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しんちゃんと風間くんの友情。 [感動]

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風間「よ、ようしんのすけ…」

しんのすけ「風間くん…久しぶりだね…」

風間「うん…」

しんのすけ「なんか…変わったね…はは…」

風間「お前こそ…」

しんのすけ「風間くんには負けるゾ…」

あい「しん様ー早くいきましょう」

風間「え…?」

しんのすけ「あ…え、えっと…」

あい「あら?こちらの方は?」

風間「…………」

しんのすけ「え、知ってるだろ?風間くんだよ」

あい「風間…?」

風間「あ、えっと、久しぶり…」

あい「え?はい…しん様、また部活の方?」

しんのすけ「ま、まだ気づかないのか?幼稚園のとき一緒だった風間くんだよ」

あい「……あーっ!そうですわ!お久しぶりですわね!」

風間「はは…」

あい「髪が伸びましたわね。イメチェンですか?」

風間「……」

しんのすけ「おい…」

あい「少しお太りになられたようですし…全然気づきませんでしたわ」

しんのすけ「あい、ちょっと風間くんと二人で話したいから…」

風間(呼び捨てかよ…)

あい「はーい。はやく終わらせてくださいねしん様」

しんのすけ「なんか、うるさくてごめんね」

風間「あ、いや別に…」

しんのすけ「…えっと、元気?」

風間「…まぁ…」

しんのすけ「この辺よく来るの?」

風間「たまに…」

しんのすけ「久しぶりに風間くんの顔が見れて嬉しいよ」

風間(こっちは嬉しくねーよ…)

しんのすけ「そっちの学校のほうはどう?やっぱ勉強ばかり?」

風間「まぁ…」

しんのすけ「そっかぁ。すごいな風間くんは。名門中学なんだろ?」

風間「まぁな…」

しんのすけ「オラは全然…」

あい「……」クイクイ

しんのすけ「なに?」

あい「早くしないと映画の時間が…」コソコソ

風間(聞こえてんだよ馬鹿)

しんのすけ「あー…ごめんね。今ちょっと出かける途中なんだ。今度また話そうよ」

風間「あ、うん…」

あい「しん様ー!」

しんのすけ「わかったって!じゃあね風間くん!」

風間「あ、じゃあな…」

風間(…くそっ…肩組んでんじゃねぇよ…)



風間「…ただいま」ボソッ

風間ママ「あ…お帰りなさいトオルちゃん」

風間「…………」スタスタ

風間ママ「…………」

風間「…………」ガチャ

バタン

風間くんの部屋

風間(…くそ…くそ…)

風間(たまに外に出てみればこれだ…会いたくもない奴に会っちまった…)

風間(なんでしんのすけなんかとあいちゃんが一緒に出掛けてんだよ…あいつら付き合ってんのかよ…)

風間(おねいさんおねいさん言っときながらあの野郎が…昔は僕の方が勉強出来て女の子にモテてたんだぞ…)

風間(…昔は…)

風間(…………)

風間「…………」カタカタカタ

風間「……うわっ…ブラクラかよ…死ねカス」カタカタカタ

風間「…………」カタカタカタ

コンコン

風間「…………」

風間ママ「…トオルちゃん…明日は学校いかない?」

風間「…………」

風間ママ「ママ待ってるからね…ずっと……ご飯置いとくわね…」

風間「…………」

風間「…………」カタカタカタ



数日後

風間「ハァハァ…もえP…!」

風間「……ふぅ…」

風間「…………」

風間(……くそ…しんのすけはあいちゃんと色々やってんのかな…)

風間(なんであいつが…僕の方が優秀だったはずなのに…)

prrrrr

風間(…で、電話…?母さんか…?)

風間(……え、しんのすけ!?)

風間(どうしよう…出たほうがいいのかな…なんで僕の携帯の番号知ってるんだよ…?)

風間(……あいつは僕が学校行ってないこと知らないし…電話に出ないと不自然だよな…)ピッ

風間「…もしもし?」

しんのすけ『お、風間くん?』

風間「お前…なんで番号…」

しんのすけ『風間くんちに電話したら風間くんのお母さんが教えてくれたんだ』

風間(ババア…!)

風間「で…なにか用か?」

しんのすけ『この前風間くんに会ったら懐かしくなっちゃってさ。良かったらまた5人で集まって遊びにいかない?』

風間「え…5人って…」

しんのすけ『もちろんオラと風間くんとまさおくんとネネちゃんとボーちゃんだよ』

風間「で、でも…みんなバラバラの中学校だし…」

しんのすけ『大丈夫大丈夫。まさおくんとネネちゃんの学校は隣だしボーちゃんにはオラが連絡するから』

風間「…………」

しんのすけ『どうかな?』

風間「…………」

風間(…みんなと会うのか……)

風間(みんなしんのすけみたいになってたらどうしよう…)

風間(僕だけこんなだったら…馬鹿にされんのかな…気持ち悪がられたり…)

風間(い、いや…まさおくんとかはどうせまたいじめられて僕みたいになってるに違いないさ…)

風間(ボーちゃんなんか同級生と意志疎通すら出来なさそうだし…)

風間(ぼ、僕が最底辺なわけがない…みんな僕より頭悪かったし…)

しんのすけ『……風間くん?』

風間「あ……い、いく…」

しんのすけ『そっか!じゃあ次の日曜なんかどうかな!?』

風間「あ、ああ」

風間(あれ…今日は何曜日だったっけ…)

しんのすけ『場所は~~でいい?』

風間「わかった」

しんのすけ『じゃあまた日曜にね!』

プツッ

風間「……」

風間「髪…切らなきゃな…」

風間「…母さん」

風間ママ「…え?トオルちゃん?」

風間「あの…髪切るから…金…」

風間ママ「あ、はいはい!今あげるからね!」

風間(別に髪切るからって学校にいく訳じゃねぇのに…)

風間ママ「はい!どうぞ!」

風間「うん…」

風間ママ「どこか出掛けるの?送ってあげましょうか!?」

風間(ほっとけよババア…)

美容師「いらっしゃいませー」

風間「……あ……」ペコ

美容師「今日はどのように致しましょうか?」

風間(今日も糞もねぇよ…初めてなんだから…)

風間「あ…えっと…髪を…」

美容師「カラーリングですか?」

風間「あ、いや…長くなって…か、髪が…」

美容師「カットでしょうか?」

風間「あ、はい…」

美容師「かしこまりました」

美容師「今日はどのくらいカットしますか?」

風間「あ…な、長いので…」

美容師「長めに残しますか?」

風間「あ、いえ…長いので…短く…」

美容師「短めですね?わかりました」

風間「あ…短くというか…その、ふ、普通で…お願いします…」

美容師「普通ですね?ではどのような髪型がよろしいでしょうか?」

風間「あ…えっと…」

風間(くそ…わかれよ…)

美容師「よければこの雑誌からお選びになりますか?」バサッ

風間(うわ…こんなにたくさん本持ってこられても困るだろうが!)

風間「え、えっと…」

美容師「ごゆっくりお選びください」

風間(そう言われても…)

風間「…………」ペラッペラッ

美容師「…………」

風間「…………」ペラッペラッ

美容師「…………」

風間「……そ、その…人気の髪型とか…ありますか…?」

美容師「はい。中高生の方に人気なのはこれとこれですね」

風間「あ、じゃあこっちで…」

美容師「かしこまりました」



美容師「今おいくつですか?」チョキチョキ

風間「あ、15歳です…」

美容師「若いですね。でしたら中学生ですよね」チョキチョキ

風間「…はい…」

美容師「中学校楽しいでしょ?僕も一番楽しかったのが中学校だったなぁ」チョキチョキ

風間「…………」

美容師「でも勉強とかは嫌なんですよねぇ。今はやっておけば良かったって後悔するんですけど」チョキチョキ

風間「…………」

風間「はぁ…ただいま…」

風間ママ「あらトオルちゃんおかえり!綺麗になったわねぇ!」

風間(疲れた…もう外に出たくない…)

風間(ババアうっさいからさっさと部屋いこ…)


風間「はぁ…もう2度とあんなとこ行くか…くそが…」ブツブツ

風間「…髪はいいけど…着ていく服はどうしようかな…部屋着しか持ってないし…」

風間「…もえPティーシャツくらいしか綺麗なのないや…」

風間「……制服でいいか…一応名門中学の制服だし馬鹿にはされないだろ…」



日曜日

風間(……よし…どこもおかしくないよな…)

風間(歯もみがいたし…風呂にも入ったし…)

風間(……う…なんか制服がキツくなったな…)

風間(ま、ずっと部屋にこもってパソコンばっかやってちゃ太りもするか…)

「……あのー?」

風間(……僕?…いや、間違いだったら恥ずかしいし気付かないふりしてよう…)

「…あの、風間くん?」

風間「あ、え?」

まさお「やっぱり風間くんだ!」

ネネ「ねー?やっぱりそうだったでしょー?」

風間「まさおくん…ネネちゃん…」

まさお「なんだか昔と雰囲気違ったからびっくりしたよ」

風間「あ…ま、まさおくんこそ…髪のびたね…」

ネネ「ねっ?泣き虫おにぎりのくせに生意気よねぇー?」

まさお「なんだよぉ。昔のあだ名はよしてくれよ」

ネネ「まさおったら昔はあーんなに泣きまくってたくせに最近妙にかっこつけてんのよね」

まさお「ネネだってここのところお洒落ばっかしてるじゃないか。しかも僕のお金で」

ネネ「あーら。男だったら女の子1人養える甲斐性持ちなさいよ」

まさお「いつもこれだよ。風間くん、なんとか言ってくれよ」

風間「……はは………」

風間「えっと…ま、まさおくんとネネちゃんは…付き合ってたりするの…?」

ネネ「えー…」

まさお「む、なんだよその反応は」

ネネ「なんか付き合ってるとか言われてみるとしっくりこないのよね」

まさお「いつも僕をあちこちつれ回してるくせによく言うよ…」

ネネ「だってまさおとあたしじゃどうも釣り合わないでしょ?」

まさお「また偉そうに…ネネから告白してきたんじゃないか」

ネネ「んなっ…ちょっ!こらおにぎり!余計なこと言うんじゃないわよ!」

まさお「うわぁ!ネネがうさぎ出したぁ!」

風間「ま、まぁまぁネネちゃん…」

風間(のろけかよこいつら…くそ…ふざけんな…)

風間「そ、それにしてもボーちゃんとしんのすけ遅いね…」

まさお「しんちゃんはともかくボーちゃんは来られるかどうかわかんないんだよねぇ…」

風間「え…?ど、どういうこと…?」

ネネ「知らないの風間くん?ボーちゃん、今は学者さんなのよ?」

風間「…………は?」

まさお「考古学…だっけ?難しいことはよくわかんないんだけど、本とかも出してるみたいだよ」

ネネ「すごいわよねボーちゃん。中学生で学者さんだなんて…玉の輿候補じゃない!」

まさお「ネネ…ちょっとまってよ」

風間(ボーちゃんが……学者……?)

「みんな、おまたせ」

まさお「あ、ボーちゃん!」

ボー「まさおくん。ネネちゃん。風間くん」

ネネ「きてくれたのねボーちゃん!」

風間「あ…ひ、久しぶりだねボーちゃん…」

風間(は?これがあのボーちゃん…?普通に好青年って感じじゃないか…背は高いし…鼻水はどこに仕舞ったんだよ…)

まさお「突然大丈夫だった?お仕事は?」

ボー「大丈夫。普段は僕もまだ学生だから」

ネネ「学校に通いながら研究とかもしてるのね」

ボー「うん。僕もまだまだ勉強しないと立派な一人前にはなれないから」

風間(……なんだよ…勝ち組じゃないか…ボーちゃん…)



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10分後

しんのすけ「やぁやぁ皆さん。集まってますかな」

まさお「あ、しんちゃん!」

ネネ「遅いわよしんちゃん!遅刻癖は治ってないのね!」

しんのすけ「アイムソーリーヒゲソーリー」

風間(あ、なんか懐かしいな…この感じ…)

しんのすけ「んもう。風間くん、ちゃんとツッコミ入れてくれなきゃ」

風間「え、あ…」

しんのすけ「しかし…見ないうちにみんな大きくなったねぇ…」

ボー「しんちゃんこそ。たくましくなった」

あい「しん様はサッカークラブのキャプテンですものね!」

風間(うわ…)

まさお「あ、あいちゃん!?」

しんのすけ「ご、ごめんね…絶対付いていくって言うからさ…」

まさお「うわぁ…綺麗になったねあいちゃん…」

あい「あら…あなた、まさお?」

まさお「う、うん!」

あい「…なんだか、髪があるとまさおじゃないみたいで気持ち悪いですわ」

まさお「え…」

ネネ「おいおにぎり…なーに見とれてやがんだ?あ?」

まさお「す、すいません…」

しんのすけ「ボーちゃん!お久しぶりぶり!」

ボー「しんちゃん。久しぶり」

しんのすけ「よっ!ほっ!はいっ!」パン!パン!パーン!

ボー「おっ!おっ!おーっ!」パン!パン!パーン!

しんのすけ「決まった!さすがボーちゃん!」

ボー「これも久しぶりだね」

風間(…みんな…本当は昔とあんまり変わってないんだな…)

風間(変わったのは僕だけだ…)

しんのすけ「みんなとまたこうして会えたことだし、どこかでゆっくりしようか?」

ネネ「そうねぇ…まずはお洒落な喫茶店とかで昔話に花を咲かせましょうよ!」

まさお「いいね!あいちゃんの話も聞きたいことだし!」

ネネ「もちろんまさおの奢りね」

まさお「!!」

ボー「僕、いい店知ってる」

しんのすけ「やっぱりボーちゃんは頼りになるゾ」

あい「では行きましょ!しん様!」

しんのすけ「み、みんなの前であんまりくっつかないでよ」

あい「えー…」

風間(こいつらと居たら…僕も昔に戻れるかな…)



喫茶店

まさお「……じゃあしんちゃんはスポーツ推薦を狙ってるんだ?」

風間(なんか学校の話題になってるし…)

しんのすけ「うん。勉強したくないしね」

あい「あら。しん様は普段勉強しないだけで本当は学年10位以内には入れますのよ?」

ネネ「えー!?しんちゃんすごいじゃなーい!」

しんのすけ「そんなことないゾ。この前のテストだって四十点くらいだし」

あい「居眠りしてましたもの」

ボー「しんちゃん、なんでもできる」

しんのすけ「いやぁ…さすがにボーちゃんや風間くんには勉強では勝てないよ」

風間(う…僕に話題を移すな…)

まさお「そういえば風間くんは名門中学に入学したんだもんね」

ネネ「やっぱり勉強は難しい?それとも風間くんにとっては楽勝かしら」

風間「あ…ま、まぁそれなりさ…」

風間(…勉強なんてここ数ヶ月してないよ)

ボー「このまま卒業すれば超エリート街道まっしぐら」

しんのすけ「オラ風間くんに養ってもらおうかなぁ」

あい「でしたらしん様!このあいがしん様をなに不自由なく養って差し上げますわ!」

風間「ははは…」

風間(エリートどころか部屋でパソコンばっかやってる引きこもりさ…お前らの方がよっぽど立派だよ…)


風間(僕がエリートと呼ばれる立場だったのは最初だけ…)

風間(幼稚園を卒園してからは僕だけがみんなと別れ、違う小学校に通った)

風間(母さんは僕のためにいろんな習い事をさせてくれたしお受験だって受けた)

風間(そしてエリートしか通えない名門中学にも入学させてもらった)

風間(でも…僕は一年生の後半辺りから少しずつ学校にいかなくなってしまった…)

風間(そこから僕は狂いだしたんだ…学校にいくのが怖くなったんだ…)


ネネ「ねぇ風間くん」

風間「あ、え?な、なんだい?」

ネネ「風間くんはやっぱり高校も名門に通うの?」

風間「そ…そうなる…のかな…」

ネネ「じゃあじゃあ!やっぱり将来は公務員!?弁護士!?お医者さん!?」

まさお「おいネネ…まさか狙ってるのかい…?」

ネネ「まさおに生活力がなかったらいつでも乗り替えるわよ」

まさお「くっ…!どうせ僕は平凡ですよ!」

風間(……僕がそんな立派な仕事に就けるわけ…みんなと会話するのも大変なのに…)

しんのすけ「…………」

ネネ「風間くんは将来の夢とかあるの?風間くんくらいならきっと大きい夢なんでしょうね!」

風間「あ、えっと…その…」

しんのすけ「ボーちゃんはもう夢叶えちゃってるんだよね」

ボー「うん」

ボー「僕、化石を研究してみたかったんだ。化石はその時代の環境や風習が閉じ込められた石だから」

まさお「なんだかその説明だけで頭が痛くなりそうだよ」

ボー「まだ未熟だけど、いずれは解明されてない歴史を解き明かしてみんなに伝えたい」

しんのすけ「おぉー!かっこいいー!」

ネネ「ボーちゃんも優良株ね…」

まさお「みんな凄すぎだよ…自信なくしちゃうなぁ」

風間(…ボーちゃんの話題になって助かった…)

風間(しんのすけでも役に立つんだな…)

しんのすけ「…………」

ボー「まさおくんにも、夢はあるでしょ?」

まさお「ま、まあね…」

しんのすけ「おぉ、どんな夢?」

まさお「とりあえず安定した職につくことかな…」

しんのすけ「な、なんだか拍子抜けだゾ…」

あい「夢のない夢ですわね」

ネネ「はぁ…だからあんたはまさおなのよ」

まさお「僕はとにかくお金を稼いで…ネネと二人で暮らしていけるような甲斐性を持ちたいんだ」

ネネ「……!?」

あい「……まぁ」

ボー「…プロポーズ」

まさお「へ、へへへ…僕にしては大胆だったかな?」

ネネ「……泣き虫おにぎりっ!生意気っ!」

まさお「なんだよ。泣きそうになってるのはネネのほうじゃないか」

ネネ「うっさい!馬鹿!」

しんのすけ「いやぁ…若いですなぁ…」

あい「あいの夢はもちろんしん様のお嫁さんですわ!」

風間「…………」

ボー「風間くん、恋人はいるの?」

風間「え……い、今はいないけど…」

ボー「独り身同士、頑張ろう」

風間(…お前はやろうと思えばいくらでもやれるだろ…)

しんのすけ「みんな立派な夢を持ってるんだね」

まさお「しんちゃんはなりたいものないの?」

しんのすけ「うーん…ハーレム王かなぁ…」

あい「駄目です」

しんのすけ「じゃあ石油王とか」

あい「ご希望でしたら石油を取り寄せますが?」

しんのすけ「…………冗談だゾ」

ボー「しんちゃんはスポーツ選手?」

しんのすけ「そんなのなれる気が全然しないよ」

風間「……可能性があるだけいいじゃないか…」ボソッ

風間(僕は今からいくら努力したって…)

しんのすけ「……まぁいくら話してもオラの将来なんて全然わかんないよ」

しんのすけ「それよりせっかく集まったんだから進路の話なんていいじゃない。昔話しようよ」

しんのすけ「あー…疲れたぁ…」

ボー「でも、楽しかった」

まさお「そうだね。ちょっと恥ずかしいことも言っちゃったけど…

ネネ「ちゃんと覚えてるわよ。とりあえず高校卒業してからじっくりシミュレーションしましょ」

まさお「ひ、ひぃぃ!まさかリアルおままごと再来か!?」

風間(…そっか…来年はもう受験なんだ…)

しんのすけ「…オラもなにになるか決めないとなぁ…でも面倒だなぁ…」

風間(…そうだ…面倒なんだよ…この世界を生きていくのは…)

風間(なんで僕たちは働かなきゃいけないんだろう…なんで学校に行かないことが世間では悪いことって言われるんだろう…)

風間(僕はもう一生部屋でもえPと一緒にいたいよ…)

まさお「じゃあ僕たちはこれで」

ネネ「また誘ってねー!」

ボー「今度、またみんなで遊ぼう」

しんのすけ「うん。みんなまたね」

風間「…じゃあ僕もこれで…」

しんのすけ「うん」

しんのすけ「…………」

あい「しん様。私たちも帰りましょう?」

しんのすけ「ごめん。オラちょっと用事があるから先に帰っててよ」

あい「えー…」

風間(…くそ…とんだピエロだよ…)

風間(みんな僕みたいになってるかと思ったら…やっぱり最底辺は僕だけだ)

風間(もういい。友達なんて一緒にいても苦しいだけ)

風間(常に劣等感を感じてまで他人と馴れ合う必要はないさ…)

風間(……僕はもう…落ちるとこまで落ちちゃったんだから…)

しんのすけ「風間くん!」

風間「…え…?しんのすけ…」

風間(くそ…まだ僕を苦しめるつもりなのかよこいつは…)

風間「…なんだよ」

しんのすけ「…風間くんはなりたいものある?」

風間「…そんなもの…ない…」

しんのすけ「本当にないの?」

風間「…あっても…僕なんかじゃなれっこないし…」

しんのすけ「そんなことないよ。風間くんならでき…」

風間「いい加減なこと言うなよ!!お前は頭が悪いからわからないかもしれないけどな、人には限界ってものがあるんだ!」

しんのすけ「風間くん…」

風間「いいかしんのすけ。お前みたいな底辺中学校のテストで上位に入れるからって調子に乗るなよ?僕の学校ではそのくらいの勉強なんてビリでも出来る!!」

風間(僕はもう…そのビリよりもずっと下だけどな…)

風間「天才だらけの環境に居てみろよ!自分の限界なんてすぐにわかるぞ!?いくら努力したって叶わない夢なんてごまんとあるんだ!!」

風間(僕はその努力からすら逃げ出したけどな…)

風間「お前なんかがわかったような口を聞くな!!僕の悩みなんてお前に理解できるはずないんだから!!」

しんのすけ「…………」

風間「……もう2度とついてくるなよな…」

しんのすけ「…………」

しんのすけ「叶えるのが夢だけど…叶わなくても夢は夢なんだゾ。風間くん」

風間「…………」

しんのすけ「夢は叶わないかもしれない…必死で努力したって叶わない夢もあるかもしれない」

しんのすけ「でも夢を持っている人は前へ進めるんだゾ!」

風間「…………」

しんのすけ「風間くんだって夢があるから辛いお勉強を頑張ったりいい学校にいったりしたはずなんだ」

しんのすけ「今の風間くんはそれを忘れてしまったかもしれないけど…」

しんのすけ「また夢を持てば、風間くんだって前へ進めるんだゾ!!」

風間「…………」

しんのすけ「風間くん、風間くんの夢はなに?」

風間「……政治家…政治家になりたい…」

風間「しんのすけ…僕、やっぱり夢は諦めたくないんだ…今までの僕には勉強しかなかったけど…それはなりたいものがあったからなんだ…」

しんのすけ「じゃあオラと一緒に頑張ろうよ。学校に行かなくても勉強はできるから」

風間「え…?お前…なんで知って…」

しんのすけ「だって風間くんの制服…下ろし立てのように綺麗で、ピチピチなんだもん」

風間「ぅあ…」

しんのすけ「しばらく制服着てないんでしょ?風間くん」

風間「うん…」

風間「……僕…学校でいじめられてたんだ…」

風間「きっかけは…学校に間違ってもえPストラップのついた財布を持ってきちゃって」

風間「同級生に取られて…財布の中からもえPテレカを取り出されて…」

風間「カバンの中のもえPフィギュアの存在もバレちゃって…」

風間「お腹壊した時にトイレで唱えてた『もえもえピー!』って掛け声も録音されてYouTubeに上げられたんだ…」

風間「それから僕はみんなに白い目で見られて…気持ち悪いとかキモいとか気色悪いとか生理的に無理とか言われて…」

風間「学校にいくのが怖くなったんだ…」

しんのすけ「…………」

風間「しんのすけぇ…こんな僕でも…今からやり直せるかなぁ…?」

しんのすけ「勿論だゾ!!」

風間「しんのすけぇ…」

しんのすけ「風間くんの夢…オラがお助けするゾ」

しんのすけ「それが今のオラの夢だ」


こうして風間くんとオラのお勉強は始まった
でもやっぱりやる気を出した風間くんはすごくてオラなんかあっという間に追い越した
学校だって通うようになったゾ
人の目なんか気にせずにもえPストラップだらけのカバンで登校する風間くんは「もえPの申し子・風間トオルちゃん」なんてあだ名が付くくらい
だからオラは風間くんにスポーツを教えてあげることにした
最初は太ってた風間くんだけどみるみるうちに痩せてイケメンになっちゃったゾ
オラ程じゃないけど




そして中学3年生の秋頃

風間「おぉぉー!!受かったぁぁぁぁ!!」

しんのすけ「やったね風間くん!!」

風間「うん!ありがとうしんのすけ!お前のおかげだ!!」

しんのすけ「どう炒めまして!!」

風間「それを言うならどういたしましてだろ」

しんのすけ「そうとも言う」

風間「そうとしか言わないよこの馬鹿」

しんのすけ「この天才」

しん風間「「えへへへへへ」」

風間「しんのすけ…お前はスポーツ推薦なんだろ?」

しんのすけ「とりあえずはね。まだなりたいものは見つからないし」

風間「でもやりたいことは見つかったんだろ?」

しんのすけ「うん。オラの周りの人をみーんなお助けするゾ」

しんのすけ「それがオラが憧れたヒーローの姿だから」

風間「本当に格好いいよお前は…」

しんのすけ「いやぁ照れますなぁ」

風間「じゃ…ひとまずお別れだなしんのすけ」

しんのすけ「達者で暮らすんだゾ」

風間「お前もな」


それから何十年か後
風間くんは夢を叶えて政治家になったゾ
風間くんは日本のアニメ文化を世界に広める活動をしてるゾ
そんでもってオラは総理になったゾアイムソーリーヒゲソーリー
とりあえず風間くんのアニメを広める試みは却下しといてやったゾ




終わり

風間くん.jpg


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しんちゃんとみさえのウルッとくる話。 [感動]

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みさえ「やだっ!すごい雪…」

ひろし「今年の新成人は大変だなー」

ひまわり「あ~これじゃあ遊び行けなーい」

ひろし「おっ!じゃあ父ちゃんと庭で遊ぶか?!ん?!」

ひまわり「うーん、いいや…」

ひろし「堅いこと言うなよ~ひまわりぃ~」

ひまわり「シロ子とシロ次郎と遊べば?」

ひろし「えー冷たいなぁ…」

みさえ「も~、ひまわりだって高校生よ?」

ひろし「わーったよ!シロ子!シロ次郎!遊ぶか!」

ワン!ワンッ!

