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学校に行きたいな。 [感動]

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少年は病気の彼女をうらやましく思っていました。理由はすぐに学校を早退できるからです。でも、彼女の連絡帳を何気なく覘いたその時、少年は己の浅はかさを知ったのです。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


俺が小学校5年生のとき、寝たきりで滅多に学校に来なかった女の子と同じクラスになったんだ。

その子、たまに学校に来たと思ったらすぐに早退しちまうし、最初は



「あいつだけズルイなぁ・・・。」



なんて思ってたよ。

んで、俺の家、その子の家から結構近かったから俺が連絡帳を届ける事になったんだ。



女の子のお母さんから連絡帳を貰って、先生に届けて、またお母さんに渡して・・・。

それの繰り返し。



「なんで俺がこんな面倒臭い事しなくちゃいけないんだ!」

って、一人でブーたれてたのを良く覚えてる。



そんなある日、俺何となくその子の連絡帳の中を覗いてみたんだ。

ただの興味本位だったんだけど。

連絡帳にはその女の子のものらしい華奢な字で、ページ一杯にこう綴られてた。



『今日もずっと家で寝てました。早く学校に行きたいです。今日は窓際から女の子達の笑い声が聞こえてきました。学校に行けば、私も輪に入れるのかな・・・。』



ショックだった。

学校行かないのって楽な事だと思ってたから。

ハンデがある分、ひいき目にされて羨ましいって思ってたから。



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でも彼女の文章には学校に行けない事の辛さ、普通にみんなと遊びたいって気持ちに溢れてて、なんだか俺、普通に毎日学校に通ってんのが申し訳なくなって。

だから、連絡帳にこっそり書き込んだんだ。



「いつでも、待ってるからな。体が良くなったら遊ぼうな!」

って。



でも次の日の朝、その子の家に行ったらその子のお母さんに

「もう、連絡帳は届けなくていいの。」

って言われた。

あまりにも突然だった。

俺その頃悪ガキで、頭もすげえ悪かったけど、その子のお母さんの言ってる意味は伝わったんだ。



「この子は天国に行ったんだ。もう一緒に遊ぶ事は出来ないんだ・・・。」



そんな事考えたら涙が溢れて、止まらなくって・・・。

ずうっと泣き続けてた俺に、その子のお母さんは連絡帳をくれたんだ。

せめて君だけは、学校にも行けなかったあの子を忘れないで欲しいって。



そんな俺ももうすぐ30になろうとしてる。

あの時の連絡帳は、引き出し下段の奥底にずっとしまったきりだ。

就職したり、結婚したり、子供が生まれたり・・・。

今まで、本当に色んな事があった。

時には泣きたい事、辛い事の連続で、いっそ自殺しちまおうかなんて思った事もあった。

けど、そんな時はいつも引き出しを開けて、女の子の連絡帳を開くんだ。

そして、彼女が亡くなる直前に書かれた文章を読み返すんだ。



『ありがとう、いつかきっと、遊ぼうね。』


小学生.jpg



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神様、助けてください。 [感動]

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彼女の旦那さんはとても優しい人でした。いつでも、どんな時でも自分のことは後回しにして彼女を思いやる人でした。そう… 最後の最後まで、彼はそんな人だったのです。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


どうして私がいつもダイエットしてる時に(・∀・)ニヤニヤと見つめやがりますか(゚Д゚)ゴルァ!

どうして私が悪いのにケンカになると先に謝りますか(゚Д゚)ゴルァ!

どうしてお小遣減らしたのに文句一つ言いませんか(゚Д゚)ゴルァ!



どうして交代でやる約束した洗濯をし忘れたのに怒りませんか(゚Д゚)ゴルァ!

どうして子供が出来ないのは私のせいなのに謝りますか(゚Д゚)ゴルァ!

どうして自分が体調悪い時は大丈夫だと私を突き放して私が倒れると会社休んでまで看病しますか(゚Д゚)ゴルァ!



どうして妻の私に心配掛けたくなかったからと病気の事を隠しますか(゚Д゚)ゴルァ!

おまけにもって半年とはどう言う事ですか(゚Д゚)ゴルァ!

長期出張だと嘘言って知らない間に手術受けて助からないとはどう言う事ですか(゚Д゚)ゴルァ!



病院で俺の事は忘れていい男見つけろとはどう言う事ですか(゚Д゚)ゴルァ!

こっちの気持ちは無視ですか(゚Д゚)ゴルァ!

正直、あんた以上のお人よしで優しい男なんか居ませんよ(゚Д゚)ゴルァ!

それと私みたいな女嫁にすんのはあんた位ですよ(゚Д゚)ゴルァ!


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もう一つ言い忘れてましたが私、お腹に赤ちゃん出来たんですよ(゚Д゚)ゴルァ!

あんたの子供なのに何で生きられないのですか(゚Д゚)ゴルァ!

そんな状態じゃ言い出せ無いじゃないですか(゚Д゚)ゴルァ!

それでも言わない訳にはいかないから思い切って言ったら大喜びで私を抱きしめますか(゚Д゚)ゴルァ!



生まれる頃にはあんたはこの世にいないんですよ(゚Д゚)ゴルァ!

元気な子だといいなぁってあんた自分の事は蔑ろですか(゚Д゚)ゴルァ!

病院で周りの患者さんや看護婦さんに何自慢してやがりますか(゚Д゚)ゴルァ!

病気で苦しいはずなのに何で姓名判断の本で名前を考えてやがりますか(゚Д゚)ゴルァ!



どうして側に居てあげたいのに一人の身体じゃ無いんだからと家に帰そうとしますか(゚Д゚)ゴルァ!

どうしていつも自分の事は二の次何ですか(゚Д゚)ゴルァ!

医者からいよいよダメだと言われ泣いてる私に大丈夫だよとバレバレの慰めを言いますか(゚Д゚)ゴルァ!



こっちはあんたとこれからも生きて行きたいんですよ(゚Д゚)ゴルァ!

それがもうすぐ終わってしまうんですよ(゚Д゚)ゴルァ!

バカやって泣きそうな私を包んでくれるあんたが居なくなるんですよ(゚Д゚)ゴルァ!

忘れろと言われても忘れられる訳ないでしょ(゚Д゚)ゴルァ!



死ぬ一週間前に俺みたいな奴と一緒になってくれてありがとなですか、そうですか(゚Д゚)ゴルァ!

こっちがお礼を言わないといけないのに何も言えず泣いちまったじゃないですか(゚Д゚)ゴルァ!

あんなに苦しそうだったのに最後は私の手を握りしめて逝きやがりましたね(゚Д゚)ゴルァ!

何で死に顔まで微笑みやがりますか(゚Д゚)ゴルァ!(゚Д゚)ゴルァ!(゚Д゚)ゴルァ!



そんなのは良いから起きて下さい(゚Д゚)ゴルァ!

生まれてくる子供を抱いて下さい(゚Д゚)ゴルァ!

子供に微笑みかけて下さい(゚Д゚)ゴルァ!

たのむから神様何とかして下さい(゚Д゚)ゴルァ!

ダメ女な私にこの先一人で子供を育てろと言いやがりますか(゚Д゚)ゴルァ!



そんなあんたが死んで5ヶ月…

子供が生まれましたよ(゚Д゚)ゴルァ!

元気な女の子ですよ(゚Д゚)ゴルァ!



目元はあんたにそっくりですよ(゚Д゚)ゴルァ!

どこかで見てますか(゚Д゚)ゴルァ!

私はこの子と何とか生きてますよ(゚Д゚)ゴルァ!



あんたも遠くから見守って居てください。


家族.jpg


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母との思い出。 [感動]

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お母さんは女手ひとつで彼と妹を育ててくれました。貧乏のの中、働くだけ働いて、そして亡くなりました。残ったものは思い出のGBソフトと枕元の手紙、そして返しきれない感謝の気持ち。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



昨日4時22分に母が亡くなった

風邪一つ引かない元気な母だった。



僕が幼稚園に入るころもう父はいなかった。

借金作って逃げたらしい。

朝は4時に起きて俺らの弁当作って6時から17時まで弁当屋でパート。

帰ってきたら晩飯作ってすぐに出て行って11時までパチンコ屋で掃除のバイト。

休むのは月に3回あればいいほう。

そうやって僕と妹は育てられた。



反抗期なんてほぼ無かった。

あんなに頑張る母親を見て反抗なんてできるはず無かった。

いや・・・一度だけあった。

クリスマスの2,3日前ゲームボーイが欲しいとねだった。

友達がみんなゲームを持っていたのに自分だけ持ってないと苛められると。

何故あんな嘘をついたのだろう・・・。



母は「ごめんね・・・」と顔をくしゃくしゃにして泣いた。

僕も何故か悲しくなって家族3人でボロボロ泣いた。

その日は3人とも同じ布団で抱き合って寝た。



クリスマスの日の夕食はおでんとケーキだった。

母親は子供のようにはしゃぎ、歌い、最後に「はい」とプレゼントを渡した。

古いゲームソフトだけを買ってきた。

「これだけじゃできないんだよ」と言おうとしたけどうれしそうな母の顔を見ていえなかった。





あれから20年、兄妹そろって大学まで出してくれた。



俺も妹ももう就職したしこれからは楽させてあげるから仕事やめなよ。っていったのに。

働いてなきゃボケるって・・・そんな年じゃないだろう。

どっか3人で旅行にいこうよっていってたのに。

妹の結婚式みるまでは死ねないっていってたのに。



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なんで末期癌になるまで働くんだよ・・・。

何度も病院いこうって言ったじゃないか。

先生もいってた「あんなに我慢強い人見たこと無い」って。

看護婦さんに「迷惑かけてごめんね」ばっかり言ってたんだってな。

いっつも人のことばっかり気にして・・・。



震える手で書いた枕もとの手紙・・・読んだよ



「耕ちゃんへ

小さいころはいつもお手伝いありがとう

あなたはわがままをひとつも言わないやさしい子でした

妹の面倒も沢山見てくれてありがとう

あなたが生まれてきてくれてほんとうにうれしかったよ

あなたのお嫁さんを見たかった



梓へ

女の子なのにおしゃれをさせてあげられなくてごめんね

いつも帰ったら「ぎゅっとして」といってくるあなたに何度私は救われたかわかりません

あなたはあなたを愛する人を見つけなさい

そしてその人のために生きなさい



死は誰にでも訪れるものです。

悲しまないで

あなたがもし辛いことがあったらいつでもあなたの枕元に立ちますよ なんてね



あなた達の母親で良かった

また生まれ変わってもあなた達の母親でありたい。

それが私の唯一つの願いです

体に気をつけて。

寒いからあたたかかくして。

それから・・・それから・・・きりが無いからやめとくね

たくさんたくさんありがとう」



お母さん・・・手紙涙でにじんでボロボロだったよ。

だから紙を買ってきてくれっていってたんだね。



お母さん・・・ありがとう・・・ありがとう・・・ありがとう・・・



まだ遊んでるよ。

プレゼントしてくれたスーパーマリオランド

ゲームボーイ.jpg


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迷惑かけてゴメンね。 [感動]

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普段あまり交流のない妹から突然の電話。病院で検査をしたら家族を呼べと言われたらしいのです。妹さんは両親に心配をかけたくなかったらしく「内緒に」と頼まれたのですが…。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~



一年前の今頃、妹が突然電話をかけてきた。家を出てからあまり交流がなかったので少し驚いた。



「病院に行って検査をしたら、家族を呼べって言われたから来て。両親には内緒で」

嫌な話だということは簡単に想像できた。



妹は胃癌だった。初期の段階だが、すぐ手術をしなければいけないということだった。

「お父さんとお母さんに言ったら、びっくりすると思うからお兄ちゃんを呼んだ。迷惑かけてゴメン」

親父は二ヶ月前に胃潰瘍を患っている。

お袋は神経が細かいので、こういった話には耐えられないだろう。

だから妹は俺を呼んだのだと言う。

妹は少し優秀なプログラマーで、手術の費用などは心配するなと笑っていた。

高額医療保障制度もあるし、大丈夫。

でも、お父さんとお母さんにだけは内緒にしておいて。

手術が終わったら言うから。

迷惑かけてゴメンね。

迷惑かけてゴメンね、と、何回も繰り返す妹に、俺は「迷惑じゃないよ」としか言えなかった。



医者に話を聞いたら、本当は初期じゃなかった。

だいぶ進行していて既に末期だという。

手術中に死ぬかもしれないとも言われた。

手術しても助からないかもしれないとも言われた。



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俺は両親に言ってしまった。

親父は絶句して、お袋は精神的なショックで一時的に左耳が聴こえなくなった。

でも、二人ともすぐに入院した妹に会いに行った。



妹が俺を責めた。

「何で言ったの。言わないでって言ったじゃない」

俺は「ゴメン」しか言えなかった。

死ぬかもしれない妹に、とにかく両親を会わせてやりたかった。

でも本当は、妹の死を一人で背負う事が辛かったんだと思う。

俺は弱い卑怯者だと思う。



手術の日、手術室に移される前に、妹が俺に言った。

「迷惑かけてゴメンね」

俺はやっぱり、「迷惑じゃないよ」としか言えなかった。



手術は腹を開いただけだった。

検査で分かっていたが、手術をしても無駄なほど癌が進行していた。



それから二ヵ月後、妹は死んだ。27歳だった。

死ぬまで、俺は毎日病院に通った。仕事の合間にも顔を出した。周囲にはいい兄貴に見えたと思う。

そんなに仲がいい兄妹じゃなかったと思うが、それでも毎日病院に通った。

妹は何度も、「迷惑かけてゴメンね」と謝った。



意識がなくなる二日前、俺に

「お父さんとお母さんに教えたって、責めてゴメンね。
 迷惑かけてゴメンね」

と言った。

俺は「迷惑じゃないよ」としか言えなくて、自分が死にたくなった。



もうすぐ妹の命日だが、今でも後悔している事がたくさんある。

もっと気の利いたことを言ってやりたかった。

調べればもっといい病院があったかもしれない。探してやりたかった。

今まで全然甘えなかった妹が最後に俺を頼ったのに、俺は何もしてやれなかった。



27年間、もしやり直せるんだったら、俺はもっと強くていい兄貴になりたい。

でもそれはできない。

立ち直るまでまだもう少し時間がかかりそうだが(一年も経ってまだ立ち直ってないのかと自分でも思うが)、

妹の分までしっかり生きていってやろうと思ってる。

もっと強くていい兄貴になって、天国の妹が自慢に思ってくれるような人間になりたい。



兄弟.jpg



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【涙と感動が詰まったオススメ記事】

★人気★赤ちゃんを産むこと。
http://bit.ly/1bhfDpt

お袋とクロ。
http://bit.ly/14HUXXE

「お姉ちゃんに会いに来てくれませんか?」
http://bit.ly/13SD0oj

迷惑かけてゴメンね。
http://bit.ly/16iyUpG

母との思い出。
http://bit.ly/14kvLo5

神様、助けてください。
http://bit.ly/16O66WY

★人気★学校に行きたいな。
http://bit.ly/13V2G3F

★人気★母の唯一のワガママ。
http://bit.ly/11ThVXE

★人気★母さんのサンドイッチ。
http://bit.ly/11Sugdx

★人気★アルコールのニオイがする彼女の日記。
http://bit.ly/16oljgx

母の勲章。
http://bit.ly/170atOR

最初で最後のラブレター。
http://bit.ly/170Onf3

ポチ、ありがとう。
http://bit.ly/1aErgJO

★人気★ガンがなおるくすり。
http://bit.ly/11U1NnT

★人気★天国から届いた妻からの手紙。
http://bit.ly/11WrMfb

★人気★お弁当の見映えの理由。
http://bit.ly/11U6T3w

一本のビデオテープ。
http://bit.ly/1429FrE

ママからの3本のビデオ。
http://bit.ly/11Wxlu6

ロッキーは俺のヒーロー。
http://bit.ly/19sABmv

父と娘。
http://bit.ly/11Ivp8O

またどこかで会おうね。
http://bit.ly/14Vh7py

★人気★天国のオカンへ。
http://bit.ly/11EKV90

笑顔をたやさない。
http://bit.ly/18hh2Q6

★人気★お父さん、お母さん。
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★人気★おばあちゃんの本当の想い。
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★人気★娘の結婚式。
http://bit.ly/1ai6EZ4

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★人気★息子の命とサイン帳。
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伝えたい言葉。
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ナイツのコンビ愛。
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子犬の物語。
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家族写真。
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しんちゃんの親友。
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ひまわりの結婚
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風間くんの甘酸っぱい子守。
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しんちゃんが大人になったときの話。
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しんちゃん、東京に行く。
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ひまわりと風間くんの恋の行方。
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ドラえもん「のび太の恋の行方は?」
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ドラえもん「のび太、靴屋の店長になる」
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ドラえもん「ジャイアンの夢」
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共通テーマ:日記・雑感

「お姉ちゃんに会いに来てくれませんか?」 [感動]

