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雪ころがしの雪だるま [感動]

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これは私の友達Rちゃんが経験したと言う話です。

Rちゃんは小さい頃から体が弱く、すぐに高熱を出したりしていました。

遠足や運動会はほとんど見学。
まり入れなら大丈夫だろうと思って参加すると、運動会が終わる頃には顔色が真っ青になって保健室へ・・というようなことばかりだったそうです。
生まれてすぐに大手術を経験していることもあり、Rちゃんのご両親はまるで真綿にくるむようにしてRちゃんを大事に大事に育ててくれていた様子。
それがRちゃんには時にとても重苦しく、そして煩わしく思えてならなかったそうです。

私は小さい頃から風邪を引くのでさえ年に数回程度という「健康優良児」でしたので、ちょっぴりRちゃんが羨ましくも思えました。


そんなある冬のこと。
Rちゃんは急に高熱を出し、何日も何日も熱が下がらないという日々を送っていました。
数日の入院にてようやく落ち着き、無事退院できたものの、自宅療養を余儀なくされてしまったのです。

その年は珍しくRちゃんが住んでいる町にとって大雪の年で、外は一面美しい雪景色が広がりました。
あんなにどこまでも広がる銀世界を見たのは初めてだったと、Rちゃんは嬉しそうに教えてくれました。

私は東北出身なので、雪を見るのも嫌なくらいなのですが…。
とにかく、そんな雪がとても魅力的に見えたのだそうです。


Rちゃんはご両親にお願いしました。
一緒に雪だるまを作りたい、と。

小さい頃に大好きだった雪だるまが出てくる絵本。
あの絵本に出てくるような、大きくて優しそうな雪だるまを作りたい。
そうおねがいしたRちゃん。

ですが、当然ながらご両親がそれを許してくれるはずがありません。

何日も何日も高熱で意識が混濁していた娘を、こんな雪の中に出すでしょうか。
それが意地悪ではないことは、大人になった今なら分かりますが、当時はまだまだ幼かったRちゃん。
お父さんとお母さんは自分がまた熱を出すと面倒だから許してくれないんだ。

そんな風に思ってしまっていたんだそうです。

ご両親の気持ちも、Rちゃんの気持ちもどちらも分かります。
お互いの気持ちがすれ違うということは、背景にどんな理由があったとしても切ないものです。

まして愛してやまない愛娘の些細な願いもかなえてあげられないとなると、ご両親はきっと身を裂かれるような気持ちにもなったでしょう。

ですが、Rちゃんはその時、自分の弱い体は両親のせいだと腹を立て、しばらく口を利かなくなってしまったのだそうです。


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話しかけられても完全無視。
それでもご両親は怒ることもなく、ただただ気まずい空気の中で家族は過ごしたそうです。
いつまでも腹の虫が収まらないRちゃんでしたが、ある日妙なことに気が付きました。
Rちゃんの部屋の窓から見える花壇のところに、小さな雪のボールがころがっているのです。

その時のことを、Rちゃんは、「フンころがしみたいに、雪ころがしっていう虫がいるのかと思った」と笑いながら教えてくれました。
雪ころがしという虫を思い浮かべるあたりがRちゃんらしいところです。

その雪のボールは毎日そこにあり、なんとなく少しずつ大きくなっているようでした。

雪ころがしがころがしているんだなぁと思うとなんとなく面白くて、Rちゃんはそのボールを毎日観察するようになりました。


数日間変化が無いときもあれば、急に大きくなったようなときも。
そして気が付くと、そのボールはとても「雪ころがし」という虫が転がせるような大きさではなくなっていたのです。

それはまだまだ大きくなっていきました。

そして、ある日その大きなボールの隣に、また小さな雪のボールが生まれていたのです。
その小さなボールも少しずつ大きくなっていきました。

そしてとうとうある日、それはふたつ重なり、大きな大きな雪だるまの形になりました。

その翌日には片方に目が入り、もう片方の目も入りました。
鼻の部分にはオレンジ色のにんじんが刺さり、微笑む形に口も出来上がりました。

最後にバケツの帽子をかぶったその雪だるまは、昔読んだ絵本の雪だるまにそっくりだったそうです。


Rちゃんは、途中からすでに気が付いていました。

その雪だるまは、毎日遅くに仕事から帰ってきたお父さんが少しずつ少しずつ作ってくれているのだということに。
自分が出来ない変わりに、毎日疲れて帰ってきているはずなのに、夜中に一生懸命に雪だまを転がしていることに。


出来上がった雪だるまは、緑色のマフラーを巻いていました。
それはRちゃんが使わなくなったマフラーです。
それを少し編み足して雪だるまに巻いてくれたのはお母さんでしょう。
両親の切ない気持ちを思うと、なんだか聞いていた私まで胸がきゅんとなってしまいました。


それから数年後、Rちゃんはもうあの時のように体調を崩すこともなくなり、すっかり元気に成長しました。
毎年ご両親とその時の雪だるまの話をしているそうです。

「雪ころがし」という虫の話は、もう欠かせない笑い話になっているとのこと。
いつか私もRちゃんと一緒に「雪ころがし」になって大きな大きな雪だるまをつくりたいなぁと思っています。


雪だるま.jpg


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