ーーーおはようございます今日は全国各地で成人式が行われておりますが広い範囲で大雪に…ーーーー

しんのすけ「うわぁ…まさかこんな雪になるとは…」

「あいちゃん来られないだろうなぁ…」

(でも連絡きてない…まだ寝てるのかな?)

コタツでテレビを観ながらボーッとしていた。




ピンポーーーン…


しんのすけ「えっ?!」

慌てて玄関に向かう。

ガチャガチャ…キィ…

あい「しんさま…寒いですわ…」


しんのすけ「あいちゃん!早く!入って!」

あい「おじゃまします…」

コートについた雪を払い、家に入った。

しんのすけ「適当にハンガー使って!なんか温かい飲み物いれる!」

あい「ありがとうございます」

素早くハンガーにコートを掛けてコタツに入る。

あい「あったか~い///おコタは最高ですわ///」

しんのすけ(あいちゃんもだんだん庶民的になってきた気がするゾ)


ココアを2つ作った。

しんのすけ「お待たせしました」

あい「ありがとう、しんさま」

しんのすけもコタツに入る

あい「それにしてもすごい雪でしたわ…」

しんのすけ「電車ちゃんと動いてた?」

あい「いいえ?動いてませんわ」

しんのすけ「黒磯さんの車で来たの?」

あい「いや、今日はヘリできましたわ」

しんのすけ「こんな天気でヘリ?!」

あい「元空軍の腕利きパイロットがいますの。だから大丈夫ですわ。近くのビルのヘリポートからはさすがに歩きましたけど…」

しんのすけ「お、おぉ…(やっぱり庶民的じゃない…)」



ひろし「防寒はバッチリ!それ!行け!」

シロ子とシロ次郎を庭に放す。

ワンッ!

ひろし「よーし!年甲斐もなくはしゃぐぜ~!」

ワン!

ワン!

ひろし「…あれ、シロ次郎ー?!」

ワンッ!

ひろし「おかしいな…いない…」

ワン!

ひろし「おーい、みさえー!」

居間のガラス戸を叩く

みさえ「なにー」

ひろし「シロ子とシロ次郎、家の中戻ったか?」

みさえ「やぁね~あなたと外出たじゃない…」

ひろし「おっかしいな~…」

ワン!



ひまわり「ねぇ父さん、あれシロ子じゃない?」

物干し竿の方を指差す

ワンッ!ワンッ!

ひろし「あ…本当だ!こいつら毛が真っ白だから雪と同化しちまってる…」

ひろしは老眼気味の目をこすった。

みさえ「もー、遊ぶのも程々にね!」

ひまわり「兄ちゃんいればさ、遊んでたのにね!」

みさえ「そうね…」

(…しんのすけ…成人の日になると思い出すなぁ…)



あい「今年の新成人は大変ですね」

しんのすけ「本当だゾ…こんな雪で…」

あい「今日の映画は中止ですね…」

しんのすけ「そうだねぇ…ま、たまには二人でグダグダするゾ!」

あい「そうですね!///」

しんのすけ(成人の日…もうあれから2年経ったのかぁ…)



~二年前~


みさえ「しんのすけー!!風間くん達来たわよー!!!」

しんのすけ「おー!もうちょっとで出る…!!」



みさえ「ごめんねぇ~…まだトイレから出てこなくて…」

風間「いやいや、大丈夫ですよ」

ボー「まだまだ、時間あります」

みさえ「本当にごめんね~…寒いから、中入って待ってて!?」

風間「はは…じゃあ、お言葉に甘えて…」

ボー「おじゃまします」


風間「おじゃましま~す…」

ひろし「おっ!風間くん!ボーちゃん!かっこいいなぁ!!」

ひまわり「ほんとだぁ~!スーツ似合う~!」

風間「いやぁ…///」

ボー「ぼっ///」

みさえ「ほんとねぇ…それにしても、もう成人式かぁ~」

ひろし「早いもんだよ…あんなにちっちゃかったのによぉ」

しんのすけ「オラもこんなに大きくなっちゃった…///」

風間「わっ!しんのすけ!」

みさえ「ちょっと!なんて格好してるの!」

トイレに入っていたしんのすけは、ワイシャツ一枚で戻ってきた。

しんのすけ「だって~スーツにうんちの臭いがついたら女の子にモテないゾ~」

みさえ「だからってもー!早く着なさい!」

ひまわり「兄ちゃんサイテー」

ひろし「ははは…ごめんな、二人とも…」



みさえ「さっさと着替えなさい!」

しんのすけ「ほーい」

しんのすけは居間を出ていった。

ひろし「いやぁ…しんのすけはいつまで経っても子供だな…」

風間「でも、いつまでも素直な所はいいと思います」

ボー「僕、しんちゃんと一緒にいると楽しいです」

ひろし「二人とも…」

みさえ「なんだか嬉しいわね//」

ひろし「幼稚園から、ずっと仲良くしてくれて、ありがとうな」

風間とボーちゃんは照れながら笑った。


しんのすけ「おまたせーっ!行こー!」

風間「じゃあ、行こうか」

ボー「ボッ」

みさえ「ちょっとーハガキ持ったー?」

しんのすけ「持った持った!大丈夫だゾ!」

ひろし「気を付けろよ!飲みすぎるなよー!」

しんのすけ「んもー父ちゃんじゃあるまいし大丈夫!」

みさえ「今日は夜まで帰って来ないの?」

しんのすけ「うん。マサオくんたちとも遊んでそのまま同窓会行く」

みさえ「あ、そう、いってらっしゃーい」

しんのすけ「ほーい!」




バタン



~成人式会場~

風間「うーん。この辺にマサオくんたちいるハズ…」

「おーい!みんなー!」

しんのすけ「あっ!マサオくん!ネネちゃん!」

ボー「ボー!」

マサオ「ごめん!待った?!」

ネネ「オニギリが髪形決まらないとか言って遅くなったのよ~」

しんのすけ「ネネちゃんは振り袖着ないの?」

ネネ「ん?まぁ、既婚者だしね…」

ボー「でも、スーツ似合ってる」

風間「うん!ステキな女性って感じだよ!」

ネネ「ありがとー!あなたもこれくらい言えなきゃね…」チラッ

マサオ「えぇ~…」



風間「ま、まぁ…ほら!早く入場しないと!」

マサオ「そ、そうだね!行こう!早く行こう!」

しんのすけ「マサオくん大変ですなぁ…」

ボー「ボッ」


ーーーー次の方、どうぞー!ーーー

「成人おめでとう」

しんのすけ「やったー!記念品!」

風間「記念品くらいではしゃぐなよ…」

ボー「でも、中身気になる」

マサオ「ぼく開けちゃおうかな!」

ガサガサ…

マサオ「これ…」

ネネ「写真立てね」

風間「写真立てだ」

ボー「ボー…」

しんのすけ「ちょっと期待外れだゾ…」

風間「まぁこんなもんだよな」

ボー「あ、そろそろ始まる…」



…………




しんのすけ「あーーー長かったゾー」

マサオ「ねぇねぇ!皆で写真撮ろうよ!」

風間「いいね!誰かに撮ってもらうか」

キョロキョロと周りを見渡す

ネネ「みんなそれぞれ写真撮ってて頼めないわね…」

ボー「あ、あの人たち、暇そう」

風間「お、新成人の保護者とかかな?…すみませーん!」

「はい…?」

風間「あの…写真を…」

「写真ね、わかったわ…あれ…」

「風間くん?!ボーちゃんに…しんちゃんよね?!ネネちゃんとマサオくんじゃない!!!」

しんのす「おー!その声は!」

風間「よ、よしなが先生ですか…?」

「なぁに~騒がしい…」

ネネ「あっ、まつざか先生よ!」

ボー「隣は、上尾先生…」

上尾「ひいっ!なんで覚えてるのよぉ~…」


まつざか「まっ、まさかあのひまわり組…?!」

石坂「そうみたい…会えて嬉しいわ~!」

上尾「なんで私なんかなんで私なんか…」

しんのすけ「先生たち!お久し振りだゾー!」

ネネ「変わってないですね~」

風間「あの…僕たちのこと覚えてるんですか…?」

石坂「もちろんよ~問題児…いや、インパクトが強いっていうか…」

まつざか「あなた達を忘れる方が無理よ~」

ボー「でも、なんで、成人式に来てるんですか?」

石坂「ん?だって、もしかしたらこんなふうに皆に会えるんじゃないかなって…」

まつざか「先生ったら急に呼び出すんですもの、困っちゃうわぁ」

石坂「いいじゃない!どうせ暇でしょう?」

まつざか「う、うるさいわね…」

上尾「もう婚期も逃して暇ですよね…へへっ」

まつざか「あ?なんか言ったか?」

上尾「いえ」


石坂「ま、まぁ…あ!写真撮らなくちゃね!」

風間「そうですね!お願いします!」

五人は寄り添ってピースをした

石坂「はい、チーズ!」

………



先生たちとは少し雑談をして別れた。

よしなが(石坂)先生はもう幼稚園の先生を退職して専業主婦になってた。

まつざか先生と上尾先生はまだ幼稚園の先生だった。



マサオ「ねぇねぇ!僕の家行ってゲームしようよ~!」

風間「こんな日にゲームかい?!」

マサオ「あ…なんか…皆で集まったの久々だし…昔を思い出したって言うか…」

しんのすけ「オラもゲームしたいゾ」

ボー「ぼくも!」

ネネ「あ、ちょうど昨日クッキー焼いたの!家で食べながらやりましょうよ!」

風間「そっか…そうだね、行こうか!」

五人はコンビニでお昼ご飯を買ってマサオくんとネネちゃんのアパートに向かった。



ガチャ…

マサオ「狭いけど上がって!」

しんのすけ「おじゃましまーす」

風間「あれ?そういえばののちゃんは…」

ネネ「あ、今日だけ実家に預けてるの」

風間「そっか…」

ボー「風間くん、残念そう」




皆でコンビニ弁当を食べながらゲームをした。



しんのすけ「うーっそろそろ目が疲れた…」

風間「久々にこんなにやったなぁ…」

ボー「ボー…」

マサオ「ねぇねぇ!みんな、これ見て!」

そういってマサオはアルバムを持ってきた



風間「それ…ふたば幼稚園のアルバム?」

しんのすけ「なつかしーい!」

ボー「久しぶりに見たい//」

ネネ「マサオったら昨日からずっとアルバム眺めてて、みんなに早く会いたい~ってうるさかったのよ~」

マサオ「ネネちゃん…///」

しんのすけ「オラも昨日は楽しみで全然寝られなかったゾ~」

ボー「へへ…ぼくも//」

風間「みんなはまだまだ子供だなぁ…」

マサオ「でも風間くんも今日はしょっちゅう欠伸してるよね」

風間「んな…///ちょっと寝る時間遅かっただけさ…」


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………



マサオ「これ懐かしくない?!みんなでサツマイモ堀りしたの!」

風間「たしかに!しんのすけが大きいの見つけてさ」

ボー「みんなで引っ張った…」

しんのすけ「幼稚園の記憶だけどすぐ思い出せるゾ」

ネネ「あ…しいぞう先生…///」

風間「これは縄跳び大会だね」

ボー「みんなで頑張った」


マサオ「あー…なんか…もう十五年経ったのかぁ…」

ネネ「早いわね…」

風間「幼稚園からずっと仲良くしてるのって珍しいよな」

しんのすけ「オラたちは切っても切れない仲…ふぅっ」

風間「あひぃぃいああ////…し、しんのすけ!耳に息を吹き掛けるな!///」



マサオ「ははは!二人とも変わらないよねぇ~!」

風間「そんなこと…!」

しんのすけ「ふぅっ」

風間「あひぃぃいああ…/////」

………
……


ボー「そろそろ、同窓会の時間…」

風間「あっ、本当だ…」

ネネ「またしばらく会えないわね…」

マサオ「…あれやる?」

風間「あたりまえだろ!」

しんのすけ「かすかべ防衛隊!」

「「「「「ファイヤー!」」」」」



しんのすけとマサオは中学三年生の時は同じクラスだった。

そのため向かう場所も一緒だ。

マサオ「駅前の肉民だよね?」

しんのすけ「そうだゾー」

ガヤガヤ…

「おっ!野原ー!オニギリー!」

「久々じゃーん!」

「うぇーい」



みんな羽目を外して飲んだ

「野原っ!いっちゃう?!いっちゃう?!」

「なーんで持ってんの!なーんで持ってんの!」

しんのすけ「野原しんのすけ!いきまーす!」

マサオ「ああ…しんちゃん程々に…」


同窓会もお開きになった。



しんのすけ「うげぇ…」

マサオ「しんちゃん飲みすぎだよぉ~」

しんのすけ「まだ…飲めるゾ…」

しんのすけと肩を組むようにして歩く。

…………
……


マサオ「しんちゃん…ぼくたち大人になっちゃったね…」

しんのすけ「おぉ…」

マサオ「ぼく、しんちゃんには感謝してるんだ。幼稚園の時から」

「ぼくがいじめれられてるとき、いつもしんちゃんが助けてくれた」

しんのすけ「当たり前だゾっ…友達…だ…おえっ…」



マサオ「しんちゃん大丈夫?!お家の人呼ぼうか?!」

しんのすけ「あ…母ちゃん…約束…」

マサオ「え?お母さん?お母さん呼べばいいの?」

しんのすけ「歩道橋行く…」

そう言ってしんのすけはおぼつかない足取りで歩道橋の方へ向かった

しんのすけ「母ちゃん…んぐぅ…」

マサオ「えっ?しんちゃん?!寝ちゃだめだよ!」

ペチペチ!

しんのすけの頬を軽く叩く

マサオ「寝ちゃった…参ったな…とりあえずしんちゃんのお母さん呼ぼう…」


マサオ「しんちゃん携帯借りるよ…」

(えーと…………うーん…自宅…これかな!)


ーーーーープルルルルループルルルルーガチャ

みさえ「はい、野原ですぅ」

マサオ「あっ、おばさんですか?お久しぶりです、マサオです!」

みさえ「あらっ、マサオくん?!…まさか…しんのすけがご迷惑を…」

マサオ「えへへ…ちょっと飲みすぎちゃったみたいです…」

みさえ「いやだわ…!今すぐ旦那に迎えに行かせます!」

マサオ「あっ!いや!おばさんが来てください!」

みさえ「??どうして?」

マサオ「しんちゃんはおばさんに来てほしいみたいで…」

みさえ「うーん…わかったわ!今どこにいるの?」

マサオ「えっと…」

今いる歩道橋の場所を教えて電話を切った。



しんのすけ「んーあー…マサオくん…」

マサオ「なにしんちゃん…」

しんのすけ「そろそろ…アクション仮面が…」

マサオ「寝言かなぁ…幼稚園の頃みたい…ふふ」

しんのすけ「マサオくん…ずっと…」

マサオ「ん?」

しんのすけ「ずっと友達…だゾ…」

マサオ「しんちゃん…グスッ…」

「ありがとうしんちゃん…」



それから十五分くらい経ってみさえが来た。

みさえ「ごめんねー!」

マサオ「あ、いや、全然大丈夫です!」

みさえは走って来た様で息を切らしていた。

みさえ「もう、大丈夫だから…マサオくん、帰っていいわ…」

マサオ「いやいや、家まで行きましょうか…?」

みさえ「大丈夫よ!重いでしょ!?今起こすわ!」

「こら!しんのすけ!起きなさい!!!」



しんのすけ「んが…母ちゃん…」

マサオ「あっ起きた…」

みさえ「ほら!帰るわよ!」

しんのすけの腕を肩に回す

みさえ「マサオくん、ありがとうね~」

マサオ「いやっ、これくらい//」



マサオはアパートに帰って行った


みさえ「んもー…なんでこんなに飲んじゃうのかしら…」

しんのすけ「母ちゃん…うぅ…」

「吐きそう…」



みさえ「げっ」

思わず肩に回していたしんのすけの腕を離してしまった


ドサッ

しんのすけ「うおえっ…」

みさえ「んもー…」

しんのすけの背中をさする

みさえ(…あっという間に、大きくなっちゃったなぁ…)

(たくましい背中…)

しんのすけ「母ちゃん…」

みさえ「ん?どうしたの?」

しんのすけ「十五年前…覚えてる?」

みさえ「しんのすけが五歳の時?」

しんのすけ「母ちゃん…成人式のハガキ拾ったじゃん…」

みさえ「いやっ///なんでこと覚えてるのよぉ…」

みさえは十五年前の成人の日に、新成人が落としたハガキを拾った。

そのまま成り行きでしんのすけと式に出席し、二十歳と偽って新成人たちとカラオケまで行ったのだ。


みさえが二十歳とき、下痢で式に出席できず、成人式の記念品をもらえなかったため、未練があったのだ。

(結局罪悪感で…十五年前にもらった記念品…市役所に返しに行ったっけ…)

みさえ(嫌なこと思い出したわ…)

しんのすけ「カラオケの帰り…ここでした約束覚えてる…?」

みさえ「え…」

『オラが記念品もらったら、母ちゃんにあげるゾ!』

しんのすけは口を拭い、少しシワができた紙袋をみさえに渡した。

しんのすけ「母ちゃんこれ…」

みさえ「しんのすけ…そんなこと覚えてたの…」

みさえは紙袋を受け取り抱き締めた

しんのすけ「母ちゃん今までありがとう…」

「オラ、母ちゃんの子供でよかった」

みさえ「なに言ってんのよ…」

しんのすけ「おえっ…」

みさえ「帰るわよ…」



また肩を組んで家路についた

みさえ「しんのすけ…」

「ありがとう…」


…………
……


みさえ「なんてことあったなぁ…」

棚の上の写真を見つめた。

(しんちゃん…自慢の息子ね…)

ひまわり「母さん?泣いてるの?」

みさえ「やっ、やぁね!違うわよ…」

ひろし「おーい!見てくれー!」

庭からひろしの声が聞こえた



庭を見ると大きなかまくらがあった

ひろし「すごいだろ!庭と家の周りの雪全部かき集めたんだぜ!」

ひまわり「すごーい!あたしも入るー!!」

ひろし「みさえも来いよ!」

みさえ「ええ!」



ひろし「やっぱ三人入ると狭いな…」

ひまわり「父さん汗臭い…」

みさえ「あはは…そうだ、しんのすけに写真送ろーっと」

カシャ


みさえ「かまくら…なう…」

ピッ

しんのすけ(あー…あれから二年かぁ…)

あい「しんさま、今日はずいぶんボーッとしてますわね?」

しんのすけ「んー?そうかな…」


ーーーー~♪~♪ーー


しんのすけ「あっメール…」

「母ちゃん…」

「へへっ…//」

あい「どうしました?」

しんのすけ「いや…なんでもなーい!」

ガバッ

しんのすけはあいちゃんに抱き付いた。

しんのすけ「オラたちも幸せな家庭築くゾ~///」




終わり

みさえ.jpg


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シロが帰ってきた? [感動]

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みさえ「ねぇ!あなたコレ見て!」

ひろし「んだよ~服なら買わねぇぞ~この前バッグ買ったろ~」

みさえ「違うわよ!!ここ!コレ!」

みさえは女性誌をひろしに見せた

ひろし「あん?かすかべ…ベーカリー…パン屋か?」

みさえ「そうよ~♪ここ新しく出来たんだって!雑誌に載るくらいだからきっと美味しいわぁ~」

ひろし「でもここのパン屋、家からちょっと遠いぜ…車で行かないと…」

みさえ「えー…でも駐車場無いみたいよ…」

ひろし「おっ!じゃあ行けないな!せっかくの休みだしゴロゴロさせてくれ」

みさえ「なに喜んでるのよ!もー!散歩がてら行きましょうよ~」

ひろし「え~お前勝手に行けよ~ひまわりでも誘えばいいだろ?」

みさえ「ひまわりには友達と遊び行くって言われてもうフラれたの…だからお願いあなた~ん」

ひろし「いーやーだ!俺はゴロゴロする!」

みさえ「(くそっ…)じゃー!いいわよ!今日はビール無しよ!」

ひろし「は?汚いぞみさえ!」

みさえ「じゃあ一緒にパン屋さん行きましょう♪」

ひろし「あーもー…わーったよ!行きゃあいいんだろ!行きゃあ!」

みさえ「やったー!あなた大好き!」

ひろし(ゲンキンなやつ…)

ひろし「うーっ!寒い!」

みさえ「ふふふ…このパン屋と家往復したら結構歩けるわね…」ニヤリ

ひろし「お前…ダイエッ」
みさえ「出発おしんこー!きゅうりのぬか漬けー!!」

ひろし(やれやれ…歩いてもパン食ったら意味無いんじゃないか?)