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ある男性が結婚まで考えていた彼女に振られました。
他に好きな男が出来たということでした。
それから半年… 失恋のショックから少しずつ立ち直っていた彼に、彼女の妹から電話が…





~~~~~~~~~~~~~~~~~



付き合って3年の彼女に唐突に振られた。



「他に好きな男が出来たんだー、じゃーねー」



就職して2年、そろそろ結婚とかも真剣に考えてたっつーのに、目の前が真っ暗になった。

俺は本当に彼女が好きだったし、勿論浮気もしたことないし、そりゃ俺は 格別イイ男って訳じゃなかったけど、彼女の事は本当に大事にしてたつもりだった。

なのに、すっげーあっさりスッパリやられた。

どーにもこーにも収まりつかなくて、電話するも着信拒否、家行っても いつも留守、バイト先も辞めてた。 徹底的に避けられた。

もーショックですげー荒れた。仕事に打ち込みまくった。

それから半年、お陰で同期の中でダントツの出世頭になってた。

彼女の事も、少しずつ忘れ始めてた、そんなある日。 携帯に知らない番号から電話がかかってきた。

最初は悪戯とかだと思って無視ってたんだけど、何回もかかってくる。 仕方ないから出た。

別れた彼女の妹を名乗る女からだった。その女が俺に言った。



「お姉ちゃんに会いに来てくれませんか?」



・・・彼女は白血病にかかっていて、入院していた。

ドナーがやっと見つかったものの、状態は非常に悪く、手術をしても 助かる確率は五分五分だという。 入院したのは俺と別れた直後だった。

俺は、病院へ駆けつけた。 無菌室にいる彼女をガラス越しに見た瞬間、俺は周りの目を忘れて怒鳴った。



「お前、何勝手な真似してんだよっ!俺はそんなに頼りないかよっ!!」



彼女は俺の姿を見て、しばらく呆然としていた。 どうして俺がここに居るのかわからない、という顔だった。

その姿は本当に小さくて、今にも消えてしまいそうだった。

でもすぐに、彼女はハッと我に返った顔になり、険しい顔でそっぽを向いた。

俺は、その場に泣き崩れた。

堪らなかった、この期に及んでまだ意地をはる彼女の心が、愛しくて、悲しくて、涙が止まらなかった。

その日から手術までの2週間、俺は毎日病院に通った。けれど、彼女は変わらず頑なに俺を拒絶し続けた。





そして手術の日。俺は会社を休んで病院に居た。俺が病院に着いた時にはもう彼女は手術室の中だった。

手術は無事成功。けれど、安心は出来なかった。

抗生物質を飲み、経過を慎重に見なくてはならないと医者が言った。

俺は手術後も毎日病院に通った。彼女は、ゆっくりではあるけれど、回復していった。

そして彼女は、相変わらず俺の顔も見ようとしなかった。


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ようやく退院出来る日が来た。

定期的に検査の為、通院しなくてはならないし、薬は飲まなくてはならないけれど、 日常生活を送れるまでに彼女は回復した。

俺は当然、彼女に会いに行った。お祝いの花束と贈り物を持って。



「退院、おめでとう」



そう言って、花束を手渡した。

彼女は無言で受け取ってくれた。

俺はポケットから小さい箱を取り出して中身を見せた。俗に言う給料の3ヶ月分ってヤツ。



「これももらって欲しいんだけど。俺、本気だから」



そう言ったら、彼女は凄く驚いた顔をしてから、俯いた。



「馬鹿じゃないの」

彼女の肩が震えていた。



「うん、俺馬鹿だよ。お前がどんな思いしてたかなんて全然知らなかった。本当にごめん」

「私、これから先だってどうなるかわからないんだよ?」

「知ってる。色々これでも勉強したから。で、どうかな?俺の嫁さんになってくれる?」



彼女は顔を上げて、涙いっぱいの目で俺を見た。



「ありがとう」



俺は彼女を抱きしめて、一緒に泣いた。

ウチの親には反対されたけど、俺は彼女と結婚した。



それから2年。

あまり体は強くないけれど、気は人一倍強い嫁さんの尻に敷かれてる俺がいる。

子供もいつか授かればいいな、という感じで無理せず暢気に構えてる。





——後日談——-

嫁さんのお腹に新しい命が宿ってるってわかった。

「子供は授かりものだから、無理しないでのんびり構えとこう」とか言ってたけど、正直諦め気味だった。

まだ豆粒みたいなもんなんだろうけど、俺と嫁さんの子供が嫁さんのお腹の中にいる。

そう思っただけで、何か訳の分からない熱いものが胸の奥からこみ上げてきて、泣いた。嫁さんも泣いてた。

実家に電話したら、結婚の時あんだけ反対してたウチの親まで泣き出した。

「良かったなぁ、良かったなぁ。神様はちゃんとおるんやなぁ」 って。

嫁さんの親御さんは 「ありがとう、ありがとう」 って泣いてた。皆で泣きまくり。

嫁さんは身体があんまり丈夫じゃないから、産まれるまで色々大変だろうけど、 俺は死ぬ気で嫁さんと子供を守り抜く。 誰よりも強いお父さんになってやる。



でも、今だけはカッコ悪く泣かせて欲しい。


嫁.jpg


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お袋とクロ。 [感動]

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中学生の頃に猫を飼った。
家族みんなが(特に母が)黒猫が好きで、満場一致で知り合いから黒子猫を貰った。

名前はクロ。
何の捻りもないとか言うな。

最初は心許無い足取りで家をうろついてたクロも、数か月もしない内にドタドタと階段を走り回るようになって我が家は賑やかになった。
雀を捕まえようと家の壁に張り付いて降りられなくなったりするバカだったけど、落ち込んだりすると寄り添って寝てくれるいい奴。

俺も高校生になりクロもすっかり大人になったなって実感した頃に、お袋が検査入院した。
その日はお袋からこっぴどく叱られ、帰り辛いなとか思ってた日だった。
帰って来たお袋は笑ってた。
でも、クロはお袋の側を片時も離れない。
問い質したら、やっぱり病気だった。
癌だった。
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お袋は入退院、転院を繰り返してた。
そしたらあっという間に癌は転移した。
クロも片時もお袋から離れようとしなかったっけか。

心のどっかで大丈夫だと思い込んでたら、今度はクロが癌になりやがった。
鼻筋に腫れ上がった傷が出来て餌食うのも歩くのも辛そうなのに、たまに自宅療養が許されたお袋が帰ってくると寄り添って離れない。
でさ、同じ日に仲良く末期告知とか有り得ないだろ。

しかもクロは動物病院から逃げ出すしホント勘弁してくれと。
それから二ヵ月が過ぎた。
クロにべったりだったお袋は急激に衰弱していった。
なのにも拘らず入院を嫌ってウチでギリギリまで療養するとか言ってるし。
足首だって俺の手首くらいになってた。

で、お袋の自宅療養が認められた最後の日。

「居る。」

ってお袋がイミフな一言。
何が?
玄関を指差したから行ってみたら、鼻筋に傷がある薄汚れた黒猫が一匹。
オイオイ、マジかよ。
動物病院から10kmは離れてるんだぞ、犬じゃあるまいし何で帰って来れたんだよ?
都合良過ぎじゃないか?
で、クロは俺をスルーしてお袋の元に。
ホントは動物とかダメなんだろうけどさ、引きはがせなかったよ。
だってお袋泣いて喜んでるし、俺も泣いてて力出なかったし。



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結局、お袋は亡くなった。
大晦日のことだったから葬儀は年明け三が日以降ってことでそれまで遺体は自宅で安置、保冷剤で冷やして。

でさ、年明けの糞寒い中なのにクロの奴、離れないんだよ。
キンキンに冷えたお袋が寝かされた布団で一緒に寝てんの。
俺が

「もういいから!」

って泣きながら何度布団から引きはがしてもダメ、意地でも離れようとしないのな。
なんだよ、俺より息子らしいことしてんじゃねぇよ、ちくしょう。

葬儀も無事に終わって百ヶ日の法要でお袋の実家に行ったその日に、自宅に居た姉貴の膝の上でクロは逝った。
姉貴もお袋にべったりだったし亡くなったショックは誰より強かった。
だからクロは姉貴に寄り添ってたんだと思う。

帰って来たらまるで、自分の役目は終わったとか言わんばかり満足そうに寝てんのな。

「揺すったら起きるんじゃねぇの?」

と思って触ったら身体は冷えきってた。
なんだよ、どうすんだよ、この三か月分の餌。
少なくともお前が生きてけるって言われた分買って来たんだぞ。
たまには俺の布団に来いよ、寝相良くするからさ。
頼むから目ぇ覚ませよ。

でも、その満足そうに寝てる姿を見たら、もう俺は心配無いなって思ったんだろうね。
少し寂しかったけど、これ以上辛い思いさせちゃダメだよな。

末っ子だった俺の可愛い弟は今でも家の庭で寝てるよ。
今度はお前がゆっくりと寝てていいように、俺、頑張るからさ。

おやすみ、クロ。


黒ネコ.jpg



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野原家に赤ちゃんができた。 [感動]

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ひろし「そうだ!もうすぐしんのすけはお兄ちゃんになるんだぞ!」


しんのすけ「おおぉ!!オラ、お兄ちゃんに!!いつ!?あさって!?」


ひろし「お馬鹿。あと6ヶ月だから…12月だな」


しんのすけ「えへぇ~、オラお兄さんかぁ~。五歳にしておとなのかいだんを一歩のぼってしまうわけですなあ」


ひろし「こいつ、きいてねぇし…」

みさえ「うふふ、しんちゃんはお兄さんになるんだからもう少しいい子にならないとね」


しんのすけ「かあちゃんももうすこしおだやかにならないとね」


みさえ「なんですってぇ」

グリグリグリグリ

ひろし「あーこらこら、あまり激しく動き回るなよ、赤ちゃんになにかあったらどうするんだ」


みさえ「やーねぇあなた、これくらい平気よ」


ひろし「いや、でも万が一ってこともあるだろ」

みさえ「あなた…」

ひろし「赤ちゃんが産まれるまで、俺も出来るだけ家事を手伝うから!」

みさえ「……」コクン


ひろし「しんのすけ、お前も父ちゃんに協力してくれ!お兄ちゃんになるんだろ!」


しんのすけ「おおぉ!ブ、ラジャー!」

ひろし「よぉし!男同士のお約束だぞぉ!」



――2ヶ月後


しんのすけ「かあちゃん、かあちゃん!」


みさえ「なあに?」

しんのすけ「ふとった?」

みさえ「…っ!」


みさえ「これはねしんちゃん、お腹の中の赤ちゃんが大きくなってきてるだけよ」


しんのすけ「でもかあちゃん、最近ごはんよくおかわりするゾ」

みさえ「そ、それはね、赤ちゃんの分の栄養もママが摂ってあげなくちゃいけないからよ」

しんのすけ「ほぅほぅ…」


みさえ(確かに最近、妊娠を理由に食べ過ぎたかも。家事もあまりしてないし…。ちょっと気をつけた方がいいかしら)



――更に1ヶ月後


みさえ「ご飯できたわよー!」

ひろし「しんのすけ!ごはんだぞー」

しんのすけ「ほほ~い!」


いただきまーす!


しんのすけ「かあちゃん、ちょっと味濃いゾ」

みさえ「あら、本当?」

ひろし「う~ん、味が濃いというか妊娠を理由にした手抜きが目立つよな。今日は惣菜の唐揚げで、昨日は麻婆豆腐、一昨日は…」

みさえ「や、やだ。偶然よ。たまたまよ。今度から気をつけるから!」


しんのすけ「やれやれ、ごまかしかたがヘタですなぁ」

ひろし「他の家事はやるから、せめて晩飯くらいはしっかり作ってくれよな!」

みさえ「は~い」




この日が
三人で笑って食事をした最後の日だった。





翌日、みさえは急に腹痛を訴え病院へと向かった。
赤ちゃんに何かあったのではと思い、産婦人科に行ったのだが
どうやら原因は別にあるらしい。
別の病院を紹介されたので、しんのすけも連れ、三人でそこへ行ってみた。


診察室に入るみさえを
しんのすけとひろしはただ見送った。
検査は一時間ほどかかるらしい。

ひろしはもちろん、
ひょっとしたらしんのすけにとっても
この一時間はとてつもなく長いものだったかもしれない。



「野原さん、診察室へお入りください。」


アナウンスと共に
2人は部屋に飛び込んだ。
みさえは別の部屋で休んでるらしく、いない。

医師「どうぞ、お座りください。」

ひろし「み、みさえは!あ、赤ちゃんは!大丈夫なんですか!!」


しんのすけ「かあちゃんは食べ過ぎなだけだよね!?」



医師「落ちついてください。今ご説明します。」


医師「…奥さんは、癌です。」

ひろし「……が、がん?」

しんのすけ「がぁ~ん」



しんのすけ「…ってなに?」

医師「正確には胃癌です。まだ初期段階なので命に別状はないのですが…ちょっと問題がありまして。」


ひろし「と、いうと」


医師「はい、奥さんは今妊娠されていますね。」
ひろし「え、えぇ。」


医師「初期段階の胃癌でしたら、手術することなく抗がん剤で治療することができます。」


医師「しかし、今抗がん剤を使用すれば母体だけでなく、お腹の中の赤ちゃんにまで負担を与えてしまいます。」



医師「この場合、ギリギリまで赤ちゃんの成長を待って、出産と治療を手術で同時に行うことになります。」


ひろし「な、ならみさえと赤ちゃんは助かるんですか!」


医師「……………」


ひろし「先生!!」


医師「正直、五分五分です。赤ちゃんが成長しきるまで、奥さんの体力が保つかどうか。保ったとして、手術に耐えられるかどうか…」


ひろし「そんな…」

この日から
みさえは入院することになった。

ストレスからくる体力の衰えを避けるべく
癌のことは言わないことにした。


みさえには
食べ過ぎと運動不足からくる胃炎…と言い赤ちゃんに問題はないことも伝えた。


ひろし「……」


しんのすけ「とうちゃん…かあちゃんはどうなるの?」


ひろし「きっと…大丈夫さ。赤ちゃんも…。」

しんのすけ「かあちゃん…」

しんのすけはめずらしく落ち込んでいるようだった。

無理もない、母親の妊娠、出産なんて初めての体験だ。

そんな時にその母親が倒れたんだ、不安で仕方ないだろう。



しんのすけ「とうちゃん、かあちゃん…死んじゃうの?」


!!


ひろし「おバカ!かあちゃんが死ぬ訳ないだろ!!」

しんのすけ「オラ…かあちゃんが死んだらどうすればいいんだ。」

ひろし「しんのすけ…」



しんのすけ「ごはんは誰が作るの?アクション仮面おパンツは誰が洗うの?オラ…とうちゃんの作ったごはんなんて食べられないゾ」

ひろし「……おバカ」

ひろしにはわかっていた。後ろを向いたまま震えているのが…

きっと
しんのすけなりの強がりだったのだろう。

やはり心配で仕方ないのだ。


しんのすけ「オラ、早くかあちゃんのごはんが食べたいゾ…」



――1週間後。


ひろし「みさえー、来たぞー」

しんのすけ「かあちゃん、来てやったゾ!」


みさえ「あら、2人共。ちょうど良かったわ。今、お義父さんとお義母さんが来るって連絡があったのよ。」

ひろし「え?オヤジとおふくろが?」

しんのすけ「じいちゃん!?」



みさえ「えぇ、なんでも私の代わりに家に居てくれるって。一応大丈夫って言ったんだけど…」


ひろし「きっと、しんのすけに会いたいだけだろうさ。ほれ、これ着替え。」


しんのすけ「そうだ!ほい、オラも」

そう言い、しんのすけはチョコビを手渡した。

みさえ「しんちゃん…」


しんのすけ「これさえあれば、病気なんてすぐ治るゾ」

みさえ「やーねぇ、そんな大袈裟な病気じゃないのに…」



ひろし「………」

みさえ「ねぇ、あなた」

ひろし「…え!?あ、ああそうだな。」

みさえ「どうかしたの?」


ひろし「いや、なんでもないよ。じゃあ、俺2人を迎えに行ってくるよ。しんのすけ!行くぞ」


しんのすけ「仕方ないですなあ」

みさえ「あ、ちょっと…」



バタン



しんのすけ「……とうちゃん」

ひろし「なんだ?」

しんのすけ「ごめんだゾ」

ひろし「気にするな。」



ひろし「ほら、じいちゃんとこ行くぞ。」


ひろし(自分の子どもに気を使わせるなんて、ダメな父親だな…おれ)


――春日部駅


しんのすけ「じいちゃん、ばあちゃん!」

銀の助「おぉ~しんのすけ~!元気にしとったかあ?」

しんのすけ「もちろんだゾ。オラのゾウさんもお元気してるゾ!」


銀の助「そうかそうか」


つる「しんちゃん、久しぶりね」

しんのすけ「ばあちゃん、お久しぶりぶり~」


つる「あっはっはっ、いつでもしんちゃんはしんちゃんなんだね~」


ひろし「オヤジ、おふくろ!」


銀の助「おおーひろし!」


ひろし「おおーじゃねぇ!あまりはしゃぐなよ。旅行に来たわけじゃないんだからさ…」


つる「いいや、こいつは旅行気分でここに来てる」


銀の助「もう、ばあさんたら////」


ひろし「まあいい、とりあえず荷物置きに家に行くか。」


――野原家


マサオ「しーんちゃん!」


しんのすけ「おお、マサオくん!それにみんなも!」

ネネ「これからみんなで公園に行かない?」


しんのすけ「おお!いいですなあ~」


しんのすけ「とーちゃーん!オラ公園に行ってくるゾー」


ひろし「おう!気をつけて行ってこい!」


しんのすけ「ほっほ~い」



…………



――野原家


マサオ「しーんちゃん!」


しんのすけ「おお、マサオくん!それにみんなも!」

ネネ「これからみんなで公園に行かない?」


しんのすけ「おお!いいですなあ~」


しんのすけ「とーちゃーん!オラ公園に行ってくるゾー」


ひろし「おう!気をつけて行ってこい!」


しんのすけ「ほっほ~い」




…………



銀の助「さてと…」


つる「ひろし…」


ひろし「…ああ」


銀の助「お前、これからどうするつもりじゃ?」


つる「みさえさんには、本当のことは言ったの?」



ひろし「言ってない。余計な心配させたら、あいつの体と赤ちゃんに負担がかかるから。」


銀の助「しんのすけには?」

ひろし「詳しくは話してない。けど…」

つる「けど?」

ひろし「しんのすけは多分わかってる。みさえの病気のこと、赤ちゃんのこと、…俺の気持ち、全部。」


銀の助「そうか…、いつも変わらんように見えたが、知っとるのか…。」
ひろし「ああ」

銀の助「…しんのすけは、強い子じゃのぉ」

ひろし「…ああ!」


ひろし「自慢の…息子だよ!」


つる「あんたもしっかりしな!家のことは私がやるから、あんたしっかり働いて、しんのすけとみさえさんを守るんだよ!」

ひろし「ああ、わかってる」


ひろし「…まだ決まったわけじゃない。きっと助かるさ。そして、家族4人で暮らすんだ。」


銀の助「そうじゃ。きっと大丈夫じゃ。」



ひろし「…よし!みさえのとこに行くか!!」


――みさえの病室


ひろし「みさえー、オヤジ達連れてきたぞー」


みさえ「あらお義父さん、お義母さんお久しぶりですー。」

銀の助「みさえさん、ハロー!」

つる「どうも~」


銀の助「うん、案外元気そうじゃな。」



みさえ「ええ、体調はもう大丈夫なんですが、なんでも食べ過ぎからくる胃炎らしくて」

つる「あらあら、みさえさんらしいわね」


あはははは!


笑う両親と妻
いつもの光景

でも、もしかしたら
もうすぐ見られなくなる光景かもしれない。

そう思うと
なにもかもを目に焼き付けておきたくなる。

いや、
こんなことを考えるのはやめよう…

みさえは元気になり
赤ちゃんも元気に産まれてくる!

大丈夫だ。
俺が…しっかりするんだ。

みさえ「あなた?」


ひろし「え?」


みさえ「え?じゃないわよ、もう。」

ひろし「ああ悪い、で~何だ?」


みさえ「だから~――」



その後、どうでもいい話を少ししたあと

ひろし達三人は家へと戻った。

家についてすぐ
しんのすけも公園から帰ってきた。



しんのすけ「おかえり~!」

ひろし「ただいまだろ。」


しんのすけ「そうともゆう~」

つる「しんちゃん、おやつあるわよ。手を洗ってらっしゃい」

しんのすけ「おお!おつや~おつや~」


――みさえがいないだけで、他はいつもと変わらない風景だった。



