「やーのび太君」

のび太「ドラえもん、寝たんじゃなかったの?」

ドラえもん「のび太君の事だから、寝れないんじゃないかと思って」

のび太「はは、なんでもお見通しだね」

のび太「ねぇドラえもん」

ドラえもん「なんだいのび太君」


のび太「僕は、あの日から強くなれたかな?」

ドラえもん「うん、君は強くなったよ」

のび太「ドラえもんのおかげだね」

ドラえもん「違うよのび太君」

のび太「え?」



ドラえもん「道具に頼って、怠けてばかりの君はあの日からいなくなった」

ドラえもん「自分から解決策を探して、迷って失敗もして、でも諦めない」

ドラえもん「君は本当に強くなったよのび太君」

のび太「、、、、ドラえもん、、、」

ドラえもん「今の君にはたくさんのモノがある」

友達、知識、

強さ、優しさ、

そしてお嫁さん

ドラえもん「よく頑張ったね」

のび太「ドラえもん、、、うわーん!」


ドラえもん「いつになっても子供で、でも、あの時とは全く違う」

ドラえもん「頼るだけじゃない、苦しくても耐えて」

ドラえもん「それを乗り越えて先に進むことを覚えて」

ドラえもん「意志薄弱な君はもういない」

ドラえもん「劣等も知ってるから、君は優越に浸らずに進めたんだ」



結婚式

スピーチでかっこいいことなんて言えない
上ずって、噛んで

やっぱりかっこ悪いね、

それでも、人生で一番
胸を張って言えた

君を絶対に幸せにするから!

てね。

のび太.jpg


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