のろのろと歩き始める二人。

みさえ「こっちの方って車でしか行かないわよね~」

ひろし「あーそう言われてみればそうだな~…ま、たまにはこうして散歩もいいな!」

みさえ「ねーっ?!やっぱりそうよ!家でずっとゴロゴロしてるなんて良くないわぁ!!」

ひろし(みさえにだけは言われたくねぇ…)

「あ…あぁ…」

「でもよー、昔はしんのすけもひまわりも行く行く!って…一緒行くと大変な事ばっかりでよぉ…」

みさえ「本当!何回頭下げたことか…」

ひろし「ははっ………なんか、寂しいな。今になると…」

みさえ「そうよねー唯一のシロもいなくなっちゃったし…」

ひろし「あぁ…シロが死んだときは、年甲斐も無く泣いちゃったよなぁ」

みさえ「ね…でも、シロ程愛されてる犬はいないわよね」

ひろし「そうそう!みーんな線香あげに来てくれたよな…ふたば幼稚園の先生たち…またずれ荘のみんな…」

みさえ「ご近所さんも、しんのすけやひまわりの友達も、みんな…商店街の会長さんまで来てくれたわね…!」

ひろし「そうそう!シロの奴俺達よりはるかに顔広いもんな!」

みさえ「そうねぇ…」

「「はぁ……」」

ひろし「…おっと!いけねぇ!しんみりしちまったな!」

みさえ「あらやだ…楽しくいきましょ!」

…………
………


ひろし「それにしてもよぉ、しんのすけの奴、あいちゃん連れて帰ってくるとはなぁ~」

みさえ「ほんとよねぇ!あんな美人さん捕まえて…しんのすけのどこがいいんだか…」

ひろし「そうだよなぁ…あいちゃんは幼稚園の頃からずっと好きだったみたいだろ?すげぇよ…」

みさえ「でも、しんのすけ、昔っからいざというときは誰よりも優しくて、頑張る子だったから…」

ひろし「あいちゃんはしんのすけのそういう所ちゃんと分かってくれてるんだろうな…」

みさえ「いい子と付き合えてよかったわねぇ…」

ひろし「羨ましいぜ!容姿端麗!しかもお金持ち!かーっ!いいなぁしんのすけ!」

みさえ「あら私がいるじゃない」

ひろし「そうだな(俺はメタボまっしぐらの妻…)」




家を出て30分くらい歩いた。

ひろし「こんだけ歩くと体も暖まってくるな」

みさえ「そうねー500gくらい痩せたかしら?」

ひろし「んな訳…」
みさえ「あー!見てあなた!このカフェいい感じね~」

ひろし(また話を遮りやがって)

「んあ、そうだな~この辺にしちゃあオシャレな感じのカフェだな」

みさえ「車に乗ってたら見落としちゃう発見があっていいわ~♪帰りここでお茶していかない?」

ひろし「え~…」チラッ

店内をガラス越しに覗くひろし。

「(おっ!可愛い子ちゃん発見!)ま、まぁたまにはいいな!よし、帰り寄るか!」

みさえ「やったー!」




あのカフェからまたさらに30分後

みさえ「やっと着いたわー!」

ひろし「遠かったー!これで美味くなかったら悲しいぜ」

みさえ「きっと美味しいわよ!」


「いらっしゃいませー!」



ひろし「おっ!いい匂いだな!」

みさえ「本当ねぇ♪」

ひろし「このパン美味そうだぜ」

みさえ「このあんパンもいいわね!」

ひろし「このチーズ入ってるの食いてぇな」

みさえ(ふふ…結構はしゃいじゃってるじゃない…よかったぁ♪)

……………
………


「合計で1980円でございまーす!」

ひろし「おい、財布出さないのか?」

みさえ「えっ、あなた買ってくれないの?」

ひろし「おいおい俺はついてきてやったんだぜ?そりゃ変だろ?」

みさえ「だってあたし今千円しか持ってないわよ~」

ひろし「えーっ!なんだよそれ!」

みさえ「おねが~い♪」

ひろし「ったくよぉ…」

(結局こうなるのかよ…)




「ありがとうございました~っ」



みさえ「あなたーっありがとう♪」

ひろし「ほんとだよ…コーヒー代はみさえが出せよな!」

みさえ「あーはいはい」

「それよりさー!このパン一つ食べてみない?」

ひろし「おっ、そうだな!俺あんパンがいいな」

みさえ「嫌よ~!あんパンは家でゆっくり食べたいの!」

ひろし「けっ!じゃあ好きなのにしろぃ」

みさえ「うーん。じゃあこのよくわかんないチーズので」

ひろし(俺が一番食べたかったやつか…なんか…むなしいって言うか…)



モグモグ…

二人でパンを半分こして歩きながら食べた。

ひろし「このパン美味いぜ!」

みさえ「うん!来て正解だったわぁ!」

ひろし「そうだな」

(今日は天気もいいし…たまにはいいな。)

チラッ

(みさえは本当に美味そうに食うな~…)

(なんだかんだ、みさえと一緒だと飽きないよな…結婚してよかったな…)



みさえ「美味しかったわぁ~♪あとは家に帰って緑茶と一緒にあんパンを…////」

ひろし「おい、お茶して帰るって言ったのはどこのどいつだ?」

みさえ「いっけなーい☆忘れてたわん」

ひろし(ほんとドジだなぁ…まぁ嫌いじゃないんだけどな)

15分くらい歩いて、さっきのカフェに着いた。



ひろし「なぁ…あの子可愛いな///」ヒソヒソ

みさえ「私も思ってた!あんな可愛い子なかなかいないわね!」ヒソヒソ

みさえ「ふーっ…それに、落ち着くお店ねぇ…」

ひろし「そうだな…外国にいるみたいだな」

そのカフェは大きくはないが席数が少なく、広々としている。
アンティークの調度品で揃えられた店内はどこか懐かしい感じがした。

カランカラン…

「いらっしゃいませ」

みさえ「二人です」

「お好きな席にどうぞ」

みさえ「えーっと…あっ、窓際の奥!あそこいいじゃない♪」

ひろし「おう、そこにしようぜ」

席につく二人。

ひろし「俺、ホットコーヒーで」

みさえ「じゃあ…私は温かいミルクティーを…」

「かしこまりました」ニコッ

ひろし「なんかよ、不思議と緊張しないな!」

みさえ「そうねぇ~…こういうお店って普段は緊張しちゃうんだけど…」

「お待たせしました。ホットコーヒーと、ミルクティーでございます」

みさえ「あら!カップも素敵!」

ひろし「本当だ…俺のコペンハーゲンだぜ…」

「全て違う種類のカップを使用しております。あと、こちらはサービスのクッキーです」

みさえ「すごいわぁ~!こんなお店なかなか無いわよ」

「ごゆっくりどうぞ」


ひろしはコーヒーを一口飲んだ。

ひろし「…これ…美味いなぁ…!」

みさえ「ミルクティーもすごく美味しいわ!紅茶の香りが鼻に抜けていくって言うか…」

ひろし「雰囲気よし、味よし、本当にいい店見つけたな!」

みさえ「また来ましょうよ!ひまわり誘って!」

二人はゆっくりとコーヒーや紅茶の味を楽しんだ。

しんのすけの話。ひまわりの進路の話。他愛もない話…。



みさえ「なんだか久々ねぇ…こうしてあなたとゆっくり話すのも」

ひろし「あー…確かに。こんな感じで話すのは滅多にないな…」

「…ありがとよ。みさえ」

みさえ「ななななによ急に…!」

ひろし「みさえが誘ってくれたから、こうして話できてんだ。ありがとよ!」

みさえ「やっ、やぁねぇ~…////」

ひろし(照れてやがる…まだ可愛いとこもあんだな)

ひろしはふと窓の外を見る。

休日の昼間とあって、手を繋いで歩く親子、犬の散歩をする人、デートするカップル…みんなそれぞれの休日を楽しんでいるようだ。


ひろし(みんな笑顔で、楽しそうだな…なんかこっちまで幸せな気持ちになる………ん??)

「……あ…あ…お…!」

みさえ「あなたどうしたの?変よ?」

ひろし「ああああれあれあれ…!あれ!」

窓の外を指すひろし。

みさえ「あれじゃわからないわよ…どこ?」

ひろし「あの!横断歩道渡って!向かいの!歩道!見ろ!」

みさえ「なによ~………えっ…!!??!」

二人は目を疑った。


ひろし「あれ、いや、でも…」


「「親父・お父さん」」


みさえ「なんでいるの~!こっち来るなんて聞いてないわ~!」

ひろし「親父の事だからなぁ…参ったな…」

みさえ「とにかく、追いかけなきゃ!あのまま家に行っちゃうわ!」

ひろし「そうだな!会計するから、お前先に行け!」

みさえ「わかったわ!」


ひろし「ごめん!会計お願い!」

「かしこまりました!お急ぎだったのですね………1150円でございます…」

ひろし「あっ、気にしないで、お嬢さん」

お金を手渡すひろし。

「丁度お預かりします。またお待ちしています」にこにこ

ひろし「(かーっ!可愛いなぁ!////)お嬢さん、また来ますね、ハハハッ」

ひろしは歯とおデコをキラリと光らせた。

ひろし「ハッハッハ…!お嬢さん、お名前聞いていいかな?」

「あ、大原です…でも…あの、奧さまが…」

ひろし「奧さま?いやぁ、妻は先に…」クルッ

後ろを向くと、店の外で鬼の形相でこちらを見ているみさえがいた。

ひろし「あっ…ハハッ、ハハ…じゃ、おっ大原さん、また来るよぉっ…!」ガクガク

「ありがとうございましたぁ…」



キィ…

ひろし「どどどどうしたみさえ~親父は見失っちまったか?仕方ないなぁ…!」

みさえ「…あ?」

ひろし「ごめんなさい」

みさえ「調子に乗るんじゃないわよ?あんな若い子相手にね…」

ひろし「ひいっ!勘弁してくれよ…」

みさえ「まぁ、今日はお父さん追いかけないといけないし…仕方ないわね」

ひろし(ホっ…)

二人は銀之助らしき人物の向かった方へ向かった。


ひろし「あれ~?いねぇな…」

みさえ「変ねぇ…一直線の道だから遠くからでも見えていいはずなんだけど…」

ひろし「でも親父はなんでこんな所歩いてるんだ?そんなに土地勘あったっけ?」

みさえ「お父さんは相変わらず元気だから…散歩でもしてるのかしら?」

一直線の道を歩いていると前方に銀之助らしき人物がいた。



ひろし「あっ!いた!おーい!親父ー!」

走り出すひろし。

みさえ「あっ、あなた待って!」

追いかけるみさえ。

ひろし「あれ…聞こえねぇのか?」

みさえ「人違いかしら…でも…似てるわよねぇ」

銀之助らしき人物は、右に曲がってしまった。


ひろし「やべっ!見失っちまう!」

………



走るスピードを上げて二人も右に曲がる。

ひろし「はあっ…あれ…?」

みさえ「やだぁ… 」

銀之助らしき人物が民間に入って行くのが見えた。

ひろし「あれ~…人ん家に入っていったぜ!?」

みさえ「人違いだったみたい…」

ひろし「なんだよぉ~…ここまで来たのに最悪だぜ」

みさえ「元はと言えばあなたが悪いのよ!勘違いするから!」

ひろし「あ?お前だって親父だと思ってたじゃねぇか!」

みさえ「だってあなたがそう言うんだもん!もー!あなたが悪い!もっとあのカフェにいたかったわ!」

ひろし「んだよー!そんな言い方ねぇだろ?!」

ケンカになってしまった。


みさえ「なーにーよー!本当のことでしょ??!!」

ひろし「あん?!なんだよお前ー!」

いつしか二人の周りには人が集まっていたが、そんな事は全く眼中に無かった。

みさえ「あーやだやだ。すぐ怒っちゃうんだもん!子供みたい!」

ひろし「なんだよー!お前はいちいち一言多いんだよ!」




「うるせー!!!人の家の前でなにしてんだー!!!」



ビクッ…!!

ひろし・みさえ「「あ、やば…」」


「いい大人がなにしてんだー!」


先ほど銀之助のそっくりさんが入っていった民間から誰か出てきた。

ひろし・みさえ「「ごめんなさーい!!」」

頭を下げる二人。

「おめぇら!うるせーべ!!こんな住宅街でなにを…………あれ?」

「あんたら…ひろしとみさえさんかい?」

「えっ?」と二人は頭を上げ、恐る恐るその人を見た。

「なーにしてんだーおめぇら~」


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ひろし・みさえ「「親父?!・お父さん?!」」

そこにいたのは銀之助のそっくりさんでは無く、正真正銘の銀之助だった。

ひろし「おっ、親父こそなにしてんだよ!!」

みさえ「そうですよ~!こっちに来るなら来ると…」

銀之助「はっはっは!いや~今回だけは秘密にしておきたかったんじゃ!」

「でも…もう隠せなさそうじゃな…」

ひろし「どういうことだ?」


ガララ…

?「野原さん、どうしました?大丈夫ですか?」

民家からまた別の人が来た。
銀之助よりは少し若い、おじいさんとおばあさんだ。

銀之助「いやー!大原さん!悪いなぁ、大丈夫ですよ!」

おじいさん「そりゃあ良かった。…で、そちらは?」

銀之助「あ、この二人な、例の息子夫婦だ。なんか偶然会っちまったみてぇだ~」

おばあさん「あらあら、こりゃサプライズも失敗じゃないかい?」

みさえ「一体どういうことなの…?」

ひろし「いやぁ…さっぱり…」

おばあさん「立ち話もなんですから、皆さんお上がりくださいな」ニコッ

おじいさん「寒いからな、ほら、早く」ニコッ

おじいさんとおばあさんは笑顔が素敵な人だった。


いそいそと家に上がる二人。

おばあさん「お茶淹れるんで、座ってて」

みさえ「あっ、お気遣い無く…!」

客室に着いた。

おじいさん「さ、お座りください…」

ひろし「失礼します…」

みさえ「なんか…まったく状況が掴めないわ」ヒソヒソ

ひろし「俺だって…なにが何がなんだか…」ヒソヒソ



おばあさん「お茶、お持ちしました…」

お茶を置き、おばあさんも座った。



ひろし「あの…これは一体…」

銀之助「うーん…どこから話そうかの…」

みさえ「えっと…まず、大原さん?とお父さんはどこてお知り合いになったのですか?」

銀之助「大原さんとはネットで知り合ったんだ~」

おじいさん「そうなんです。SNSを通じてね」

相違っておじいさんはノートパソコンを持ってきた。

おじいさん「これです」

ひろし「…これ…フェイスブックですか?」

おじいさん「そう。最初は趣味が合うので友達になったんですよ」

銀之助「それに春我部にお住まいっちゅーことでな!いつか会えるんじゃねーかと思ったんだべ!」

おじいさん「そう。それで…これが私のブログです…日々の思うことや、植物の写真なんかを載せているんです」

みさえ「すごいわぁ~!本格的…!」

ひろし「でも…俺たちは関係無いんじゃあ…」

銀之助「いや!それがなぁ~大いにあるんじゃ」

おじいさん「この日のブログです。読んでみてください」

ノートパソコンをひろしとみさえが見やすい位置に移す。

20○○年○月○日

また産まれました。


我が家で長年飼っている雑種の犬。
また新しい家族が増えました。

元を辿れば、一代目のメスが脱走して、どこかの犬との子を妊娠したのが始まり…

その時は五匹授かりました。

無事に産まれ、三匹は貰ってもらいました。

そして、残りの二匹との間に、子が出来ました。

今回も五匹授かりました。

また貰い手を探しています。

気になりましたらご連絡下さい。




記事の最後には犬達の写真が貼ってあった。



その写真には真っ白で、ふわふわの小型犬がたくさん写っていた。

写真がを見るなりひろしとみさえは絶句した。

銀之助「どうじゃ!オラもたまには役に立つべ!」

おじいさん「野原さんは直ぐに連絡を下さってね…」

おばあさん「でも…何とも不思議な事があるもんだねぇ…」



ひろし「あ…あ…これ…」

みさえ「し、シロだわ…!シロ!シロよ!」


銀之助「本当はオラが連れて、ひろしの家にいきなり行って驚かそうと思ってたんじゃ…」

おじいさん「まぁ…でも、十分驚いているじゃないですか」ニコニコ


ひろし「おっ…親父ぃいい!!」

ガシッ!

銀之助「なんだべ!きもちわりぃ!抱きつくな!お前はホモか!!」

ひろし「親父っ!親父っ!最高の親父だよぉお!」

みさえ「あっ、あのぉ…!」

おじいさん「早速会うかい?」

ひろし・みさえ「「もちろん!!」」

おばあさん「犬たちは二階にいるよ…どうぞ…」

ひろし「こっちですね?!行くぞみさえ!!」

みさえ「えぇ!」

ドタドタドタドタ…

二人は勝手に二階に上がって行ってしまった。

銀之助「はは…こりゃお恥ずかしい…」

おじいさん「おやおや…ははは」

おばあさん「よっぽど忘れられなかったんだねぇ…」

三人も二階に向かった。

ドタドタドタドタ…

足音に反応し犬たちは吠えた。

ワンッ!ワン!

ひろし「ここか?!」

キィ…

ドアを開けるとそのには犬達が集まってこちらを見ていた。

ひろし「あ…は…本当かよ…」

みさえ「嘘みたい…」

二人は犬達に駆け寄り抱き締めた。

ひろし「うおおお…シロっ…シロぉ……うぅ…」

みさえ「シロよ…グスッ…絶対、絶対シロの子だわぁっ!ズズッ…」

二人は大粒の涙を流していた。

ひろし「こんな事ってあるのかよぉ…うおお…ズズッ…」

みさえ「奇跡だわ…ひっく…えっ…うあぁん…」



銀之助「子供みたいに泣きよって…」

おばあさん「でも、本当に奇跡かもねぇ…」

おじいさん「この人たちなら…子犬を幸せにしてくれそうだ…」

ひろしとみさえは、わんわん泣いて喜んだ。

………
……


おばあさん「どれ、落ち着いたかい?」

ひろし「すいません…あんまりにも嬉しくて…」

みさえ「ほんと…恥ずかしいです…へへ…」

おじいさん「じゃあ、どの子犬にするかね?」


ひろし「うーん…やっぱり…この子かな…シロに一番似てる!」

みさえ「私も同じ事考えていたわ!」

おじいさん「おぉ…シロ次郎を選んだか…」

ひろし「あっ、だめでしたか? 」

おじいさん「いやぁ…どの子でも良いんだが…」

おばあさん「シロ次郎はシロ子と仲が良くてねぇ…」

おじいさん「できるならその二匹は引き離したく無いんだ…」


クーン…クーン…

シロ次郎にすり寄る犬。

ひろし「この子がシロ子か…」

みさえ「二匹…かぁ…」

ひろし「………よし!二匹とも引き取ろうぜ!」

みさえ「えっ、でも…」

ひろし「家計ならなんとかなる!しんのすけも社会人になるんだし、大丈夫だ!」

みさえ「ん…そ…そうね、二匹とも迎え入れましょう!」

銀之助「おっ、それでこそオラの息子だべ~っ!」

おじいさん「よかった…」

おばあさん「本当にね…よろしくね…」


引き取る犬も決まったので、一階の客室に戻り、役所への手続きの話などをした。

………



おじいさん「…ということで、よろしくお願いします」

ひろし「こちらこそ、ありがとうございます!!」



ガララ…

「ただいまぁ~!あれ~?誰か来てるの~?」

おばあさん「おや、孫だ…すいませんねぇ…大声で…」

おばあさんは部屋を出て孫の所に向かった。

おばあさん「こら!今お客さんが来てるんだよ!」

?「あっ、ごめん!…もしかして、犬貰ってくれる人?」

おばあさん「そうだよ…お前も挨拶しておくかい?」

?「うん!どんな人か確かめなきゃ!」

部屋の外からそんな会話が聞こえてきた。

おじいさん「いやぁ…みんな声が大きくて…お恥ずかしい…」


みさえ「いやぁ…私たちも大声でしたし…あははは…」

おばあさんが戻ってきた。

おばあさん「悪いねぇ…孫がどうしても挨拶したいっていうから…ほら!」

?「失礼します……あれ?」

ひろし「ん?あーっ!」

みさえ「あら!さっきの…!」

銀之助「可愛い子じゃあ…////」


おじいさん「あれ?顔見知りでしたか?」

みさえ「顔見知りというか…なんというか…」

?「さっき私のバイト先に来てくれたお客さんだよ~!」

ひろし「なんか今日はすごい日だなぁ…」

みさえ「偶然が重なるわね…」

?「あっ…さっきはありがとうございます…私、大原ももこって言います」

ももこ「さっき急いでた理由はこの事だったんですか?」

ひろし「いやぁ…それが…」


さっきあったことを話した。

ももこ「へぇ~そうだったんですね!」

「ふふ…でも、子犬たちも野原さんなら安心して任せられます♪」

銀之助「そんなことより、ももこちゃん可愛いのぉ…///そのバイト先とやらはどこだべ?///」

ひろし「親父…辞めてくれよ…」


あはははは…


そのあとは少し談笑していた。
あと、銀之助は子犬の為に首輪とリードを買っておいてくれていた。

カチッ…

ひろし「よし!これで大丈夫だな!」

みさえ「シロ子の首輪も付けたわ!」

銀之助「じゃあ、大原さん、世話になりました」

おじいさん「いえいえ、こちらこそ良かったよ…」

おばあさん「たまに遊びにいらっしゃいな…」

ももこ「待ってます!」

おじいさん達は犬たちを抱え、犬の腕を持ちバイバイと手を動かした。

ひろし「失礼します…」

三人は家路についた。

ひろし「それにしても…親父…本当びっくりしたよ…」

みさえ「本当…!まさかこうなるなんて…」

銀之助「はっはっは!お前達の喜ぶ顔が見たくてな!」

ひろし「粋なことしてくれるぜ!……シロ次郎!シロ子!これからよろしくな!」

ワンッ!ワンッ!

みさえ「あら、シロに似て賢いのね…」


ひろし「あ、そういや、こいつらの小屋どうしよう…」

みさえ「いけない!忘れてたわ…」

銀之助「まだ小さいししばらくは家の中で飼うじゃろ?」

ひろし「そうだな…ま、後々考えればいいか!」

みさえ「そうね…」


ガチャガチャ

ひろし「ただいまー!ひまわりー!?いるか?!」

ひまわり「父さん?やっと帰ってきたぁ~!」

トントントン…

二階からひまわりが降りてきた。

ひまわり「んもぉ~お腹すいた……え?」


ひまわり「おじいちゃん?!」

銀之助「ひまわりちゃん!元気しとったかの?」

ひまわり「またいきなり来…て………」

「シロ…シロがいる…二匹…どどどぉうしよぉ!シロの霊がぁ!」

みさえ「もー!霊じゃないわよ!本物!」

ひろし「そうだ!新しい家族だ!」

ワンッ!