銀の助「しんのすけ~、一緒に風呂に入ろう。」

しんのすけ「おお!お背中お流ししますわよ~ん」


銀の助「ひろし~、タオルはどこじゃ~?」



――俺だけ…
いつまでくよくよしてるんだ。


つる「しんちゃん、一緒に寝ようか。」

銀の助「しんのすけ!オラと一緒に寝よう!」


つる「……」

銀の助「……」


つる、銀の助「しんのすけ!?」



――明日は会社だ。
もう寝よう…



…………


夜中、ふと目が覚める。
いつも隣から聞こえてくるいびきが聞こえない。
ひろし「……」


明日は早い、早く寝よう。


ひろし「………」



………ぅぅ


ひろし(ん?)



…うぅ…ぐすん…


ひろし(しん…のすけ?)

銀の助とつるの間で
しんのすけは布団にうずくまっていた。


ひろし(泣いてるのか…)


……うぅ、う…

しんのすけ「かあちゃん…」


ひろし(しんのすけ…)



つられて泣きそうになった。

ひろし「……ぅぅ」


ごめんな、しんのすけ。不甲斐ない父ちゃんで…
泣き虫な父ちゃんで…


情けないなぁ


5歳の子どもが
こんなに頑張ってるのに…


銀の助(しんのすけ…)

つる(しんちゃん…)


ひろし(父ちゃん、頑張るからな!!)


しんのすけ「……ぅぅ」


―――

それからの生活は
意外に穏やかなものだった。

みさえの体調は崩れることもなく、医師はこのまま行けば母子共に問題はないだろうとのことだ。

お腹も膨らんできて
赤ちゃんもしっかり大きくなっているようだった。




しんのすけ「かあちゃん!!」

みさえ「あら、あなた。しんちゃん。」


仕事が終わると
しんのすけを連れ
病院に行く。

ここ数ヶ月の日課だ。


しんのすけ「赤ちゃんはお元気ー?」


みさえ「ええ、元気よ。ほら、触ってごらん。」

しんのすけ「おお!今動いたゾ!?」

みさえ「うふふ」



病気には見えないくらい元気なみさえは、安心感を与えてくれた。




このまま何事もなく

赤ちゃんは大きくなり
みさえも元気になる。


心のそこからそう思えた。


そう、信じていた。



出産予定日まで
あと2ヶ月となったある日のことだった。


その日もいつもと変わらず、仕事終わりにみさえの所へ来ていた。


みさえ「あらあなた、お疲れ様。」

ひろし「おう。」



みさえ「あれ?今日しんちゃんは?」

ひろし「ああ、オヤジ達と飯食いに言ってるよ。」

みさえ「そう。あなたも行けばよかったのに。」


ひろし「いや、今日はそういう気分じゃなかったんだ。それに、たまには2人で居たかったし…」

みさえ「あなた…」


ひろし「ほら!今日はケーキ買ってきたんだ。オヤジ達だけウマいもの食うなんて、ずるいからな。一緒に食おうぜ。」



白い箱の中には
いちごのショートケーキが2つ。


みさえ「ありがとう、あなた。」

一緒に買っておいた紙の皿に乗せ、みさえに手渡す。

ひろし「へへっ、しんのすけには内緒だぞ。」


2人でゆっくりケーキを食べるなんて、ずいぶん久しぶりだ。



ひろし「うまいな。」

みさえ「ええ、」


なぜだか
会話が続かない。

2人とも、なにか言いたそうにしてはいるが
それを口に出すことに躊躇しているような感じだった。

みさえ「あと2ヶ月くらいね」

ひろし「え?」


みさえ「赤ちゃん。」

ひろし「ああ、そうだな。」

医師から癌の話を聞いてからもう半年近くたったのか。



あっという間だったような、長かったような…


みさえ「ねぇ…」

ひろし「ん?」


みさえ「赤ちゃん、大丈夫よね…?」

ひろし「え?」

みさえ「だから、赤ちゃんよ。」


動揺が隠せなかった。
顔に
態度に
言葉に
それは現れた。


ひろし「な、なに言い出すんだよ。大丈夫に決まってるだろ!」


みさえ「………」

ひろし「なにも心配することはないさ!ちゃんと元気に産まれてくるって!!」

みさえ「…そう、よね。」

ひろし「ああ、そうだとも」

みさえ「………」

ひろし「…………」


みさえ「ごめんなさい、今日は検査とか多くてちょっと疲れてるの。もう寝るわ。ケーキ…ありがとう。」

ひろし「ああ、じゃあ帰るよ。また明日な。」



みさえ「………」



――翌日


むさえ「よ!ねえちゃん。」

みさえ「あら、むさえじゃない。」

むさえ「今日はちょっと暇だったからさ。」

みさえ「今日はって、いつも暇でしょ。」


むさえ「えへへ、はいケーキ。」


そう言ってむさえはケーキを差し出す。
それは昨日、
ひろしが買ってきてくれたのと同じ
いちごのショートケーキだった。


みさえ「あら、このケーキ」

むさえ「ん?どうかした?」

みさえ「いえ…なんでもない。」


むさえ「変なねえちゃん。」

むさえの買ってきたケーキを見て
ふと、昨日のことを思い出す。



みさえ「…ねぇ、むさえ。私、死ぬのかな?」


むさえ「え?」


みさえ「私、病気なのよね?」

むさえ「な、なに言ってんだよねえちゃん!!」


みさえ「…やっぱり」


むさえ「…!!」


みさえ「あんたも、あの人も…その態度を見れば分かるわよ。」


みさえ「教えて…むさえ」

むさえ「いや、その…」


みさえ「いいから…教えなさいよ!!」


むさえ「………!」



―――その夜


ひろし「よ!みさえ。」


しんのすけ「よ!みさえ。」

みさえ「あら2人とも。いらっしゃい。」


しんのすけ「見て見てかあちゃん!今日ようちえんでよしなが先生とみんなでつくったの。」



50個くらいだろうか、
折り紙で折られた千羽鶴と、こども達からの寄せ書きをしんのすけは手渡した。


『おばちゃんがんばって』

『うまれたあかちゃんみせてね』

『かわいいあかちゃんをうんでください』



みさえ「………」


折り紙の裏にクレヨンで書かれていた寄せ書き。

1人一言ずつだったが
少しでもみさえの励みになればと園長が考えてくれたことらしい。


ひろし「これは先生たちからだ。」


4通の手紙を渡した。
幼稚園の先生達みんなが
みさえに宛てたものだった。

みさえ「……ぅぅ…。」


みさえは涙を堪えることができなかった。


みさえ「ありがとね、しんちゃん。」


みさえ「明日みんなにありがとうって言っておいてね。」


しんのすけ「かあちゃん。」

みさえ「ん?な~に?」


しんのすけ「…なんでもない。」

みさえ「ん?へんな子ね。」

ひろし「みんなに心配かけてるんだ。早く元気な子を産んで、安心させてあげなくちゃな!」


みさえ「うん、そうね!」


みさえ「…あら?」


しんのすけ「……すぅ…すぅ…」

みさえ「しんのすけったら寝ちゃってるわ。」


ひろし「え?…あ、本当だ。」

みさえの横でベッドにもたれかかって眠るしんのすけ。

その寝顔うまれた時と同じように見えた。


みさえ「しんちゃんも大きくなったわね…」

ひろし「そうだなぁ。」

ひろし「でも、まだまだ大きくなるぞ!」


みさえ「………」


ひろし「どうした」


みさえ「…ねぇあなた。私、絶対元気な赤ちゃん産むから。」


みさえ「元気な赤ちゃんを産んで、しっかり育ててみせる。」


ひろし「うん…」



みさえ「しんのすけやこの子が大人になっていくのをそばで見守っていくの!」
ひろし「………うん」


みさえ「やりたいこともいっぱいある。行きたい所もいっぱいある。しんのすけやこの子としたいことも、まだまだいっぱいある!」


ひろし「……うん」

みさえ「だからね…私、」


ひろし「……」


みさえ「…まだ、死にたくない。」


目に涙を浮かべたまま
みさえは言った。

ひろし「………うん!」


みさえ「あなたぁ…」


ひろし「うん!大丈夫だ。きっと大丈夫。大丈夫に決まってる!」


みさえは知っていた。
自分のことを

…病気のことを。


ひろしはみさえに問いかけることはなかった。

わかっていたのだ。


きっと昨日の自分の態度を見て、不安から誰かから聞いたのだろう。

話した人を責めるつもりはない。

むしろ、謝りたいくらいだ。


こんな重大な責任を押しつけてしまったことを…。



みさえにすまない、とひろしは謝った。

隠していたこと
不安にさせたこと


自分がもっと強い人間だったら…!


そう思った。


みさえ「見て。」

そう言ってみさえは
ひろしに一枚の紙を渡した。



それは幼稚園の子ども達が書いた寄せ書きの一枚だった。

そこには、
クレヨンでこう書いてあった。


『オラ、はやくかあちゃんのごはんがたべたいゾ。はやくおうちにかえってきてね。まってるゾ!』


ひろし「しんのすけ…」

少しシワがあり
文字の色がぼやけているところがあった。



みさえ「この子にも、無理させたのね…」

すやすや眠るしんのすけの頭を、みさえは撫でた。


ひろし「しんのすけは強い子だ。俺やオヤジ達の前で泣いたことがない。……まだ5歳なのに。」


ひろし「…情けないなあ。」


しんのすけ「ん…う~ん」


みさえ「あら、しんちゃん。起きた?」


しんのすけ「ん?…なんだかあちゃんか。せっかくキレイなお姉さんにひざまくらしてもらってる夢をみてたのに。」


みさえ「私で悪かったわね…。」


ひろし「ははははっ、しんのすけ残念だったな。」


しんのすけ「あれ?父ちゃん、目があかいゾ。どうかしたの?」

ひろし「え?いや、なんでもないさ。父ちゃん仕事で疲れちゃって眠いんだよ」

しんのすけ「ほぅほぅ」


みさえ「しんちゃん、今日はもう遅いから帰りなさい。」

ひろし「そうだな、まだ飯も食ってないしな。」


しんのすけ「やれやれ、しかたありませんなあ」


みさえ「ほら、これ。お家に帰ってから食べなさい。」


そういって病室の冷蔵庫から白い箱を取り出し、しんのすけに渡した。


しんのすけ「おお!この匂いは!!」


みさえ「うふふ」


しんのすけ「うわーい!うわーい!かあちゃんってばフトモモ~」


ひろし「ほら、帰るぞしんのすけ!」


しんのすけ「ほい!」


2人が帰ると
途端に部屋が静かになり
寂しさに襲われる。

今日は、
いつもより1人でいるのが辛い

そう感じるみさえだった。


――翌日

みさえは医師にすべてを話した。

もう病気を隠す必要はない、これからも元気な赤ちゃんを産むために協力してほしい。と


医師「大変失礼なことをしました。」


みさえ「いえ、それで今日は?」

医師「はい。え~、お腹の赤ちゃんは順調に成長しています。また、栄養剤と称して打っていた痛み止めのおかげで癌による痛みも少ないかと思います。」

みさえ「はい。」


医師「見る限り、経過は順調です。この調子であれば大丈夫でしょう。」

みさえ「本当ですか!」


医師「ええ、それで今日はいよいよ赤ちゃんの様子を見てみたいと思います。その際、性別も判断できるでしょう。」


男の子か女の子か、
どちらでも嬉しい。
元気に生まれてきてくれれば!

けど、どちらかと言えば
みさえは女の子の方がいいと思っていた。


医師「では、ご主人が来られた際に一緒に確認しましょう。」


ということで

ひろしが来てから
赤ちゃんを見ることになった。


お腹の中で時々動いているのを感じる。
見る間でもなく元気だ。

早く
男の子か、女の子か
それが知りたかった。



――その夜

ひろし「よ!」

しんのすけ「かあちゃん!きたゾ!」


みさえ「あなた!待ってたわ」

ひろし「え?」

みさえ「今から赤ちゃんの性別を見てもらうの!あなたも一緒に!」

ひろし「本当か!?」


しんのすけ「えー!?オラもみる、オラもみるー」


みさえ「うん、じゃあ先生を呼ぶわね」


ナースコールを使い
担当の医師に連絡をいれる。


ひろし「どっちかな~、やっぱまた男の子がいいなあ~。いや、女の子でもいいなあ~」

みさえ「そうねぇ、しんちゃんはどっちがいい?」


しんのすけ「え?…ん~と、オラ妹が欲しい。」

みさえ「あらしんちゃん、ママと一緒ね。私も女の子がいいなあ」


医師「どうも、では行きましょうか。」



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ひろしに支えられながら
みさえは診察室へと向かった。

まずはみさえだけ部屋に入り、すぐにベッドに寝かさる。

程なくして
看護士による診察が始まった。


「ん~~…」



みさえ「どうですか?」


「うん、赤ちゃんは元気みたいね!順調順調!」


みさえ「それで、どっちかわかりますか?」


「ちょっと待ってね~」


みさえ「………」


「うーん、多分だけど女の子じゃないかしらねえ」


みさえ「本当ですか!?」

「ん~生まれてくるまではっきりとは分からないけど、女の子の可能性がたかいわよ。さて、ご主人と息子さんにも入ってもらいましょうか。」




「はいどうぞ~」


看護士さんに言われ
ひろしとしんのすけが入ってきた。


ひろし「みさえ、どうだった?」

みさえ「うん、赤ちゃんは順調よ。女の子だって」


ひろし「そうかぁ!」

しんのすけ「かあちゃん!赤ちゃんみせてー!」

みさえ「いいわよ!こっちにいらっしゃい。」


みさえの横にきたしんのすけは真剣な目でモニターを見つめた。

しんのすけ「おぉ…」


もやもやと動く白黒の映像は、こどもにはよく分からないかもしれないが
しんのすけはただただ
黙って見つめていた。


しんのすけ「……」


みさえ「ほら、もう一度触ってごらん」


しかし
しんのすけは触ろうとはせず、みさえのお腹に耳をあてた。




みさえ「どうしたの?」


しんのすけ「赤ちゃんにオラのこえはきこえるかな?」

みさえ「そうね、きっと聞こえてるわ。」


しんのすけ「……オラがおにいちゃんだゾ。はやくでておいで」


ひろし「しんのすけ…」

「ふふ、この子はいいお兄ちゃんになりそうね」


みさえ「ええ、本当にそうね。」


いつの間にしんのすけは
こんなに成長してたのだろう。
妹の存在はしんのすけにとってとても大きいものなのかもしれない。


みさえ(なら、しっかりと元気な赤ちゃんを産まなくちゃね!)



それからほどなくして
ひろしは別室へと呼ばれた。
しんのすけはそのまま
みさえのそばで赤ちゃんの様子を見ていたいらしく、ついて来なかった。


…いやな予感がした。


ひろし「…何でしょう?」


医師「奥さんの容態のことで…」

医師「単刀直入に申し上げます。…出産は、厳しいかもしれません。」


ひろし「え!?」

医師「痛み止めを点滴しているおかげで今は元気に見えますが、薬が切れると激しい腹痛に襲われるらしいのです。以前は1日一回の点滴でしたが、今では薬の量は増え、回数も多くなってきてます。」


ひろし「そんな!」


医師「癌は確実に進行しています。もう痛み止めでは限界でしょう。これ以上痛み止めを使えば、母体にはもちろん、赤ちゃんの負担にもなりかねません。」


ひろし「…なんとかならないんですか?」


医師「…まだ赤ちゃんは出産できるまでに成長しきっていません。今、手術で赤ちゃんを出産したとしても脳に障害が発生したり、最悪の場合死んでしまう恐れもあります。」


ひろし「なら…」


医師「残酷な事を申し上げますと、奥さんか赤ちゃん…どちらかを、選ばなくてはならない時がくるかもしれません。覚悟しておいてください。」


ひろし「く…そんな、どうして!」


みさえか赤ちゃんか…
そんなの選べるわけがない。
どっちも俺の家族だ。
愛する家族なんだ!!


ひろし「うぅ…みさえ…どうしてこんなことになっちまったんだよぉ…」



どうすればいい、
俺は…どうしたらいいんだ。

選ぶしかないのか…?

命に、優先順位をつけろってのか…?


神様、あんたはなんて残酷なんだ。


医師「…奥さんに伝えるかどうかはあなたに任せます。」


――――



ひろしはしんのすけと屋上に来ていた。

1人は、寂しかったのだ。

ひろし「月、綺麗だなあ」


しんのすけ「満月ですな」


ひろし「…しんのすけ。」


しんのすけ「なあに、父ちゃん?」


ひろし「お前は男だ。もう立派な俺の息子だ。だから隠し事はやめる。」


しんのすけ「うん」

ひろし「かあちゃんはな、死んじゃうかもしれない。…かあちゃんが助かっても、今度は赤ちゃんが死んじゃうかもしれない。かあちゃんの病気のせいで、どっちかしか助からないかもしれないんだ。」


しんのすけ「…うん」


ひろし「しんのすけ…お前はどっちだ?」


ひろし「お前なら、どっちにいてほしい?」



しんのすけ「…父ちゃん」


ひろし「なんだ?」


しんのすけ「ふん!」

ひろし「いたっ!」

しんのすけ「父ちゃんのおバカ!!」

ひろし「!!」


しんのすけ「かあちゃんは死なないゾ!あかちゃんもちゃんとうまれてくるゾ!!どっちも死んだりなんかしないゾ!!」


ひろし「しんのすけ…けどな」

しんのすけ「けどじゃない!!」

そのまましんのすけは走り去っていった。

しんのすけのいなくなった屋上で、ひろしはただただつっ立っていた。

…今自分は何をしたんだろうか。


ひろし「…最低だな。」


しんのすけに答えを求めてどうする。
5歳の息子に助けを求めて恥ずかしくないのか



しんのすけは言った
みさえも赤ちゃんも死んだりなんかしないと



そうだ

その通りだ

そのことを俺が信用しないでどうする


ひろし「くそ…くそ!!チクショウ!!!」



――その夜
ひろしは1人屋上のベンチに座り
自分の不甲斐なさに
ただただ泣き崩れた。



―――翌日

しんのすけはみさえの病室で一夜を明かした。

しんのすけ「かあちゃんとねる!かあちゃんとねる!」

そう言って駄々をこねたのだ。

もしかしたら
ひろしに対するしんのすけなりの優しさだったのかもしれない。


男には1人になりたい時もあるのだ。


みさえ「しんちゃん、いい加減に起きなさい!」


しんのすけ「zzzz...」


みさえ「全く…しょうがない子ね。」


看護士「野原さーん、朝食ですよ。」

みさえ「あ、はーい。」


看護士「今日は魚ね、日本の朝ご飯よ。それから…これ。」


みさえ「え?」

看護士「しんちゃんの分よ!おにぎりと卵焼きとリンゴジュースが入ってるわ。」

みさえ「そんな、悪いですよ」

看護士「いいのよ、しんちゃんにはいつも笑わせてもらってるから。この前もナースステーションでね、おしり出してなんだか面白い踊りを見せてくれたのよ。」


みさえ「あのおバカ…」


看護士「いい子じゃないの!しんちゃんがいるだけで、まわりが明るくなるわ。」


みさえ「そうですかね」


看護士「そうよ。しんちゃんがあんなにいい子なんだから、お腹の子もきっといい子に育つわ。だからしっかり食べて、元気な赤ちゃんを産みましょう!」


みさえ「…ええ!」



しんのすけ「う~ん、かあちゃん?」


みさえ「あらしんちゃん、やっと起きたの」


しんのすけ「うん」


看護士「は~い、しんちゃん。おはよう」


しんのすけ「…だれだっけ?」


看護士「あら、まだ眠いのかしら?まあいいわ、またナースステーションに遊びに来てね。じゃあ」


みさえ「はい、ありがとうございますした。」



しんのすけ「かあちゃんはらへったー。」


みさえ「はいはい。しんちゃんの分もあるわよ。」

しんのすけ「おお!」


みさえ「あとでさっきの看護婦さんにお礼言っときなさいよ」


しんのすけ「もちろんだゾ!」


ベッドに座り
みさえとしんのすけは
2人で朝食を食べ始める。

こんな風に
しんのすけと2人で朝ご飯を食べるのは久しぶりだ。

みさえ「しんちゃん、おいしい?」


しんのすけ「う~ん、ちょっと薄味ですな」


みさえ「あらま…」



しんのすけ「あれ?かあちゃん食べないの?」


みさえ「え?ああ…、なんかお腹減ってなくて」


しんのすけ「ダメだゾ!しっかり食べなきゃ、あかちゃんがおおきくなれないゾ!!」


みさえ「ふふっ。はいはい。わかってますよ。」


しんのすけ「まったくもう。」



つわりは終わった。
多分病気のせいなのだろう…

食べ物があまり受け付けなくなってきていた。

でも、しんのすけに心配をかけさせるわけにはいかない。

そう思い少しずつ、少しずつ食べ物を口に入れていった。


みさえ「そういえばしんちゃん、パパは?」


しんのすけ「…さあ」


みさえ「ふーん、しんのすけほったらかしにして何やってんのかしら?」



