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みーちゃんと秘密基地 [感動]

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私が小学生の頃の話です。

当時、私を含む4人の仲良しグループで「秘密基地」を作りました。
使われなくなった物置小屋を発見し、そこを勝手に自分たちだけの秘密の空間にしたのです。
狭いその物置小屋には使い古されたビニールシートや古新聞が積み重ねてあり、私は自宅から内緒で毛布を持ち出して上に重ねました。

子供ながらに工夫をし、それは立派な「簡易ソファ」として使われることになりました。

私たちはその秘密基地に、漫画本やお菓子、お手紙セットなどを持ち込んで、学校から帰ると決まってそこに集まっていました。
なんとなくこの空間が私たちだけの特別な空間のような気がして、いるだけで気分が高揚したものです。
この場所のことはもちろん私たち4人だけの秘密でした。


そんなある日のことです。
他の皆がクラブ活動で遅れるということだったので、私だけが一足先に秘密基地へ向かいました。
ひとりで過ごすことなど初めてのことでしたので、なんとく緊張した面持ちで扉を開きました。
するとそこに、うごめく小さなモノを発見したのです。
一瞬驚きましたが、すぐにそれが「子猫」であることがわかりました。

私は興奮気味にその子猫に近付きました。
生後2ヶ月といったところでしょうか。

まだ産毛のような頼りない毛並みとやせ細った体。

弱々しい泣き声が急に私を不安にさせました。

とにかく早く皆を呼びにいかなくては。
そう思って飛び出そうとしたその時、扉を開けて入ってきた影とぶつかりました。
驚いてその相手の顔を見ると、それはクラスメイトのKさんだったのです。

私は「まずい人に見つかった」と思いました。

クラスで学級委員長を務めるKさんは、真面目で頑固、すぐに先生に告げ口をするということで皆から煙たがれている存在だったのです。

しどろもどろに口を開きかけた私を制し、Kさんはずんずん中に入っていきます。
そして子猫に近付くと、ポケットから子猫用の餌を取り出し、手で少しずつ子猫に与え始めたのです。


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呆然とその様子を見ている私。

すると、他のメンバーたちがやってきました。
Kさんの姿を認めると全員が「あっ!」という顔をしましたが、その足元で必死に餌を食べている子猫を発見し、パッと表情が明るくなりました。
どうやら、その子猫を発見し、ここまで連れてきたのはKさんのようでした。
以前から私たちがここに出入りしている姿を目撃していたKさん。
子猫をかくまうのに最適な場所だと選んだのだということでした。


「親に言ったら絶対保健所に連れて行かれてしまうから、ここで飼おうと思う。」と、とんでもないことを口にするではありませんか。
そんなことが子供だけで出来るわけがない。
意義を唱えようとした私でしたが、私以外の全員がみんな「そうしようそうしよう」とその気になってしまったのです。
結局私の不安や疑問が他のメンバーに伝わることはなく、そのまま秘密基地で子猫をかくまうことになったのでした。


餌は飼い猫が居るKさんが毎回持ってきてくれました。
私たちは毎日学校から急いで帰ってきては秘密基地へ向かいました。
最初はしぶっていた私自身、子猫に会うのが楽しみになってしまったのです。

私たちはその子に「みーちゃん」と名前を付けました。

いつの間にかKさんが私たちと一緒にいることに違和感を感じなくなり、学校でも自然と一緒に行動するようになっていきました。
そんな私達の変化に、周りの皆は首をひねっているようでした。
それがまた楽しくもあったのです。

みーちゃんを秘密基地で飼うようになって2週間ほど経った頃でしょうか。
みーちゃんがしょっちゅうクシャミをするようになったのです。

気付くと目の周りに大量の目ヤニがでるようになり、両目が開けなくなってしまいました。
背中の毛が抜けてきて、餌もあまり口にしないようになってしまいました。

おそらく、何かの病気にかかってしまったのでしょう。
私たちはどうしたらいいのか分からなくなってしまいました。
それでも親に打ち明けることが出来ず、少しずつ弱っていくみーちゃんを毎日眺めていることしか出来ませんでした。


そしてある日。
みーちゃんは秘密基地のソファの上で冷たくなってしまっていました。
あんなに柔らかかった体が、まるで石の様に硬くなってしまっています。
おそらく、私にとっては初めて見る「死」でした。


私もKさんも、グループの全員が大きな声を出して泣きました。
そして、自分たちの非力さを思い知ったのです。
大きな後悔の波が押し寄せてくるようでした。


私たちはその後、小さなみーちゃんの体を綺麗なお菓子の缶に横たえ、周りをたくさんの花で囲みました。
それを秘密基地の隣に埋め、それ以後、秘密基地を利用することはありませんでした。
秘密基地の隣に眠る小さなみーちゃんと共に、私たちはそれらの「秘密」に蓋をしたのでした。


それから私たちは大人になり、今でもKさんを含む全員と連絡を取り合っています。
あの時のみーちゃんの切ない思い出は、これからも私達の胸に残っていることでしょう。


子猫.jpg


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