ひまわり「あ…あは…可愛い…!!なんで?どうして?!」

銀之助「じいちゃんからのサプライズだべ!」

銀之助はピースサインをした。

ひまわり「えぇ?よくわかんないけど…可愛い~!もふもふだぁ~///」

みさえ「黄色の首輪がシロ次郎。ピンクの首輪がシロ子よ」

ひまわり「えへへ…本当に可愛いゾ////」

銀之助「そうじゃ!写メ撮ってやるべ!玄関に並べ!ほら!」

言われるがまま並ぶ三人と二匹。

銀之助「はい、チーズ!」

カシャッ

ひまわり「おじいちゃん、あたしの携帯でも撮って!」

銀之助「任せろ~………はい、チーズ!」



ひまわり「えへへ…兄ちゃんにメールする…///」

みさえ「きっと喜ぶわよ!ふふふ」

ひろし「よし!今日は親父も、新しい家族も来てくれた事だし、パーっとやろうぜ!」

みさえ「出前でも取りましょうか!」

ひまわり「やったぁ~!」

銀之助「酒な用意してある!」

ワンッ!

ワンッ!

シロ次郎もシロ子も嬉しそうだ。

~~~♪~~~♪

しんのすけ「メール…」

(ひまわりか…)

件名:速報!!
本文:家族が増えたよ!
兄ちゃん絶対喜ぶよ!


しんちゃん?
早く帰ってらっしゃい!
美人のママより


添付ファイル有り


(ま、まさか、母ちゃん妊娠したとかじゃないよな…取り敢えずこのファイル開こう…)

「…あ………」


ひろし「やっぱ寿司か?!それともウナギか?!」

みさえ「あーんピザも食べたいわ~」

銀之助「若いお姉ちゃんも電話で呼ぼう!」

ひろし「はっはっは!親父!ちょっと違うぜ!飯の後に呼ぶもんだ!そりゃデリ」
みさえ「二人ともやめなさい」




~~♪~~♪~~♪

ひまわり「あっ!兄ちゃんから返事来たぁ」



件名:Re:速報!!
本文:今から帰る




終わり

シロ.jpg


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風間くんの甘酸っぱい子守。 [恋愛]





僕の名前は風間トオル。
ふたつ橋大学在学、テニスサークルに入ってる。
幼い頃から勉学に力を入れていた僕だけど、中でも英語には自信がある。

将来は父の様な、世界に出て仕事をこなす人になることかな。



風間「えっ、親戚の子の子守り?」

母「そうなの。どうしても面倒見る人がいなくてね…トオルちゃんしか頼れないのよ…」

風間「そっか…でもその日なら予定も特に無いし、大丈夫だよ」

母「本当?じゃあそう伝えておくわ。まぁ18時くらいまでだから、よろしくね」

風間「任せてよ、ママ」

どうやら遠い親戚のおじさんが亡くなったらしい。僕はあまり面識が無いので、葬儀には出なくても大丈夫だそうだ。

しかし、その親戚の家にはまだ2歳の小さな子がいる。
葬儀の当日はどうしても忙しいのでその日だけ面倒を見て欲しいそうだ。

~そして当日~

母「トオルちゃん!そろそろ出るわよ!」

風間「うん!今行く」

母「今日はお願いね。泣かしちゃだめよ」

風間「大丈夫だよ!中学生の時に職場体験で保育園に行ったことあるし、経験が無い訳じゃないからね」

少し長い前髪をかきあげながら自慢気に話す。

母「うーん…ま、トオルちゃんなら大丈夫ね」

風間「そういえば、その子の名前何て言うの?」

母「ユウキちゃん、だったかしら…ほら、昔ハガキが来てたじゃない」

風間「あ~あったあった!目が大きくてまん丸だった子だね」

母「よく覚えてるわね…記憶力が良いのね。流石だわ」

風間「あっ…う、うん!そうだね!ママ!!」

(どうしても小さい子は気になっちゃうんだよな…まぁ、ユウキちゃんって、男の子だな)

葬儀の会場も親戚の家。
僕もママと一緒に行って、ユウキちゃんを引き取る。

母「着いたわ」

玄関先にはすでに親戚の人が立って待っていた。

親戚のおばさん「風間さん、こんにちは!トオルくんも大きくなったわねぇ…」

風間「こんにちは、今日はしっかりとユウキくんの面倒を見させて頂きます」

おばさん「まぁ…頼もしいわ♪でも、男の子じゃなくて、ごめんなさい…ほら…」

「え?」と風間くんと母は首を傾げた

ユウキ「こんに…ちは…」

おばさんの陰からひょこっと顔を出した子がユウキ。
ハガキの写真通り、目は大きくてまん丸だ。

しかし、髪は長くツインテール。
可愛らしい水色のワンピースを着ていた。

おばさん「夕日の夕に、希望の希で、夕希よ。よろしくね。」

母「あらやだ、ごめんなさい…勘違いしてましたわ…」

風間「僕も…勝手に男の子と決め付けてしまいました…ごめんなさい」

おばさん「いいのよ!よくあるもの…ユウキなんて男の子の方が多い名前だし。ま!とにかく今日はよろしくね♪」

風間「はっ、はい!」

母「じゃあ、18時からここで皆で夕食も頂くから、それまでに帰ってくるのよ」

おばさん「お願いね~助かるわ~♪」

風間「夕希ちゃん、行こっか」

夕希「いや…」

おばさんの服をぎゅっと掴んで離さない。

おばさん「こら!ママはこれから忙しいの!今日はお兄ちゃんに遊んでもらうのよ?」

夕希「やぁの…」

おばさん「まいったわ…もぅ…」

風間「あっ、ちょっと待ってください!」

風間はポケットから一枚のカードを出した。

ュアプリのキラキラレアカードだ。

夕希「あっ!きゅあぷりぃー!」

風間「これあげるから、お兄ちゃんと遊ばない?」

夕希「うん!いーよ」

おばさん「いいの?高いんじゃない?」

母「あら、いつ買ったの?」

風間「い、いや!これ貰い物なんだ!今日もしかしたら使えるかなって思ってさ!」

おばさん「なんだか気を遣わせちゃったかしら…ありがとうね」

風間「いえ、そんな事は…」

母「トオルも考えててくれたのね、よかったわ」

風間「はは…じゃ、夕希ちゃん行こっか!」

(ロリコンって思われちゃうとこだった…このカード3枚持ってるからあげてもいいなんて言えない…)

夕希「ママまたねー!!」

………
……


風間「ふぅ…なんとかなりそうだな」

(それにしたって…可愛いなぁ…////昔好きだった魔法少女もえPのはづはづにちょっぴり雰囲気が似てるなぁ////)

風間「夕希ちゃん、キュアプリ好きなの?」

夕希「うん!しゅき~」

風間「どのキュアプリが一番好き?」

夕希「ぴーすきゅあぷり!」

そう言ってピースキュアプリの変身ポーズを真似て見せてくれた。

風間「すごい!上手だね~!」パチパチ

夕希「えへへ…///ゆーきは大きくなったらね、きゅあぷりになるんだよお!」

風間(うおおおおおおお////可愛いよ!可愛いすぎる!!!!///)

「そっ、そうだ、夕希ちゃんは今何歳?」

夕希「あした!あした3さい!」

風間「明日?!それはおめでたいね~…お兄ちゃんからプレゼントあげようか?」

夕希「ほんと?!やったぁ!お兄ちゃんやさしい!」

風間(あー本当に可愛い///明日は7月7日…七夕か。だから夕の字を名前に使ったのか…)

風間「えへへ…じゃあサトーココノカドーでも行こうか」

夕希「うん!いくー!」

「…お兄ちゃん…?」

風間「どうしたの?歩くの疲れた?」

夕希「お兄ちゃんはお手て、にぎってくれないの?」


ズキュゥゥゥウウウウン!

風間「あっ、ごめんね、忘れちゃってたね。はい」

夕希ちゃんの手を優しく握った。
少しだけかがまないと繋げないのが辛い…

でも、なんだかすごく嬉しい。夕希ちゃんの手はとっても小さくて…あったかかった。

風間「さ!ついたよ!」

夕希「やったーやったー!」

さっそくおもちゃ売り場に向かう

風間「どれが欲しいのかな?」

夕希「うーんとねー、これ!」

そう言って指差したのは

風間「キュアプリなりきりセット?」

(服だけじゃなくて、道具とか小物とか全部そろってるんだぁ…すごいや///)

「そっか、どれどれ…値段は…」

(げっ!一万六千円??!ちょっとこれは買えないな…)

夕希「お兄ちゃん…だめ?」

(ああああ…そんな眼差して見られたら…///)

風間「えーっとね、うーんと…あっ、夕希ちゃん、このお洋服はもう少し大きくならないと着られないよ?だからさ、こっちにしたら?!」

とっさに近くにあった、ピースキュアプリのカチューシャを取った。

夕希「あ!こっちでもいいよぉ~!」

風間「よかった…」

さっそくレジに持っていって、一応ラッピングしてもらった。

風間「はい、お誕生日おめでとう」

夕希「ありがと!あけていい?!」

風間「えっ、あ、いいよ!」

(ラッピング無駄だったかな…)

夕希「じゃあこっち!こっち!」

夕希ちゃんにグイグイと腕を引っ張られ、エスカレーターに乗った。

風間「どっどこ行くの?」

夕希「こっちなのー!上だよー!」

風間(上…?)

着いたのは屋上だつた。

風間「上って屋上の事かぁ…」

夕希「こっち!こっち!」

近くのベンチに誘導された

夕希「えへへ…ここゆーきのイス!」

風間「そうなんだね」

ベンチに座り、さっそくカチューシャを出す夕希ちゃん。

包装紙をベリベリと剥がすと思っていたが、きれいに包装紙から取り出して、折り畳んだ。

風間「わぁ…夕希ちゃん偉いね!きれいに畳めてすごいなぁ」

夕希「そうでしょ!ママが教えてくれた!」

風間(なんて良い子なんだろう…//)

なんか日本語変ですみません。


夕希「ねーねー!これ、つけて!」

カチューシャを風間に渡す

風間「いいよ」

夕希ちゃんにカチューシャをつけて、髪型を少し整えてあげた。

風間「はい、できたよ」

夕希「ありがとー!お兄ちゃん!」

ぎゅっ

風間(だ…抱き付かれた…////可愛いよおお!)

「えへへ…あは…どういたしまして…//」

夕希「お兄ちゃん、お顔がまっかだよ?」

風間「えっ?!うそ…はは…あ、暑くなってきたのかな!……あ!夕希ちゃんソフトクリーム食べようか?!」

夕希「えっ、いいのー?!たべる!たべたい!」

風間「(なに小さい子に動揺してるんだ僕…)じゃ、買ってくるからそこに座っててね」

夕希「はーい!」

ベンチから数歩程離れた売買に向かった。

「いらっしゃいませ!」

風間「えっと…ソフトクリームが1つと、オレンジジュース下さい。氷抜きで」

「かしこまりました!」

風間(もう13時か…これ食べたら軽くご飯食べに行こう)

「お待たせしました、またお待ちしております」

風間「どうも…」

「夕希ちゃーん!買ってきたよ!!」

夕希「やったあ!ママに自慢できる!」

「ママー!…ママ?あれ?」

夕希「ママいないよー?なんで?」

風間「ママはお家だよ?」

夕希「なんで?なんで?ママ…うっ…ママぁ…うわあぁぁぁん!」

夕希ちゃんは泣き出してしまった。

風間「ええっ?!うそ…どうしよう…」

夕希ちゃんの頭を撫でてみたりしても「嫌だ」と手を跳ね返されてしまう。

それと同時に手に持っていたソフトクリームを落としてしまった。

夕希「うわあぁぁぁん!ぞぶどぐりーむ゙ううううう!!あーん!!」

風間「うそ…どうすればいいんだよぉ…」

夕希「びえぇぇぇええええ!!」

どんどん鳴き声が大きくなってきた

風間「うわあ…泣きたいのは僕だよぉ…」

(あれを出すしかない…)

「夕希ちゃん!見て!ピースキュアプリの激レアカードだよ!!(これは僕が四回目の大人買いをしてやっと手に入れた特別なカード!これで大丈夫だ!)」

夕希「うっ…ぴーす…あ…ママあああああ!!ママー!!!あーーー!!」

風間「ええっ!?このカードがダメならどのカードならいいんだよぉ!」

大きくなる泣き声は周りの人の注目を集めた。

『ちょっと…なにあれ…』
『誘拐…?』

風間「これじゃあ誤解されちゃう…」




「ちょっと!なにしてるの??!!」


風間(あ…僕は…終わった…)

?「んもー!なんでこんなに泣いてるのに放っておくの?」

風間「いや…僕は…」

いきなり来たその人は、夕希ちゃんの手を握りしめて、「大丈夫、大丈夫だよ…」と慰めた。

夕希「うぅ~…ぐすっ…」

?「落ち着いたかな?鼻かむ?」

夕希「ん…」コク

?「はい、ちーん!」

夕希「ちーん!ふわ…ひっく…」

どうやら泣き止んだようだ。

?「ジュース、ください」

風間「へっ?あ、これ?」

オレンジジュースをその人に手渡した。

ぽかーんと二人を眺める事しか出来ない自分が恥ずかしかった。

風間「あっ、あの…!」

?「なんですか?」

風間「ありっ、ありがとうございます」

?「これくらい、大丈夫です…それより、誘拐とかじゃないですよね…?」

風間「違います!!親戚の子なんです!!」

?「そう…ならいいんですけど…泣き止んだし、私そろそろ」

夕希ちゃんに「ばいばい」と言ってその人は歩き出した。

風間「あ、あの!!」

?「今度はなんですか?」

風間「(やばい…ちょっと怒ってる)お礼したいんですけど…!あの、お昼ご飯ごちそうさせてください!!」

?「いや、そういうのいいんで…」

夕希「お姉ちゃんとご飯食べたい…」

風間「あ、あの!夕希ちゃんもそう言ってるんで…」

夕希ちゃんはその人に駆け寄り抱きついた。

?「な、ちょ…(か、可愛い~///)」

風間「あの…」

?「仕方ないですね…お昼だけですからね」

風間「わぁ!ありがとうございます!」

夕希「ありがとーござます!」

風間「あ、あの、あなた売店の方ですよね?」

?「そうです。まだ制服なんで…ちょっと着替えなきゃいけないので、ここで待っていてもらえませんか?」

その人は深くかぶった帽子を取った。

その人はショートカットがとても似合ってた。
目鼻立ちがよくて、色白だった。

風間「…きれい……」

?「じゃあ、すぐ戻るので…」

夕希「きれいなお姉ちゃんだったね!」

風間「んあ…え、あ、うん、そうだね!」

(あんなにきれいな人初めて見た…)

10分くらいしたらその人は戻ってきた。

?「お待たせしました」

風間「あ、いや!」

夕希「おねーちゃん!」

また抱きついた

?「あらあら、どうしたの?(この子めっちゃ可愛い…////)」

風間「そういえば…お名前伺ってなかったですね…僕は風間トオルです。今は大学四年生です。」

?「あ、そうですね。私はユウキです。専門学校通ってます。2年生です。」

夕希「ゆーきはゆーきだよ?」

ユウキ「え?」

風間「あ、その子も夕希って名前なんです!」

ユウキ「そうなんだ!お名前一緒だねぇ」

「なんだか嬉しいな♪」

にこにこ笑うユウキさん。

風間(笑うと、もっときれいだな…///)

ユウキ「この子の名前はどういう漢字で書くんですか?」

風間「あ、夕日の夕と、希望の希です!七夕が誕生日だから…多分…」

ユウキ「じゃあ明日誕生日なんだぁ…おめでとー♪」

風間「あの、あなたは…」

ユウキ「私?私はそのまま…勇気だよ。」

風間「courage?ですか?」

勇気「英語…発音良すぎてちょっと分からないですけど…多分合ってますよ(なんだこいつ…頭いいのかな?)」

風間「(発音褒められた///やっぱ僕って優秀なんだなぁ…)はは、そっか!」

「そうだ、なに食べに行こうか?この辺りで夕希ちゃんも行けそうなのは…、ファミレスか、回転寿司か、中華料理かな…?」

夕希「ゆーき何でも食べられる!」

風間「じゃあ、勇気さん決めてください」

勇気「あ…じゃ、じゃあ…ファミレスでいいですか?」

風間「わかりました。じゃあ行きましょう」

夕希「おこさまらんちー!」

三人で手を繋ぎながらファミレスに向かった。

勇気「夕希ちゃん、スキップして…楽しそう」

風間「そうだねぇ…でも本当、勇気さんがいて良かったです」

勇気「はは…でも、あたし夕希ちゃんが可愛くてついてきちゃった感じです…えへへ…」

勇気は苦笑いをした。

「いらっしゃいませ!デニズーへようこそ!」

風間「三人なんですけど…出来ればボックス席がいいのですが…」

「では、こちらへどうぞ!」

窓際のボックス席に誘導された。

夕希「ちっちゃいいす…ない…」

風間「あ!借りるの忘れちゃった…」

勇気「わたし借りてきますねっ!」

風間「ああっ!僕が…」

(行っちゃった…なんか僕、男らしくないっていうか…頼りないっていうか…)

夕希「ありがとー!」

風間「ごめんね、なんか色々と…」

勇気「いいですよ、大丈夫」

風間「う、うん…じゃ、じゃあ、なに食べようか?好きなの頼んで!」

夕希「おこさまらんちー!ぱふぇー!」

勇気「なんでもいいんですか?」

風間「もちろん!」

勇気「いっぱいでもいいんですか?」

風間「…?たくさん食べていいよ?」

(こんな華奢な子だし、少食なんだろうなぁ…)

勇気「じゃあ…決まりました!」

ピンポーーン…

「お待たせしました、ご注文お決まりですか?」

風間「お子さまランチと、カルボナーラのサラダセットと…」

勇気「私は、ハンバーグのAセットで、あと季節のサラダと、たらこパスタとミニドリアで…」チラッ

風間の方を見た。

風間「へ?あ、あ、あとドリンクバー2つで!」

「か、かしこまりました!お子さまのドリンクバーは無料ですので、ご自由にどうぞ!」

勇気「ドリンクバーいってきますねー、なに飲まれます?」

風間「あ…コーラで…」

勇気「わかりました。夕希ちゃん、一緒に行こうか♪」

夕希「いくー!」

風間「勇気さんって…よく食べるんだなぁ…すごいや…」

(痩せの大食いってやつ?…本当にいるんだー…)

窓からの景色を眺めながらぼーっとしていた。

(ん…?あ…短冊だ…)

すぐ近くの商店街の文房具屋では、明日の七夕に向け、竹に短冊をつけられるイベントを行っていた。

(結構大きい竹を使ってるなー!すごくきれいだし…後で行ってみようかな…)

勇気「お待たせしました~っ」

風間「あ、ありがとうございます」

勇気「あの、私、年下ですし、敬語じゃなくても大丈夫ですよ?」

風間「あぁ…そっか!専門の二年生ってことは、二十歳?」

勇気「そうです。風間さんは、二個上ですよね」

風間「そうだよ。ふたつ橋大学の四年生さ」

勇気「(そこまで聞いてねーよw)わぁ!ふたつ橋大学なんて、すごいですね!」

風間「ははっ、まぁ、幼い頃から母にしつけられてきたからね…」

勇気「そうなんですねぇ~(やばい変な人かも…)」

「失礼します。こちら、お子さまランチのおもちゃ、お一つお選びください」

勇気「あ、夕希ちゃんどれにする?」

夕希「んーとね、んーとね、これ!」

プラスチックのパズルを選んだ。
無言でもくもくと遊び始めた。

風間「すごいなぁ…」

勇気「熱心で、可愛いなぁ」

風間「あ、そういえば、勇気さんって名前…女の子でその漢字使う人初めて見たなー」

勇気「あー…そうですよね!私も会ったことないです」

風間「なにか理由あるの?」

勇気「深い理由は無いんですよ!ただ、親が愛と勇気って言葉が好きなだけで…ははは」

風間「じゃあ愛にすればいいのにね」

勇気「そうなんですけど、姉がいて、愛っていう名前なんです。次は男の子!って思ってたらしいんですけど…女の子だったんで…」

「まー結局、そのまま勇気になったんですよ」

風間「そうなんだね~…でもさ、ステキな名前だよね」

勇気「(えっ…ドキッ…)いや…」






「お待たせしました!セットのサラダとスープです!」

風間「あっ、どうも…」

勇気(なんでこんな変な人にドキドキしたんだろ…)

風間「夕希ちゃん、僕のサラダ少し食べる?」

夕希「………」

風間「ははは、パズルに夢中だ…」

ニコニコ笑う風間。

勇気(……あ……///)

風間「どうしたの?暑い?こっち暖房あんまり当たらないから席交換しようか?」

勇気「へ…あ…いや!なんでもないです!大丈夫です」

風間「気を使わなくていいからね、交換したいとき言ってね」

勇気「ありがとうございます…」



「お待たせしましたー!」

頼んでいた料理が次々ときた。


風間「夕希ちゃん、ご飯きたよ?」

夕希「うん…まだ…」

風間「ご飯の時はパズルだめだよ?」

夕希「いまはご飯いらない…」

風間「だめっ!」

夕希ちゃんのパズルを取り上げた。

夕希「ゆーきの…返して!」

風間「ご飯食べたら返します」

「ご飯の時は遊びながらはダメなの!夕希ちゃんなら分かってくれるよね?」

夕希「うぅ…」

勇気「風間さんちょっと言い過…」
夕希「わかったぁ…」

風間「いい子だね」

夕希ちゃんの頭を撫でた

夕希「えへへ…///」

風間「じゃあ食べようか」

勇気「へぁ、あ、はい!いただきます!」

(良いとこあるじゃん、ただのナルシストかな?)

風間「勇気さん…かなり食べますよね…」

勇気「えっ、あ…へへへ…よく言われます…」

風間「いつもそのくらいは食べちゃうの?」

勇気「うーん…今食べてる量と、あとパスタ二皿ならいけますね…モグモグ」

風間「(うわっ…すごいな…いけますって…)へ、へぇそうなんだぁ~」

勇気「食べるの好きなんですよねぇ~」

………



風間「ふぅ、ごちそうさま」

夕希「ゆーきも全部食べた!」

勇気「ごちそうさまでした。風間さんありがとうございます」

風間「(えっ!もうあの量たべちゃったの??!!)あ、うん!どういたしまして!」

夕希「甘いの食べたい…」

勇気「あっ!それなら、美味しいクレープ屋さん、すぐそこにあるんですけど行きませんか?」

夕希「くれーぷ!食べるー!」

風間「じゃあ、行こっか(すごい胃袋だ…)」

会計を済ませて店を出た。

勇気に着いていく。クレープ屋さんは文房具屋の向かいにあった。

風間「あれ?こんなお店あったっけ?」

勇気「先週できたばっかりです!すーごく美味しいですよ!生地がモチモチしててぇ~…」

風間「そうなんだぁ!」

お腹はいっぱいだが、美味しそうな甘い匂いを嗅ぐと食欲がわいた。

風間「あ…でも、僕らは夕希ちゃんと半分こしますね。18時には夕飯なので…」

勇気「そっかぁ…じゃ!私のオススメ買っちゃうので、ちょっと待っててください」

勇気「どうぞ!」

イチゴがたくさん入ったクレープを2つ買ってきた

夕希「わーい!おいしそうー!」

風間「本当だぁ…!」

さっそく夕希ちゃんに一口食べさせた

夕希「んー!!おいひぃ!」

風間「僕も食べよ!」モグモグ

「本当だ!すごく美味しい!」

勇気「えへへ…あたしもう三回も来てるんです…」

風間「でも、こんなに美味しいなら通っちゃうよ…また行きたいな」

夕希「ゆーきもー!食べたい!」モグモグ

勇気「あっ、夕希ちゃん、クリーム付いてるよ?」

勇気「今ふいてあげるからね」

そう言ってハンカチで夕希ちゃんのクリームをふいた。

風間(わぁ…///なんか絵になるなぁ///)

勇気「私にもクリームついてますか?」

風間「(見すぎた!)いや、ついてないよ!大丈夫!」

「あ、そうだ!食べ終わったらさ、そこで短冊書いていかない?!」

勇気「あ、実は私も気になってたんです♪」

夕希「ゆーきもー!」

風間「じゃあ、行こっか!」

食べ終えた三人は文房具屋まで歩く。

風間「近くで見ると迫力あるっていうか…結構大きいなぁ…!」

勇気「本当ですね!それに飾りもきれい…」

夕希ちゃんは笹に触れようとぴょんぴょんとジャンプして楽しそうだ。

勇気の言う通り、飾りもきれいだ。
流石文房具屋さんはきれいな折り紙などを使っている…

店員のおじいさん「おやおや、お嬢ちゃん書いていくかい?」

夕希「かく!かく!」

勇気「私たちも書いていいですか?」