しんのすけ「…オラ、ちょっと探してくるゾ」


みさえ「あ、ちょっとしんのすけ!」




――――屋上


……………


気がついた時はもう朝だった。

夜のあんまり記憶がない。


寝ていたのか
それとも起きていたのかもあいまいだ。

こんな感じは
仕事帰りに飲んだ時以来だ。

みさえが入院してから酒は飲んでいない
川口の誘いも断り続けている。


ひろし「ビール飲みてぇなあ……」


バタン!

屋上の扉が閉まる音がした。


ひろし「…しんのすけ」


しんのすけ「父ちゃん。」


しんのすけは黙って小さな袋を渡した。


ひろし「?」


その小さな袋の中には
小さなおにぎりが入ってあた。


ひろし「お前…」


しんのすけ「きょうはおしごとでしょ?あさご飯はしっかり食べないとおからだにわるいゾ!」


ゴルフボールくらいの小さなおにぎり。

きっと自分のを半分のこしてくれたのだろう。

よく見れば、握り直したあとがある。


ひろし「うぅ…」


息子の前で泣くのは
これで何度目だろうか


ひろし「ありがとうよ」


そう言い
しんのすけがくれた小さなおにぎりを食べた

ひろし「…うまい」


しんのすけ「とおちゃん、オラもがんばるゾ。…だから、とおちゃんもがんばるんだゾ!」


ひろし「おう…!」


立ち上がり
涙を拭った。


ひろし「よし!行ってくる!!」


そう言い、
ひろしは会社に今日も向かうのだった。


――――病室


医師「……わかりました。では、すぐに」


みさえ「ありがとうございます。」


医師「いえ。…では」


ガラッ


みさえ「あら、しんちゃん。」

しんのすけ「とおちゃんはおしごとにいったみたいだゾ」


みさえ「ふーん、そうだったの」

しんのすけ「またくるって」

みさえ「…そう」


しんのすけ「?」


しんのすけ「かあちゃん、どうかしたの?」


みさえ「ん?別に。それよりしんちゃん、今日はおうちに帰りなさい。むさえに迎えに来てもらうから。」

しんのすけ「ほ~い」


みさえ(あら、やけに素直だこと。)


しんのすけ「…………」



それからしばらくして
しんのすけはむさえと一緒に帰っていった。


夜、ひろしが来たが
特別なこともなく
話をしたあと帰っていった。

それからの毎日は、
また普通に過ぎていった。

こんな普通の毎日がずっと続いて欲しかった。


幸せな時間


家族との時間

それだけでいい、
他に何もいらない。

ただ、家族と一緒にいられる時間がほしい!!


そう願い続けた毎日でもあった。



そして
その日はやってきた。



しんのすけ「…………」


「ストレッチャー!!はやく!!」

「血圧計ります!!」


「野原さん!!聞こえますか!!野原さん!!」


「誰か!ご家族に連絡入れて!!」


いつもと違う騒がしい病室の中で
いつもと様子の違うみさえの姿を
しんのすけはただ黙って見ていた。



「運ぶよ!!」

「「「1、2の、3!!」」」



どこかへ運ばれていくみさえを追いかけることもしなかった


しんのすけ「………」



―――手術室


「バイタルチェックして!!母子共に!」

「はい!」

「麻酔科の先生は?」

「あいよ!」

「開腹の用意、帝王切開を行う。」



――――


「メス!」


――――――


ひろし「はあ…はあ…」


しんのすけ「…」


ひろし「はあ…………はあ………」


しんのすけ「…」


ひろし「………嘘だよな?」

しんのすけ「…」


ひろし「おい、冗談だよな?」



医師「……」


ひろし「なあ、はっきりしてくれよ」


医師「…残念ですが」


目の前の白いベッドには
まるで化粧をしたかのように白い顔で眠るみさえが横たわっていた。


しんのすけ「…」


ひろし「……嘘だよな」


ひろし「おい!みさえ!起きろ!!目を覚まさって!!」

体を揺すっても
頬をつねっても
みさえは目を開けることはなかった。


医師「…癌は胃だけでなく、至る所に転移していました。…もう、手の施しようがありませんでした。」


ひろし「なんでだよぅ…なんで…なんでなんだよ!!あんた、助かるって言ったじゃないか!!なんでこうなるんだよ!!!」


医師「抗がん剤は、奥さんの体力を著しく奪っていきます。しかし、奥さんにはもう食べ物を消化する体力も残ってなかったんです」

ひろし「な……に」


医師「少し前から、点滴による栄養補給を24時間休まずに行い、凌いでいたんです。」


医師「点滴に変えた時点で、もう…手遅れだったんです」


ひろし「そんな…」


しんのすけ「……」


「すぅ……すぅ……すぅ」

みさえの眠るベッドの横には、同じ顔で眠る赤ちゃんが小さな小さな寝息をたてていた。



小さな命は
大きな存在と引き換えにに、無事生まれたのだった。




翌日、
みさえのお通夜が行われた。

幼稚園の先生、
しんのすけの友達の親御さん、
ご近所の方々

こんなに大勢の人に愛されていたんだな……


花に囲まれた棺と遺影。


みさえの体をあの棺にしまう時、赤ちゃんの写真も入れてやった。


顔も見ずに逝っちまいやがって……


「~~~~~~~~」


坊さんがよくわからないお経を唱えている

周りの皆さんは頻りにハンカチを目に当てている


俺にはもう
涙は残っていない


しんのすけ「…………」


しんのすけは昨日からあまり喋らなくなった

ショックが大きかったのだろう。無理もない


ひろし「………」


通夜が一段落し
ひろしはしんのすけを外へ連れだした。


しんのすけ「なにとうちゃん?」


ひろし「しんのすけ、お前…赤ちゃんの名前を決めてみないか?」


しんのすけ「え?」


ひろし「だから、お前が赤ちゃんの名前を考えるんだよ。」


しんのすけ「…どうして?」


ひろし「みさえの…母ちゃんの頼みだからさ。」



しんのすけ「!!」



――――少し前



医師「野原さん…お渡ししたいものがあります。」

そう言い
医師はひろしに分厚い封筒の束を渡してきた。


ひろし「これは?」


医師「みさえさんが書き残していった遺書です。病室の棚から見つかりました。」



いくつもの封筒が髪を縛るゴムで束ねられ、その一つ一つには、名前が書いてあった。

ひろし「あ…」

見つけたのは"あなたへ"と書かれた封筒だった。

医師「では…」


医師が帰ったのを見送ると、ひろしは封筒を開けた。



みさえ「あなたへ…」


みさえ「まず、子ども達を残し先に逝くことを許してください。
あなたに責任を全て押し付けるようなことをしてしまい、本当にごめんなさい。
出来れば、私もあなたのそばでしんのすけやお腹の子の成長を見ていたかった。

でも、それは叶わないみたいです。

日に日に増していくのは体の違和感と点滴の量。そして不安。

食事も満足にできないこの体で、無事に赤ちゃんが生まれてくるのか。

1人でいると、そんなことばかり考えていました。

けど、あなたやしんのすけの顔を見るとそんな不安もどこかへ行ってしまい、絶対赤ちゃんを産んでやる!
そう思うことができました。

この手紙を読む頃に私はもういないかもしれないけど、きっと元気な赤ちゃんが産まれてきてくれてるはず。

きっと私に似て美人になるから、大切に大切に可愛がってください。



あと
しんのすけにもごめんねって伝えておいてください。
5歳の子には辛すぎたと思うから。


最後に、

あなたに会えて良かった。
あなたに会えて、結婚して、しんのすけが生まれて。
ケンカもたくさんしたけど、毎日が幸せでした。


ありがとう。

愛してます。

みさえ 」


ひろし「うっぐ…、みさえ…」


ひろしはまたしばらく
その場で泣き崩れた。


ひろし宛ての他にも
しんのすけ宛て
銀の助宛て
幼稚園の先生宛てなど
いろんな人宛てがあった。

きっと苦しい中必死書いたんだろう。
不安と戦いながら…



―――――現在


ひろしはしんのすけに一枚の封筒を差し出した。


ひろし「これは、母ちゃんがしんのすけに書いた手紙だ。」



"しんちゃんへ"


しんのすけはそう書かれた封筒を受け取り


手紙を取り出した。

しんのすけ「しんちゃんへ…」


しんのすけでも読めるように、すべてひらがなで書かれた手紙を
しんのすけはただただ黙って読みだした。


みさえ「しんちゃんへ。
ママはとおいところにいきます…なんていってもだめよね。


しんちゃんがこのてがみをよむときにはもうママはいないはず。

ないてくれてるかな?
それともおにばばがいなくなってあんしんしたかな?

どちらにせよ
ママはかなしくて、さびしくてまいにちないてました。

しんちゃんやパパとおわかれしなきゃいけないから

ふたりとおはなしもできなくなるから

みんなでごはんをたべられなくなるから

いっぱいりゆうがあるけど、おとなになったしんちゃんをみられないのがいちばんざんねんかな。


こんなだめなママでごめんね。



でもね
しんちゃんはもうおにいさんだから、
いもうとにおにいさんはつよいんだぞってところをみせていかなきゃいけないの。

だからね
いつまでもないてちゃだめよ!


さいごにママからのおねがい。

うまれてきたあかちゃんにおなまえをつけてあげてほしいの。

しんちゃんだから
きっといいなまえをつけてくれるはずだから。

ママはてんごくからみんなのことをみまもっています。

ママのところにうまれてきてくれてほんとうにありがとう


あいするしんちゃんへ


      ママより」


しんのすけ「うっぐ…があぢゃん…おら…いいおにいさんになるゾぉ…!!」


しんのすけの叫びに似た泣き声はきっとみさえに届いたに違いない。

ずっと我慢して
ずっとこらえてきた。

まだ5歳なのにしんのすけは人前では絶対に泣かなかったんだ。

そんなしんのすけの式場に響き渡るほどの泣き声に誰が文句を言えるだろう…


そこにいた人達はみんな
しんのすけにつられて
また涙を流すのだった。


――――後日



しんのすけ「決まったゾ!」


この日ついにあかちゃんの名前が決まった。


『野原 ひまわり』


ひろし「いい名前じゃないか」


『ひまわり』そう名付けられたら赤ちゃんは、みさえの眠る横でスヤスヤと眠っている。

まるでそばに母親がいるのが分かるかのように
安心しやわらかい寝顔をしたまま。





















―――――野原家



ひろし「しんのすけ~、ひまわり~行くぞ~。」


しんのすけ「ほ~い」


ひまわり「待ってまだ洋服決まってない!!」


ひろし、しんのすけ「やれやれ…」


みさえがひまわりを産んでから十数年の月日が流れた。

しんのすけは高校へ入学し、ひまわりは小学校卒業を控えていた。

明日はひまわりの誕生日。つまり、みさえの命日だ。

三人は車で秋田にあるお墓に墓参りに行こうとしている最中だった。


しんのすけ「まったく、あの支度の長さは誰に似たんでしょうな?」


ひろし「まあ、間違いなくみさえだな…」


ひまわり「できた!さあ行きましょっ!!」


ひろし「どんどんみさえに似ていくなぁ…」


ひまわり「なにいってんの?ほら、はやく!」


こうして三人は車に乗り家を出発した。

何事もなく秋田の銀の助の家に着いたのは
もう夜のことだった。


銀の助「おうひろし!よく来たな!」

ひろし「おう、ただいま!」

ひまわり「おじいちゃんこんばんは~」

しんのすけ「よっ!」


銀の助「おお2人とも、またデカくなったのぉ」



つる「あらあら、しんちゃんにひまちゃん。疲れたでしょ?はやくあがりなさい。」

しんのすけ「ほ~い」


ひまわり「おなかへった~」

3人が落ち着いたころ
ちょうど晩ご飯が出来上がった。

ひまわりは率先してつるのお手伝いをしていたおかげか、あまり時間はかからなかった。


ほどなくして
5人でテーブルを囲み晩ご飯を食べ始めた。


ひろし「うまいな~」

しんのすけ「ほんとほんと。」

つる「二人ともおおげさな。」


しんのすけ「いやいや、父ちゃんの作る料理は食えたもんじゃありませんからな」


ひまわり「そう?私はパパの作る料理好きよ?ほら!キムチのバター炒めとかおいしいじゃない!」


銀の助「ひろし…お前ひまちゃんになに食わせてんだ?」


ひろし「いや…ほら…あはははははっ」


しんのすけ「やれやれ」


銀の助「そんでひろし?明日は墓参りしてすぐ帰るのか?」


ひろし「ああ、明後日はしんのすけとひまわりは学校だし、俺も仕事あるからよ」

銀の助「そうか、ならしっかり元気な姿見せてこいよ」

ひろし「ああ」



その夜も
いつもと変わらず

笑いが絶えず家に響き渡っていた。


――――翌日


ひろし「よし、行くか」


銀の助「一回戻ってくるんだろ?気をつけて行ってこい。」


車で20分くらいの所に
野原家の墓はある。

みさえは今もそこにいる。


駐車場に車を止め
3人は墓の前までやってきた。


ひろし「…よ、会いに来たぞ」

しんのすけ「来てやったぞ…」


ひまわり「…………」


ひろし「どうだ?2人ともまたデカくなったろ?」


しんのすけ「…………」


ひろし「ひまわりはもうすぐ中学生になるんだぜ?早いよな~」


しんのすけ「母ちゃん見てるかな?オラの制服姿まだ見せたことなかったから制服で来たんだぞ」


ひまわり「ママ…見てる?私もママのことが見えたらな…」


ひろし「きっとみさえは2人のそばにいるぞ。見えなくても見守ってくれてる。」


――――



ひろし「じゃあ、また会いにくるからよ。」


ひまわり「バイバイ。」


しんのすけ「またね、母ちゃん。」


帰り際
暖かく心地よい風が吹いていた。


みさえがありがとうと言ってるのかもしれないな…とひろしは思った




ひまわり「そういえば…」


ひろし「ん?」


ひまわり「なんで私はひまわりって名前なの?」


ひろし「ああ、しんのすけに聞いてくれ。ひまわりって名づけたのはしんのすけだからな」


ひまわり「お兄ちゃん、なんで?」


しんのすけ「………昔。」


ひまわり「?」


しんのすけ「ひまが生まれるちょっと前、幼稚園の先生が花言葉を教えてくれたんだ。 」


――――――――

吉永先生『はい、今日はひまわりをみんなで描いてみましょう~』


しんのすけ「たしかこんな授業だった。」


吉永先生『みんな上手に描けたわね~』


吉永先生『はい、今みんなが描いたひまわりには花言葉というものがあります。ひまわりだけじゃなく、バラや菊、すべての花に花言葉はあるんです。』



吉永先生『そしてこのひまわりにどんな花言葉があるかというと…』



――――――――



ひまわり「…どんな花言葉があるの?」


しんのすけ「愛や再開、見守るとかいろいろあるらしい。」


ひまわり「……」


しんのすけ「だから…。当時赤ちゃんだったひまのそばには母ちゃんがきっと居てくれる。きっと見守ってくれてる。そうであってほしい。そんな願いを込めて、ひまわりって名づけたんだ。」


ひろし「しんのすけ…」


ひまわり「お兄ちゃん…」



しんのすけ「へへ、ちょっとくさかったかな。」
ひまわり「ううん、ありがとうね、お兄ちゃん!いい名前を付けてくれて。」

しんのすけ「お、おう」

ひろし「あ、照れてるなコイツ」

しんのすけ「て、照れてないぞ!」


ひまわり「あははは」


―――ふふふ


しんのすけ「…………」

吹き抜けていく風が
しんのすけには笑い声に聞こえた。



しんのすけの願いはきっと届いただろう。

今も、
そしてこれからも

三人のそばで
みさえは笑っているはずだ。


おしまい


クレヨンしんちゃん4.jpg



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ひまわりと風間くんの恋の行方。 [感動]

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しんのすけ『え?いきなり…』

ひまわり「だって私もう中3で風間くん大学二年だし忙しくて会えないから」

しんのすけ『でも風間くん今でも春日部に住んでるゾ』

ひまわり「そーだけどさー…。まあそーゆー事だから!」

しんのすけ『じゃ、俺レポートやるから』

ひまわり「うん、じゃーねー」

ピッ

お兄ちゃんが東京に出て2年目の夏、
私は、風間君と別れた。



ひまわり「お兄ちゃんも勉強頑張ってるし、私も受験頑張らなきゃ」

みさえ「ひまちゃん、しんのすけと電話してたの?」

ひまわり「うん。ちょっとした報告!」

みさえ「ひまわりも今年受験だから頑張ってね」

ひまわり「うん!」
ひまわり(もう風間君とは終わったんだからこれからは勉強に集中しよう)



ひまわり(それにしても暑いよー…)

季節は夏。夏休み直前で明日から
期末テストだった。

ひまわり「全然わかんないよー…。」

ガチャ

ひろし「ただいまー。みさえクーラー付けてるか?」

みさえ「あなた、おかえり。クーラーは当然付けてないわよ」

ひろし「今日くらいいいだろー?」

みさえ「電気代が高くなるでしょ!」

ひまわり(相変わらずお母さんは厳しいなあ…)



こんなだから私はたまに図書館で勉強している。

みさえ「クーラーは8月からつけるわよ」

ひろし「…胸なしばばあ…」

みさえ「―…あ?」

バチン!!!

ひろし「いってえ」

ひまわり(お父さんも相変わらずだな)

ひまわり「私、もう寝るね」

みさえ「もう?早いわね」

ひまわり「明日からテストだし。おやすみなさい」

ガチャ パタン


ひまわり「―?あれ携帯が光ってる…」

パカ

-----
新着メール 1件
-----

ピッ

-----
from:風間くん
本文:ひまちゃん?話したいことがあるからメール暇な時でいいから返して欲しい
-----

ひまわり(はあ…。話したいことってもう予想できるよ…)

風間君と別れたのはちょうど一週間前。
ふったのは私。
別れたいって言ったら一回別れたけどその後
2回くらい"もう一度やり直したい"といわれた。

ひまわり(…断ったけどね)

ひまわり(別に嫌いじゃないけど、今の状況じゃ付き合えそうになれない)

ひまわり「ごめんね、風間くん」

私はそう言って携帯を閉じた。
もちろん返事を送らずに。

-------

次の日―…。

風間「…メールが来てない…」

俺は朝一番に携帯のメールをチェックした。

風間(昨日ひまちゃんにメール送ったのに…)



風間「ひまちゃんに限って、無視はないよな…?」

俺は乾いた笑いをしてもえPの人形を抱きしめた

-----

ひまわり「はあ…テストつかれたー」

ひまわり(でも午前中で学校終わりだし幸せ…)

ネネ「ひーまちゃん!」

ひまわり「―!ネネ、ちゃん!」

ネネ「学校終わるの早いね?テスト?」

ひまわり「は、はい!あ、お子さん少し大きくなりましたね!」

ネネ「でしょー?もう可愛くてさっ」

ひまわり「羨ましいです。今のところ2人目は?」

ネネ「まだ予定ないかなー。なんっつて!」

ひまわり(ネネちゃんお母さんって顔つきになった…)

ネネ「じゃあ私これからマサオと出掛けるから、またね!ひまちゃん」

ひまわり「はい、また今度。」

ひまわり(幸せそうで羨ましい…)

~♪~♪

ひまわり「…電話?」

------
着信中:風間くん
------

ひまわり「―ゲッ!」

無意識に私は声が出た。

どどどど、どうしよ…


ひまわり(出ないと失礼だよね)

ピッ

ひまわり「も、もしもし…」

風間「あ、ひまちゃん?今平気?」

ひまわり「平気だけどどうしたの?」

風間「話したい事あるから放課後大丈夫かな?」

ひまわり「夕方?…うーん」

ひまわり(どうしよう、これって会った方がいいのかな?)
ひまわり(どうせ、断るんだし)

ひまわり「話したい事って今いえない?」


風間「…そっちの方がいいならいいけど…」

ひまわり「じゃあお願い」

…ドキドキ

風間「あのさ、しつこくてごめん。ひまちゃん、もう一度付き合わない?」

ひまわり(や、っぱり)

ひまわり「だ、だから風間く…」

風間「どうしても駄目かな?別れた理由納得行かないんだよね。」

ひまわり「だから私も、もう受験生で風間くん忙しいし会えないから付き合っていけないって思ったの」

風間「俺はひまちゃんに会えなくてもずっと好きだよ」


ひまわり「ご、ごめん…。私もう付き合う気ないんだ…。明日もテストあるしまたね!」

