SSブログ

猫的家族 [感動]







一戸建ての私の家には、
幼少期より犬と猫がいました。

他にも、庭にいついた大きな金色のクモを
追い払うことなく、毎朝様子を見に行ったり、

すずめが来たらお米をまいたりと

何かと動物の好きな家族でした。


中でも思い出に残っている猫に

「ソラとチョコ」というメス猫の姉妹がいました。


ソラとチョコは育児放棄した母猫が姿を消し、
私の家の庭に迷いこんできました。
子猫のか弱い声をたどっていくと、
後のソラとチョコをあわせた合計4匹の子猫が寄り集まっていました。

私の家の横には叔母が家族と住んでおり、
叔母はソラとチョコ以外の2匹を引き取り、
サムとトムと名づけました。


4匹はそれぞれ、すくすくと、
そして丸々と育っていきました。


隣の叔母の家からは、屋根を伝って私の家まで遊びにくることは猫にとっては容易く、
4匹が揃うことも珍しくありませんでした。

春には芽吹く新芽にじゃれて、
夏は松の木の下で避暑、
秋はもみじの葉を追いかけ、
雪が積もると白いキャンパスにそれぞれ思い思いの桜の花を散らせました。


ある日、学校から帰宅すると、母が泣きながら私を迎えました。

チョコが車に轢かれたのです。


庭から塀をつたい、道路に出たチョコは
家の横に止まっていた軽自動車の下で寝ていた様子でした。

軽自動車の持ち主は、私の家の修繕で見積もりに来ていた
父の知り合いの大工さんが持ち主でした。

普通、猫は俊敏で、少しの変化でその場所から逃げるのですが、
元来運転の荒いその大工さんは、
急発進をしてしまい、チョコは逃げる隙がありませんでした。

ドン
という音がしたから、
とその大工さんは顔から血を流しているチョコを抱えて私の家に入ってきたそうです。


たまたま休みだった父は血相を変え、
近くの動物病院までチョコを運びました。

チョコは顔面を強打しており、
あごと頬の骨を固定するため
ボルトで痛々しく固定されていました。








その姿を見た私は涙が止まらなくなり、
抱きかかえようとそばに寄ったのですが、おびえきったチョコは
部屋の隅で小さくなり、私が少し動くと少し後ずさりする、
といった感じで触らせようとしませんでした。

ご飯の時間、
噛むことができないので、
針を抜いた注射器に獣医から購入したペースト状のえさと薬をつめ、
吐き出しそうになるチョコに我慢をさせ、注入しました。

しかし明らかに食欲はなく、
チョコは、見る見るうちにやせ細りました。

数日後、チョコの目はだんだんとうつろになり、
一日の大半を寝て過ごすようになりました。

一緒に暮らしているソラは、
時折心配そうにチョコの側をぐるぐると歩き回りました。


そして、事故から1週間後、チョコは完全に動かなくなりました。

母が様子に気づき、学校から帰った私がチョコに近づくとそのときはまだ呼吸があり、
おなかをなでるとかすかにニャーと口を動かしました。

そして父の帰りを待っていたかのように、
父が帰宅し、「チョコちゃん」と呼びかけたすぐ後、
息をしなくなりました。


母が小さな箱毛布を敷き、に冷たくなったチョコを寝かせ、
庭に咲く花を乗せました。


その夜は、家族どのものも泣けて仕方がありませんでした。


翌日、チョコは引き取られて行きました。

私はその様子を見ることはできなかったのですが、
朝からずっと、庭先でソラと横の家からサムとトムとの3匹が
肩を寄せ合っていたそうです。


それを最後に3匹が庭でじゃれ合うことはなくなりました。
ソラはずっと一匹で、
庭に出ることも少なくなり、キッチンの椅子の上で寝ることを好みました。


叔母の家のサムは、チョコの死後数ヶ月たったとき、
謎の急死をしました。

その後、トムとソラはそれぞれ長く生きましたが、
一度も顔を合わすことがありませんでした。


1枚だけ、子猫の頃に4匹揃った写真があります。
私は時折それを出してきて、
思い出に浸ります。


かわいがっているペットが死ぬと、
その死に直面するのが辛すぎるから、
と二度と飼うことをあきらめる人が多くありませんが、

私には辛さよりも一緒に過ごす幸せが勝ってしまいます。

そして、チョコ、ソラ、サム、トムの移った写真を
右に新しい子猫、左にダックスフンドを従え、
懐かしむのでした。


ネコ.jpg






nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

女の友情優しい時間 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。