おじいさん「いいよ、好きな短冊を選びなさい」

短冊はきれいな千代紙でできていた。

夕希「きれい!ゆーきこれ!」

ピンク色の短冊を選んだ。

勇気「じゃあ、私はこれ…」

風間「僕はこれにしよ」

勇気は黄色、風間は青い短冊を選らんだ

風間「夕希ちゃん、文字書けるの?」

夕希「ゆうきだけ書ける!でも、あとは分からない…」

風間「じゃあ、書けないところは僕が書くね、お願い事教えてくれるかな?」

夕希「んーとね、んーとね!おじいちゃんといっぱいあそべるように!! 」

「おじいちゃん、ずっと病院いたからあそべなかったの…」

風間「えっ…」

夕希ちゃんの言うおじいちゃんとは、先日亡くなったおじさんの事だ。

風間「夕希ちゃん…わかった!そう書くね」

(本当にこれでいいのかな…)

勇気「浮かない顔してますよ?」

風間「あ…いや、ははは…」

夕希「おにーちゃーん!はやくー!」

風間「あっ、あ…の…あ…」

勇気「…夕希ちゃん、夕希ちゃんは大きくなったらなにになりたいの?」

夕希「え~?ん~?キュアプリだよ?」

勇気「そっかぁ…それならキュアプリになりたいって書かない?おじいちゃんと遊べないならさ、お姉ちゃんとお兄ちゃんが遊んであげるよ?」

夕希「うぅ~ほんと~?」

勇気「本当だよ…指切りげんまん」

「「うーそついたらはりせんぼんのーます!」」

夕希「えへへ…キュアプリにする~!」

風間「そうだね!今書くね!」

(よかったぁ~!救われたよ…あのまま書いていたら嘘ついてるみたいで、いい気しないし…)

早速書いて夕希ちゃんに名前を書かせた。

勇気「風間さんはなんて書くんですか?」

風間「僕は…これ!」

『父の様な人間になる』

勇気「わぁ…なんかすごいですね!!」

風間「僕は父を本当に尊敬しているんだ。勇気さんは?」

勇気「私ですか…?私は…」


『日本一のエステティシャンになる!!』

風間「エステティシャンになりたいんだね!すごいよ!」

勇気「いやぁ…そんな…」

夕希「えすてししゃん?」

勇気「エステティシャン…夕希ちゃんが大きくなったら、してあげるね♪」

夕希「うん!うん!」

風間「エステが分かってるのかなぁ…はは」

勇気「わかんない…ふふ。でも、私こんな笑顔が見たくて、エステティシャンになりたいなって…」

風間「ついでに僕のママもきれいにしてあげてよ」

勇気「えへへ、安くしますよ~♪」

風間(なんか、楽しいなぁ~…落ち着くし…)

勇気(さっきママって言ったような…いや、絶対言った。風間さんてナルシストでマザコン?w)

短冊を付けて、時計を見た。

風間(やば…もうそろそろ帰らないと…少し早めに帰った方がいいよね…)


女「あ、あの~」

女性に声をかけられた

風間「はい?」

女「もしよかったら、写真とってくれませんか?」

風間「もちろん。いいですよ」

女「よかったぁ!」

男「嬉しいね!」

夫らしき人からデジカメを受け取った。男女は竹の前に並びピースをした。

風間「はいチーズ」

女「ありがとうございます!…見て見て!笹の飾りもこんなにきれいに写ってるわ!」

男「本当だぁ~!七夕のいい思い出ができたね!」

勇気「あっ…もしよかったら、私たちも撮ってくれませんか?」

夕希「しゃしんとるー!」

風間「写真なら僕が…」

勇気「三人写らなきゃ意味無いですよ!」

勇気は女性にスマホを渡した。

女「ほらほら、撮りますよ~っ!」

勇気「風間さん、ピース!」

風間「あっ、うん」

カシャッ

風間(女の子って本当に写真好きだなぁ…)

勇気「ありがとうございます!」

女「こちらこそありがとう♪写真撮ってもらえてよかったね、ヨシリン♪」

男「優しい人たちでよかったね、ミッチー♪」

ヨシリン「あっ、そろそろ帰って夕飯の用意しよ!ミッチー」

ミッチー「そうね、今日もヨシリンに喜んでもらうために頑張るわ!」

ヨシリン「ミッチー…愛してるよぉ~」

二人は帰っていった。


勇気「なんかすごい人てした…」

風間「うん…まぁ、いい人達みたいだったから…はは」

夕希「ねぇねぇ、まだママに会えない?」

風間「しまった!そろそろ帰らなくちゃ!」

勇気「えっ!本当ですか?!あの!写メ送ります!」

風間「えっと…じゃあ、僕のアドレス簡単だから口頭で言っちゃうね」

「kazama…………」

勇気「おっけーです!じゃあ後で送りますんで!」

風間「今日は色々とありがとう」

勇気「こちらこそ…なんだかんだ楽しんじゃいました!」

夕希「お姉ちゃんまたねぇ!!」

風間「じゃ!」


風間たちは夕希ちゃんの家に帰っていった。


風間「なんとか間に合いそう…夕希ちゃん、今日は楽しかった?」

夕希「すーーごくたのしかった!きゅあぷりもかってもらったし…お姉ちゃんともあそべたし…」

風間「よかった。また遊ぼうね♪」

夕希「うん!ぜったいだよぉ~!」

風間「うん」にこにこ

(あー本当に小さい子は無垢で可愛いなぁ…)


……………
……


夕希「ただいまーっ!!」

おばさん「おかえり。トオルくん、ありがとうねぇ」

「あらっ!なにこの頭の!?買ってもらったの?!」

夕希「うん!お兄ちゃんがくれたの~」

おばさん「んもー…何から何までありがとうねぇ」

風間「いえ、ほんの気持ちですよ」

おばさん「本当ありがと。あ!ご飯できてるから、手洗ってらっしゃい!洗面所あっちだから!」

風間「はい、お借りします…」





チャララーーン♪



風間「あ、メール…」


件名:勇気です

本文:今日はありがとうございました。夕希ちゃんにもよろしく伝えておいて下さい!

またクレープ食べましょうね!


風間「また、クレープ…食べましょうね…////」

(これってデートのお誘い?!やっぱ僕モテるなぁ~////)

風間は添付されている写メを見た。

(よく撮れてるや………////勇気さん…やっぱりきれいな子だなぁ…///)


母「トオルー!まだなのー?!早くいらっしゃーい!!」

風間「わっ!!!(ま、ママか…)い、今行くよー!!」

(へへへ…今日は楽しかったな…)


風間はその写メを待ち受けにした。


(また、会えますように。)



勇気「ふー…」

(バイト終わって、こがん時間まで遊ぶなんて思わんかった…)

(あたしも帰ろ…)

勇気も自宅に向かった。

(…でも久々に楽しかった…初対面の人とあがん仲良くなるのなんか無いけんねぇ)

(真面目な人やったなぁ…マザコンぽいけど…)


----プルルルルル----プルルルル



勇気「もしもし?なん?」

愛「おー!勇気!元気でやっとっと?!」

勇気「まぁ、ぼちぼちー」

愛「あれー?なんか今日機嫌いいんじゃなか?なんばしよっと?」

勇気「なーんもなか!バイト帰り!」

愛「えー?なんか嘘くさ~!あ、もしかして好きな人でも出来たと??」

勇気「そがんこと無か!!もー
!姉ちゃんこそ何で電話してきたと!」

愛「あ、夏休みとか帰ってくるかなー??って!いつ帰る?」

勇気「それならお母さんにメールしたばい。知らんと?」

愛「知らん!まぁ、帰ってくるっちゃけんね、好きな人の話せろな!」

勇気「だからー!」愛「じゃ!」

ツー…ツー…ツー…

勇気「切りよった…」



勇気(姉ちゃんは…まったく…)

自宅に着いた勇気。

ガチャ

(ふー…疲れたぁ…明日の実習の準備せんば…)

(…メールもせんば!忘れんうちにしよ!)

(今日は…ありがとう…ございます………………うーん……また、クレープ…食べましょう…って書いとくか。社交辞令、社交辞令)

(写メ添付…)

「よしっ!完了」


メールを送り終えた勇気は、ピクチャーフォルダを開き、さっきの写メを見た。

(お!きれいに写ってるやん!…夕希ちゃん、マジ可愛い~////)

(…風間さん…………よく見たらかっこいいかも…ちょっと)

(長崎帰って戻ってきたらお土産でもあげようかね…)

勇気はその写メを待ち受けに設定した。

「さ!明日の準備しよ!」



終わり

風間トオル.jpg







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★人気★しんちゃんと花見に行きたかった。
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★人気★ひまわりの幸せ。
http://bit.ly/18WUHVD

★人気★ひろしの大切な仲間たち。
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風間くんの甘酸っぱい子守。
http://bit.ly/14plnx3

シロが帰ってきた?
http://bit.ly/11AoVvx

★人気★しんちゃんとみさえのウルッとくる話。
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★人気★しんちゃんと風間くんの友情。
http://bit.ly/13P3xBu

★人気★しんのすけとあいちゃん
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★人気★野原ひろしの余命。
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★人気★野原ひろしの日記。
http://bit.ly/11EaPoU

しんちゃんが大人になったときの話。
http://bit.ly/11Ia8vD

★人気★野原みさえの病気。
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しんちゃん、東京に行く。
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ひまわりと風間くんの恋の行方。
http://bit.ly/13LlPoy

★人気★野原家に赤ちゃんができた。
http://bit.ly/12OWjSC

★人気★ドラえもん以外はみんな死んでいく・・・
http://bit.ly/1a3ON6A

★人気★ドラえもん「のび太の心の強さ」
http://bit.ly/11bw9q4

★人気★ドラえもん「のび太、ジャイアン、スネ夫の友情」
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ドラえもん「ジャイアンという友達」
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ドラえもん「スネ夫の思い」
http://bit.ly/11mEKTw

ドラえもん「のび太と出木杉くんの関係」
http://bit.ly/164IYTb

ドラえもん「のび太の恋の行方は?」
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ドラえもん「のび太、靴屋の店長になる」
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ドラえもん「ジャイアンの夢」
http://bit.ly/16rf1gN

ドラえもん「スナイパーのび太~スネ夫との契約~」
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ドラえもん「スナイパーのび太~ジャイアンとの契約~」
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ひろしの大切な仲間たち。 [感動]

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双葉商事

ひろし「どういうことですか!こんなに会社に尽くしてきたのに・・・」

課長「私もなんといっていいか・上からの指示なんだ・・・最後まで抵抗はしたんだが」

ひろし「・・・そんな。俺にはまだ家族がいるのに・・・どうすりゃあ・・」

課長「・・・本当に今はどこも苦しいんだ。わかってくれ。野原君。」

<帰りの電車内・夕方>

ひろし(・・・なんで俺が・・・しかも川口まで辞めさせられていたとは・・・単なる帰省じゃなかったのかよ)

ひろし(みさえやしんのすけになんて言おうか・・・)

ひろし(・・・クソッ!)

ひろし(・・・とりあえずみさえにだけは話そう・・しんのすけには・・・)

ひろし(幼稚園で変な目で見られるのもかわいそうだ)

ひろし(子供には関係のないことだもんな・・・)

ひろし(とにかく・・・どうにかしないとな)

<野原家・玄関前>

ひろし(・・クソッ!自分の家なのに入りづれぇ・・・ローンだって残ってるってのに)

ガチャ

ひろし「ただいま・・・」

しんのすけ「おお!とおちゃんおかえり~」

ひまわり「たいたい!」

みさえ「あら、あなた今日は早かったわねぇ!」

ひろし「お、おう!今日は久しぶりに残業なしだってよ!!」

みさえ「あらそう。とにかくお風呂湧いてるから先入っちゃいなさいよ」

しんのすけ「お~とうちゃんと一緒に入る~」

みさえ「そうね、あなた、しんのすけも・・・」

ひろし「いや・・・今日は一人で入らせてくれ・・ちょっと考えたいことがある

みさえ「なんだか元気ないわね。仕事早く終わったのに」

ひろし「・・・そ、そんなことねぇぞ。ちょっと疲れてるだけだ」

みさえ「そう、じゃあしんちゃんはアクション仮面でも見てなさい」

しんのすけ「んもぉ、とうちゃん水虫臭いぞ」

ひろし「それを言うなら水臭いだろ。・・・じゃあ入ってくるわ」

<風呂>

チャポン

ひろし(くっ・・・家族のあんな姿見たらクビになったなんて言えねぇよ・・・!)

ひろし(しんのすけやみさえはいつも通りの日常を変わらずに生きている・・・)

ひろし(ここで俺がクビになったなんて言ったら・・)

ひろし(今日は・・言えそうもないな)

ひろし(秋田のおやじに相談・・・いや、みんなにも黙っておこう)

ひろし(クソッ、涙が出てきやがる!)

ひろし(しかし・・・内緒にしておこうにも明日から行くあてはないわけだし)

ひろし(家にずっといるのも怪しまれる)

ひろし(とりあえず明日は有給取ったふりしてネットで職探しか・・・)

<風呂から出る>

ガチャ

ひろし(はぁ・・・なんだか風呂入ったのに疲れがとれんな)

ひろし「おーい、出たぞー」

みさえ「はい、バスタオル。あら、あなたなんだか目が赤いわよ?」

ひろし「あ、ああ、なんか目がかゆくてな(笑)、結膜炎にでもなったかな」

みさえ「かいちゃダメよ。さあ、しんちゃん、ご飯にするわよー!」

しんのすけ「ほーい!」

ひろし(・・・家族の優しさがこんなにつらく感じたのははじめてだ」

<食卓>

カチャカチャ・・・

ひろし「・・・なぁ、みさえ」

みさえ「なあ~に?急にかしこまっちゃって」

ひろし「万が一、万が一だぞ、俺が会社クビになって無職になったらどうする?」

しんのすけ「おおっ!父ちゃんついにリストラか!?・・・その足のにおいじゃ無理もないぞ。」

ひろし「バカ、万が一だよ」

みさえ「・・・そうねぇ、とりあえず離婚かしら」

ひろし(!?)

みさえ「ばかねぇ!冗談よ。とにかく、あなたの職が見つかるまで私がパートで稼ぐわ」

ひろし「そ、そうか。普通はそうなるよな・・・」

ひろし「し、しんのすけはどうする?もし父ちゃんのお仕事がなくなったら」

しんのすけ「オラ、お仕事して父ちゃんよりももっと稼いでくるゾ」

ひろし「はっはっはっ、頼もしいな」

ひろし(・・・やはり、まだ言うべきじゃないな)

みさえ「さあ、そんなことよりあなた早く食べちゃって。食器片付けなきゃ」

ひろし「お、おう。ところで、明日は有給取ったからさ」

しんのすけ「お~、父ちゃんズル休み~」

ひろし(ズル休みならどれだけいいか・・・)

みさえ「あら、それなら明日はひまわり連れてオケイとお茶でもしてくるわ」

ひろし「おう、留守番ならまかしとけ」

ひろし(よかった、これで気兼ねなく職探しができる)

<翌朝7:30>

ひろし「さ~て、仕事行かなきゃ・・・」

みさえ「あら、あなた今日有給取ったんでしょ?」

ひろし(あ、そうだ・・・俺は昨日から無職になったんだ。もう早く起きる必要も、満員電車でおしくらまんじゅうもする必要ないんだな)

みさえ「寝ぼけてるんじゃないわよ。ほら、しんのすけ!早く起きなさい!あんたは幼稚園よ」

しんのすけ「ん~、あと90分」

みさえ「なに言っとるか!ほら、早く起きないとママのお仕置き行くわよ」

しんのすけ「おおっ・・・オラもう眠くないゾ。」

ひろし(変わらない日常だな・・・スマンみんな)

<午前9:00>

ひろし(とりあえず、俺も目が覚めちまったし起きるか)

みさえ「じゃあ、あたしたちもう行くわよ。帰りは夕方ごろになるかしら。お昼は昨日の残りとレトルトカレーがあるわ。温めて食べてね」

ひろし「お、おう。気を付けてな」

ひろし(よし、とりあえずネットで手始めに職探しと行くか)

<2階・ひろしの部屋>

ひろし「30歳代、求人と・・・」カチカチッ

ひろし「どれどれ・・・」カキカキ

ひろし「とりあえずノートにとってみたぞ」

・清掃
・工事現場(年齢20~40歳)
・コンビニ

ひろし「はぁ・・・やはりこんなものか・・・」

ひろし「しっかり大学卒業してりゃあよかったな」

ひろし「俺ぐらいの年齢じゃ家族を養うだけの金を稼ぐのは夜勤でもやらない限り無理なんだな」

ひろし「しかし、夜勤なんかしてたら確実にみさえにバレる・・・」

ひろし「生活も今と真逆になるわけだしバレないわけがない」

ひろし「他にないものか」

ひろし「朝から夕方までの求人は・・・これしかないか」

<清掃業>

ひろし「とりあえず電話してみよう。年齢はおそらく大丈夫なはずだ」

ピポパ・・・prrrrrrrrrrrrガチャ

「はい、こちら●●清掃事業です」

ひろし「あ、もしもし。初めまして、ちょっとお伺いしたいんですが・・・・」

・・・・・ガチャ

ひろし「やはり、35歳じゃあダメか。年齢不問って書いてあるくせに・・・」

ひろし「まいったなぁ」

コンビニ「はぁ・・申し訳ないんですが、その年齢ですと・・・・」

・・・・ガチャ

ひろし「6社全部ダメ・・・か。はぁ、俺、この先どうなるんだろうな」

ひろし「それに、いつまでだましだまし生活していけるのだろうか」

ひろし「職も見つかりそうもないし、みさえにバレるのも時間の問題か」

<13:00>

ひろし「・・・もう、こんな時間かよ。しんのすけもじき帰ってくるな」

ひろし「とりあえず飯食うか」

ひろし「はあ、自分が今までどれだけ恵まれていたか身に染みるな・・・」

ひろし「川口のやつはなにやってるんだろうか。」

ひろし「携帯もつながらないし、帰省したと聞いたが実家もわからねぇ。」

ひろし(テレビでも見るか)

ひろし「昼間はワイドショーばかりだな。ハハハ」

『ここでニュース速報です。』

ひろし「ん?なんだよ。近場で何かあったのか」

『え~、さきほど午後1時頃●●駅の●●ビルの屋上から男性が飛び降りたとのことです』

ひろし「なんだ、自殺のニュースかよ。こんなん速報にするんじゃねぇよ」

『調べによりますと、●●ビルの下にいた人たちに落下した男性に直撃し、現場は騒然となっております。』

ひろし「まったく、死ぬんなら他人に迷惑かけるようじゃダメだよな」

『え~現場では4人が負傷した模様です。落下した男性は深緑のスーツ、やや小太り、靴は身に着けておりませんでした』

『間もなく病院に搬送されましたが全身を強く打っておりまもなく・・ブチッ

ひろし「ハハッ・・・川口とおんなじ服装だぜ。」

ひろし「・・・・・クソッ・・・帰省したんじゃなかったのかよ・・・」

ひろし「・・・俺だって死にてぇよ・・・」

ひろし「川口・・・川口・・・どうしてっ!」

ひろし「・・・・どうすりゃああいいんだあああ!」

シロ「クーン・・・」

ひろし「うっ・・うっうっ・・・今まで一緒に頑張ってきたじゃねえか」

ひろし「死んじまったのか・・」

1時間後

ひろし「・・・仕方ないよな。俺でさえこんなにつらい」

ひろし「若い川口ならなおさら・・・」

ひろし「・・・・新聞・・・双葉商事!?」

『双葉商事ついに倒産か!?不況のあおりを受け重役失踪!』

ひろし「おい・・・おい・・・ウソだろ・・・じゃあ昨日の時点で社長は」

ひろし「課長・・・会社が倒産する前に俺をやめさせたのか・・・・」

ひろし「どこもかしくも腐ってるな」

<15:00>

しんのすけ「ほっほーい!おかえりー!おつやーおつやー」

ひろし(やっ、やばい!新聞は処分しよう。こんなのがあいつらに知れたら)

ひろし「お、おかえりしんのすけ・・・」

しんのすけ「おおっ、父ちゃん!おつや食べていい?」

ひろし「お、おう、ちゃんとうがいして手を洗ってからな」

しんのすけ「ほーい!」

ひろし「はぁ、こんな調子で一日すぎちまったな」

ひろし「やることないとこんなにも退屈なんだな。どうしようもないな俺は」

ひろし「明日は漫画喫茶かネカフェか・・・」

<16:00>

ガチャ・・・

みさえ「ただいまー!」

しんのすけ「おー!遅かったゾ!」

みさえ「ゴメンね~、大安売りやってたから買い込んじゃったのよ」

しんのすけ「父ちゃんはお昼寝してるぞ」

みさえ「あら、ホント、ずいぶん疲れてる感じね」

ひろし(・・・寝てるわけじゃないんだ。少しこうさせてくれ)

みさえ「さあ、ご飯の支度するわよ!しんちゃんも手伝ってね」

<翌朝>

ひろし(と、とにかく会社行くふりしねぇと・・・スーツきてネットカフェに居座るしかねぇ)

ひろし「さーて、会社行くかー!」

みさえ「あら、今日はやけに早起きね。しんのすけー!早くおきなさーい」

しんのすけ「うーん、あと120分~」

みさえ「コラッ!いい加減にせんか!グリグリ攻撃行くわよ」

しんのすけ「ほい・・・」

ひろし「さあ、じゃあ俺はもう行くぞ」

みさえ「あら、そう。今日はずいぶん早いのね」

ひろし「あ・・ああ、まあ会議やらで大変なんだ」

みさえ「いってらっしゃい」

ひろし「おうっ」ガチャ

ひろし(よし、うまく抜け出せた。とりあえず春日部の近辺じゃ知り合いにバレそうだ。越谷あたりまで行くか)

<春日部駅>

ひろし「ああ、会社に行くやつであふれかえってるな」

ひろし「俺もおとといまではこいつらの一員だったわけだが・・・」

<越谷市内のネットカフェ>

「いらっしゃいませー」

ひろし(ああこの店員、俺のこと、どう思ってるんだろうな。)

ひろし「再就職 30代っと」カチカチッ・・・

・・・・

ひろし「収穫ゼロ・・・本当に俺の人生はどうなるんだ」

ひろし「家に帰ろうにもみさえがいる。会社にいることになってんだ」

ひろし「仕方ない。夕方までアニメでも見て時間つぶそう・・・」

ひろし「ほう、けいおん!か。なんか一時期話題になってたな」

・・・

ひろし「なかなか面白かった。こういうアニメあんま好きじゃなかったけどたまにはいいもんだな」

ひろし「澪ちゃんかわいかったし・・・」

ひろし「はぁ・・・・俺何やってんだ」

ひろし「川口のヤツは死んだ、社長は失踪、課長も時間の問題だな・・・」

<17:00>