風間『ひ、ひまちゃ…』

プツ

プープー

ひまわり「ごめんね、風間くん…」

ひまわり(どうしよう。私失礼かな…?)

でも付き合う気ないのは本当だし。
ちょっと気分が落ちちゃったな…

私はため息をもらしながら家に帰った。



ピンポーン

しんのすけ「…?」

ガチャ

あい「しん様ーっ!こんにちは!」

しんのすけ「…あいちゃんか」

あい「今日学校は休みなんですの?」

しんのすけ「もう終わった」

あい「そうなんですか。あいは今日休みましたの」

しんのすけ「何で?」

あい「今日はお父様を空港まで見送りしましたの」

しんのすけ(お金持ちはいいゾ)

あい「暇になったのでしん様のアパートに来ました!」

しんのすけ「…来てもつまんないよ」

あい「しん様に会いに来たので関係ないです」

しんのすけ(どんだけ俺の事好きなんだろ)

あい「しん様、しつこいとか思わないでください」

しんのすけ「…え?」

あい「あいはずっとしん様だけです。」

しんのすけ「あいちゃ…」

びゅうん!!
いきなり風が吹いた。

あい「きゃっ」

しんのすけ「とりあえず中入ってもいーよ」

あい「ありがとう、しん様」


あい(えへへ…中に入れてもらえてよかった)

しんのすけ「何か読む?」

あい「い、いえっ…。あの!」

しんのすけ「何?」

あい「私…っ、前みたいにしん様を、いきなり押し倒したりしません…」

しんのすけ(、そんなことあったっけ?)

あい「だから、私ちゃんと正攻法でしん様を好きにさせてみせます!」

あいちゃんは少し顔を真っ赤にしてそう言った。

しんのすけ「がんばってくださいな」

あい「―っ、はい!」


―その頃。

風間「…っくそ!」

猫「ビクッ」

風間(ひまちゃんの事ばっか考えてたら授業身に入らなかった…)

俺は授業諦めてとりあえず帰る事にした。

風間(なんで同じ春日部に住んでいるのにすれ違うんだ)

俺は、しんのすけに負けているのか?
絶対ひまちゃんはしんのすけと連絡をとっている。

まあ、兄妹だし家族だから当たり前だと思う。

でもしんのすけと電話する暇あるんだったら
少しは俺にも電話してくれればいいのに、って思う。

風間(―なんて。なんでこんな事考えてるんだ!俺!)

風間「―初めて。初めてもえP以上に好きになったのに」

風間(どうしても…、ひまちゃんと直接話したい―…)

ダッ
そして俺は無意識にひまちゃんの住んでいる家に向かっていた。

-----

ピンポーン

ガチャ

ひまわり「はーい?」

風間「…」

ドアを開けると風間君がいた。

ひまわり「!…風間くん…?」

風間「…ひまちゃん。」

ひまわり(え…っ、何で…風間君がここに…っ!!)

風間「どうしても話がしたくて来た。」

ひまわり「…っ、で、でも!」

風間「ちょっと近くの公園行こう」

ひまわり(―…。どうしよう…)

ひまわり「…や、やだ!」

風間「…!ひまちゃんお願い」

ひまわり(―ドキ)

風間君からの必死なお願いに何故か
久しぶりに胸がときめいた。

ひまわり「わかった…。」
ひまわり(…でも絶対より戻さないんだから)

------
あい「あ、そうだ!しん様」

しんのすけ「んん?」

ガサガサ
あい「しん様のためにチョコビ大量に持ってきたの!」

しんのすけ「おおおお!!!」



あい「いつもお世話になってるのでお詫びですわ」

しんのすけ「あいちゃん太もも~!」

あい「太っ腹の間違いですよ」

あい(しんさま、喜んでくれてあいも嬉しいです)

あい「…しん様は外見と印象は変わっていても中身は変わってないのですね」

しんのすけ「あいちゃんも子供の頃と同じで今も美人だぞ」

あい(ドキッ)
あい「し、しん様…」

あい(どうしましょう…。しん様がこんなこと言ってくれるなんて…―っ)



あい「し、しん様…!私は…―」

しんのすけ「風間くんにチョコビ自慢しちゃお~」

するとしん様は携帯を取り出して
風間君に電話をかけた。

あい(ちょっと、空気読んで欲しかったです…)ぐす

------

風間「いきなり連れ出してごめん」

ひまわり「…っ、大丈夫だよ」

風間「あのさ、この間も言ったけど…」

ひまわり(ドキ…)

風間「俺、ひまちゃんが誰よりも、好k―…」

~♪~♪

風間・ひま(―ドキっ!!!)

風間「ご、ごめん…携帯、電話着てるみたい…」

ひまわり「い、いいよ。」
ひまわり(―いいタイミングで鳴った…。びっくりした)

------
着信中:しんのすけ
------

風間(―って!しんのすけかよ!!)

ピッ

風間「…もしもし?」

しんのすけ『あ、風間くーん?俺今ね大量のチョコビもらったゾ!」

風間「…それだけ?」

しんのすけ『んもー。風間くん冷たいなー』

風間「チョコビだけだったらもう切るぞ」

しんのすけ『あー!待って!風間くん今暇?』

風間「…え?暇じゃないけど。何で」

しんのすけ『今俺のアパートにあいちゃん来てるんだけど風間くんも来ないかなーって』

風間「お前ん家、東京だろ。行くわけないだろ。ってなんであいちゃんが…」

ひまわり「―…(あいちゃん?)」

しんのすけ『なんだ。来ないのか。じゃあまた今度ねー』

プツ

風間「ったくしんのすけのやつ何なんだよ…」

ひまわり(…お兄ちゃん?今の電話ってお兄ちゃんから?)

風間「―あ。ごめん、今の電話しんのすけからでチョコビ自慢されただけ。はは…」

ひまわり「あいちゃんて、あの美人さんの?」

風間「あ、うん。そうだけど」


ひまわり「あいさん…元気かな」

風間「元気だと思うよ」

ひまわり(ってそれよりもあいさん、お兄ちゃんのアパートにいるんだ…)

ひまわり「二人とも仲良しだね」

風間「あーうん。あいちゃんは未だにしんのすけ好きっぽいからね」

ひまわり(―"好き"。お兄ちゃんもいつかは結婚とかしちゃうんだ)

風間「それでさ…。俺…」

ひまわり「あのだから風間く…!」

風間「ひまちゃん!」

ひまわり(ビクッ)

風間「…大きな声出してごめん。聞いて欲しいんだよ」

ひまわり「…でも…」

風間「―!こっち見て!」

グイッ

私は風間君に腕を引っ張られたせいで
風間君の顔を見ることになった。

ひまわり「…」

風間「俺…ひまちゃんと付き合ってから変わったんだ…。今まで夢中になってたものがどうでもよくなって
   ずっとひまちゃんの事ばっかで…。それに勉強も俺なりに頑張った」

ひまわり「…うん」


ひまわり(―夢中になってたものは知らないけど、風間君が頑張ってる姿は私が1番近くでみた)

ひまわり「―でも、どうしたって出来ないことは…あるんだよ…」

セミの泣き声と体中の汗が
私の周りにはべりつく。

そして気づくと風間君の顔が目の前に迫っていた。

ひまわり「…っ」

風間「ひまちゃん。好きだよ」

軽く私と風間君の唇が重なった。



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-----

あい「風間くん、なんて言ってました?」

しんのすけ「相変わらず冷たかったゾ」

あい「そうですか…。」

しんのすけ「俺はチョコビ食うぞ!あいちゃんも食べよ!」

あい「―っ、は、はい!」

私は大きく返事をした。

しんのすけ「そういや、あの黒い人は今日いないの?」

もぐもぐ

あい「黒磯のこと?今日は家にいるわ。もうあいも大人になったんですし」

しんのすけ「ふーん」

あい「…それにしん様と…二人の方がいいです」ボソ…

しんのすけ「何か今言ったか」

あい「…い、いえ!」
あい(私、最近抑えられなくなってますわ…どうしよう…)

普通、幼稚園の頃からずっと好きになってるって
ありえないですわ。

しんのすけ「おおー!アクション仮面なつかしい!」

でも、今のしん様を見てると
子供の頃よりもずっと好きで―…。

しんのすけ「もー。あいちゃん聞いてる?」

そうやって優しい声で私を呼ぶから

ぎゅ…。

しんのすけ「お?具合でも悪くなったの?」

あい「違いますわ、」

無意識に私は後ろからしん様を抱きしめていた。

何故かすごく好きで

しんのすけ「…力強いゾ」

あい「私…しん様が好きです」

あい(どうしよう―…、止まらない)


しんのすけ「あの、俺正直に言うと恋愛的な好きって気持ちがわからない」

あい「…え?」

しんのすけ「オラ…じゃなくて俺は年上のお姉さんがタイプだ。でも多分それって憧れなんだと思ったんだゾ」

あい「…は、はい…」

しんのすけ「だから、まだよくわからない」

しん様の声が私の体によく響いた。

あい(じゃあ今の話って…同い年の私でも大丈夫ってこと?)

しんのすけ「俺はちゃんとあいちゃんの気持ちわかってる!」

エッヘン!と言ったしん様に私は笑ってしまった。


あい「…しん様。ちゃんと私の気持ち言いたいので言わせてください」

しんのすけ「…気持ち…?」

私は決心してそう言うと、
抱きついていたしん様の体から離れた。

しんのすけ「…」

あい「…わたくし、あいはしん様が好きです」

しんのすけ「そんな事は知ってるゾ」

あい「―だ、だからちゃんと改めて…」

しんのすけ「正直俺にあいちゃんは勿体無いと思うよ」

あい「…それでもあいはしん様が好きです」


あい「―ぐぷ!!」

いきなりしん様は私の口にチョコビを
たくさん詰め込んできた。

あい(ちょ、何ですの…?)

しんのすけ「もうわかったからそれ以上言わなくていい!」

あい「…え…?」

しんのすけ「そんなに好き好きいうと本当に大事なものが見えなくなるゾ!」

あい「…だからあいはしん様が1番…」

よく見るとちょっとだけしん様のほっぺが
赤くなっているように見えた。

あい「…しん様、照れてらっしゃるの?」

しんのすけ「そんな事ないゾ。チョコビが俺を誘惑してくるだけ」

またしん様は意味のわからないことを言うと
私はまた小さく笑ってしまった。

あい(あいの、相手はしん様だけですわ…)

しんのすけ「ほら、まだまだチョコビあるある!!」

あい「…いただきますっ」


あい(お願いです。―どうか、あいの片想いが叶いますように)

------

ガチャ パタン

ひまわり「…」

風間君にキスされてからすぐに
逃げるようにかえってきちゃったけど…

風間『 俺は諦めないから 』

ひまわり(―なんて!!、もう私の事は諦めてよー!!)

ひまわり「もう…やだよ…」

なんで、顔が近づいたときすぐに離さなかったんだろう。
私の馬鹿…。これじゃあ付き合ってるときと同じじゃない…。

ひまわり(私、チャラチャラしてるみたい―!)

~♪~♪

ひまわり「…う?」

-----
from:風間くん
本文:ごめん。俺ゆっくりまた戻れるように頑張る
-----

ひまわり(風間くん…かあ…)

お兄ちゃん…。
お兄ちゃんはこういう時どうするの―…?


~♪~♪

ひまわり「…また?」
ひまわり(もしかしてまた風間くんだったりして)

-----
from:お兄ちゃん
本文:チョコビ沢山あるから送るぞ!
-----

ひまわり(―!お兄ちゃん!)

ひまわり「どうしよう…相談したい…」

結果の末、私は電話することに決めた。

ぷるるrr

しんのすけ『もしもしー?』
ひまわり「お、お兄ちゃん」

しんのすけ『おお!ひまか!どうした?』
ひまわり「相談したいことがあるんだけど…今からおにいちゃんのアパート行ってもいい?」

しんのすけ『別にいいゾ』

―よし!現在の時刻は15:47。
ひまわり(明日のテストは諦めよう…っ)



そして私は急いで準備して約1時間ほどでおにいちゃんのアパートに着いた

ピンポーン

ガチャ

しんのすけ「おお、ひま」

ひまわり「お兄ちゃんっ…」

しんのすけ「どうぞー」

ひまわり「おじゃまします」
ひまわり(結構綺麗に保ってるんだあ…)

あい「あ、ひまちゃん。お久しぶり」

ひまわり(わあ―。あいさんだ!美人…)
ひまわり「お久しぶりです!兄がいつもお世話になってます」

あい「いいえー。おっきくなったねー」
ひまわり「はい!今年高校受験です」

あい「そうなんだあ。頑張ってね」
ひまわり「はい!」

ひまわり(あいさんと話せたー!嬉しいなあ…)



しんのすけ「ひまはどうしたの?」

ひまわり「あ、そうだね…っ。ちょっと聞きたいことっていうか相談…」

あい「私も聞いていいのかしら?」

ひまわり「あ、もちろんです!」

そして私は全て話した。
過去の事。ふった事。今さっきの事。

あい「ええぇ…風間くんってそんな方だったのですね」

しんのすけ「ほう…風間くんもなかなかやるな」

ひまわり「ど、どうすればいいのかな…」


あい「ひまちゃんはもうより戻さなくていいんでしょ?」

ひまわり「はい…」

あい「なら私だったらとことんスルーですわ」

ひまわり(…そうだよね、)

しんのすけ「んー、でも風間君にも同情するゾ」

ひまわり「…え?」

しんのすけ「ずっと努力しながら頑張って一緒に歩いてきたのにあえないからっていう理由だけでそんな風になるなんて
      かわいそうに思ったぞ」

あい「そうかしら?あいは、片方がもう無理って思ったら無理だと思いますけど…」

ひまわり「そうなんだ…」

ひまわり(結局、私はどっちを選ぶんだろう)

このまま"別れ"か、また"戻る"か。

しんのすけ「結局はひまわりが決めるんだぞ」

そしてお兄ちゃんは立ち上がった

あい「しん様、どこへ行くんですか?」

しんのすけ「皆の夜ご飯買いに行く。じゃー留守番よろしゅーまい」

パタン

ひまわり(行っちゃった…。)

あい「ひまちゃんも恋愛とかで悩んでるのね」

ひまわり「は、はい。もう大変ですよっ」

あい「そっかー。」

ひまわり「あいさんは好きな人―…(ハッ!)」

そういや風間君があいさんはお兄ちゃんが
好きとか…

あい「わたくしですか?好きな人はいますわ」

ひまわり「えっと…もしやお兄ちゃん…?」

あい「ええ。幼稚園からずっとなの」


ひまわり(よ、幼稚園…ってことはまだ私は0歳…)

あい「しん様だけが他の男の子と違ってて惹かれましたの」

ひまわり「そ、そうなんですか…。あいさんのような美人さんは
    お兄ちゃんよりも格好いい人でもいけると思うんですが…」

あい「いやよ!私はしん様じゃなきゃだめなの…」

真剣な顔であいさんはそう言った。
さらさらなロングヘアー。整った顔立ち。

なんかお兄ちゃんこんな綺麗な人に好かれて
羨ましいな…。


あい「ひまちゃんも可愛いんだから風間くん以外にもいい人見つかるわよ」

ひまわり「か、可愛くないです…。でも有難う御座います」

あい「いいえ。でもしん様の妹だなんて羨ましいですわ」

ひまわり「…え?」

あい「好きな人の兄妹になりたいとか思わないかしら?」

ひまわり「あ、私もたまに…」

あい「でしょ?本当、どうしたらしん様は振り向いてくれるのかしら…」

ひまわり(―あいさんがお兄ちゃんと付き合う事になったらちょっと寂しくなるけど)

ひまわり「私、あいさんの恋応援してます。頑張って下さい!」

あい「―、ありがとうひまちゃん。」


ガチャ

しんのすけ「ただいまんとひひ~」

あい「おかえりなさい、しん様!」

しんのすけ(―ドキ)

しんのすけ「…うぬ」

ひまわり(あれ?お兄ちゃん…)

あい「ひまちゃん?帰っちゃうのかしら?」

しんのすけ「え、ひまの分のも買ってきたゾ」

ひまわり「有難う。でも私明日もテストだし。買ってきてくれたやつは家で食べるね」

あい「…そうなの…。じゃあまた話しましょうね!」

ひまわり「はい。ではまたっ」

しんのすけ「送らなくて大丈夫なのか?」

ひまわり「当たり前っ!じゃーねお兄ちゃん!」

パタン



ひまわり「―ふぅ。」

今さっきのお兄ちゃんなんか様子が
おかしかった。

ひまわり(―もしかして、あいさんの事、気になり始めてる―?)

だったら私は帰って二人きりにした方がいいよね!

もうお兄ちゃんは私だけじゃなく他の新しい人を
大事にしようとしてる。

ひまわり(頑張って!…あいさん、お兄ちゃん!)


今までお兄ちゃんが誰と仲良くしてるかとか
気になってたけど色々あいさんと話して安心した気がする。

これも私が成長したからかな―…?

ひまわり「わ!電車ギリギリ…」

私は急いで駅に向かった。

------

しんのすけ「ひま大丈夫か心配」

あい「妹想いですね、しん様」

しんのすけ「まだうちのひまは中3だゾ」

あい「…しん様はいつでも優しいのですわね」

しんのすけ「お兄ちゃんだからな!」

あい「色んな人にでもです。」

しんのすけ「…」

あい「だから私、しん様への気持ち毎日増えていますわ」

あいちゃんは照れくさそうに笑った。



なんかあいちゃんはいつも俺と
一緒にいると幸せそうな顔してるゾ。

なんでそんなに…

あい「しん様!せっかく夜ご飯買ってくださったので食べましょう」

しんのすけ「…」

あい「…しん様?」

するとしん様の手が私の手に重なった。

あい(―ドキッ…)

しんのすけ「…これはOKっていう意味じゃないゾ」

あい「―?、しん様?」

次の瞬間

ちゅ
.

しん様の唇が軽く私のほっぺに触れていた。

あい「き、きゃ―っ…!!」

しんのすけ「なんかよくわかんないけどしたくなっただけだゾ、エッヘン!」

あい(そ、そこいばるところですの…?)

しんのすけ「いただきまーす」

するとしん様は何事もなかったかのように
ご飯を食べ始めた。

あい「…よくわからないですわ…」ボソ

そして私は顔が燃えそうなほど赤くなっているのを
感じながらご飯を食べ始めた。



そして1ヶ月後―

ガチャ

しんのすけ「かえってきたぞ!」

みさえ「あら、しんちゃん!お疲れ~」

ひろし「おお。久しぶりだな!元気だったか?」

お兄ちゃんは私の夏休みに実家に帰ってきた。

ひろし「ちょっと背伸びたんじゃねーか?」

しんのすけ「これからも伸びる予定!」

みさえ「ほら、スイカあるわよ」

ひまわり「わ、私も食べるー!」


そして子供の頃のようにおにいちゃんと
二人で居間の机を囲んだ。

しんのすけ「冷たくてひんやりするゾ…」

ひまわり「そーだね!」

そしてちなみに私は風間くんとは
完全に終わった。

お互いまたこれから友達として付き合っていこうという事。
より戻す予定は今のところないしいい友達だと私は思ってる

しんのすけ「おい、ひまわり。ほっぺに種ついてる」

くい

ひまわり「あ、ごめん。ありがとー!」
ひまわり(本当冷えてて美味しい…)

しんのすけ「そーいや風間くんはどうなった?」

ひまわり「んー。終わっちゃった!でもお友達だよ」


しんのすけ「また何かあったらおにいちゃんに言うんだぞ!」

ひまわり「わかってるよー!」

お兄ちゃんは喋りながら食べているというのにも
関わらずスイカ2個目に突入していた。

ひまわり「―あ。そういやお兄ちゃんこそあいさんとどうなったの?」

しんのすけ「―…!…」

ひまわり「…お兄ちゃん?」


.
俺があいちゃんとどうなったかって?




しんのすけ「…秘密。」





終わり



ひまわり4.jpg




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しんのすけ「俺、しらねーつの!」

ひまわり「嘘!さっきまでここにあったもん!」

しんのすけ「俺、知らないぞ。」

ひまわり「お兄ちゃんのばか!てか私、これから彼氏とデートだから」

しんのすけ「ほー。」
しんのすけ(ひまわりは立派な女に育ったなあ…)

ひまわり「お兄ちゃんも高校ラストの年になったんだからさっさと彼女作りなよね」

バタン

しんのすけ「妹のくせに生意気だ」


しんのすけ(それにあいつはまだ中1だゾ…)

みさえ「しんちゃーん?洗濯物取り込んでくれる?」

しんのすけ「へいへい…」

みさえ(…しんのすけも立派になったわね)クス

-----

ひまわり「あっ、もお待ってたよお~」

風間「ごめん。ひまちゃん。勉強してたんだ」

ひまわり「ううん。お疲れ様!」

風間「しんのすけは元気か?」

ひまわり「相変わらずだよ!風間くんはお兄ちゃん扱えてすごいね」


風間「そうでもないよ~。ひまちゃんも結構仲良しだよね」

ひまわり「う~ん。別に嫌いじゃないけどさー」

風間「嫌いじゃないけど何?」

ひまわり「なんてゆーか鈍いのかな―…?」

風間「鈍い?ははっ、しんのすけらしーな」

ひまわり「だってお兄ちゃん一回も彼女作らないんだよ?おかしいってー」

風間「ひまちゃんの方が中1で付き合うとかおかしいよ」

