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Mくんのこと [感動]

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男の子は女の子よりも子供っぽいところがある。
これはいつの時代も同じなのでしょうか。

「好きな女の子のことほどいじめたくなるものだ」とは良く聞きますが、当時はただのいじめっ子だとばかり思っていた相手が、実は自分のことを好きだったという暴露話を同窓会で打ち明けられるなんて話、ありがちだったりします。


どうしても小学生の頃は女の子の方が体の発育もよく、精神的にも大人だという傾向がありますが、そんな風に先に進んでしまいがちな女の子を繋ぎ止める為に、男の子たちは幼いながらも努力しているのかもしれません。
それが相手にちゃんと伝わるかどうかはまた別の話ではありますが、甘酸っぱい感情がその時に男の子には芽生えているのでしょう。


小さい頃は両親の仕事の関係で引越しが多かったMくん。
三年生の頃にMくんは私の小学校に転校してきました。


都会的な雰囲気を持つその男の子は、どこかツンとしていて口数も少なく、幼いながらに近寄り難い空気を醸し出していました。
先生に連れられてクラスに入ってきたときの彼の表情はとても硬く、笑顔が想像できないくらい影を帯びた少年でした。
私の席から少し離れた席に着いたMくんのことを、後ろからなんとなく観察するように眺めるのが、その日から私の無意識の日課のようなものになりました。
最初の頃は、男女問わず色々なクラスメイトがMくんの周りに集まりました。
どこから来たのか、両親の仕事はなんなのか、家はどのあたりなのか。

たくさんの質問を浴びせられていたMくん。
それなりに返答をしていたようですが、必要以上のことを話そうとはしないMくん。
休み時間に遊びに誘っても応じることはなく、いつもひとりで過ごしているMくん。
自然と「付き合いにくいやつだ」というイメージが定着してしまい、授業の移動時間も誰も行動を共にしようとはしなくなってしまっていきました。


ある日のことです。
下校途中に川を眺めているMくんの姿をみかけました。

前日の雨のせいで流れが速くなっている川に、たくさんのごみがひっかかっています。
そんな様子をただぼんやりと眺めているMくん。
なんとなく近付いて話しかけてみました。

「川汚いね」と。
すると、何を思ったか、Mくんがとつぜんその川にザブザブと入っていってしまったのです。


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あっけにとられる私を尻目に、Mくんは水草に引っかかっているお菓子の袋や空き缶を集め始めました。

集めたごみを抱えて上がってきたMくん。
それらのごみを私に押し付け、こう言いました。
「何もしなければ何も変わらない」。
なんだか意味が分からなかったけれど、とても恥ずかしいような気持ちになりました。
言葉も出ずにただ口をぽかーんとあけている私を置いて、Mくんはダラダラの体で去っていきました。


その日を境に、Mくんは私を時々叩くようになりました。
すれ違いざまに頭をぽかりとやられたり、背中をどん!と押されたり。
他の女の子にはそんなことをしている様子はありませんでしたし、いつも基本一人で行動しているMくん。

あの「川の一件」以降、何が気に触ったのか、私はMくんに嫌われてしまったのだと思うようになりました。
ごみを拾おうともせずに「汚い」と言った私の事が許せなかったのでしょうか。
誰とも群れることをしないMくんですので、彼の気持ちなんかまったく分かりません。
ただ、私の何かが気に入らないんだと思うと、何とも言えず寂しい気持ちになりました。


そんな日々を過ごし、Mくんはまた他所へ引っ越していくことになりました。
こんなことを繰り返しているMくんだから、必要以上に誰かと関わらないようにしていたのかもしれません。
まだ小学生なのにそのように悟ってしまっていたのだとしたら、なんだかとても切ないように思います。

最後の日、クラスでお別れ会を催しましたが、やっぱりMくんは泣きもしなければ笑いもしませんでした。
ただ淡々と時間が過ぎていくような感じでした。
Mくんが居なくなってからのクラスには何の変化もないように思えてしまい、それがなんとなくやるせないように思いました。


それから月日は流れ、私もすっかり社会人になりました。
恋愛も人並みに経験し、仕事に追われる日々の中で懐かしい面々との再会は心弾むものがありました。

面影の残るたくさんの顔。
その中に、当たり前ですがMくんはいません。
当然だな、と思いながらも楽しい時間を過ごしていました。
すると、ある人が言ったのです。「Mくんは、私たちの学校から去って数年後に亡くなってしまった」のだと。

その人の話では、どうもMくんのお母さんと自分の母親が友人同士だったらしく、生まれつき病気を抱えているのだと打ち明けてくれたのだそうです。
当時、Mくんは敢えて友人を作らないようにしていたのだそうです。
きっと自分はみんなより早くに死んでしまうから、仲良くなったら皆が悲しむから、と言って、家でよく泣いていたそうです。


そんなことを聞いて、私を含めた同級生たちは皆、Mくんを誤解してしまっていたことに今更ながら後悔しました。

あの時、流れる川を見ながらMくんは一体何を感じていたのでしょうか。
そして、大人になった今だからわかること。
Mくんがおそらく私に抱いていていたであろう恋心…。

それすらも病気を理由に蓋をしてしまっていたのでしょうか。
笑わないMくん。
泣かないMくん。
誰もMくんの本当の顔を知ることが出来なかった中、唯一私は少しだけMくんの素直な気持ちに触れることが出来ていたのかもしれません。


川.jpg


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タグ:学校 恋愛 感動
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