ひろし「もう、こんな時間か。割と早く過ぎるもんだな・・・」

ひろし「家に帰るのが憂鬱だぜ・・・会社に行ってきたようにふるまわなきゃな」

<越谷駅ホーム>

『まもなく一番線に~、

ひろし(ああ、ここで飛び降りてしまえばどんなにラクになることか)

ひろし(いっそ飛び降りてしまおうか。そうすれば俺の保険金であいつらは暮らしていける)

ひろし(あとは秋田のおやじと九州とお父さんに助けてもらえば・・・あいつらは少なくとも人並みに生活が)

ひろし(俺の人生はなんだっただろうな)

ひろし(20で秋田からはるばる上京し、慣れない都会生活の下なんとかここまでやってきた)

ひろし(みさえと結婚し、しんのすけとひまわりも生まれ・・・)

ひろし(みさえからはよく怒られたし、殴られたな。でもそれでも大好きだ)

ひろし(しんのすけはナマイキなヤツだがあれでもまだまだ子供らしいところもあって甘えたい年頃だ。)

ひろし(ひまわりにはこれからの未来がある。)

『一番線、お下がりくださーい!電車入りまーす!』プァン!

ひろし(だめだ!!死ぬなんてダメだ!!あいつらはきっと俺が死んだら悲しむさ!俺があのニュースを見たときと同様に。)

ひろし(生きてやる。何としてでも生きてやらなきゃ)

<春日部駅>

ひろし(結局、死ねなかったな。どうしてもあいつらのことを考えてしまう)

ひろし(戻ってきちまった。春日部に)

ひろし(しかし・・・このままでは職業が見つかりそうもない。こればかりは・・・)

ひろし(本当にどうしようか。誰か・・・)

?「おや、野原さんですか?」

ひろし(うわっ!こんな時に知り合いは勘弁だぜっ・・・)コソコソ

?「やっぱり!野原さんじゃないですか!どうしたんですか・・・そんなくたびれた格好で」

ひろし「うわっ!ヤクザ!!!ひぃぃぃぃぃ!!!・・・て」

園長「ちょっと!私ですよ!くみ・・・じゃなくて園長です!」

ひろし「ああ・・・すみません。どうしても慣れなくて・・・ホントに」

園長「いいんです、もう慣れてますから。・・・ところでどうなされたんです?そんなやつれて・・スーツもしわしわ・・・普段の野原さんじゃないですね」

ひろし「・・・いえ、何でもないんです」

園長「野原さん、我慢しすぎは体に毒ですよ。人間逃げていい時もあるのです。人間は一人じゃないんです」

ひろし「・・・・・」

園長「もしよかったら、そこの喫茶店に行きましょう。お金は私のおごりで」

ひろし「あ、でも、そんな・・・」

園長「園児を見守ることが私の仕事なら、その園児の親だって見捨てるわけにはいきませんよ。」

ひろし「・・・すいません。じゃあそこのお店に入りましょうか・・・」

<春日部駅前喫茶店>

ひろし「・・・というわけなんです。」

園長「・・・そうでしたか・・・。新聞で小さい記事になってたんですね・・・わたくし気づきませんでした」

ひろし「・・ハハッ、小さい企業ですから・・・大した記事にもならないでしょう」

園長「もちろん、奥さんには話されたんでしょう?」

ひろし「・・・それが、なかなか切り出せなくて・・・。今まで黙ってきました」

園長「そうですか・・・、無理もないですよ。」

ひろし「職も必死に探したんですが、なんせこの年齢じゃどこも・・・・」

園長「独り身ならまだしも、家族を養わなければいけませんからね・・・」

ひろし「そんな矢先、同僚が自殺して・・・・ううっ」

園長「ええっ!?・・・それじゃあ昨日のアレは」

ひろし「ええ、そうです。名前は出てませんでしたが・・・服装、体型等々、俺の同僚で間違いないでしょう」

園長「野原さん、よくここまで頑張ってきましたね・・・」


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<そのころ野原家>

みさえ「しんのすけー、そろそろご飯にしようか?」

しんのすけ「え~、おらあんまお腹すいてない。さっきチョコビ2個食べたし・・・」

みさえ「な、なんですってえー・・・」

しんのすけ「しまった・・・」ダダッ

みさえ「コラー!まてー!」ドドドドッ

ピンポーン

しんのすけ「おおっ?誰か来たぞ」

みさえ「ええっ!?こんなときに・・・もぉ~。はいはーい!」

ガチャ

みさえ「あら、お隣の・・・」

おばさん「あら、みさえさん!ちょっと、ご主人家にいる!?」

みさえ「えっ、今日は仕事に・・・朝早くから会議だって出ていきましたけど」

おばさん「あらやだ!ちょっとこの記事見てよ」

みさえ「えっ、ダイエット食品の新商品ですかぁ~?」

おばさん「違うわよ!あなたのご主人の会社!大変なことになってるらしいじゃない!」

『双葉商事倒産寸前!重役失踪か?』

みさえ「・・・・い、いや・・何かの間違えでしょ・・・」

おばさん「私も最初はね、冗談かと思ったわよ!だけど間違いなくご主人の会社でしょ!?」

みさえ「じゃあ、あ、あの人、今どこに・・・」

おばさん「わからないわ!とにかく、まずは電話よ!一緒に探しましょう!」

みさえ「え、ええ・・・とりあえず上がってください」

prrrrrrrr

みさえ「・・・出ないわ・・・あなた・・・・お願い生きてて」

しんのすけ「母ちゃん・・・」

ひま「オギャーオギャー!」

おばさん「しんちゃん、ひまちゃん!大丈夫だよ!パパは帰ってくるよ」

みさえ「・・・あたし、バカだった。あの人、いつもと何か違うことはわかってたわ・・・」

みさえ「口数も少ないし、食欲だって減った。笑顔も少なくなって・・・」

みさえ「なのにあの人の苦しみに気づいてやれなかった・・・妻失格だわ・・ううっ」

おばさん「大丈夫だよ!あの人は家族を捨てるような人じゃないだろう!?それはみさえさんが一番わかってるはずだよ!」

みさえ「おばさん・・・」

みさえ「・・・このままではいられないわ!しんちゃん!四朗くんやミッチー・ヨシリン、ななこお姉さんにも電話して!」

しんのすけ「ほい!」

みさえ(社会のメンツなんてどうでもいいわ・・・あなたさえ生きてくれれば!探さなきゃ!)

<その頃喫茶店では>

園長「野原さん、よく話してくれましたね。とりあえず、私としても最大限の協力をします」

ひろし「・・・そ、そんな」

園長「ひとまず、仕事の話ですが私のツテをたどって何とかします!」

ひろし「・・・し、しかし・・・」

園長「あなたを放ってはおけません。」

ひろし「・・・・・・ううっ」

<その頃野原宅では>

ななこ「そんなことがあったなんて・・・みさえさん泣かないで・・・」

しのぶ「そうよ!ひろしさんは何としても見つけ出すわ!!」

ミッチー「野原さん、きっと生きてます!」

ヨシリン「野原さんはそんなことでへこたれる人じゃありませんよ!」

四朗「僕、車出しますよ!運転下手ですけど・・・」

しんのすけ「風間君たちもよんだゾ!」

風間「しんのすけのお父さんを絶対見つけ出すぞ!」

ネネ「しんちゃんのパパ、いい人だもん・・・」

マサオ「僕たちでできること何があるかな」

ボー「もう・・・夜だし・・・とりあえずしんちゃんの・・・そばにいること」

みさえ「み、みんな・・・・」

しんのすけ「よし、オラは父ちゃんの帰りをここで待つぞ!」

みさえ「じゃあ・・・行きましょう!しんちゃんたちはおばさんとななこさんとお留守番ね」

一同「よっしゃあ!」

みさえ「とりあえず、駅前に向かいましょう!」

みさえ「・・・あなた・・・生きてて」

<その頃春日部駅前では>

秋田のじいちゃん「ほぉ~久しぶりに春日部にきたのぉ~、今の時期なら九州の頑固じじいもおらんだろうしなぁ」

秋田のじいちゃん「どれ、ここはひとついきなり登場してみさえさんたちを脅かしてやらにゃあな!」

九州のじいちゃん「ああ、久しぶりたい。つい孫に会いたくなって来てしまったわ。」

九州のじいちゃん「この時期ならあのやかん頭もおらんことだし、ゆっーくり孫と羽が伸ばせるたい!」

<そして・・・>

秋田&熊本「・・・あっ・・・あんたは・・・」

秋田「なーんであんたがいるべ?」

熊本「それはこっちのセリフたい!ここでなんばしよっとか!」

秋田「そりゃあ~孫の顔を見にきたに決まってるじゃないの」

熊本「そげんこついって、またみさえのブラジャーば覗き見するつもりたい!」

秋田「だーれが、あんなおせんべお胸のブラジャーなんか・・・」

みさえ「お、お父さん!?」

九州&熊本「お、こりゃあ偶然!」

<一同車から降りる>

みさえ「・・・そういうことなの・・・ごめんなさい黙ってて。今日知ったことなのよ・・・」

秋田「・・・ひろし・・・そんなことがあったとはなぁ・・・」

熊本「ひろしくん・・・とにかくわしらも協力するたいね。ひろしくんも大事な息子たい!」

秋田「あんた・・・・さっきはすまねぇな。よし治さん・・・」

(※九州のじいさんの本名小山よし治です)

四朗「と、とにかくこの辺りをしらみつぶしに探しましょう」

ミッチー「携帯で連絡取れるようにみんな電源は入れておいてください」

しのぶ「了解!」

<喫茶店>

園長「さあ、そろそろお帰りになったほうがいいでしょう。家族のみんなも心配しているでしょうし。」

ひろし「・・・ホントすんません。」

園長「いいんですよ。でも、忘れないでください、あなたは一人じゃないんですから」

ひろし「ううっ・・・俺今日何回泣いてるんだろう・・・」

園長「さあ、涙を拭いて。お会計してきます」

ひろし(みんな、今から帰るぞ!)

ひろし(ちゃ、着信!?10件も!?みさえからだ・・・まさか)

ガチャン!!

みさえ「はあはあ・・・あなた!!!・・・・・」

ひろし「み、みさえ!!!!どうしてここに・・・」

みさえ「・・・もう!心配かけさせないで!!!」

ひろし「あの話・・・」

みさえ「お隣のおばさんから聞いたわ!新聞にも載ってたそうじゃない!」

ひろし「す、すまん・・・・どうしても・・・」

みさえ「いいのよ・・・あなたが生きていてくれただけで・・・・ううっ」

prrrrrrrrr

みさえ「・・・見つけたわ。喫茶店で・・・」

四朗「野原さん無事見つかったそうです!」

一同「おおっ!」

園長「あら、みさえさん。なぜここに・・・」

ひろし「実は・・・・・」

園長「そういうことでしたか。すみません。私が長らく拘束してしまったばかりに。みなさんに余計な心配をかけてしまった」

ひろし「いえ、俺、園長先生に会わなかったら・・。ありがとうございます。」

みさえ「園長先生、本当に主人を救ってくださってありがとうございました。何とお礼を言っていいか・・・」

園長「いいえ、ご主人の人柄もあってのことですよ。さあ、しんのすけくんたちも心配してることでしょうしそろそろ」

みさえ「そうね。」

ひろし「そうだな。」

<そして3人喫茶店を出る>

ひろし「!?」

四朗「野原さん!」

ミッチー&ヨシリン「生きててよかったぁ~うわああああん!」

しのぶ「もう、あまり心配かけすぎちゃだめですよ。」

よし治「ひろしくん・・・とにかく無事で何よりたい。」

銀之助「ひろし、あとでわしと少し話そう。とにかく無事でよかった。・・・ワシの息子がご迷惑かけました。」

ひろし「み、みんな!?・・・どうして!?」

みさえ「ごめんなさい、心配のあまりみんなにも助けてもらったの」

みさえ「お父さんたちは偶然の一致だけど・・・」

みさえ「さあ、我が家に帰るわよ!」

ひろし「おう!・・・みんな本当に申し訳ない。俺がふがいないばかりに。そしてありがとう!」

<そして無事帰宅>

ひろし「た、ただいま・・・」

しんのすけ「お~父ちゃん!!!」ダダダッ

ひま「たいたいたーい!」

シロ「キャン!」

ひろし「し、しんのすけ、ひまわり、シロ・・・・ううっ」

風間「元気出してください!」

マサオ「僕の宝物、これあげます!」

ボー「人生、いろいろ・・・」

ネネ「また、みんなで頑張りましょう!」

ななこ「野原さん、ホントに無事で何よりです」

おばさん「余計な心配かけるんじゃないよ・・・グスッ」

ひろし「うわあああああん!みんなああああぁ!すまん!本当にすまん!」

ひろし「・・・俺はこんなにもいろんな人たちに支えてもらえて本当にうれしい・・・俺がバカだった・・また原点に戻ってみんなとやり直す!」

ひろし「しんのすけ、ひまわりおいで」

しんのすけ「おおっ!」

ひま「たいっ!」

ギュッ

ひろし「ゴメンな・・・父ちゃんどんなことがあってもお前たちを手離さないからな」

みさえ「そうよ、あなたはみんなにとって必要なのよ。あなたがいなくなるだけでこんなにも大勢の人が悲しむの」

みさえ「仕事なんかなくたっていいわ、お金もなくていい、あなたがいればそれで」

銀之助「ひろし・・・ワシはお前みたいな息子を持てたことを誇りに思う。」

銀之助「仕事ねぇなら畑やっべよ?春日部でもできるぞ」

ひろし「無理言うなよ~、ここらじゃ無理だ」

ひろし「仕事は俺が何とかして見つけ出す。」

よし治「無理はするんじゃなかと。人間、時には休息も大事たい。しばらくは家族で旅行でもいって心の捻挫をいやすのがよか。」

ひろし「ええ、ぜひお言葉に甘えてそうします。家族を大事にします。」

ピンポーン!

ひろし「おっ?まだ誰か来たぞ」

みさえ「え、これで全員のはずよ?誰かおいてきちゃったかしら・・・」

しんのすけ「オラがでるー!」タタッ

ガチャ

?「おおっ!しんちゃん!久しぶりだね!パパいる?」

しんのすけ「おおっ!川口のヤツだぞ!とーおーちゃーん!」

ひろし「なんだよ大声出して。あっ・・・・・」

川口「どもっす!野原元係長!帰省してきたんで土産渡しにきたっすよ」

ひろし「ぎゃあああああああ!幽霊だ!お前、死んだんじゃなかったのかー!!」

川口「はぁ?何言ってるんですか係長?僕は帰省するって言ったじゃないですか」

川口「正直、会社の動向が怪しくなってきたんで、やめる決心してたんすよ」

ひろし「じゃあ、あ、あのニュースは・・・・人違い・・・」

川口「あのニュース?」

ひろし「実はカクカクしかじか」

川口「やだなぁ!僕がそんな簡単にくたばるわけないでしょうwwついに係長も首切られましたか」

ひろし「心配して損したな・・・」

<後日>

ひろし「いやぁ、あの時は大変だったな・・・」

みさえ「そうね。お父さんたちがみんなへのお礼ってお寿司食べさせてくれて・・・」

ひろし「あんなに大勢で飲んだのは久しぶりだったな」

prrrrrrrrrr

みさえ「あ、電話!」

みさえ「はい、野原ですー」

園長「あ、野原さん、双葉幼稚園の園長です」

みさえ「あ、園長先生!先日は本当にありがとうございました」

園長「いえいえ、そんなことより、ご主人いらっしゃいます!?」

みさえ「少々お待ちを」あなたー!!!

ひろし「どした、みさえ。あ、俺に電話か?」

ひろし「もしもーし・・・?」

園長「野原さん、喜んでください!いいお仕事が見つかりましたよ。」

ひろし「ほ、ほんとですか!?」

園長「ええ、わたくしの知り合いが幼稚園を経営してるんですが、そこの事務の人手が欲しいそうです。」

園長「知り合いの人格は私が保証します。お給料は・・まあ前の会社よりは少なくなると思いますがそれなりに出ますし・・・」

園長「野原さんは前の会社で営業や事務をこなしてきたでしょう?それを見込んでのことだそうです」

ひろし「ほ、本当ですか!?あ、ありがとうございます。」



終わり

ひろし.jpg


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★人気★お弁当の見映えの理由。
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一本のビデオテープ。
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ママからの3本のビデオ。
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父と娘。
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またどこかで会おうね。
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★人気★息子の命とサイン帳。
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★人気★『島唄』の本当の意味。
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ナイツのコンビ愛。
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子犬の物語。
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家族写真。
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ひまわりの結婚
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しんちゃんとネネとマサオ
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風間くんの甘酸っぱい子守。
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シロが帰ってきた?
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しんちゃんが大人になったときの話。
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しんちゃん、東京に行く。
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ひまわりと風間くんの恋の行方。
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ひまわり「お兄ちゃん、あたし結婚するんだ」
しんのすけ「・・・」
ひまわり「お兄ちゃん、あたし結婚するんだ」






「お兄ちゃん、」
「あたし、風間さんと結婚するんだ」

「・・・・・」

「お兄ちゃん、あたし結婚するんだ」
「お兄ちゃん、あたし結婚するんだ」
「お兄ちゃん、あたし結婚するんだ」

結婚式。
ウェディングベール。
どれも、どれも。
幼い頃から、夢見てたものばかり。





でも、
・・・なんでかな?
なんだか、嬉しくない。
鏡の中にいる、着飾った誰かは、私じゃないみたい。


「綺麗だよ、ひまわりちゃん」
「・・・風間さん、」



風間さんは、照れたように「その呼び方も、今日で聞き納めだね」と微笑んでいるように見える。優しい人。幼い頃から、彼はずっと私を大切にしてくれた。
・・・ロリコンだったかもしれない。


それでも構わないくらい、あたしも風間さんを大好きになった。

幸せ?
幸せ。
でも・・・何かが足りないの。


何が?


「ひまわりちゃん?緊張してる?」
「あ、大丈夫です・・・緊張、してるのかな」
「してるみたいだね。大丈夫だよ、


僕がいるから」



優しい人。
あたしは、彼の手をぎゅっと握り締める。
ヒヤっとした冷たくて、心地良い温度があたしの心を和ませてくれる。

大丈夫。
あたしの選択は、間違ってなんかいない。


そうよ、大丈夫よ。

ウェディングロード
あたし…結婚、するんだ。ずっと、夢見てた結婚指輪。でも、あたし…涙が出ないの。




一歩。
また、一歩。
神父さんと、風間さんが微笑んで待っている。
あと少し。
あたしは、彼のお嫁さんになる。
風間さんの手と、あたしの手が重なる。ひんやりとして、心地よい。



そのときだった。


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「ひま!!」
「・・・おにいちゃん?」


息を切らしたお兄ちゃんは、駆け寄ってきて
風間さんとあたしの手を力一杯に握りしめる。



「ひま、お前は、いつまでも野原一家の一員だゾ
何があっても・・・オラのたった一人の妹だゾ!!


だから、ダメだゾ!!風間くん! 
ひまを、連れて行かないで!!」



あれ……あれあれれ?
熱い。目も鼻も、呼吸が、しにくい。苦しい。
酸素を、うまく吸えない。
・・なんで?



「ひまわりちゃん…」
「ごめんなさい・・・風間さん・・・
あたし、あなたとは結婚できない」


あたし、寂しかったんだ。
風間さんが、死んでしまったこと。
あたしをおいて行ってしまったこと。



「…、しんのすけ…
ひまわりちゃんを、頼むよ」
「当たり前だゾ。ひまわりは、オラの妹だ」
「風間さん・・・・!」



何かが、塞がった。
あたし、生きていっていいんだね。


あたし。
生きていいんだよね。
みんな、家族だから。
みんな、あたしの大切な人たちだから。
風間さんの傍に、ずっと、いたかったの。
あなたは、あたしの心の中で生きていってくれるのね


「風間さん、」
「なんだい?」
「あたし、あなたに会えて幸せだったわ・・・」



風間さんの顔が、崩れていく。



「ありがとう。美味しかったわ、風間さん」



あたしは、歩いていく。
この道を、ずっと。
彼と共に。
永遠に。



ほら。風間さんなら、ここにいるじゃない。
ここに・・・」




「ね?」

ひまわり2.jpg


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神様、助けてください。
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しんちゃんと花見に行きたかった。 [感動]

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しんのすけ『まつざかせんせいが?』

みさえ「そっちの梅じゃないわよ。お花の梅よ。近いうち見に行きましょうね」

しんのすけ『やったー ちょこびたべれるかな?』

みさえ「そうねー。ちょっと無理かもね」

しんのすけ『ざんねんだぞ』

みさえ「もうすぐひまちゃんが帰ってくるわね」

しんのすけ『おらもがっこういきたいぞ』

みさえ「そうね。もうちょっと様子見ていきましょうね」

しんのすけ『みんなとおなじがっこうにもどれる?』

みさえ「ママたち頑張ってるからね」

しんのすけ『むりしなくていいぞ』

ひまわり「ただいまー おにいちゃーん!ついでにママも!」

みさえ「おかえりー」

ひまわり「みてみて、ひまテストで百点とったんだよー。クラスでひまだけなの!」

しんのすけ『すごいぞーひま』

みさえ「すごいわねー。今日はご馳走ね」

ひまわり「やった」

しんのすけ『……』

みさえ「あ、しんちゃんは……ごめんねいつものだけど」

しんのすけ『しかたないぞ そのうちおくちでたべれるようになりたいぞ』

ひまわり「ごめんなさい。おにいちゃん」

しんのすけ『あやまられると むなしくなるぞ』ゲホ

みさえ「あっ。吸引しなきゃね」

ジュジュジューズズズ
しんのすけ「ゴホッゴホッ」

みさえ「楽になった?よかった」

みさえ「こんな時間ね。ひま、あっちいってておにいちゃんのオムツかえるから」