ひまわり「えー?周りのコ普通に付き合ってるし、おかしくないよっ」


風間「そうなんだ。じゃあどこ行く?」

ひまわり「私、おなか空いちゃった。」

風間「じゃあ近くのファミレスでなんか食べようか」

ひまわり「うん!」
ひまわり(風間くんといると、安心するなぁ…)

風間「あ。」

ひまわり「どーしたの?」


風間「あそこにいるカップルの女って…」

ひまわり(え?誰?)

「 あー!風間くんじゃないっ 」

風間「…ね、ネネちゃん…」

ひまわり(わーすごい派手…)

ネネ「あ、ひまわりちゃん!こんにちはっ」

ひまわり「あ、こんにちは…」

風間「ネネちゃん、完全なギャルになったね…」

ネネ「なによー!てか風間くんとひまちゃん今デート中?」


風間「ま…まぁ…」
風間(何か恥ずかしいな…)

ひまわり「ネネさんもその彼氏さんとデートですか?」

風間(彼氏もサングラスなんかかけて…いかついな…)

ネネ「さんつけなくていいよー!ネネで!そうだよー」

彼氏「おい、ネネ誰だよこいつら…」

風間「(ヤバ…)あ、ネネさんと知り合いの…」
風間(―ってあれ、この声…もしかして…」


ネネ「ったく、あんたも知り合いでしょ!」

ゴッ

彼氏「いってーな…ネネ」

風間「お、おい…もしかしてそいつ…」

ネネ「ん?ああ、マサオだよ。私の彼氏なの!」

風間(え)

ひまわり(嘘…あの弱そうだったマサオ君?)

マサオ「ん?ああ、風間くんか!元気だった?」


風間「元気だった…っていうか!!マサオ君!ナンだよそのかっこ!!」

風間(ハタから見たらただのヤンキー…)

ネネ「格好よくなったでしょ?」

風間「ま、まあお似合いなんじゃない…?」

ひまわり「お、お似合いです!」

ネネ「そう?ありがとー!じゃあ邪魔してごめんね。お幸せに~」

風間「別にいいよ。またね!」

マサオ「風間くん!今度呑みいこーな!」


風間「…ああ…」

ひまわり(…ふう。やっぱりみんな楽しそうに恋愛してるんだな。お兄ちゃんもすればいいのに)

風間「どうした?」

ひまわり「う、ううん!なんでもないよ。行こう、風間くん」

風間「うん」
風間(やっぱひまちゃんが1番美人だな)


風間「そーいや、ボーちゃんはどうしたんだろ…最近会ってないな」

ひまわり「あ、ボーちゃんってあの少し無口の?お兄ちゃんから聞いたけど留学したみたいだよ」

風間(―!りゅ、留学…)
風間「ボーちゃんらしいな…」

ひまわり「結構すごいんだねっ」

風間「俺も頑張らないと!」

ひまわり「…勉強?風間くん頭いいじゃない」

風間「それもあるけど…ひまちゃんに似合うような男になれるように頑張るから!」

ひまわり(ドキッ)
ひまわり「…そうだね」クス


ひまわり(でも、私はお兄ちゃんに頑張って欲しい。早く幸せになってほしいもん)

ひまわり(小さい頃からずっと一緒で楽しかった記憶が沢山ある。協力してあげたいのにな―…)

-----

みさえ「しんのすけー!買い物行ってきてくれない?」

しんのすけ「何買うのー?」

みさえ「はい。これメモ。おつりあまったらなんでも買ってきていいわよ」

しんのすけ「ほーい」
しんのすけ(どうせ俺は暇だしな)



ガチャ

しんのすけ(歩いていくか。)

しんのすけ(ひまは今頃楽しそうにしてんのかな…オラには関係ないけど)
しんのすけ(じゃなくて俺だ!俺…)

-----

ざわざわざ

しんのすけ(えーと玉子と牛乳と…)

あい「あれ、もしかしてしん様?」

しんのすけ「…お?」

あい「しん様ですか!?お久しぶりです。あいですわ!」

しんのすけ「…あい?」
しんのすけ(そういや小さい頃追われてたっけ…)


あい「何年ぶりでしょうか!?私感激ですわ」

しんのすけ「さあ…10年とか?」
しんのすけ(それにしても綺麗で大人っぽくなったな…)

あい「私、今黒磯と買い物に来ているの。しん様も?」

しんのすけ「そうだぞ」

あい「久しぶりに会えたお詫びにアドレス交換しませんか?!」

しんのすけ「…ああ…」



あい「じゃあ、連絡します。ではまた会いましょう。しん様!」

しんのすけ「ほーい」
しんのすけ(そろそろしん様っていうのやめたらいいのに…)

--

店員『1570円になります』

しんのすけ「ふー。帰るか」

しんのすけ「…あいちゃん、かわいくなってたな」



ひろし「おーい!しんのすけぇえええ」

しんのすけ「!?、父ちゃん…」

ひろし「買い物かあ~?ヒック」

しんのすけ「そうだけど…。父ちゃん酒くさい」

ひろし「小さいことは気にすんなよ~。一緒に帰ろうな~」

しんのすけ「…へいへい」

ひろし「ひまわりはどうしたぁ~~!?」

しんのすけ「多分風間くんとデートだぞ」

ひろし「か、風間君と付き合ってんのか!?くそーーー!!」


しんのすけ「どうせ俺たちには関係ないよ」

ひろし「わかってるけど、さみしいぃぃいい」

しんのすけ(酔っ払った父ちゃんは面倒くさい)

「「 ただいまー 」」

みさえ「おかえりー!ってあなた!」

しんのすけ「スーパーの前で会ったから一緒に帰ってきた」

みさえ「まったく…。しんちゃんありがと。もういいわよ」

しんのすけ「ほい」



しんのすけ(夜まで暇だし、勉強でもするか…)

ひろし「おー?しんのすけ勉強かー?」

しんのすけ「父ちゃん、早く風呂入ったほうがいいぞ」

みさえ「しんのすけの言うとおりよ!ほらあなた!」

しんのすけ(大きくなると母ちゃんの気持ちがよくわかるな…)

ガチャ

しんのすけ(来週からテストだし真面目になるか)



------
ひまわり「あー楽しかった!」
風間「ほんと?よかった」
ひまわり「てかもう、7時…」

風間「家まで送るよ」
ひまわり「ありがとうっ」
ひまわり(風間くんは優しいなあ)

----
風間(もう着いちゃったな…)
風間「明日から塾で忙しくなるけど連絡はするよ」

ひまわり「うん。送ってくれてありがとう!じゃあ…」

風間(―あっ…。頑張れ俺―!!)
風間「ま、まってひまちゃん!」

グイッ
ひまわり「―…。どうしたの?」

風間「ちょっと目瞑ってくれる?」

ひまわり「ちょ、風間く―…」

ちゅ

風間「じゃ、じゃあまた次会うときに…」

ダッ

ひまわり「う、うん…。」

ペタン

ひまわり(―って!今の何?!もしかして―…)
ひまわり「…き、す…」

ひまわり(人生初めてのキスだあ…)

ガチャ

みさえ「あれ?ひまわり何座ってんの?」
ひまわり(―ドキッ!)

ひまわり「あ、何でも無いよ!お母さんっ」
みさえ「ってかひまわり、スカート短すぎ!」

ひまわり「短いほうがかわいいよ~?」


みさえ「そんなことしてると風邪ひくわよ!ご飯食べる?」

ひまわり「ごめん、食べてきちゃった…」

みさえ「そう?じゃあお風呂入りなさい」

ひまわり「はーい」

ガチャ

ひろし「おー!ひまわり帰ってきたか!」

しんのすけ「…」

ひまわり「た、ただいま…お父さん」
ひまわり(お兄ちゃん…もいる…)

ひろし「食べないのか?」

ひまわり「ごめんね。食べてきちゃった」

ひろし「なんでぇ~…」

ひまわり(とりあえず早く、お風呂入って着替えよう)

ひろし「しんのすけー!ビール飲むか?」

しんのすけ「…」

ひろし「しんのすけ?」

しんのすけ(ひまわりはまた風間君とデートしたのか…。)

しんのすけ(別にそれがどうしたってわけじゃないけど…)

~♪~♪

ひろし「あれ、しんのすけ携帯鳴ってる」

しんのすけ「…?―っあ!」
しんのすけ(あいちゃん!)

------

from:ai....xxxx@
本文:しん様!あいですわ。メールしてみました*

-------
ひろし「誰なのか?」ニヤニヤ

しんのすけ「父ちゃんには関係ないぞ」

ひろし「ちぇー」


しんのすけ(とりあえず、登録して返事しよう…)

ピピ ピ

----
ひまわり「お風呂上がったー。次お父さん入…」

ひろし「おー」

しんのすけ「…大丈夫…と…。」

ひまわり(お兄ちゃんが笑いながらメール、…?誰かな)

しんのすけ「そーしん…。―って、ひまわり何」

ひまわり「別に…。お兄ちゃん、誰とメールしてるの?」



しんのすけ「関係ないだろ」

ひまわり「いーじゃん!教えてくれたって!私のお菓子食べたくせに!」

しんのすけ「…だから俺はたべてねーぞ!」

ひまわり「教えなさいよ―っ!!」

しんのすけ「ひまは風間君の事だけ考えてればいいんだよ!」

ひまわり(―っ、…は?)



ひまわり「か、風間くんは関係ないじゃん…」

しんのすけ「風間君と付き合ってからひまわりなんかおかしいぞ?」

ひまわり「…―っ、お兄ちゃん意味わかんないし」

しんのすけ「とにかくひまわりには関係ないから!俺2階行くから」

トントン

ひまわり「ちょ―っ!!」

バタン!

ひまわり(何…何なのよ…)
ひまわり「…、お兄ちゃんのばか…」



みさえ「ひまわり?」

ひまわり「…お母さん…」

みさえ「しんのすけ、あれでも一応ひまわりの事心配してるみたいだよ?」

ひまわり「…心配?」

みさえ「そう。最近夜暗くなってから帰ってくるじゃない。まだ中学生なんだからほどほどにね」

ひまわり「ご、ごめんなさい…」

ひまわり(お兄ちゃんが、私の事、心配…?)


ひまわり(―!、だったらちょっとだけでも態度に出してくれればいいのに!怒ってばっかでさ!)

ひまわり(、お兄ちゃんの癖に…)

ひまわり「…むかつく」


ブーブーッ

ひまわり(…携帯、電話かな…)

『 着信中 風間くん 』

ひまわり「―っ!」
ひまわり(風間君から電話だ…。でも今は出る気分じゃないや…ごめんね…)

ひまわり「…はあ」
ひまわり(私だってこれでもおにいちゃんの事心配してるのに…)

なんで通じ合えないのかな…。



―次の日。

みさえ「ひまわりー!早く起きなさいー!」

ひまわり「う~ん…ねむ…」

みさえ「遅刻しちゃうわよ!」

ひまわり「はあー、めんどくさ…」

ひまわり(…あれ…お兄ちゃんもう制服になってる…)

みさえ「今日しんのすけ早いわね」

しんのすけ「普通だよ」

ひまわり(目、合わせてくれないし…気まずいなあ…)



みさえ「二人とも早く、朝ごはん食べちゃってね!」

ひまわり(やっぱ朝はだるいや…)

ひまわり(お兄ちゃんと2人きりってどうやって過ごしたっけ…)

しんのすけ「…ごちそーさま。」

ひまわり(は、はやっ!!)

スタスタ…

ひまわり(いつもは途中までお兄ちゃんと学校行ってるけど今日は別々なのかな…)
ひまわり(…)



くるっ

しんのすけ「ひまわり。」

ひまわり(ドキッ)
ひまわり「―な、何?」

しんのすけ「待ってやるから、早く準備だぞ」

ひまわり(いつも通りだ…っ)
ひまわり「う、うん!…待ってて!」

ひまわり(よかった―…。普通で…)



~♪~♪

しんのすけ(…あいちゃんかな)

ピッピピ

-----
from あいちゃん
本文 おはようございます。しん様!今日放課後暇でしたらケーキ食べにいきません?
-----

しんのすけ(け、ケーキ!)
しんのすけ(久しぶりにあったばっかだし食べにいこう…)

ピ ピ

ひまわり「…」
ひまわり(また少し笑いながら携帯打ってる…。彼女…できたのかな)


ひまわり(って、私には関係ないじゃん!…とりあえす後で昨日の事謝らなきゃ)

ひまわり「…ごちそーさまでした。」

----

みさえ「じゃあ、二人ともいってらっしゃい!」

ひまわり「いってきます~」
しんのすけ「ほーい」

パタン

「「 ・・・・ 」」

ひまわり(どうしよう…沈黙…。とりあえず謝っとこうかな…)



ひまわり「お、お兄ちゃん!!」

ピタッ

しんのすけ「…お?」

ひまわり「あの…昨日はごめん…なさい」

しんのすけ「俺は別に、いいけど」

ひまわり「なっ、ならよかった…!」
ひまわり(よかったあ…)

しんのすけ「ひま、昨日めーるの相手誰だか聞いただろ?」

ひまわり(ドキッ)「ま、まあ…。でももう教えてくれなくていいよ!」

しんのすけ「いいよそんな秘密にする事じゃないし。あいちゃんだぞ」

ひまわり「あい…ちゃん…?」
ひまわり(もしかしてずーっと前に言ってた好き好きって追われてた…?)

しんのすけ「昨日、久しぶりにあってアドレス交換しただけ!」


ひまわり「じゃあ、彼女じゃないんだ…(―ハッ!)」

しんのすけ「彼女?あいちゃんはそんなんじゃないぞ」

ひまわり「…そっかあ…」

しんのすけ「それに俺はお姉さんみたいな人が好き!」

ひまわり「…、…あ、そ…」
ひまわり(お兄ちゃんはほんと意味わかんないけど、とりあえずよかった)

しんのすけ「じゃ。また後で!」

ひまわり「うん。ばいばいっ」


ひまわり「はー。すっきりしたー。」

風間「すっきりしたって何が?」

ひまわり「きゃ、―っ!!?、か、風間、くん!」

風間「おはよう。ひまちゃん」

ひまわり「おはよう。―てか!電話出れなかった…。ごめんね」
ひまわり(本当は、わざと出なかったんだけどね)

風間「ううん。こっちこそごめんね」

ひまわり「次はちゃんと出るね!」ニコッ

風間(ドキ)「~~、あ、あと…」

ひまわり「ん?」

風間「昨日、いきなり、キスして…ごめんね?」

ひまわり「…きす?」


ひまわり(――っ!!、思い出した…)

ひまわり「だ、大丈夫だよ…。」

風間「ならいいんだ…」

ひまわり(どうしよう私。お兄ちゃんの事で精一杯で完全に忘れてた…)

ひまわり「じゃ、じゃあ風間くん高校あっちでしょ?私こっちだから。」

風間「そうだね。じゃあまたね」

ひまわり「ばいばいっ」

ひまわり(まさか、朝から風間君に会うなんて…)



ひまわり(とりあえず私は、早く高校生になりたいな…)

先生「こら!そこの生徒!早く門に入りなさい!」

ひまわり「―っ!ごめんなさいっ…」

----

しんのすけ「…つまんないぞ」

しんのすけ(勉強しなきゃいけないのはわかってるけど授業はどうしてもつまんない)

先生「じゃあ今日から裁縫道具を使ってエプロンを作ります」

一同「「 ええええ~~!! 」」

しんのすけ(エプロンとか…余裕…)


しんのすけ(子供の頃やりすぎたせいかな)

しんのすけ(俺は寝よう…)
しんのすけ(それに放課後は、ケーキだし。あいちゃんつきの)
-----

キーンコーン

さよーなら

ひまわり(これから当分風間君に会えないから放課後暇になっちゃうな…)

「じゃあねひまわりちゃん!」

ひまわり「ばいば~い」


ひまわり(お兄ちゃんは放課後いつも何してるんだろ…)

「あれ?ひまちゃん?」

ひまわり「…え?」くるっ

なな子「こんにちはー」

ひまわり「な、なな子さんっ!!」

なな子「学校帰りかしら?」

ひまわり「は、はい!なな子さんは?」

なな子「買い物帰りよ。」

ひまわり「そうなんですかー。」

なな子「しんちゃんは元気?」

ひまわり「お兄ちゃんですか?相変わらず元気ですよ!」

なな子「そっかー。子供の頃と違って全然会ってないから、元気そうならよかった。」

ひまわり「はい。今度うちにご飯食べに来てくださいね」

なな子「本とう?ありがと!じゃあまたねひまちゃん。」

ひまわり「はい。また!」


ひまわり(ななこさんは相変わらず美人だなあ…)

ひまわり「帰ろ…」

ひまわり(…―っ、って、あれ?)

ひまわり「あの後姿って…お兄ちゃん!?」

しんのすけ「どこのケーキ屋?」

あい「しん様の好きなところだったらどこでも!」

ひまわり(…しん様?…もしかしてあい…ちゃんかな?)


ひまわり(二人でどこ行くんだろう…ケーキ食べに行くのかな…いいなぁ…)

しんのすけ「ここでいい?」

あい「はい!」

ひまわり(しかも超笑顔だし…むかつく)

ひまわり(―っ、さっさとかえろ!私には関係ないし!)
ひまわり(…それにあの人は彼女じゃないんだ、し…)

ひまわり「って何考えてるの?私!!」

ひまわり「私には風間くんがいるもん…」
ひまわり(…関係、ないんだから…)



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ひまわり「ただいまー」

みさえ「あ、おかえり!ひま、ネネちゃん来てるわよ」

ひまわり「えっ」

ネネ「ひーまちゃんっ♪」

みさえ「ネネちゃん西瓜持ってきてくれたのよ。ありがたいわ~」

ひまわり「ね、ネネさん有難う御座います」

ネネ「だからさん付けいらないってば~!」

ひまわり「じゃあ、ネネちゃん…」

みさえ「じゃあゆっくりしてってね!私買い物に行くから。」

ネネ「ありがとです!」

ひまわり「は、はーい…」

パタン

ひまわり「ネネちゃんは今日…どうしたんですか?」

ネネ「あー…。暇だったのもあるけど…」

ひまわり(ネネちゃんの制服姿可愛い…)

ネネ「私、マサオとわかれそーなんだよねー」

ひまわり「…え…。―っえ!!」

ネネ「あは。驚かないでね。なんか最近上手く行かなくて…」

ひまわり(なんで?この間は仲良しだったのに…)

ネネ「もうわけわかんないよー。マサオのくせにむかつく!」

ひまわり「、そ、そうなんですか…」


ネネ「とりあえず距離おいてるんだー…」

ひまわり「そうなんですか…。ネネちゃんは別れたいんですか?」

ネネ「…まあ、別れたくないわよ」

ひまわり「…意外…。」

ネネ「え?」

ひまわり(―ハッ!)「ご、ごめんなさ…」

ネネ「まあ、子供の頃と比べるとありえないわよね」

ひまわり「…」

ネネ「いつのまにかマサオを格好よくさせて成功してノリで付き合っちゃったんだけどさ…ぶっちゃけ。
   でもいつのまにか好きになっちゃってたみたいだわ」



ひまわり「…マサオくん、ネネちゃんにこんなに愛されてて幸せです」

ネネ「さあ、どうかなあ…」

ひまわり「二人ならまた元に戻れますよ!応援してます」

ネネ「…そう?、ありがとうねひまちゃん」

ひまわり「…いえ…」

ネネ「…ちなみにひまちゃんは風間くんとどう?」

ひまわり「―っ!!…普通、です…」

ネネ「もー!もったいぶらないで教えなさいよ~」

ひまわり「もったいぶってないですよ~!!」

ネネ「そのまま結婚までひとっ走りしなさいよ!」

ひまわり「け、結婚って…。早すぎですよっ」


ネネ「まあとりあえず私とマサオは別れなかったら卒業と同時に同棲するわ」

ひまわり「ど、どうせい!?」

ネネ「そう。前に約束したんだ。」
ひまわり「そうなんですか。」

ひまわり(そういやお兄ちゃんって進路どうするんだろ)

ネネ「なんかマサオの話してたら会いたくなっちゃったよ…」

ひまわり「なら今から会いにいってみては?」

ネネ「…あってくれるかな…」

ひまわり「大丈夫ですよ!ネネさんなら!」

ネネ「…そうだねっ、ありがとう。じゃあお邪魔しました」

ひまわり「いえいえ。気をつけてください」

ネネ「うん。じゃあ…」

ガチャ パタン。

ひまわり(私も、風間くんとこのまま付き合ってたらいつかは同棲とかしちゃうのかな…)

ひまわり(考えらんないや…)

ガチャ

ひまわり(ドキッ)

しんのすけ「ただいまんとひひ~」

ひまわり(お、おにいちゃ…)

ひまわり「おかえりんごじゅーすは100%…」

しんのすけ「…」

ひまわり「…」

しんのすけ「なんかそれ懐かしいぞ!」

ひまわり「そ、そうでしょ?」

ひまわり(子供の頃よくこうやって遊んでたな…)

ひまわり「そういや、今までネネちゃん家に来てたんだよっ」

しんのすけ「おお」

ひまわり「なんかマサオくんとのことで悩んでたみたいだったけど会いにいったよ」

しんのすけ「ほー。そっか」

ひまわり「(ドキン)、お、お兄ちゃんはどこに行ってたの?」

しんのすけ「俺?ケーキ食べてた。あいちゃんと」

ひまわり(やっぱそうだよね…。)

しんのすけ「だからひまわりにもお土産のケーキ」

ひまわり「―えっ…。」

しんのすけ「羨ましがられたら怖いし」

ひまわり「ちょ、もう子供じゃないんだから!!」


しんのすけ「まだ中学生だろ」

ひまわり「お兄ちゃんたら…」

しんのすけ「俺、寝る」

ひまわり「お、おにいちゃ!」

しんのすけ「お?」

ひまわり「ケーキ、ありがとね!」

しんのすけ「へいよ」

ひまわり(えへへ…なんか嬉しいな…)


それから夏休みが来て風間君とは順調に続いて
ネネちゃんはまたラブラブに戻って
ボーちゃんは相変わらず留学したまんまだった。

ひまわり「海行きたいなー」

みさえ「あら、いきたいわねー。あなた家族みんなで行かない?」

ひろし「おー、いいかもな。しんのすけもいくだろ?」

しんのすけ「当たり前。あとシロとシロ1とシロ2とシロ3と…」

ひろし「あーわかったって!みんな連れてくよ!」

ひまわり(シロは子供作っちゃって今では5匹くらいシロと似てる犬がいるんだよね…)

夏休みは普通に楽しかった。
秋。お兄ちゃんの文化祭に遊びにいったり
体育祭も楽しかった。


ひまわり(もう秋だけど…おにいちゃんは進路どうするのかな?)

----
風間「ひまちゃん!」

ひまわり「風間くんっ。お久しぶり!」

風間「やっと塾8日連続おわったよー」

ひまわり「お疲れ様。」

風間「これから進路の準備しなきゃいけないし」

ひまわり「―っ…風間くんは進路どうするの?」

風間「俺?俺は、とりあえず一流の4年制大学通うよ。もちろんひまちゃんと離れるのはいやだから県内。」

ひまわり「か、風間くんったらー!!」
ひまわり(何で、そんなこと簡単にいえるんだろ…)



そして―…

ネネ「ひーまちゃん!」

ひまわり「わあ!…ネネちゃん!」

ネネ「びっくりした?あのねー報告があるんだ!」

ひまわり「?、なんですか?」
ひまわり(なんか嬉しそうな顔…)

ネネ「実は…妊娠しちゃいましたー!!」

ひまわり「…」

ひまわり(にん、しん…?)

ひまわり「えええぇええーーーーー!!」

ネネ「もうすぐ籍入れて、マサオは高校卒業したら就職するんだっ」

ひまわり「そうなんですか…。じゃあネネちゃんは…」

ネネ「私は卒業式出たいから、頑張るよっ!」

ひまわり「そうなんですかっ。頑張って下さい」



ネネ「じゃーねー♪」

ひまわり(ネネちゃん、幸せそうでよかった。)

ガチャ

ひまわり「ただいまー」

みさえ「おかえり。寒くなかった?」

ひまわり「微妙に…。てかお兄ちゃんいる?」

みさえ「いるわよ。居間でテレビ見てるわ」

ひまわり「ちょ、お兄ちゃん!」

しんのすけ「ん?」

ひまわり「お兄ちゃんって進路―…!」

しんのすけ「あ、ひまわり、学校の子からお土産もらったから少しあげる」

ひまわり「…っ、あ、ありがと…」

しんのすけ「俺、シロたちの散歩してくる…」

みさえ「よろしくねー」

パタン


ひまわり(なんか、聞けなかったな…。てかこのお土産美味しい…)

もぐもぐ

みさえ「あ、そういえばひまわり!」

ひまわり「んー?」

みさえ「これから冬でしょ?しんのすけがマフラー買って来てくれたわよ」

ひまわり「…え…これ…?」

ひまわり(超、可愛い…っ)

みさえ「しんのすけのはこの色違いよ」

ひまわり「そ、そうなんだ…ありがと…」

みさえ「しんのすけにちゃんといいなさいよー」


ひまわり「うん!」

ひまわり(最近、お兄ちゃん優しいな…)

----

ガチャ

しんのすけ「ただいまー」

みさえ「ちょっとしんちゃん、早いわよ」

しんのすけ「途中で疲れたからかえって来た」

みさえ「まったくー」

トントン

ひまわり(あっ…お兄ちゃん2階行っちゃう…)

ひまわり「お、お兄ちゃん…っ、ちょ、待っ…」

しんのすけ「ん?」

ひまわり「マフラー可愛いっ。ありがとう」

しんのすけ「おお。どういたまして」

ひまわり(ドキッ)「そ、それだけ…」

パタン

ひまわり(このマフラー…大事に使お…っ)ぎゅ

みさえ「…」
みさえ(しんのすけGJっ)


そして雪が降るほど寒く、真冬になった。

ひまわり「寒くて外出たくないよ~~~っ」

みさえ「仕方ないでしょ!ほらその短いスカートやめなさいよ」

ひまわり「さ、寒くないしっ!!」
ひまわり(いまどき長いなんていやだし)

しんのすけ「ひまー、学校行くぞ」

ひまわり「う、うんっ」

色違いのマフラー。

ひまわり(なんか、嬉しいなっ)


しんのすけ「じゃあ俺ここだから。気をつけていくんだゾ!」

ひまわり「お兄ちゃんもね!」

ひまわり(ってゆっても寒いし、動きたくないよ・・)

ミッチー「もう寒いよお!ヨシリン!」

ヨシリン「大丈夫だよ!二人で居ればあったかいよ!」

ミッチー「もう、ヨシリンったら…///」

ひまわり(ここだけあついな…)

ひまわり「お、おはようございます…」

ミッチー「あら、野原さん家の娘さんじゃない!」

ヨシリン「おはよう。学校?」

ひまわり「はい。相変わらず仲良しですねっ」

ミッチー「仲良しって…///」

ヨシリン「当たり前だろっ///」

ひまわり「じゃ、じゃあまた…」

ひまわり(なんかあの二人にはついていけないや…)

-----

「ばいばーい」

ひまわり「また明日~!」

ひまわり(今日も普通に終わっちゃったな…。まあ平和がいいんだけど)

風間「ひまちゃん!」

ひまわり「か、風間くん!どうしたの?学校まできて…」

風間「一緒に帰ろうと思って待ってた」

ひまわり「そうなんだあ。じゃ一緒にかえろ?」

風間「うん。」

風間「そのマフラー可愛いね。買ったの?」

ひまわり(―ドキッ。)
ひまわり「あ、ありがとう。違うよ。お兄ちゃんにもらったんだ…っ」

風間「へー。しんのすけがかあ。あいつ意外にセンスいいよな」

ひまわり「で、でしょ!?自慢のお兄ちゃんだよ…」

風間「相変わらず仲良くていいな」

ひまわり「お兄ちゃんと色違いなんだよー」

ひまわり(…おにいちゃんの事自慢しちゃった…っ)

風間「そのうちしんのすけに乗り換えるなよー!」


ひまわり(の、乗り換え…?)

ひまわり「お、お兄ちゃんなんだし!ありえないよー風間くんったらー」

風間「そうだな。ってかさ…俺達将来、結婚…しない?」

ひまわり「あははー。そうだねっ…って―…え?」

風間「あ、ごめん。まだひまちゃん中学生だし…」

ひまわり「…」
ひまわり(け、っこん―…)

ひまわり(そうだ。いつかはお兄ちゃんと離れなきゃいけないんだ―…)

風間「今のはためにし言っただけだから。気にしないでね」

ひまわり「う、うん…」

胸がざわつく。

ひまわり(なんか、私お兄ちゃんに依存してるのかな―…?)

風間「じゃあまた明日ね!さっきは変な事言ってごめん」

ひまわり「…大丈夫だよ。ばいばいっ」

ガチャ

ひまわり「…はあ…」

ひまわり(―どうしよう。私今、―すごい動揺してる―…)


しんのすけ「ひまわり?何してんの?」

ひまわり「―っ、別に…。ちょっと寒かっただけ」

しんのすけ「早く部屋に入った方がいいゾ」

ひまわり「そだねっ。あーこたつきもちーぃ」

しんのすけ「そだな」

ひまわり「そういえばお兄ちゃんってよくケツだけ星人とかやってたよねー」

しんのすけ「―っ!俺は…やって…ないぞ…」

ひまわり「あ、もしかして思い出すの恥ずかしいとかー?」

しんのすけ「一瞬の迷いだ」

ひまわり「お兄ちゃん意味わかんないよっ!あはは」


しんのすけ「みかん食べる?」

ひまわり「食べる!」

しんのすけ「ちょっと待ってて」

ひまわり「ごめんね、ありがと」

ひまわり「…、…あれ?」
ひまわり(お兄ちゃんの座っていた横に鞄…?)

ひまわり(学校帰ってきたばっかりなのかな…みちゃお…)

ひまわり「…わっ」
ひまわり(あんまり入ってないよ…。勉強しないのかな…。)

ひまわり「ん?」

ひまわり(…なにこの封筒…)

ひまわり(んーと…東京○○大学…?なんで東京…って―…)

ひまわり「―っ!!!」

バタバタッ!!

しんのすけ「ん?ひまわりどうした?」

ひまわり「お兄ちゃんっ…これっ!!」

しんのすけ「―っ!!な、何見て―っ」

ひまわり「東京の大学行くってどういうこと!?」


しんのすけ「―っ…」

ひまわり「卒業したらあっちで暮らすんでしょ?!」

しんのすけ「ちょ、ひまわ…」

ひまわり「私…お兄ちゃんはずっと傍にいると思ってた…」

しんのすけ「…」

ひまわり「風間くんは…私の傍にいたいから県内なんだって…だから」

しんのすけ「俺は―っ」

ひまわり「お兄ちゃんは…離れても…い…い…っ」
ひまわり(どうしよう、私最悪だよ…。県外の大学行く事なんて普通に良くある事なのに…)


ひまわり(私、馬鹿みたい…。)

しんのすけ「…。」

ひまわり「ごめん、なんでもないや…。勝手にみてごめ…」

しんのすけ「ひまわり。」

ひまわり「っ!」

しんのすけ「東京なんて近所だぞ。今とあんまり変わらないぞ」

ひまわり「―でもっ、その書類にはあっちで一人で住む―って…」


しんのすけ「それは母ちゃんが一人暮らしの勉強しなさいって」

ひまわり「―っそんな」

しんのすけ「もう会えなくなるわけじゃないんだぞ!」

ひまわり「…それでも私は寂しいもん…」

しんのすけ「…ボーちゃんだって今頑張ってる。俺だってみんなのためになるような仕事がしたい!」

ひまわり「お、にいちゃ…」

しんのすけ「オラは強いんだゾ!!…じゃなくて俺…」

ひまわり「…あはっ。子供の頃の口調に戻ってる…っ」


ひまわり(そう。そうだよね―…。お兄ちゃんはただ少しの間だけ離れるだけで…)

しんのすけ「だからひま。お前も俺のあとについていくんだ!」

ひまわり「―っ、…ふふっ。わかったよ…!」

しんのすけ「よし!それでいいんだ!」

ひまわり「お兄ちゃん、馬鹿みたい…」

ガチャ

みさえ「だたいまーってあれ?どうしたの二人とも…」

しんのすけ「あ、母ちゃんおかえり」

ひまわり「おかえり…」

みさえ「その書類っ!しんのすけ、ひまわりに見せたの!?」

しんのすけ「ひまわりが勝手にみた」

ひまわり「えへへ…」

みさえ「そ、それで…」

しんのすけ「大丈夫だったぞ」

みさえ「ほんとう?よかったー。ひまわり、しんのすけにべったりなんだもん」

ひまわり(べっ、べったり!?…嘘…)

みさえ「ひまわり、一緒にしんちゃん応援しようね」

ひまわり「うん!…頑張ってね!」

しんのすけ「当然」

ガチャ

ひろし「しんのすけー!!!合格おめでとー!!!!」

みさえ「あ、あなた!!そんなにご馳走…」

ひろし「たまにはいいじゃないか」

しんのすけ「おー!チョコビもある!」

みさえ「相変わらず好きね」

-----

ひろし「あーおなかいっぱい!俺眠い…」

みさえ「さて、片付けなきゃ!あなたはお風呂入って!」

ひろし「へーい」

ひまわり「…ねえお兄ちゃん。」

しんのすけ「…ん?」

ひまわり「東京の大学いくのはわかったけど…将来何になりたいの?」

しんのすけ「…まだ、秘密」


ひまわり「なんでよー」

しんのすけ「叶ったら教える」

ひまわり「まあいいや。頑張ってね」

しんのすけ「ほい」

ひまわり(本当は正直、寂しい…。この家にほぼ毎日お兄ちゃんがいないって考えるだけで泣きそうになる。
    けど私がこんなんじゃだめだよね!…頑張って、お兄ちゃん)

----

風間「え!?しんのすけ東京の大学いくのか?」

ひまわり「そうみたい。」

風間「ひまちゃんはいいのか?」

ひまわり「うん。寂しいけどお兄ちゃんが決めたことだし」

風間「そっか。ひまちゃんがそういうなら俺も応援するよ」

ひまわり「ありがとう!お兄ちゃん喜ぶよっ」

風間「そうだな。俺も頑張らなきゃ!」

そして私の学校の卒業式とおにいちゃんの卒業式を終えて。
もうすぐ春が来ようとした―。

みさえ「しんのすけ!電車遅れるわよ!」

しんのすけ「あと、チョコビ3個…よし完了だぞ!」


今日はお兄ちゃんが東京に住み始める日。
皆で一緒にホームまでお兄ちゃんを送る。


ネネ「しんちゃん…っネネの事忘れないでね!」

マサオ「たまにはカスカベ戻ってきてね!!」

風間「しんのすけ…。頑張って来いよ」

みさえ「ゴキブリ出てもゴキジェットで一発よ!」

ひろし「ちゃんと寝るんだぞ」

お兄ちゃんはそれぞれ皆に一言ずつ返事をした。
最後までお兄ちゃんは元気だった。

『 上り行きの電車が発車いたします。
  しまるドアにご注意ください 』

ひまわり(―…あ。もうすぐ行っちゃう…)

しんのすけ「ひまわり。」

ひまわり「―っ!!」

お兄ちゃんは私の頭の上に手を置いて
なでてくれた。

ひまわり「お、にいちゃ…っ」

しんのすけ「…すぐ帰ってくるよ。風邪引いちゃ駄目だゾ」

ひまわり「う、うん…!」


プシュー
ガタンゴトン

風間「いっちゃったな…」

ひまわり「大丈夫だよね…。」


お兄ちゃんならきっと大丈夫。
だって私のお兄ちゃんだもん。

―お兄ちゃん。
次会った時は、ケツだけ星人見せてね。




終わり



ひまわり3.jpg



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いつものように幼稚園バスが前に止まる
「かあちゃんおかえり~!!」

しんのすけがいつもの挨拶で帰ってくる

「帰って来たらただいまでしょ!」
いつものみさえのお叱り
「かあちゃんおつや~」
「帰ったらまず手を洗ってうがい!」

「昨日やったもん!」

「おバカ!早くしなさい!」

「んも~、我が儘なんだからぁ~」

「ママはお洗濯干してくるからその間にうがいと手洗いしなさいよ!」

「ホイホ~イ」

みさえが庭へ出ていく

「妖怪ケツデカオババはうるさいぞ…」

ぼそっと呟くしんのすけ

「しんちゃ~ん…ちゃんと聞こえてるわよ~…?」

みさえの鋭い眼光がしんのすけに突き刺さる

「て、手洗ってこよ~…」

そそくさと浴室に向かうしんのすけ

手を洗いリビングに戻るしんのすけ

「しんのすけ~うがいはしたの?」

庭からみさえが言う

「これからだゾ~」

冷蔵庫を開けてプスライトを取り出すしんのすけ
それをコップに注ぎうがい

「ガラガラガラー」

ゴクン

「ぷは~、美味しいうがいだったぁ~」

「よし、も一回」

ゴチンッ

「このおバカ!ジュースでうがいなんかしたら駄目でしょ!」

「へぇぇ~」

「罰としておやつ抜き!」

ドスドスと庭に戻るみさえ

「まったくぅ、かあちゃんは怒りっぽいゾ」
うがいを済ませテレビの前に座りビデオを入れるしんのすけ

「アクション仮面はやっぱり良いですなぁ~」

上機嫌でビデオを見るしんのすけ

「たぃ!」

後ろからひまわりが近づいてくる

「お~ひまわり~、一緒にアクション仮面見るか?」

「る~!」

「よしよし、オラが特等席で見せてやるゾ」

ひまわりを抱き上げ自分の足の上に座らせる

「たぁ~!うへへぇ」

うれしそうなひまわり
暫く見入る二人

『正義は勝つ!ワッハッハッハッ!』

お決まりの台詞

「ワッハッハッハッ!」

「わったったったー」
それを真似るしんのすけ
その姿を見て真似るひまわり

「しんのすけ~、おやつよ~」

台所から声が聞こえる

「おおっ?かあちゃんさっきおつや抜きって…」
「ふふっ、良いお兄ちゃんだったからご褒美よ」
「ママって美人////」
みさえに抱き着くしんのすけ

「ふふっおバカ、早く食べなさい」

プリンをテーブルに置くみさえ

「おお~プリンだ!」

大喜びのしんのすけ
一口食べる
「いやぁ~ん、まったりとしてプルプルでしつこくないお味////」

「大袈裟ねぇ~」

微笑みながら言うみさえ

「たいも!たいも!」

ひまわりも食べたいらしい

「あらひまも?はい、あ~ん」

食べるひまわり

「たぁい!うへぇ」

ご機嫌なひまわり

そしてひろしが帰ってくる時間

「ただいま~」

「あなたぁ~ん」

しんのすけが駆け寄る

「おかえり、だろ?」

笑いながらしんのすけを抱き上げるひろし

「しんのすけ~重くなったなぁ」

「そうなのよ~、この前体重計のったら3キロもふえちゃってぇ」

「こらしんのすけ!それはママの事でしょ!」

台所からみさえが顔を出す

「また…増えたのか」

ひろしが問い掛ける

「増えてないわよ!最近減ってるのよ!しんのすけが言ったのは前の事よ!」

「ならいいけど…」

寝室に向かい服を脱ぐひろし

「あなたぁ~、しんのすけとひまお風呂にいれて~」

「えぇ~、お前がいれろよ~」
「オラもとうちゃんとなんてやだゾ~、南明奈ちゃんがいい~」
「たい!やっ!うへぇ(私もいや!小栗旬ならいい~)」

ダンッ!

みさえが捌いていた魚の頭がリビングまで転がってくる

「さぁっしんのすけ、ひまパパとお風呂だぁ!」
「わぁいわぁいパパとお風呂だぁ」
「たぁいたぁい!」

そそくさと風呂場へ向かう三人

「まったくもう…」

料理の支度をするみさえ

「うぇ~い」

三人は仲良く入浴
頭を洗い身体を洗う

「よしそろそろでるぞ~」

浴室からでる三人

「あれ?バスタオルが無い…」

「みさえ~お~い、みさえ~」

呼び掛けるが返事が無い

「なにやってんだみさえの奴…しんのすけ、ママ呼んで来てくれ」

「ほっほ~い」


台所に駆け出すしんのすけ

「まったく…風邪ひいちゃいまちゅね~ひまちゃ~ん」
「ね~」

ひろしとひまが待っていると台所から

「とうちゃん!かあちゃんが!」

しんのすけの声が

「どうした?床でも抜けた…か…」

ひろしが台所へ行くとみさえが倒れている

「みさえ!」

ひまわりをしんのすけに渡すひろし
そしてみさえに駆け寄る

「しんのすけ!救急車だ!」
「ほ、ほい!」

「みさえ!みさえ!」

必死に呼び掛けるひろし
そしてしんのすけが戻ってくる

「とうちゃん!」
「しんのすけ!」
「今20時32分だって!」
「バカ!そりゃ時報だよ!あぁもう!車のが早い!」

服を着替え急いでみさえを担ぎ車に乗るひろしとしんのすけとひまわり
そして病院につき急いで窓口へ

「すいません!みさえが!妻が!倒れて!」
「はい、じゃあまずあちらで書類に記入を…」

淡々と別の窓口を指差す事務員

「バッカヤロー!みさえが大変なんだよ!死んだらどうすんだ!早く医者を呼べよ!」

むなぐらを掴み叫ぶひろし

「は、はい、少々お待ちを」

気圧され医者に連絡をとる事務員

「で、ではこちらへ」

事務員の案内で医者の元へ向かう野原一家

手術室の前でひろしはうなだれている
医者はみさえを軽く調べると顔色を変えすぐに手術室の空きを確認しひろし達には説明しないまま手術室に入った

「みさえ…無事で居てくれ…」
「とうちゃん…だいじょぶだゾ!かあちゃんは強いもん!」
「しんのすけ…そうだな」

しんのすけの頭を撫でるひろし
みさえが手術室に入って1時間ほど経とうとしたその時
手術中の明かりが消え、医者が中から出て来る

「先生!みさえは…みさえは!」

医者に詰め寄るひろし

「先生…かあちゃんは…?」

うるうるしながら問い掛けるしんのすけ

「お父さん…こちらへ」

医者は近くの診察室にひろしを誘う

「とうちゃん…」
「お子さんはうちの看護師に預からせます…」

看護師に手を引かれ離れるしんのすけ
そしてひろしは診察室へと入る

「旦那さん…落ち着いて聞いて下さい…奥様は…胃癌です、それも…かなり進行もしています、普通なら激痛で日常生活もままならない筈なのに…」
「は…?が、癌…先生…嘘でしょう?」
「旦那さん…事実です…奥様は癌…」

医者が言い終わる前に医者につかみ掛かるひろし

「ふざけんな!昨日まで…いやついさっきまで元気だったんだみさえは…さっきまで…元気だったんですよ先生…なのに…なんで癌なんですか!みさえが何したって言うんだよ!」
「奥様は貴方に心配をかけまいと気丈に振る舞っていたんだ!旦那さん!今の奥様に一番必要なのは貴方の支えですよ!」

その言葉を聞き手を離し崩れ落ちるひろし


「旦那さん、私たちも全力を尽くします…」
「はい…お願いしますみさえを…助けて下さい…」

涙声で言うひろし

「お子さんには言わないほうが…」

「いえ…息子には…しんのすけには伝えます…」
「しかし…」
「あいつは…男です…みさえを守ってやるのはあいつと俺の仕事なんです…しんのすけならわかると思います…必ず…」

ゆっくり立ち上がり診察室を出てしんのすけのいるナースステーションへ向かうひろし

「とうちゃん!」

ひろしの姿をみるやいなや駆け寄るしんのすけ

「しんのすけ…とうちゃん話しがある、男同士の大切な話だ」

「ほ、ほい…」

しんのすけの目線に合わせてしゃがむひろし

「しんのすけ…いいか…よーくとうちゃんの言うことを聞くんだ…かあちゃんは…みさえは…とっても重い病気なんだ…もしかするとかあちゃんは…」

「かあちゃんしんじゃうの?」

「…」

しんのすけの問いかけに黙ってしまうひろし

「うそだ…とうちゃんオラを騙そうとしてるんでしょそうでしょ?」

「しんのすけ…本当なんだ…これからは」

「かあちゃんの病気なんかやっつけてよ!とうちゃん強いんでしょ!大人でしょ!」
「とうちゃんにも病気は倒せないんだ…」
「父ちゃんのおバカ!父ちゃんの弱虫!かあちゃんが死んだらとうちゃんのせいだぞ!」