ひまわり「うん わかった。わたしじゃあ洗い物しとくね」

みさえ「あらあら。うんちがゆるゆるね お腹いたくない? そう」

みさえ「あらあら こんな時間ね。もうすぐしんちゃんのごはんにするわね」

しんのすけ「……」

ひろし「ただいまー……。はぁ疲れた」

みさえ「おかえりなさい。あなたどうだった?」

ひろし「なかなか進展はないよ。むこうが100%悪いはずなのに……精神病だかなんだかしらねーが、あいつを……しんのすけを………………………………あの男のせいで……」

みさえ「あなた………」

ひまわり「パパおかえりなさい」

ひろし「ただいま……」

みさえ「………………。し……しんちゃんにごはん繋げてくるわね」

ひろし「………」

ひまわり「パパ……せめておにいちゃんの前では笑顔でいてね……」

ひろし「わかってるよ……」

みさえ「しんちゃん、ごはんよお腹見せてね」

しんのすけ『ひろし かえってきたの?』

みさえ「……うん。今帰ってきたわよ。着替えたらこっちに来るわよ」

みさえ「さて、下痢が続くといけないから ゆっくりいれていくわね」


しんのすけ(オラ……こんな身体になってみんなに迷惑かけてるぞ。)

しんのすけ(家のなかが暗くなったのはオラのせいだぞ)

しんのすけ(オラがこんな身体になったからだ。シロまで襲われて死んだのもオラのせいだぞ)

しんのすけ(オラ…死にたいぞ)


みさえ「テレビなに見る?」

しんのすけ『さいこうのりこん』

みさえ「まだやってないわよ。しかも曜日ちがうし」

しんのすけ『じょうだんだぞ どらえもんがみたいぞ』

みさえ「はい。それじゃママ夕飯の支度するわね」

ひろし「よぉ!しんのすけ パパ帰ってきたぞ」

しんのすけ『あしくさいぞ』

ひろし「こいつー」グリグリ

ひまわり「パパ、おにいちゃんごはん中なんだからあんまり揺らすと吐いちゃうわよ!」

ひろし「おっ!すまんすまん」

しんのすけ『とおちゃん おら うめのはなみにいきたいぞ」

ひろし「そうかー。明日は土曜だし久々にみんなで出掛けよう!」

ひまわり「わーたのしみー」

しんのすけ(オラ死にたいぞ……)

しんのすけ(夜が一番いやだぞ。世界が真っ暗。おらの人生みたいだぞ)

しんのすけ(オラ一生このままなのかな。首からしたの神経はもとには戻らないと思う)

しんのすけ(こうやって口で棒をくわえて 文字盤でしゃべる生活もしんどくなってきた)

しんのすけ(みんなにあいたいぞ)


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みさえ「しんちゃーん。今日はいい天気よ。お洒落して花見いくわよー」

しんのすけ『……………………』

みさえ「しんちゃん?どうしたの?ペンくわえないの?」

しんのすけ『……………………』

みさえ「しんちゃん?」

しんのすけ『……………』


みさえ「うそよ。しんちゃん?ねえ、起きて?ねえ?痰?痰があって苦しいの?」

ガガガガガージュっ

しんのすけ「………」

みさえ「うそようそよ。だって夜中も吸引ちゃんとしたわよ?ねぇ起きて?」

みさえ「あなた!あなたたいへん。ひまわり酸素のはかる器械もってきて!」

ひろし「どうしたんだ?」

みさえ「しんちゃんが起きないの!目をさまさないのよ!心臓は動いてるの。動いてるけど起きないの!」

ひろし「おい!しんのすけ!しんのすけ!起きろ!救急車だ。救急車よんでくる!」

ひまわり「ママはい。酸素と血圧計ももってきたよ」

みさえ「ありがとう。56 %?血圧は62の30?」

ひまわり「どうしよう!ママ。酸素取り敢えず流そう?」

……………病院………

医者「意識レベルが低下していますね。今は昇圧剤の点滴でで血圧はなんとか90台をたもってますが。これ以上血圧が下がると対処はできません。」

医者「酸素を多量に投与してますが酸素の値は低いままです。肺の機能はもともとよくなかったですからね……こうなるとまた人工呼吸をつけて酸素を送り込むしかありません」

医者「例えそれで生き長らえても、意識レベルが改善するとは思えませんが……
どうします?呼吸器つけます?」

風間「しんのすけー お前そこでなにしてんだよーみんなまってるぞー」

しんのすけ「お?あれ?なんでみんなここにいるんだぞ?」

ネネ「なにいってんの?さっきから一緒にいたじゃない」

しんのすけ「あれ?オラしゃべれてるぞ!」

マサオ「当たり前じゃないー。今日のしんちゃん変だよー」

しんのすけ「オラ制服きてるぞ?みんなと一緒の制服だ!」

ボー「おんなじ学校だもん。今からマックいくんでしょっ」

しんのすけ「おっ!そうだった。うっかり忘れてたぞ」

愛「しんさまー。愛のことは忘れちゃダメよ」

ネネ「なんであんたまでいんのよ!まったく」

マサオ「いいじゃないの。ねぇ……………ひぃっ」

シロ「アンアン!」

しんのすけ「おおー シロだぞー。懐かしいぞ!死んだと思ってたのに 生きてたんだ!」

医者「大事なことです。よく家族と話し合って決めてください。でも急いでくださいね。しんのすけくんの、今の酸素を取り込む力は我々の半分以下です。」

みさえ「あなた…………」

看護婦「先生!しんのすけくんの血圧が60代に低下しています。心拍も40代です!!」

ひろし「しんのすけ!」

医者「急いでください。我々は精一杯の治療を施しています。最終手段は呼吸器をつけるかつけないか……です。心拍をあげる薬を投与してきます。その間に決めてください」

ひろし「…………………しんのすけ」

ボー「シロはずっとしんちゃんのそばにいたよ。ほんと。今日のしんちゃん変っ」

風間「いつもおかしいけどな」

しんのすけ「オラ変でもおかしくてもいいぞ。またみんなに会えるなんて嬉しいぞ!」

ネネ「変なしんちゃーん。ねぇ、おうちの人とは会いたくないの?」

しんのすけ「オラ……すっかり迷惑かけたから。謝りたいけど……家には戻りたくないぞ」

風間「ほんとに?」

しんのすけ「ほんとだぞ!かあちゃんたちずっと暗くて、おらのせいで……オラがいなくなれば、きっとまた明るくなれるとおもうんだぞ」

風間「しんのすけが決めたんならボクたちはしんのすけに従うよ!」

シロ「クゥーン」

ひろし「みさえ………」

みさえ「あなた………」

看護婦「心拍あがりません!」

医者「もう1A追加!」




ひろし「………………………先生、決めました」

しんのすけ「いつか明るくなったとおちゃんやかあちゃんに会えればいいや」

風間「しんのすけ……」

しんのすけ「オラこれ以上迷惑はかけられない。風間くんやシロたちと一緒にいく!」









ピ――――――――――――――――――――――。

ひろし「……………もう、いいです。もう苦しむしんのすけの姿はみたくないです。本音をいうと生きててもらいたいけど、だけどしんのすけは望んでないと思うんです。だから……もう大丈夫です。もう……」

医者「わかりました」

みさえ「しんちゃん……ごめんね、しんちゃん」


ピ――――――――――――――――――――――

ひまわり「おにいちゃん!!!」


しんのすけ「オラ……先に行ってまってるぞー。こっから見守ってやるからたくさんの笑顔をおらに見せてね。約束だぞ」

クレヨンしんちゃん2.jpg


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「うわぁぁあ!………って、しんのすけ!いつもいつも普通に挨拶できないのかよ!まったくー」

しんのすけに息を吹き掛けられた首筋を撫でながら僕はしんのすけを睨み付けるようにみた。

「ハハハっ。トオルこそ、毎日毎日俺が息を吹き掛けて耐性つけてあげてるのに全然慣れないんだから。そんなんじゃあ、彼女なんてできないぜ」

「余計なお世話だ」

いつからだろう……。しんのすけが僕のことを『トオル』と呼ぶようになったのは

いつからだろう……。しんのすけが自分のことを『俺』と言うようになったのは


しんのすけとは幼稚園の頃からの幼馴染みだ。
幼少の頃のしんのすけは、いがくり頭のお調子者で、みんなの人気者だった。
成長した彼はいつのまにか僕の身長を追い越した。
いがくり頭だった髪は、今は伸ばしてやや茶色に染めている。

坊主だった頃には気づかなかったが、両親とも天然パーマだった彼もまた、ふわりとした天然パーマでそれをお洒落にセットしていた。

トレードマークだった太い眉毛も整えられており、小さい頃の面影はあまりないような気がする。
それでもふとみせる表情や仕草は幼い頃と変わっていない。
照れたときにみせる、あの独特な笑いかたを見ると、ホッと安心させられる。


「明日から夏休みだなぁ。高校生活最後の夏休みだ」

しんのすけは晴れた空をみながらそう言った。
その言い方がなんだか少し寂しげに聞こえた気がした。

「そうだな」

僕も一緒に空を見上げる。

僕たちはいつも一緒にいた。幼稚園の頃からずっと一緒に過ごしてきた。

ボーちゃん、ネネちゃん、マサオくん、そしてしんのすけと僕の五人は小学校、中学校も一緒たった。

しんのすけは、さほど勉強は好きではなかったけど、なにか、例えば、成績が10位以内に入れば欲しいものを買ってあげる…とかいう親の約束があった場合は、担任や僕らが驚くくらいの点数で成績ドップになることもしばしばあった。

しんのすけは、この五人でいることが好きだったようだ。
もちろん僕もそう思っていたし、他のみんなだってそう思っていたに違いない。

しんのすけの、僕と同じ高校に行きたいという強い思いが他のみんなを奮い起たせ、高校受験にむけ勉強に励んだ。

結果、マサオくん以外の四人は同じ高校に通えることとなった。
ちなみにマサオくんはレベルをいくらか落とした高校に入学することができた。
マサオくんとの交流は今でも続いている。


佐藤くん...(´;ω;`)


マサオ…


「最後の……最後の夏休みなんだなぁ……。いっぱい思いでつくろうな」

「なんだよ、しんのすけ改まって…。でも、そうだな。夏休みが終わったら、みんな大学受験にむけて忙しくなって、遊ぶどころじゃなくなるもんなー」

そう、高校を卒業したら、みんな大学へ行き、そして社会にでる。
今までのようにみんなと一緒に過ごすことが出来なくなってしまうだろう。

たから、きっとこの夏休みがみんなと過ごせる最後の時間になるのかもしれない

「バーベキューとか、海とか花火とか……。青春で思い付くようなこと全部やってやろうぜ!忘れられない夏にしよう!」

「ああ、いっぱい青春しなくちゃな」


「おっ……」ドス
急にしんのすけが変な声を出しておしりを押さえた。
振り返ると、しんのすけの妹のひまわりちゃんが笑顔で立っていた。

「あっ風間さん、おはようございます♪…………おにいちゃん!これ、忘れ物!!」

「おお!うっかり忘れてたぞ」

「まったく。おにいちゃんいつも忘れるんだらか。じゃあね。風間さんもまたね。夏休みもいっぱい遊びにきてね///」


元気いっぱいのひまわりちゃんは僕たちに手を振るとスカートをひるがえして前を歩く女の子の友人のもとに走って行ってしまった。

彼女もまた成長したなぁと思う。天然パーマの柔らかい長い髪はかわいく成長した彼女にすごく似合っていた。

「ひまわりはまだ中学生ですぞ」
「うん、そうなんだよなー///って………知ってるよ。そんなの」
「トオル、ひまわりのこと好きでしょ?さっき顔赤くなってたぞ」
「そっ……そんなんじゃないよ!確かにひまわりちゃんはかわいいけど///!」
「照れちゃって…でも俺、トオルだったらひまわりと付き合ってもいいぞ。トオルだったら信頼できるし、安心できる
それにひまわりもトオルのこと好きだと思うぞ。兄の目から見てもひまわりはかわいいし。それに………おっぱいも結構大きいんだぞ」
「!!!」
「あっ、今想像しただろう?やっらしー」


あの夏 確かに僕たちは一緒にいた。


「あっ。しんちゃんオハー♪風間くんもオハヨー」
教室のドアを開けて席につくと、しんのすけの前に座っていたネネちゃんが振り向いた。
奇跡的なことに、この高校三年間ずっと、僕はしんのすけと、同じクラスだった。
そしてこの三年生で初めて、ボーちゃんとネネちゃんとも一緒のクラスになることができた。

「明日から夏休みよー。あっねぇ今日みんな空いてる?終業式終わったらカラオケいこーよ。マサオのバカにはボーちゃんからメールするから」

「いいよー」

ネネちゃんは小さい頃からそうだったけれど、更に我の強い女王様タイプの女性に成長した。
顔立ちはきれいな方で、男子の人気も非常に高いがその性格のせいであまり人が近寄ってこない。

だけど本人はあまり気にしてはいないようだ。
無理をして友人を作る方がストレスがたまるし、うさちゃんもボロボロになると言っていたのを聞いたことがある。



そんな彼女の、心の許せる時間はやはり、僕たちと一緒にいる時だった。

「あっ。マサオくんからメールきたっ。」
僕の前の席で携帯を弄っていたボーちゃんは顔をあげてそう言った。

高校生になった彼は、幼い頃見たいに鼻水は垂れていないけど今でも鼻炎の薬は欠かせない。

幼い頃から変わっていないボーちゃんは、美術が得意で後輩からの人気が高い。
昔から珍しい石を集めるのが好きたったボーちゃん。
だけど、あるとき一人で石を探しに山に登ったとき沢で死んでいる人を見つけてから石を探すのをやめている。

「―――――で、以上を、持ちまして終業式おわりっ!くれぐれも事故のないように注意しろよ!一人でも欠けたらこの俺も悲しむからな!じゃ解散!!」


終業式を終え、みんなで学校をでて目的地のカラオケ屋まで歩いて向かう。

「やっと終わったわねー。教頭の話長すぎー、。校長は空気読んで短かったけど!」
ネネちゃんはしんのすけの隣でブーブー文句を言っている。
「夏休みだなー」
ほのぼのとボーちゃんが呟いた。
「この夏休みくらいいっぱい遊ぼうね!朝しんのすけともしゃべってたんだ。高校生活最後の夏休みだし、忘れられない夏にしようって。なあ、しんのすけ」

「おう!青春を謳歌しようぜ!!」

ネネちゃんはしんのすけの顔を見上げてニコニコ笑っている。
「あっしんちゃん髪になにかついてるわよ。私とってあげる」
「おっ。ありがとう」
ネネちゃんはしんのすけの髪についていたものをとりながら頬を染めている。

ネネちゃんはしんのすけのことが好きなんだと思う。
中学の頃からそう感じている。しんのすけに向けるはにかんだ笑顔や、しんのすけを見つめるその瞳には、僕たちに向けられているものとはちがう別の感情があるような気がする。

しんのすけは気づいているのだろうか

カラオケ屋の前につくと坊主頭の少年がこちらに気づき駆け寄ってきた。

「あっみんなまってたよぉー」
「おっマサオー♪ぐりぐりぃーぐりぐりぃー」
「やっ…やめてよぉしんちゃーん。もう///」

しんのすけはマサオくんの坊主頭に会うたびに、ぐりぐりとその頭を撫でまわす。
マサオくんは口では嫌がっているが、その照れた表情からまんざらでもないような感じがする。
多分、マサオくんはバカなのたと思う。

「ちょっとマサオくん!なにその汚い靴!ちゃんと洗わないとダメっていっつも言ってるでしょ!足元を綺麗にするのがお洒落の第一歩なのよ!もうっ」
「はっ…はい!ネネちゃんはいつも厳しいなー。あっでもこれ、昨日バイクで転んで汚れちゃったんだ」
「ああ?バイク?あんたまだ、そんな危険なものに乗ってるの?まったく男の子って!!」
「ごめんなさい!でも怪我してないよオロオロ」

マサオくんは子供の頃から全然変わってない。ネネちゃんとの主従関係は今でも継続している。
マサオくんは昔からオドオド、オロオロしていて要領が悪かった。
僕たちと高校でバラバラになってしまうため。いじめられたりしていないか心配だった。

案の定、高校入学当初から、不良グループに目をつけられたマサオくんは、標的にされ壮絶ないじめをうけていたそうだ。
でもあるとき。
不良グループのリーダーが、とある広場でマサオくんを、集団でリンチして山か港に捨てようという計画を立てたことがあったそうだ。
その広場までマサオくんを連れていくのに、不良グループの、リーダーは無理矢理マサオくんを、バイクの後ろにのせたそうだ。
だけど、リーダーのあまりにも運転が下手すぎてマサオくんはキレてしまい無理矢理運転をかわり自分でリンチ広場までバイクをはしらせたそうだ。

その並外れた技術とスピードに魅せられた不良たちは、マサオくんを崇め苛めはなくなったらしい。

そう、マサオくんはバンドルを握らすと性格が180℃豹変するのだ
つまり、マサオくんはやっぱりバカなのだと思う。

「おっ!うっかり忘れてたぞ!今日、うち昼間誰もいなく、ひまわりより先に帰らなきゃいけなかったんだ」

「えーしんちゃん帰っちゃうの?」

「うーん、そうだ。カラオケ、ひまわりもよんでいい?」

「いいわよー。ねえ風間くん」
「そうだよ。いいにきまってるじゃん。さあ早くひまわりちゃんよびなよ。、ほらほら」


こうして、僕たちの夏休みがはじまった。

本当にたくさんのことをした。
僕ら五人とひまわりちゃんは常に一緒だった。
一つ一つの出来事がカメラのシャッターを押すように僕らのなかに思い出として刻まれていく。

みんなで喋り、みんなではしゃぎ、みんなで笑いあったあの夏休み。

みんなで夏祭りに行ったことがあった。
その祭りで開設された『本格幽霊やしき』に入ることになった。
二人一組ではいるため、自然にしんのすけとネネちゃん、僕とひまわりちゃん、マサオくんとボーちゃんのペアになった。

祭りで開設されるような幽霊やしきだからそんなに怖くないだろうと思っていたが予想を越える怖さだった。
だけど暗闇で怖がっているひまわりちゃんの手を握っていたらこの子を守らなくてはという思いが込み上げてきた。

ネネちゃんはキャーキャーと叫びながらしんのすけに抱きついていた。

マサオくんはあまりの怖さに固まってしまい、後ろからきた別の客に蹴り倒されていた。
やっぱりマサオくんはバカなのだ。

祭りのあと花火大会を川辺で見ようとみんなで歩いた。
なんとなくひまわりちゃんと僕は手を繋いだままだった。
しんのすけの腕にネネちゃんは腕を絡ませている。
途中、僕としんのすけの目があったが、しんのすけは口元でにやっと笑っただけだった。

「花火、きれいだなー」
川辺に腰かけてしんのすけがそう呟いた。隣に座っていたネネちゃんが頷く。

「パッと咲いてサーっと散ってく。一瞬なのにいつまでも心に残ってる。いいなぁ花火は……」

まもなく花火大会のクライマックスなのだろう。ドンドンドンと怒ったように打ち上げられる花火は『私のことを忘れないで』と訴えているようだ。

ふと視界の隅でしんのすけとネネちゃんがキスをしているのがめにはいった。
二人は唇を外すと顔を見合わせて微笑んだ。しんのすけはネネちゃんの肩を抱くと空を見上げて夏を彩る花火をみた。

「おにいちゃん、やるわねー」
ひまわりちゃんが僕の耳元でそう言った。
僕たちはずっと手を握っている。、

「ねえ、風間さん、キス……したことある?」
「えっ!したことないよ!しんのすけとしか!…あっでもあれは僕のファーストキスじゃ……」

言い終わらないうちに突然僕の唇に温かくて柔らかいものが重なった。
ひまわりちゃんの唇だ。

「ごめんなさい。……でも私風間さんのこと好きで……初キスは大好き人って決めてたから」

花火大会が終わって空が暗くなっても僕たちはしばらく空を見上げていた

あっという間に夏休みが過ぎていき、たくさんの思い出が蓄積されていく。
河原でバーベキューをしたさいにマサオくんが流れて行ってしまったこともある。

しんのすけとネネちゃんが正式に付き合うことになり、僕とひまわりちゃんもそういう関係になったりもした

自転車でノーブレーキで下りながら大声で叫んだり、海へ行ってスイカのかわりにマサオくんを、打ち付けたこともあった。

全てが僕たちにとって忘れられない思い出だった。
しんのすけのまわりにはいつも笑いがあって、いつも僕らがいた

僕たちは幸せだった。

8月31日。夏休み最後の夜。

20時ころに自宅の電話がなった。ママが応対していたが
「トオルちやーん。しんのすけくんからお電話よー」と呼ぶ声がした。
「しんのすけ?……わかった」携帯の方にかければいいのにと思いながら電話に出る。

『あら、トオルちゅわーん。携帯電源切れてるわよぉーん』
「気持ち悪い声出すなよ。って携帯切れてた?ごめんごめん。ところでどうした?」
『んーあのさ、今から出れない?ネネやボーちゃんたちには声かけたんだ。子供のころ遊んだあの公園で集まろうって。ひまもくるぞ』
「うん、いいよー。なんかするの?」
『メインイベントだよ。楽しみにしてて』

「あっ風間くん」
「こっち。こっち。」
ボーちゃんたちはすでに集まっている。ひまわりちゃんの姿もあるが、しんのすけの姿は見当たらない。

「しんのすけは?」
「ちょっと準備してくるからってどっか行ったの。多分すぐ来るとは思うけど」

子供のころみんなと一緒に遊んだ公園。昔は広く感じていたこの公園は、今はなんだか小さく見える。

「しんちゃん、遅いわねー」
少し寂しそうにネネちゃんが言った。
「でも、メインイベントってなんだろう」
「なんだろうねー。早くしんちゃんこないかなー」
少し無言が続く。

なんとなくみんながしんのすけのことを考えているのだろうと思った。

「しんちゃんって不思議な人だよねっ」
「そうだね。お調子者でいつも元気で、頭の回転早くて、いつもみんなを楽しませてくれて」
「しんちゃん、やさしくて正義感あるしね!ボクが苛められて泣きながらしんちゃんに電話したときもずっと話を聞いてくれたし」

「うんしんちゃんは優しい人よ。一緒にいて安心できるし、そばにいるだけで笑顔になれるの」
「しんのすけはみんなから愛されてるなー」
僕は心からそう言った。
「僕さ、思うんだ。しんのすけがいなかったらきっと高校なんかも別々で、それぞれ友人作ってバラバラになってたような気がするんだ。しんのすけは本当に凄い奴だよ」

「うふふ。なんかみんなおにいちゃんのこと誉めてくれるから、なんかくすぐったいや。でも、あの人の妹でいるのはすごく大変なのよ」
ひまわりちゃんは苦笑しながら公園の入り口に目を向けた。
しんのすけはあらわれない。


おい・・・

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「去年ね、うちで飼ってたシロが死んだでしょ。ちょうど春休みで。シロが突然寝たきりになったとき、率先してお世話していたのはおにいちゃんなの。
シロは自分の力で立つことも動くことも食べることも出来なくなって、それをらおにいちゃんが一生懸命お世話してたの。
自分の部屋に入れて、からだが冷えないように暖めてあげたり、オムツを交換してただれたおしりに薬塗ったり。注射器ですこしづつ餌やお水与えたり。シロガ、クーンとなくと何を訴えているのか、わかるみたいに色々お世話していたんだ」

そうか、さすがにシロは…そうだよな

「春休みがおわる前日の昼に、みんなで看取られる形でシロは息を引き取ったんだけど、私たちが悲しむなか、おにいちゃんは泣きながらも頑張ったね偉かったぞって、シロの小さくなった亡骸を、抱えながらそういってた。
おにいちゃんは本当にシロのことすきだったんだなーって、その時すごく思った。
シロもこんなに愛されてしあわせだったんだろうなーって