「!…しんのすけ!」

パシンッ
しんのすけの一言にカッとなりしんのすけを叩くひろし

「あっ、しんのすけ…すまん」
「とうちゃんのおバカ!」
「しんのすけ!」

しんのすけはそのまま何処かへ走り去ってしまう

「(かあちゃんは死なないゾ…かあちゃんは絶対絶対)」

手術室に走るしんのすけ
その時

「…」

みさえが手術室から病室に移動するために運ばれている

「かあちゃん…」

その場に立ち尽くすしんのすけ

「…」

「しんのすけーっ!しんのすけーっ!」

しんのすけを探し回るひろし

「やっぱり…あいつにはまだ早かったんだ…俺は馬鹿だ…大馬鹿だ…」

「んも~とうちゃんうるさいゾ、病院はしずかにしなきゃ~」

しんのすけがトイレから出て来る

「しんのすけ…!」

駆け寄り抱きしめるひろし

「しんのすけ…すまん!とうちゃんが悪かった!」
「んーん…とうちゃん」
「なんだ?」

離ししんのすけの目を見るひろし

「オラ…かあちゃんを病気からお守りするぞ…!」
「しんのすけ…」
「オラ男だもん…かあちゃんは女だから男が守らなくちゃいけないんだゾ!ね?とうちゃん!」
「ああそうだ…!かあちゃんを守るのは俺達だ…」
「あとひまわりもだゾ!」
「そうだな…そうだな…」

しんのすけをきつく抱きしめるひろし

「とうちゃん苦しいゾ…」

しんのすけも堪え切れなかった涙を流す

翌朝
しんのすけとひろしとひまわりはみさえの病室でうたた寝していた

「ちょっとあなた!しんのすけ!」

跳び起きる三人

「なんでこんな所にいるの!?会社は?幼稚園は?」
「み、みさえ…」
「かあちゃん…」

みさえに抱き着く二人

「ちょちょっと!」
「みさえ!愛してるぞ!」
「かあちゃん愛してるゾ!」
「たいやい!」

しんのすけ、ひまわり、ひろしが抱き着き

「なにおバカな事言ってるの!」
「しんのすけ、父ちゃんはかあちゃんと話があるから…な?」
「ほ、ほい、ひま行くぞ」

ひまわりを抱っこして病室を出るしんのすけ
ひろしは昨日医者と話しみさえにも病気を告げることにした、これから長い闘病生活が始まる、途中で気付くより自分から伝えたいというのがひろしの気持ちだった
「ひま…」
「たい?」

病室の廊下の椅子に座りひまわりに話し掛けるしんのすけ

「ひまもオラが絶対お守りするゾ、かあちゃんがいなくてもオラが居るからかあちゃんがいなくなっても泣いちゃ駄目だゾ?」
「うぇ…」

泣きそうになるひまわり

「…たい!」

しかし涙を堪えしんのすけの言葉がわかったように返事をする

「おぉっ!それでこそオラの妹だゾ、偉いゾひまわり」

「みさえ…」
「やだなぁに、真面目な顔しちゃって~」
「真面目な話だいいな…?」
「う、うん…」
「おまえのな…病気…は」
「…」
「癌…だ…」
「!…」
「辛い宣告なのはわかってるでも!これは俺達家族四人が一体になって乗り越えなくちゃならないことだからおまえに話した…」
「…」
「みさえ…?」

押し黙っているみさえ

「…のすけは」
「ん?」
「しんのすけは知ってるの?」
「…あぁ…かあちゃんはオラがお守りするって…」
「そう!」

顔を上げひろしに笑顔を見せるみさえ

「みさえ…おまえ…」
「しんのすけがあんなに明るく振る舞ってるんだもの…母親の私がうじうじしてられないわよ…!」
「みさえ…」

みさえを抱きしめるひろし

「みさえ…頑張ろう…生きよう、生きてしんのすけとひまを一緒に育てよう…みさえ」
「あなた…」

「とうちゃん…もう入っていい?」

扉の外からしんのすけの声がする

「あ、あぁ…!」

入ってくるしんのすけとひまわり

「ほらしんのすけ!幼稚園行きなさい!あなたも会社!」

「あ、あぁ、また夜来るからな!」
「ひまは幼稚園に連れてってオラが見てるゾ!」
「あら、ひまはママと居ても大丈夫よ」
「え!?」
「ひまを面倒見られないほど疲れてないわよ」
「ひまだけかあちゃんといるなんてずるいゾ!」
「なぁにいってんの、ほらひまこっちいらっしゃい」

ひまをしんのすけから受け取ろうとするみさえ

「や~ん!めっ!」

しんのすけの服を掴んで話さないひまわり

「いや~ん、ケダモノォ~」
「もしかしてひま、しんのすけと居たいんじゃないか?」
「おぉっ、そうなのかひま?」
「た~よた~よ」

そうだと言わんばかりにしんのすけにしがみつくひまわり

「ひまはオラが見るから、かあちゃんは早く病気をやっつけてよ!」
「しんのすけ…」

潤むみさえ

「わかった!まかせたぞ、おに~ちゃん」
「まかせとけだゾ!」

「よし、とりあえず今日は父ちゃんと一緒に幼稚園行くぞ、色々園長先生やよしなが先生に説明しなきゃいけないから」
「よろしくねあなた」

「よし!行くぞしんのすけ!」
「ほい!」

病室を出るひろし
その後にしんのすけも続くが病室を出る直前に振り返り

「かあちゃん、病気なんかかあちゃんのでっかいおけつで潰しちゃえばいいんだゾ!」
「こら!しんのすけ!」
「でもかあちゃんがどうしてもって言うなら、オラと父ちゃんがかあちゃんをお守りするからね…」
「しんのすけ…」

「たいも!たいも!」
「おおっ、ひまもかあちゃんをお守りするって!」
「…ありがとう」

「それじゃかあちゃん、また来るゾ~」

元気良く走り去るしんのすけ

「いつの間にかおっきくなっちゃって…」

その後ろ姿に頼もしさを覚えたみさえだった


一ヶ月後
みさえは今だ病室だ
しかし一つ大きな違いがある
みさえの髪は全て抜け落ちてしまっている
抗がん剤の副作用だ 
「かあちゃ~ん!」
「しんのすけ!病院では静かにしなさい!」
「まぁまぁ、しんのすけだってさびしいんだろう」

病室に幼稚園の制服を着たしんのすけ、スーツ姿のひろし、ひまわりが入って来る

「今日はかあちゃんにお土産があるゾ」
「あらなにかしら」

「キャン!」

「し、シロ!」
「シロもかあちゃんに会いたいって言ってたから…」
「しんのすけ…」
「くぅ~ん…」

みさえの頬を舐めるシロ

「シロ…ありがと、しんのすけをよろしくね」

シロの頭を撫でるみさえ
気持ち良さそうなシロ

「あっ、やばい遅刻だ!」

ひろしが時計を見て叫ぶ

「しんのすけ!行くぞ!」
「ほい!ひまも行くぞ!」
「たい!」

慌ただしく病室を出る三人と一匹

「いってらっしゃ~い」

窓の外にいる三人と一匹に叫ぶみさえ

「いってきまぁす!」

それに答える三人と一匹



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幼稚園に着いたしんのすけ
そこには風間くん、ネネちゃん、まさおくん、ぼーちゃんが居る

「しんのすけ!おはよう!」
「おぉ!風間くぅん////」
「しんちゃん!おはよ!」
「しんちゃんドッチボールやろうよ!」
「よ~しやるゾ!」
「ボ~」

マサオの頭を掴むしんのすけ

「僕はボ~ルじゃないよぅ~」
「おおっ、違うのかぁ」
「ひまちゃんはネネとおままごとしましょ~」

ひまわりを抱き上げるネネ

「おおっ」

ボ~ルが明後日の方向に飛ぶ
するとボールを拾う園児

「へっへっへ~」

あのお馴染みのいじめっ子二人組だ

「おいしんのすけ~」
「お前の母さんさぁ~」
「!?」

「おい!止めろよ!」

二人組に詰め寄る風間君

「お前の母さんは癌でさぁ」
「ハゲてるんだろ~?」
「…」
「ちょっと止めなさいよ!」
「ボー!」

仲間達が集まる

「お前達もしんのすけなんかと遊んでるとはげるぞ~」

「や、やめろよ!」

後ろから声がする
なんとマサオ君だ
「なんだよマサオ~」
「俺達に逆らうってのか~?」
「うるさい!しんちゃんが…しんちゃんが…」
「もういいゾマサオ君」
「しんちゃん…」

「オラのかあちゃんは…確かに髪の毛無いゾ…でも…でも」

プルプル震えるしんのすけ

「マサオ君だって無いんだゾ!!」
「…」
「……」
「………」

沈黙

「お、おいしんのすけ…」

「でもオラ、マサオ君大好きだゾ、ネネちゃんも、風間君も、ボーちゃんも、もし髪の毛が無くなってもオラは皆が大好きだゾ!」

「しんのすけ…」

「それにオラのかあちゃんは病気と戦ってるんだゾ!それを馬鹿にするのはゆるさないゾ!」
「な、なんだよ…」
「俺達とやろうってのか?」

構える二人組

「やってやろうじゃないのよ!」
「ボー!」
「う、うん」
「かすかべ防衛隊ファイヤー!」

構える仲間達

「へ、へん!」
「行こうぜ!」

去る二人組


「みんな…」
「しんのすけ、安心しろよ、しんのすけのママだってかすかべ防衛隊皆で守るからさ」
「そうよしんちゃん!大丈夫よ!」
「ボー!」

しんのすけを激励する風間君、ネネちゃん、マサオ君、ボーちゃん

「大丈夫だゾ!かあちゃんは病気なんかに負けないゾ!」
「その意気だしんのすけ!」
「よし!今日はぱーっとリアルおままごとよ!」

ネネちゃん大ハリキリ

「お、オラちょっとお腹が…」
「ぼ、僕も」
「ボー」

そそくさ去る三人

「ま、まってよ~」
「マサオ君は、やるわよね?」
「ぼ、僕もお腹が…」

ドスッ
うさぎのヌイグルミに一発

「やれ、オニギリ」
「うぇ~ん」

マサオの悲しい叫びがこだまする

そして幼稚園が終わりしんのすけとひまわりは病院へ幼稚園バスで送ってもらう

「ほっほ~い、かあちゃんおかえりぃ~」
「たったぁ~い!」
「帰って来たらただいまでしょ!」
「そうとも言う~」
「まったく…ゴホッゴホッ」
「かあちゃん?大丈夫?」

癌はみさえの身体を着実に蝕んでいた
頬はこけ、腕もかなり細くなった

「大丈夫?お医者さん呼ぶ?」
「大丈夫よ、ありがとうしんのすけ」
「ほ、ほい…」
「ほら…手を洗ってらっしゃい、今日隣のおばさんがプリンお見舞いに持ってきてくれたから食べよ」
「プリン?ほっほ~い」

元気良く病室を出るしんのすけ

「ふっふ~ん、プリ~ン」

しんのすけが病室に戻ろうと歩いていると、病室からひまわりの泣き声が聞こえる

「んも~ひま、かあちゃんに心配かけちゃ駄目だ…ゾ…」

しんのすけが病室に入るとそこには血を吐いてうずくまるみさえの姿があった

「かあちゃん!」
「びぇ~ん」
「かあちゃん!かあちゃん!」

いくら呼び掛けても返事は無い


そしてみさえはそのまま集中治療室に入った

「しんのすけ!」
「父ちゃん!」

ひろしが息を切らして走って来る
ひろしに抱き着くしんのすけ

「かあちゃんが…かあちゃんが…!」
「しんのすけ!大丈夫だ、父ちゃんが来たからな大丈夫だ…!」
「野原さん…」

医者が話し掛ける

「先生!みさえは…みさえは!」
「旦那さん…お子さんを…」
「しんのすけ…父ちゃん先生と…」
「やだ!」
「しんのすけ…」
「オラはかあちゃんをお守りするんだゾ!絶対絶対動かないぞ!」
「…先生、こいつにも…しんのすけにも聞かせて下さい…」

「わかりました…」

「奥様は…このままお亡くなりになるまで意識を取り戻さない可能性が高いです…」
「…!」
「奥様の体は衰弱しきっています、今は点滴と酸素を送り込む事によって延命治療をしているに過ぎません…」
「そんな…」
「旦那さん…そしてしんちゃん…覚悟はしておいて下さい…」

集中治療室のガラスの向こう側
みさえが横たわっている
心電図の無機質な電子音だけが虚しく聞こえていた


みさえが意識を失ってから二ヶ月が経った
そして野原一家はある決断を迫られる

「かあちゃんおかえりー!」

ガラス越しにみさえに話し掛けるしんのすけ

「今日ね、マサオ君がまたネネちゃんに怒られて泣いちゃったんだゾ~」

幼稚園かばんから紙を取り出す

「ほらみてかあちゃん、オラ今度のおゆうぎ会で浦島太郎やるんだゾ、風間君が浦島太郎で、ネネちゃんが竜宮城のお姫様、オラは亀の役だゾかあちゃんも見に来てよね!」

嬉しそうに話し掛けるしんのすけだが、みさえからの反応は勿論無い
そこにひろしが沈痛な面持ちでやってくる

「しんのすけ…ちょっとこい」
「…ほ~い」

廊下に出る二人

「しんのすけ…かあちゃんをな…」
「…」
「もう休ませてあげよう…」
「…!」

「休ませる…?」
「今かあちゃんはとっても疲れてる…このままかあちゃんに辛い思いさせたくないだろ…?」
「かあちゃん死んじゃうの?」
「…先生が、かあちゃんが一番良い方法で休ませてくれるらしい…」
「…」
「しんのすけ…わかるな…?」
「わからないゾ!オラ子供だからわからないゾ!」

再び集中治療室にもどるしんのすけ
そしてガラス越しにみさえに話し掛ける

「かあちゃん起きろ!かあちゃん!雨降ってきたゾ!洗濯物濡れちゃうゾ!」
「しんのすけ…」

その様子を後ろから見て涙を流すひろし

「かあちゃん!父ちゃんがまた女の人の香水の匂いつけて帰ってきたゾ!ひまわりがお腹空いたって泣いてるゾ!」

涙を流しながら叫ぶしんのすけ

「かあちゃん!オラまたケツだけ星人やっちゃうゾ!戸棚のお菓子食べちゃうゾ!かあちゃん!オラのおゆうぎ会見に来てよ!かあちゃん!」

「しんのすけ…!」

しんのすけを後ろから抱きしめるひろし

「父ちゃん…うわぁ~ん!」
「しんのすけ…泣け沢山泣くんだ、泣いていいんだ…」
今までの涙が一気に押し寄せた様に涙を流すしんのすけ
「し…んの…すけ」
「!」

みさえの声が聞こえた気がした

「みさえ…?」
「かあちゃん…?」
「や~ねぇ…二人ともなに泣いてるの…」

みさえに目をやればみさえが目を開けてこちらを見ている

「先生…先生!」

先生を呼びに走るひろし

「かあちゃん…起きたの?」
「しんのすけ…アンタ幼稚園は…」

そこにひろしが医者を連れて戻ってくる

「これは…」
「先生!みさえは…みさえは治ったんですか!?」

ひろしの問いに首を振る医者

「患者さんにはよくあるんです…亡くなる前に最後の力を振り絞って一時期だけ回復する事が…」
「そんな…」
「次倒れたら…」
「…」
「野原さん…どうしますか…このまま入院を続ければ今の回復の状態を長引かせる事は出来ます、しかしそれも焼け石に水です…それならば」
「先生…みさえを…退院させてやってください…」
「野原さん…」
「最後に…最後にみさえとしんのすけとひまわりとシロで思い出を作りたいんです…」
「…わかりました、すぐに手続きをしましょう…」

去る医者

「しんのすけ…みさえ…帰ろう、家へ」

そしてみさえは家に帰って来た
野原家に久しぶりの明るい笑い声が響く

「しんのすけー、準備できたの~?」
「ほっほ~い、バッチリだぞ!」
「よ~し、じゃあ行くか!」

野原家はドライブに出掛けた、勿論シロも一緒だ

「まずは何処行くか」
「ほいほい!オラ最近出来たアクション仮面ミュージアム行きたいゾ!」
「しんのすけ~、今日はみさえの…」
「あら良いじゃない、行きましょうよ」
「そうよひろし~、出世できないわよ~」
「出世は関係ないだろ出世は!」

いつもの空気が流れる車内

そんなこんなで結局アクション仮面ミュージアムに到着

「ほっほ~い!かあちゃんとうちゃん早く早くぅ~ん!」

走り回るしんのすけ

「ほらしんのすけ!走ると危ないわよ!」
「平気平気ぃ~」
「まったくもう…」
「ほら行こうみさえ」
「たい!」
「キャン!」
「シロはヌイグルミのフリしてなさいよ!」
「くぅん」

中に入る野原一家

「おぉ~、アクション仮面が沢山いるゾ!」
「ふふっ、しんのすけったらあんなにはしゃいじゃって…」
「みさえと久しぶりのお出かけだからな、嬉しいんだよ」
「父ちゃん父ちゃん!あっちに美人なおねいさんがいるゾ」
「なっなに?何処だしんのすけ!」


みさえの鋭い眼光

「あなた…後でお話が」
「お、お話だけで終わる?」
「父ちゃんなんで膝が震えてるの?」


ミュージアムから出て来る野原一家
しんのすけの手にはみさえの手がしっかりと握られている
勿論ひろしは荷物持ちだ

「楽しかったゾ~」
「すっかり日が暮れちゃったわね~」
「おい!少しは持ってくれよ!」
「あらや~ねぇ男の癖に」

「力はかあちゃんのが上だけどね…」
「その通りだしんのすけ」

カキーン
コキーン

「さっ、帰るわよ」

ひろしとしんのすけの頭にはでっかいたんこぶ

「キャッキャッ、うへぇ~い」

その様子を見てひまわりも楽しそうだ

「あ、帰る前に一カ所寄りたい場所が…」
「ん?どこよ?」
「まぁ着いてからのお楽しみって事で!」

ひろしが車に乗り発車させる
「父ちゃんどこ行くの~?」
「まぁすぐわかるよ

そして車が停まる
そこは北千住駅

「ここ…」
「そう、俺がみさえにプロポーズした場所…野原一家が始まった場所だ」
「あなた…」
「ここでとうちゃんとかあちゃんは結婚したの?」
「う~ん、俺がかあちゃんに結婚してくださいってお願いしたんだよ」
「ひろしの転落人生の幕開けの場所か…」
「しんのすけ、よくわかったな」

カキーン
コキーン
やっぱりたんこぶが出来る

「じょ、冗談だよみさちゃ~ん」
「まったく…!」

ぷりぷり怒るみさえ

「かあちゃん、とうちゃん」
「ん?どうしたのしんのすけ」
「そんなに痛かったか?」
「んーん…あのね」

ひろしとみさえを見つめるしんのすけ

「とうちゃん、かあちゃん、オラを二人の子供にしてくれてありがとうだゾ!」

「しんのすけ…」

「あと、ひまわりをオラの妹にしてくれてありがとう!」

「しんのすけ…」

涙を流すみさえ

「ちきしょう!バカヤロウ!なんだか目が痛いぜ!ほらみんな並べ写真撮ろう!」

ひろしが涙を堪えみんなを並ばせる

北千住駅前に並ぶ野原一家

「しんのすけ…」
「ひまわり…」

みさえとひろしがしんのすけとひまわりに話し掛ける

「ん…なぁに?」

「俺達の子供になってくれてありがとう」

カシャ
シャッターの下りる音
その写真にはいつもと変わらない野原一家の幸せな風景があった

北千住駅で写真を撮って一年の月日が流れた
しんのすけは少し背が大きくなった
今年小学一年生だ
ひまわりは少しだが言葉を喋る事が出来るようになった
ひろしは相変わらず係長だ

「ひま~?」
「う?なにおにたん」

みさえが居たが今は誰もいない病室のベットにひまわりとしんのすけが座って居る

「オラこれから小学生だゾ、だからひまわりが何かあったらオラが今までよりもっと沢山お守りするから、オラに言うんだゾ?」
「ほい!」

ひまわりは完全にしんのすけ似だ

「おにたん」
「どーしたひまわり?」
「おちっこ」

急いでひまわりをトイレに連れていくしんのすけ

「もぅ~、全くぅ、手のかかる妹だゾ」

「ひま、ちゃんと出たか?」
「ほい!」
「よし、じゃあいくゾ」

ひまわりと手を繋ぎ歩き出すしんのすけ

「先生…ありがとうございました…」

病院の前ではひろしが先生に頭を下げている

「ほっほ~いとうちゃ~ん」
「ひろち~」

しんのすけとひまわりが歩いてくる

「こらひま!ひろしじゃなくてパパだろ!」
「ほい!」
「わかったか?」
「ほい!ひろち!」
「駄目だコリャ…」
「とうちゃん早く行こうよ!」
「あぁ、そうだな…それじゃ先生…また」
「はい、お元気で」


車に向かって歩き出す三人


「ほっほ~いオラ助手席~」

ドアを乱暴に開けるしんのすけ

「しんのすけ!」
「ほいほ~い」

やり直し丁寧に開けて閉めるしんのすけ

「まったくぅ~妖怪ケツデカオババは相変わらずうるさいぞ~」
「なぁんですって!?」

グリグリグリ~

「ぬおぉ~ん、何だか久しぶりだゾ~」

後部座席にはみさえの姿
北千住駅で写真を撮ったあの後、みさえの病状は悪くなる所か快方に向かっていったのだ
医者もこれには驚き奇跡としか表現出来ないと言った

癌の腫瘍も小さくなり手術で簡単に切り取れた
そして、リハビリを重ね今日ついに退院の時であった

「よし!帰るか我が家に!」

ひろしがエンジンをかけ、発車する

「あなた、しんのすけ、ひまわり…」
「なぁにかあちゃん?」
「どうしたみさえ?」「かーたん?」

「守ってくれてありがとう…」
「…へへっ、気にすんなよみさえ」
「なよー」
「そうだゾ、これからも母ちゃんはオラがお守りするゾ!」

涙を堪えるひろし
涙を流すみさえ
少し大人になったしんのすけ
少し大きくなったひまわり


「よし!しんのすけ着いたぞ!」
「あんた入学式で変な事しないでよ~」
「大丈夫だゾ!オラお兄ちゃんだもん!」

胸を張るしんのすけ

「よ~し、写真撮るぞ!」

校門の前に並ぶ野原一家

「はい!チーズ!」

カシャ

写真に写ったのは笑顔に溢れた野原一家
これから先もずっと
この笑顔が続きますように…







終わり



みさえ2.jpg




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