私もおにいちゃんのこと大好きよ。色々振り回されて疲れてしまうこともあるけど、おにいちゃんの妹でよかったって思うの」

そういって照れ笑いをしてまた公園の入口を見つめる
みんなで集まって30分以上経過しているのにしんのすけはまだあらわれない

「しんのすけ、おそいなー」
少し不安になり電話をかけようと携帯を取り出したとき
「おーまーたーせー」
としんのすけが走ってきた。

「おにいちゃん遅い!」
「そうよ、心配したんだからね!」
「ごめんごめん」
ひまわりちゃんとネネちゃんにブーブー言われて困ったようにしんのすけは頭を掻いていた。

「ところで、それ、なに?」
ボーちゃんがしんのすけの持ってる紙袋を指さした。
「これ?………ジャーン!夏の風物詩の花火ぃー。
俺思ったんだよ。花火大会には行ったけどこういう手持ち花火をしていないことに!で、記念に写真もってことで、カメラも持ってきた。ポラロイドだぞ」

僕たちはしんのすけの持ってきた花火を楽しんだ。
みんなでたくさん写真を撮る。
花火はあっという間に終わる。



「あのさ、俺、もうひとつやりたいことがあるんだ。俺、本当にこのメンバーが好きなんだ。今年の夏はスゲー楽しかった。
絶対忘れたくないし、忘れないでほしいって思った。
それでどうしたらこの夏の思い出をとっておけるだろうと思ったらこれが浮かんで……。なんていうのかなー タイムカプセルってやつ?
あれだったら今年の夏をそのまま保管できる気がして……
俺たちの過ごした証っていうか……この夏俺たちは一緒にいたんだよって…」

しんのすけのしんみりとした口調。寂しげな表情。
どうして彼はこんなにも悲しそうなのだろう。

「タイムカプセルいいと思う!」
「うん、素敵よ」
「おもしろそうっ」
「しんのすけにしてはいい考えだ」
「賛成賛成ー♪」
みんなが口々にタイムカプセルを作ることに賛同した。
しんのすけは安心した表情になった。

「よかった。でさ、タイムカプセルっていうのは手紙が付き物だろう。俺は先に書いてきたからみんなにも書いてほしい。別に誰にあててもいい。自分でも、みんなにあてた手紙でも。
俺は埋める穴を掘ってるからその間に書いてて」
そういいながらしんのすけはみんなに、便箋とペンを配る。
「しんのすけ、タイムカプセルはいつ開けるんだ?」
「うーん、そうだな。……10年後。10年後の今日に開けよう」



そして10年後・・・



「よしこれでいい」

手紙を書き終えた僕たちは しんのすけが用意した缶に手紙を入れて、土のなかに埋めた。

みんな名残惜しそうに公園に残っていたが、やかてそれぞれ家路につく。

「それじゃ みんな元気で!」
と笑っててをふったしんのすけに「明日も会えるだろ!」とわらって別れた。

9月1日
今日からまた学校だ。夏休みを終えた僕ら受験生は更に勉強が忙しくなる。
僕の目指す大学は一応合格圏内ではあるが油断は禁物だ。

いつもの時間に家をでて、いつものペースで歩いてたはずだった。
だけど、学校が近づいてきてもしんのすけはあらわれない。


どうしたんだろうと後ろを振り返ると、ひまわりちゃんが走ってくるのが見えた。

「おはよー風間さん」
「おはよー。ねえ、しんのすけは?」
そう問うとひまわりちゃんはキョトンとした顔をして僕の顔をみた。
「しんのすけ?友達ですか?私、そんな人知りませんよー」
冗談を言ってるのだろうと思った。それともけんかでもしたのかと。

「ひまわりちゃんのおにいちゃんだろ?」
「なにいってんですか?私におにいちゃんいないの知ってるくせに。私は一人っ子ですよーだ。昨日、帰り遅かったから寝ぼけてるの?」

ひまわりちゃんはなにを言っているのだろうか。
それともひどい喧嘩でもしたんだろうか?

教室のドアを開け、自分の席へ向かう。
ネネちゃん、ボーちゃんはいたがしんのすけの机はぽっかりと空いていた。

「あっ、風間くんおはよー♪」
「おはよ。」
「おはよー。ねぇしんのすけは?」
「しんのすけ?誰それ、別のクラスの子?」
「えっ?なにいってんの?しんのすけだよ。野原しんのすけ!ひまわりちゃんといい、ネネちゃんといい、しんのすけと喧嘩でもしたの?」
「だから、そんな人知らないわよ!風間くん夏休みボケ?」

僕は混乱した。なぜみんなしんのすけのこと知らないというのだろう。

「しんのすけだよ?昨日も一緒に過ごしたじゃないか」
「なにいってんの?昨日は私とボーちゃんとマサオにひまちゃんの五人だけだったでしょ」
「そのとーりっ」
みんななにをいっているのだろう。僕には訳がわからない。

「ネネちゃんの彼氏だよ?僕らの幼馴染みの……」
「私に彼氏なんていないわよっ」

埒があかないと思った僕は携帯を取りだし、しんのすけに電話をしようと思った。
だが、電話帳をいくら探してもしんのすけの名前は出てこない。

「なんで……」

僕はしんのすけの自宅に電話をかけることにした。小さいころ何度もかけたその番号は今でも忘れずに覚えている。

『はい、野原です』しんのすけのママの声。
「あっ、風間です。しんのすけお願いします」

『えっ?しんのすけ?うちにはそんな子いないわよ?風間くんもしかして間違い電話?』

頭が真っ白になった。何故みんなしんのすけのことを忘れてしまったのだろう。
まるで最初からしんのすけなんて存在しなかったように。

しんのすけの寂しげな表情を思い出した。
忘れられない夏にしたい……そう言っていたしんのすけ。
彼はどこにいってしまったのだろう

家に帰ってアルバムをめくってみた。でも写ってるはずのしんのすけの姿はどこにもない。

何故?
どうしてしんのすけのいた証がすべて消えているのだろう

僕はみんなで埋めたタイムカプセルを思い出した。
『今年の夏をそのまま保管できる気がして。俺たちの過ごした証っていうか…この夏一緒にいたんだよって』
寂しそうで悲しそうだったしんのすけ

もしかしたら、あのタイムカプセルだったら、しんのすけのいた証が残っているのでは……そう思った。

だがいま開けてしまうと、僕もしんのすけのことを忘れてしまう気がした。

しんのすけが何故あんなにも思い出を作りたかったのか。
忘れないでほしいと言っていたしんのすけ。
ボクまでもがしんのすけのことを忘れたら、しんのすけが、かわいそうな気がした。


日曜日、僕はひまわりちゃんと会う約束を、していた。
いつも元気いっぱいの彼女が今日はなんだか寂しげに見えた。

「この間、風間さん私に変なこと言ったでしょ?あれ?しんのすけは?って。君のお兄さんのしんのすけは?って」
うつむき加減にひまわりちゃんはそう言った。
「風間さん変なこと言うなって。私が一人っ子たって知ってるのに。それをね、うちに帰ってママに言ったんだ。
風間さんがこんなこと言うんだよーって。そしたらママ急に真顔になって……」

そこで息をひとつはくと、握っていた僕のてに力を込める

「私にはおにいちゃんがいたんだって。とはいっても産まれてはないけど……
生まれる少し前にね、買い物に出掛けてたママがバイクに乗ったひったくりあって、倒れて流産しちゃったんだって。
産まれてたら多分風間さんと同じくらいよ。ママたちは名前まで考えていたんだって。
それが……しんのすけ……。風間さんの話を聞いて、ママ泣きながらそういってた。
ママね、しんのすけがずっといるような気がしてたっていうの。
いがぐり頭で眉毛が太くてお調子者のしんのすけがずっといるような気がしてたって
三人じゃなく四人でずっといたような気がするって。
でも、夏が終わってからそれがなくなった感じがするって……」

「私もなんだか夏が終わってからポッカリ穴が開いた感じだった。今年の夏はすごく楽しかったから きっとそれのせいだっておもってたけど。
なんだかすごく大切なものを忘れてる気がするの。
家にいるときもパパやママが揃ってるのに、誰かを探している自分がいる。私だけじゃなく、パパもママも。きっとママのいうように最近までおにいちゃんがいたんだって感じるの」

その夜僕は夢を見た

『よっ』
しんのすけは悪びれもせず手をあげて挨拶した。
成長したしんのすけではなく、幼少のころのしんのすけだ。
いがぐり頭で眉毛が太くて、いつもの赤いシャツに黄色いズボン。パンツはアクション仮面で……

「よっ!じゃないよ!今までどこにいってたんだよ!みんなしんのすけのこと忘れてるぞ?ボク以外のみんなお前のこと知らないって言うんだぞ!」
『うーん、でも風間くんが覚えててくれるならそれでいいぞ。オラ、この世界に産まれる予定ではなかったんだし』

「しんのすけ…。でも僕は小さいころからお前と一緒たったじゃないか!小さいころから、大きくなったしんのすけのこと知ってる!」

『オラ、楽しかったぞ。みんなと過ごせて。オラ、母ちゃんのお腹のなかで死んでから、母ちゃんが心配だったんだぞ。母ちゃんずっと泣いてたから。
だから少しの間って約束でこの世界に存在していいことになったんだぞ
みんなのと過ごせて楽しかったぞ。オラが、消えてしまったみんなオラのこと忘れてしまうことはしってたぞ。でも、やっぱり忘れてほしくなかったから風間くんがオラのこと覚えててくれてうれしかったぞ』

「しんのすけ……僕は絶対忘れない。お前のこと」

『ありがとう』

しんのすけは照れた笑顔を浮かべながらきえた

それ以来しんのすけが現れることはなかった

10年後

暑い日差しのなかみんなが集まった。
僕、ひまわり、ネネちゃん、ボーちゃん、マサオくん。
そこには当たり前たがしんのすけの姿はない。

僕は長年付き合っていたひまわりと結婚していた。今、ひまわりのお腹のなかには子供がいる。
ボーちゃんは若くして大学教授になり、一度はやめていた石についての研究もしている。
ネネちゃんはいまだ独身である。ネネちゃんもまた、しんのすけが消えてからポッカリ穴が開いたようだと、とっても好きな人がいたような気がするのに思い出せないと言っていた。
マサオくんは大学に何回も落ち、就職することも諦め、コンビニでバイトをしながら親のすねをかじっている


すごく哀しい…


佐藤・・・おまえ・・・


「タイムカプセル…いよいよ開けるときがきたわねー」
「でも誰がタイムカプセル埋めようっていいだしたんだっけ?ボク全然おもいだせないやー」
「ぼくも」
「私も。でもずっと何かを忘れてるような気がするのよね。こう、みんなで集まっても一人足りないって気がするの。そう思わない?風間くん」

そうだね、だってしんのすけがいないんだから。

土を掘り返しタイムカプセルを取り出した。
10年という年月のせいか缶は少しさびついていたが中身は無事だった。

使った線香花火。アクション仮面の人形。そのうらにはしんのすけと名前が書いてあった。
みんなで撮ったポラロイド写真。そのすべてにしんのすけがうつっていた。

「誰だろう。この男の子」
「でもすごくなつかしい感じがする」
「写真のなかの私たちすごく楽しそう。ずっと仲良しだった気がする」

「私たち、すごく大切なものを忘れていた気がする。この子をみてわかった気がする……」
ネネちゃんは写真を見つめながらスーッと涙の粒を落とした。

写真の中でしんのすけはいつも笑っていた。
あの夏の思い出はタイムカプセルのなかで消えずに残っていた

手紙を見つけた。しんのすけの手紙。
そこには簡単にこう書いてあった。

『この夏をみんなと過ごせて楽しかった


みんながおれのこと忘れても

おれはみんなのこと 忘れない』


…………………

あれから数ヵ月後、ひまわりは無事男の子を出産した。
僕たちは子供の名前を、『しんのすけ』と、命名した。
しんのすけは今5才。
いがぐり頭で太い眉毛、彼はお調子者で人気者の―――――。

クレヨンしんちゃん.jpg


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しんちゃんとネネとマサオ [恋愛]

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幼い頃から、人気者で
面白くて、楽しくて変態で年上好きの女好き…。
それでも、みんな
みんな、あなたが大好きだった。



ーーーあたしも。



「しんちゃん、あたしね
あたし、……しんちゃんが

好き」


……言ってしまった。言ってしまった。言ってしまった!!

きゃーきゃー!どうしよう!!
きゃー!恥ずかしい!


頬が暑い。
高校を卒業して、しんちゃんはグッと身長も伸びて大人っぽくなった。
グリグリいがぐり頭も、今や髪の毛は伸びて、青少年。そんな、しんちゃんを周りの女の子たちが放っておくわけもなく、しんちゃんの周りには、女の子たちが沢山いた。


・・でも、しんちゃんは誰とも付き合わなかった。誰の告白にも、応じなかった。

あたしだけは特別だった。
だって、あたしは、かすかべ防衛隊のマドンナだもの。

しんちゃんを、誰よりも傍で見てきたんだから。


ねぇ、あたしのことを…好きだよね?しんちゃん…。


長い長い、間をおいて、しんちゃんはニッと元気よく笑った。



「………改まって、どうしたんだゾ!


オラも、ネネちゃんを好きに決まってるゾ!
なんたって、かすかべ防衛隊の仲間だもん」


え……?

「は・・・・?」


……そっち?
そっちの意味に捉えちゃうの……!?



「オラ、ネネちゃんと友達になれて良かったゾ」



……あたしの淡い恋心は砕け散った。



ぐぁぁぁぁあ!
あたしのウサギは、どこ!?

「あぁぁぁーーー!!もう!!
しんちゃんの、バカっ!!
鈍感変態女好きィィイ!!!」


ドスッ。
ドスッ。
ドスッ。



校舎裏で、あたしは隠していたウサちゃんのお腹を殴る。



「・・・い、いつものネネちゃんじゃない・・・・」
「なによー!
いつから見てたのよ!この、おにぎり!」
「ヒィィィ!」


いつの間にかやってきていた、おにぎりが震えている。
こいつも、見かけはおにぎり頭ではなくなったものの、弱虫なところは変わっていない。

おにぎり頭と呼ばれることに、コンプレックスでもあったのだろう。いまや、茶髪にロングのチャラ男へと進化した。中身は変わらずとも、見かけは大変身。

「お、おれ、もうおにぎりじゃないよ」
「うっさいわね! チャラ男!!」
「ヒィィィ!」



そういうや否や、おにぎりは泣き出した。
ほんっと! 見かけだけね・・・・。
あたしは、ため息をつく。


「泣くんじゃないわよ!!
ほんと、泣き虫なのは変わってないわね! まったく!!」



仕方がないので、ハンカチを渡すと嬉しそうに、「ありがとう、ネネちゃん」と笑った。



・・・・子供かよ。
いちおう、成人した大学生なのよ。

あたしが、仕方ない思いながら、再び溜め息をつく。するとマサオくんは、「何かあったの・・? しんちゃんと」と遠慮がちに聞いてきた。



どうやら、あたしが、また怒ると思ってるらしい。
びくびくしすぎよ。
別に隠すことでもないので、さっきの出来事を話した。



「・・・・ふられたのよ」


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マサオは、目を見開いて、驚いたように飛び上がる。


「ええ!? しんちゃんが、ネネちゃんをふったの!?」
「声が大きい、おにぎり!」
「ごめんなさい!」

マサオくんは、青い顔で、でも、顔をサッとあげて、あたしを見つめた。



「ね、ネネちゃん!!」
「・・・なによ」
「お、おれと付き合ってください!」



・・・・どこに?って・・・ええ?どゆこと?



「付き合うって、どこによ」
「ちち、ちがう!! ぼ、ぼくはネネちゃんが好きなんだ!!」
「却下」
「ええええええ!!!?」



・・・あんた、オレから僕に戻ってるじゃないの。

「悪いんだけど。
あたし、マサオくんに恋愛感情はないの」
「そんな・・・!」



瞳をウルウルさせる、マサオくん。また、泣くのかよチワワかよ。



・・ていうか、マサオくんも、そこそこに告白されるんだから、あたしよりも、可愛らしい女の子を選べばいい。思わず思っていた言葉を、そのまま口に出した。




「あたしよりも、もっと可愛い子を選べばいいじゃない」


すると、マサオくんは目を釣りあがらせて、勢い良く首をふった。

「そんなことない!! ネネちゃんは、可愛い!
そして、ネネちゃんは優しくて強くてカッコイイんだよ!

ぼくは、ずっとそんなネネちゃんを見てたんだ!!」



顔を真っ赤にさせて、鼻息を荒くして
力説するマサオくんに、思わず苦笑いをした。




女の子に、カッコイイって・・・・・どゆこと。
あたしは、マサオくんにトドメをさす。




「とりあえず、却下だから」
「ええええええ!?」



ネネちゃん、酷いよー! という声が後ろで聞こえた。あたしは、思わず笑う。あいつ、本当にドジなんだから。

ドジでマヌケで泣き虫で、女の子扱いも下手くそだし、見かけだけチャラ男だけど、


いつも真っ直ぐだった。
それでも、少しだけ、
ほんの少しだけ。
さっきまでの悲しかった心が楽になっている、あたしがいた。


(ふん。マサオのくせに、言うじゃない)



もうすこし、強くなって、あたしを守れるぐらいになったら
考えてやらないことも、ないかな。


なんてね。


「今日の、ママの晩御飯なにかしら♪」



ああ、明日が楽しみ。

ネネ.jpg


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ひまわりの結婚 [感動]

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「お兄ちゃん、」
「おー、どうした。ひまわり」
「あたし、風間さんと結婚するんだ」
「・・・そうか」


お兄ちゃんは、私に向かって、いつものように、幼い頃と変わらない顔で笑った。



「風間くんは、幸せ者だゾ」

結婚式。
ウェディングベール。
どれも、どれも。
幼い頃から、夢見てたものばかり。


でも、
・・・なんでかな?
なんだか、嬉しくない。
鏡の中にいる、着飾った誰かは、私じゃないみたい。


「綺麗だよ、ひまわりちゃん」
「・・・風間さん、」



風間さんは、照れたように「その呼び方も、今日で聞き納めだね」と微笑む。優しい人。幼い頃から、彼はずっと私を大切にしてくれた。



・・・ロリコンだったのかもしれないけれど。
それでも構わないくらい、あたしも風間さんを大好きになった。


幸せ?
幸せ。
でも・・・何かが足りないの。


何が?



「ひまわりちゃん?緊張してる?」
「あ、大丈夫です・・・緊張、してるのかな」
「してるみたいだね。大丈夫だよ、


僕がいるから」



優しい人。
両手で、あたしの掌を包みこんでくれる。
大丈夫。あたしの選択は、間違ってなんかいない。



そうよ、大丈夫よ。

ウェディングロード
お父さんとお母さんが泣いている。ボロボロ涙を溢して。


あぁ、あたし…結婚、するんだ。
でも、あたし…涙が出ないの。



一歩。
また、一歩。
神父さんと、風間さんが微笑んで待っている。

その時だった。
目の前が黒で、いっぱいになる。


「父ちゃん、交代」


え?


「お兄、ちゃん…?」
「オラだって、ひまの父ちゃんだからな」


スーツを着た、お兄ちゃんの姿。


パリッとしたスーツを着こなしているけれども、いつもと変わらない行動に、かすかべ防衛隊のみんなも、お父さんもお母さんも
お兄ちゃんらしい行動に笑っていた。

あと少し。
あたしは、彼のお嫁さんになる。
風間さんの手と、あたしの手、そして、お兄ちゃんの手が、重なる。


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「ひま、」
「ん?」
「まだ、言ってなかったよな。結婚、おめでとう。
風間くんは、良い男だゾ」
「しんのすけ…」


お兄ちゃんは、風間さんとあたしの手を力一杯に握りしめる。


「ひま、お前は、いつまでも野原一家の一員だゾ

そして、オラのたった一人の妹だゾ」

あれ……あれあれれ?
熱い。目も鼻も、呼吸が、しにくい。苦しい。



「ひまわりちゃん…」



あたし、寂しかったんだ。お兄ちゃんが、何も言ってくれなかったことや。



もう、パパやママ、お兄ちゃんと家族じゃなくなるかもしれないって、思ってたんだ。


「…、お兄…ちゃん…」
「もぉ~母ちゃんに似て、泣き方が豪快だゾ!ひま。
風間くん、ひまは母ちゃんに似て素直じゃないから大変だけど、宜しくだゾ」
「お兄ちゃんのバカ!」

何かが、塞がった。
あたし、風間さんと生きていっていいんだね。



あたし。
新しい家族を作って、いいんだよね。



みんな、家族だから。
みんな、あたしの大切な人たちだから。

「お兄ちゃん、」
「お?」
「お兄ちゃん、あたし、お兄ちゃんの妹で幸せだよ」


お兄ちゃんが、ニッと笑った。


「当たり前だゾ」



あたしは、歩いていく。
この道を、ずっと。
彼と共に。
家族と、一緒に。

ひまわり.jpg


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赤ちゃんを産むこと。 [感動]

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赤ちゃんを産むとき、陣痛というものがある。
陣痛は、初産で約24時間、2人目以降で約12時間続くものらしい。

妊婦さんの中には、この陣痛がとても苦しいので
「産む側は大変、赤ちゃんは生まれてくる側でいいなぁ」
と言う方もいるらしい。

しかし、助産師さんは、これは大きな勘違いだと言う。
赤ちゃんの方が、妊婦さんの何倍も苦しいのだと。

実は、子宮は筋肉であり、これが収縮したり緩んだりするのが、陣痛の正体らしい。

陣痛が始まり、子宮が収縮すると、赤ちゃんは首のところを、思い切り締め付けられ、へその尾からの酸素が途絶え、息ができなくなるそうだ。

子宮の収縮は約1分間。
その間思い切り首を締められ、息ができない。

1分たてばまた子宮はゆるむが、また陣痛が来れば1分、息ができなくなる。
しかも陣痛の間隔はだんだん狭くなる。

この陣痛に耐えられなければ、赤ちゃんは死ぬ。まさに命懸けだ。
だからこそ、赤ちゃんは慎重なのだという。


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実は、陣痛がおこるためには、陣痛をおこすホルモンが必要らしいのだが、このホルモンを出しているのは、お母さんではなく、なんと赤ちゃん自身。

赤ちゃんはとても賢く、自分自身で自分が、今陣痛に耐えられる体かを判断する。

そして、一番いいタイミングで、自分の生まれてくる日を選ぶ。

また、急に激しい陣痛を起こせば命が危いので、最初は陣痛を起こすホルモンを少ししか出さず、様子を見てホルモンの量を調整するらしい。

赤ちゃんの中には、予定日を過ぎても、なかなか生まれてこない赤ちゃんもいる。
途中で陣痛を止める赤ちゃんもいる。

そういう赤ちゃんを
「うちの子はノンビリしてる」
なんていうお母さんもいるけど、そのとき赤ちゃんは必死なんだという。

生まれて来ないのは、赤ちゃんが
「今の体では陣痛に耐えられず死んでしまう」
と判断しているからだそうだ。

赤ちゃんはみんな、自分で判断して、自分の意志で生まれてくる。

「生まれたくて生まれたんじゃない」なんて人はいない。

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